エイサ・バターフィールド主演のイギリス映画「僕と世界の方程式」を映画館で観た。
数学の天才でありながらコミュ障の少年が、数学オリンピックを通して世界を知る姿を描く。
【満足度 評価】;★★★★☆(4.5)
素晴らしい映画だった。
映画の前半部分で、「人と違うこと」は、「かけがえのない存在である」ということっていう話が出てきて、その考え方好きだなぁと思いながら観始めた。
そして、どんなに難しい方程式を使っても、人間が悩まされる感情を表現することができないというこの映画のテーマも気に入って、すごく大好きな映画になった。
◆DVDで観る:「僕と世界の方程式」
◆ネット配信で観る:Amazonプライム「僕と世界の方程式」(字幕版)
◆輸入版「A Brilliant Young Mind」
…(「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」、「エンダーのゲーム」など)
〇レイフ・スポール
…(「ジュラシック・ワールド/炎の王国」、「もうひとりのシェイクスピア」など)
〇サリー・ホーキンス
…(「パディントン2」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「パディントン」、「ブルージャスミン」など)
〇エディ・マーサン
…(「人生はシネマティック!」、「アトミック・ブロンド」、「おみおくりの作法」)
〇ジョー・ヤン
2014年製作 イギリス映画

ネイサン(エイサ・バターフィールド)は、幼い頃に自閉症と診断されるが、数字や図形に対し、誰よりも優れた感覚を持っていたため、小学生の頃から、数学教師ハンフリーズ(レイフ・スポール)の元、高校で学ぶ数学の勉強を始めていた。
また同じ頃、「数学オリンピック」の存在を知り、高校生になったらオリンピックに出ることを目標としていた。
そんなネイサンが高校生になった頃、幼い頃からの夢だった数学オリンピックのイギリス選抜メンバーに無事選ばれることに。
そして、選抜メンバーの強化合宿のため、台湾へ行くことになったネイサン。
しかし、コミュ障のネイサンが初めて母親(サリー・ホーキンス)やハンフリーズの元を離れて海外へ行くことになり、不安な旅立ちとなったのだが…。

イギリスは日本と同じ島国だからかもしれないけど、イギリス映画を観ていると、日本と感覚が似ているなぁと思うことが時々ある。
単一民族で暮らしているからか、「よそ者」に対する視線が少し冷たい感じがするし、いじめが深刻なのも良く似ている。
監督のモーガン・マシューズは、元々TVのドキュメンタリー番組を制作していた人だという。
彼がその頃に制作した長編ドキュメンタリー“Beautiful Young Minds”で、ある自閉症の少年を描き、それを映画化したのが、この作品なんだそう。
ということは、この映画は実話を元に描かれているということでもある。
イギリスで育った少年ネイサンは数学オタクのコミュ障で、イギリスと数字と図形が世界の全てだった。
そんな彼がイギリスという島を出て、広い世界を知っていく姿にとても感動した。
ちょっと日本と似たところのあるイギリスであった実話だからこそ、私たち日本人の琴線に触れる部分がある。
彼の繊細で美しい世界を、是非知って欲しいと思う。

まず、私がこの映画の中で感銘を受けたのは、「他人と違うこと」は「かけがえのない存在」だということ。
ネイサンが他の人と違うことを心配した両親が、病院に連れて行くと「自閉症スペクトラム」と診断される。
そこで、先生が言ったのが、「ネイサンは他の人とは違いますが、違うからこそかけがえのない存在なのです」という言葉だった。
普通、自分の子供が「自閉症です」と言われたら、両親は落ち込むでしょう。
当然、医師もその後、その子供とどう対応していくべきかを話し合うという、ネガティブな雰囲気を想像したんだけど、そこには、そんな暗い雰囲気はなく、自閉症はよくある個性の1つだというポジティブな雰囲気になっていたことが、とても印象的だった。
さらにその後、お父さんがネイサンと一緒に車に乗っている時に、
「ネイサン、お前は特別な存在なんだよ」と言い、「僕たちマグル(人間)には理解できない特別な力を持っているんだよ」と言っていたことが、さらに私を感動させた。
お父さんが遺したその言葉があったからこそ、ネイサンは数学を愛し続け、数学オリンピックを目指すことができたんだと思う。
数学オタクのコミュ障はおかしな奴でも、変人でもない。
人と違う特別な才能の持ち主なんだ。
なんて素敵な考え方だと思った。

それまでイギリスという島国で数学しか知らず、コミュ障で友達もいなかったネイサンが初めて数学で表現できない「感情」というものを知る。
きっかけは、「数学オリンピック」を通じた人との出会いだ。
そこで出会った中国人の少女チャン・メイを好きになり、「恋」という感情を知る。
このチャン・メイが明るくて良い子で。
ネイサンもチャン・メイも優秀な数学の才能の持ち主だからこそ分かり合えたこと。
2人にしか見えない世界があったこと。
ネイサンは彼女と過ごすことで、楽しい気持ちも、悲しい気持ちも、人とシェアすることで、楽しい思いは倍楽しく、辛い気持ちは癒されるということを知る。
数学のテストが思い通りできなくても、側にいてくれて励ましてくれたチャン・メイ。
そして、彼女を好きだという気持ちに気付くが、と同時に、好きな気持ちは方程式で表現できないため理解することができない。
ネイサンは、ようやく、人間の気持ちは方程式で解けないことを知ったのだ。
それは、普通の人(マグル(笑))には当たり前のことでも、何でも数字で表現してきたネイサンにとっては、とても大きな発見だった。

ネイサンは、これまでコミュ障で人と感情を分かち合うことができなかった。
それが、「恋」を知り、気持ちをシェアする素晴らしさを知り、初めて世界が広がった。
でも、それはネイサンに限らず、大人たちもそうだった。
アル中のハンフリーズ先生は、断酒会のグループセラピーで心を癒され、
ネイサンのお母さんは、ネイサンと理解し合えないもどかしさをハンフリーズ先生とシェアしている。
人は何歳になっても、「感情」というやっかいなものに悩まされ、苦しめられる。
それは、数学の方程式では解けないけれども、人とシェアすることで癒される。
この映画を観て、辛い時はつらいと言っていいし、楽しい時は楽しいと言っていいんだなと改めて思った。
本当に大好きな世界だった。
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◆輸入版「A Brilliant Young Mind」
数学の天才でありながらコミュ障の少年が、数学オリンピックを通して世界を知る姿を描く。
【満足度 評価】;★★★★☆(4.5)
素晴らしい映画だった。
映画の前半部分で、「人と違うこと」は、「かけがえのない存在である」ということっていう話が出てきて、その考え方好きだなぁと思いながら観始めた。
そして、どんなに難しい方程式を使っても、人間が悩まされる感情を表現することができないというこの映画のテーマも気に入って、すごく大好きな映画になった。
「僕と世界の方程式」予告編 動画
(原題:A Brilliant Young Mind (X + Y))◆DVDで観る:「僕と世界の方程式」
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キャスト&スタッフ
出演者
〇エイサ・バターフィールド…(「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」、「エンダーのゲーム」など)
〇レイフ・スポール
…(「ジュラシック・ワールド/炎の王国」、「もうひとりのシェイクスピア」など)
〇サリー・ホーキンス
…(「パディントン2」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「パディントン」、「ブルージャスミン」など)
〇エディ・マーサン
…(「人生はシネマティック!」、「アトミック・ブロンド」、「おみおくりの作法」)
〇ジョー・ヤン
監督
〇モーガン・マシューズ2014年製作 イギリス映画

あらすじ
ネイサン(エイサ・バターフィールド)は、幼い頃に自閉症と診断されるが、数字や図形に対し、誰よりも優れた感覚を持っていたため、小学生の頃から、数学教師ハンフリーズ(レイフ・スポール)の元、高校で学ぶ数学の勉強を始めていた。
また同じ頃、「数学オリンピック」の存在を知り、高校生になったらオリンピックに出ることを目標としていた。
そんなネイサンが高校生になった頃、幼い頃からの夢だった数学オリンピックのイギリス選抜メンバーに無事選ばれることに。
そして、選抜メンバーの強化合宿のため、台湾へ行くことになったネイサン。
しかし、コミュ障のネイサンが初めて母親(サリー・ホーキンス)やハンフリーズの元を離れて海外へ行くことになり、不安な旅立ちとなったのだが…。

感想(ネタバレあり)
イギリスで実際にあった実話の映画化
イギリスは日本と同じ島国だからかもしれないけど、イギリス映画を観ていると、日本と感覚が似ているなぁと思うことが時々ある。
単一民族で暮らしているからか、「よそ者」に対する視線が少し冷たい感じがするし、いじめが深刻なのも良く似ている。
監督のモーガン・マシューズは、元々TVのドキュメンタリー番組を制作していた人だという。
彼がその頃に制作した長編ドキュメンタリー“Beautiful Young Minds”で、ある自閉症の少年を描き、それを映画化したのが、この作品なんだそう。
ということは、この映画は実話を元に描かれているということでもある。
イギリスで育った少年ネイサンは数学オタクのコミュ障で、イギリスと数字と図形が世界の全てだった。
そんな彼がイギリスという島を出て、広い世界を知っていく姿にとても感動した。
ちょっと日本と似たところのあるイギリスであった実話だからこそ、私たち日本人の琴線に触れる部分がある。
彼の繊細で美しい世界を、是非知って欲しいと思う。

自閉症は個性の1つであり、神が与えた特別な才能
まず、私がこの映画の中で感銘を受けたのは、「他人と違うこと」は「かけがえのない存在」だということ。
ネイサンが他の人と違うことを心配した両親が、病院に連れて行くと「自閉症スペクトラム」と診断される。
そこで、先生が言ったのが、「ネイサンは他の人とは違いますが、違うからこそかけがえのない存在なのです」という言葉だった。
普通、自分の子供が「自閉症です」と言われたら、両親は落ち込むでしょう。
当然、医師もその後、その子供とどう対応していくべきかを話し合うという、ネガティブな雰囲気を想像したんだけど、そこには、そんな暗い雰囲気はなく、自閉症はよくある個性の1つだというポジティブな雰囲気になっていたことが、とても印象的だった。
さらにその後、お父さんがネイサンと一緒に車に乗っている時に、
「ネイサン、お前は特別な存在なんだよ」と言い、「僕たちマグル(人間)には理解できない特別な力を持っているんだよ」と言っていたことが、さらに私を感動させた。
お父さんが遺したその言葉があったからこそ、ネイサンは数学を愛し続け、数学オリンピックを目指すことができたんだと思う。
数学オタクのコミュ障はおかしな奴でも、変人でもない。
人と違う特別な才能の持ち主なんだ。
なんて素敵な考え方だと思った。

人を好きになることで知る、数式で解けない感情
それまでイギリスという島国で数学しか知らず、コミュ障で友達もいなかったネイサンが初めて数学で表現できない「感情」というものを知る。
きっかけは、「数学オリンピック」を通じた人との出会いだ。
そこで出会った中国人の少女チャン・メイを好きになり、「恋」という感情を知る。
このチャン・メイが明るくて良い子で。
ネイサンもチャン・メイも優秀な数学の才能の持ち主だからこそ分かり合えたこと。
2人にしか見えない世界があったこと。
ネイサンは彼女と過ごすことで、楽しい気持ちも、悲しい気持ちも、人とシェアすることで、楽しい思いは倍楽しく、辛い気持ちは癒されるということを知る。
数学のテストが思い通りできなくても、側にいてくれて励ましてくれたチャン・メイ。
そして、彼女を好きだという気持ちに気付くが、と同時に、好きな気持ちは方程式で表現できないため理解することができない。
ネイサンは、ようやく、人間の気持ちは方程式で解けないことを知ったのだ。
それは、普通の人(マグル(笑))には当たり前のことでも、何でも数字で表現してきたネイサンにとっては、とても大きな発見だった。

楽しさも辛さもシェアすることで倍増したり半減したりする
ネイサンは、これまでコミュ障で人と感情を分かち合うことができなかった。
それが、「恋」を知り、気持ちをシェアする素晴らしさを知り、初めて世界が広がった。
でも、それはネイサンに限らず、大人たちもそうだった。
アル中のハンフリーズ先生は、断酒会のグループセラピーで心を癒され、
ネイサンのお母さんは、ネイサンと理解し合えないもどかしさをハンフリーズ先生とシェアしている。
人は何歳になっても、「感情」というやっかいなものに悩まされ、苦しめられる。
それは、数学の方程式では解けないけれども、人とシェアすることで癒される。
この映画を観て、辛い時はつらいと言っていいし、楽しい時は楽しいと言っていいんだなと改めて思った。
本当に大好きな世界だった。
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