トム・クルーズ主演の映画「バリー・シール/アメリカをはめた男」を映画館で観た。

冷戦時代にCIAの極秘任務で南米でスパイ活動を行うかたわら、コロンビアから麻薬の輸入をしていたバリー・シールの実話を映画化。


満足度 評価】:★★★★☆

面白かったなぁ。

主人公バリーの生き様が破天荒過ぎて面白かった。

そんな彼の驚きの人生だけでなく、彼を利用して吐き捨てたCIAやホワイトハウスの恐ろしさも描かれているのが良かった。

バリーとは、冷戦時代のアメリカのしたたかさを象徴している男だった


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「バリー・シール/アメリカをはめた男」予告編 動画

(原題:AMERICAN MADE)


更新履歴・公開、販売情報

・2017年10月24日 映画館で観た感想を掲載。

・2019年7月20日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

トム・クルーズ
…(「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」、「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」、「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」、「m:i:Ⅲ ミッション・インポッシブル3」、「アウトロー」、「コラテラル」、「大いなる陰謀」、「ザ・ファーム 法律事務所」、「ワルキューレ」、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、「マイノリティ・リポート」、「ザ・エージェント」など)

ドーナル・グリーソン
…(「グッバイ・クリストファー・ロビン」、「ピーターラビット」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「レヴェナント/蘇りし者」、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」、「FRANK-フランク-」、「不屈の男 アンブロークン」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「ブルックリン」など)

〇サラ・ライト

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
…(「ゲット・アウト」など)

監督

〇ダグ・リーマン
…(「オール・ユー・ニード・イズ・キル」など)


2017年製作 アメリカ映画



映画「バリー・シール アメリカをはめた男」


あらすじ


1970年代後半、パイロットのバリー・シール(トム・クルーズ)は、キューバから葉巻を密輸していた。

それがCIA捜査官 シェイファー(ドーナル・グリーソン)の目に留まり、スカウトされる。

シェイファーがバリーに依頼したのは、南米にあるゲリラ組織のアジトを上空から撮影することだった。

飛行機の操縦技術に長けていたバリーはゲリラ組織からの攻撃をかわし、次々と証拠写真を撮り続けていき、CIAの中でも写真の正確さが好評だった。

そんな中、やがてバリーはコロンビアの麻薬王たちから声をかけられる。



映画「バリー・シール アメリカをはめた男」トム・クルーズ



感想(ネタばれあり)


アメリカの楽観主義がバリー・シールを生み出す


これ、とっても面白かったんだけど、何が面白いって、これが実話で、このバリー・シールが実在した人物だってこと!!

「事実は小説よりも奇なり」って言葉があるけれど、CIAからホワイトハウスまでからめた、こんな良くできた話をなかなか作れない(笑)



とにかく、主人公のバリー・シールはノリがいい

CIAから「南米へ行って写真を撮ってみない?」と言われれば、「いいよ」って言っちゃうし、コロンビアの麻薬王たちから声を掛けられれば、ひるむことなく(もしかしたら、彼らのことを知らなかったのかもしれないけど)ホイホイついて行ってしまう。



果たして、彼はバカなのか、それとも本当にしたたかなのか

いや、何も考えていないだけなのか。

そんな彼は、絵に描いたような 『THE 楽観主義』である。



その、人の予想をはるかに超えたキャラクターそのものが、バリーの魅力であり、この映画の魅力でもある。



その楽観主義が破天荒な彼を躍進させる



「バレる」なんてことにびくびくしない。

大量の麻薬を積んで、堂々と海を渡る。

汚れた金の処理に困り、裏庭に埋めてしまう雑さ。



どんな時も、誰にあっても物おじしない姿勢が、彼をドンドン上へ上へと押し上げる。



なぜ、彼はどんな時も楽観主義でいられたのか。

それは、当時のアメリカが作り出したものだった。



映画「バリー・シール アメリカをはめた男」トム・クルーズ


バリーを利用できるだけ利用し尽した冷戦当時のCIA


そんなバリーをうまいこと利用したのが、CIAだった。



冷戦の真っ只中だった当時、東側の動向を知るためにCIAは最も必要とされていた組織だった。

そのため、自分たちで動こうとしても人手が足りない。

そこで、民間を有効利用しようと考えた。

そのテキトー加減に驚かされっぱなしだった。



それにしたって、いくら人手が足りないからって、シェイファーが個人的にキューバの葉巻を密輸していたバリーをスカウトしたのには、唖然とさせられた。

それも、よくあるカフェで、まるで企業の新人をスカウトするみたいに声を掛ける

「ちょっとCIAの仕事を手伝ってみないか」っていう軽いノリで。



しかし、CIAが彼に依頼した仕事内容は決して軽くない



当時、南米で盛り上がっていた『革命』を把握するため、彼らの軍事施設を上空から撮影するというもの。

バリーは、CIAから指定された場所へ行き、写真を撮って帰って来る。



それだけの仕事だけど、時には攻撃されることもあった。

たちまち、彼の空撮はCIAで話題になり、その全てがシェイファーの手柄になっていく。



今なら衛生写真もあるし、ドローンだってあるから、バリーのような人間は必要ない。

当時のアメリカだったからこそ、必要とされた人材だった。



写真撮影が成功するとCIAの要求はエスカレートしていく。



当時、南米で『打倒!共産主義』のために訓練していた自由の戦士たちに銃を運ぶ仕事を依頼される。

この銃がまたビックリで、ソ連軍がPLO(パレスチナ解放機構)のために作ったカラシニコフ自動小銃だったりする。



イスラエルがパレスチナから押収したものを横流ししてもらったとか(笑)

もう、なんでもあり。



そのうち、「自由の戦士をアメリカで訓練する」と言い出し、バリーがCIAからもらった土地で訓練を始める。

そして、人も密輸する。

残念ながら、その『自由の戦士』たちは、アメリカへ渡ると約半数が逃走してしまったんだとか(笑)



CIAはバリーが民間だろうとなんだろうと、散々利用して、使いまわし、彼の立場がやばくなると、一気に関係を断ち切ってしまう

使えるところは使い尽くし、旨みを吸いつくすとあっさりと捨てる。

そのしたたかさが、まさにアメリカの強さであり、恐ろしさだと思った。



映画「バリー・シール アメリカをはめた男」ドーナル・グリーソン


コロンビアの麻薬王、パナマのノリエガ、CIA、ホワイトハウス…バリーを利用した者たち


そのバリーとCIAの関係に乗っかったのが、ホルヘ・オチョアや、パブロ・エスコバルといったコロンビアの麻薬王たちや、パナマのノリエガ将軍だった。

バリーが写真撮影をした後、麻薬を載せてアメリカに帰ってくれれば、それなりの金を払うという。

その話にのったバリーは、CIAの依頼の他に、コロンビアの麻薬の密輸まで手伝うようになる



コロンビアでも、バリーの仕事は好評で「宅配便よりも優秀で確実に届く」と言われるようになる。

そして、密輸の量が1人では賄いきれなくなり、人を増やし、事業を拡大させていく。



そんなバリーの『活動』をCIAは見て見ぬふり。

その後、コロンビアとアメリカの間で麻薬戦争が勃発する。

もしも、この時、バリーを通じて麻薬の密輸を止め、麻薬王たちを逮捕していたら、コロンビアは麻薬大国にならなかったかもしれない。



コロンビアが麻薬大国になったのには、大いにアメリカにも責任があったのだ。

当時のCIAは、そんな麻薬のことよりも、『冷戦の成果』として『革命』を潰すことしか考えていなかったのだ。



そして、80年代後半になるとアメリカでも麻薬問題が深刻化する。

それもそうだ。CIA黙認の上、バリーが大量にコカインを密輸していたんだから。

本土に拡散するのも、あっという間だろう。



すると、今度はホワイトハウスがバリーを利用するようになる

そして、実際にホワイトハウスに招き、話し合いの席に座らせ、今度は麻薬王たちの写真を撮るようにバリーに依頼する。

結局、そのホワイトハウスとバリーの関係が麻薬王たちに知られ、激怒されてしまう



そうなると、ホワイトハウスもバリーを手放してしまう。



すごく調子がいい時は散々持ち上げて使いまわし、立場が危うくなると、一気に潮が引いていく

そのアメリカのご都合主義と調子の良さ、そして、危険だと察知したら一気に手を引くしたたかさ

ホワイトハウスでさえも。



その全てが、『楽観主義でお調子者』のバリー・シールを作り上げているものだった。



映画「バリー・シール アメリカをはめた男」


全てを飲みこんで、いらなくなったら平気で吐き捨てるアメリカの強さ


結局、その中で誰が一番得をしたのか

それは、CIAだったと思う。

今思えば、一番CIAが輝いていたのが冷戦時代で、バリーがCIAのために働いていた時が、彼らにとって一番充実していた時期だっただろう。



このバリーを巡る狂騒曲を観て、民間人だろうと、なんだろうと、使える者は何で使ってポイ捨てするテキトーさとしたたかさがアメリカの強さなんだと思った。

冷戦だろうが、ドラッグ戦争だろうが、その場のノリで全部飲みこんじゃう。

毒だと分かれば吐き捨ててればいい。



それが、This is Americaであり、バリーは American Made(原題:アメリカ製)なんだなと思った。

せめて、証人保護プログラムぐらいしてやれよ、と今さら言っても、もう遅い。



もしも、バリーが現代の人だったら、証人保護プログラムを受けられたのだろうか。

それとも、そもそも、CIAとは何の関係もない、ただの人扱いされてしまうんだろうか。



そして、やっぱり、アメリカの楽観主義は最強だなと思った。

乗れるものはドンドン乗ってけーー!!ってノリがあるからこそ、世界最強なんだけど、そこがアメリカの恐ろしさでもある。



バリーは技術の優れたパイロットだけど、元軍人なわけでもなく、それ以外は、どこにでもいる普通の人だ。

そんなバリーが、国に散々利用される恐ろしさ。

最初から最後まで、バリーの破天荒な生き方を楽しませてもらったけど、その裏に大きく構えるアメリカを思うとゾッとする映画でもあった







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