ブラッドリー・クーパー主演、クリント・イーストウッド監督の映画「アメリカン・スナイパー」をWOWOWで観た。
アメリカ軍で史上最高の狙撃手(スナイパー)と言われたクリス・カイルの自叙伝を映画化。
【満足度 評価】:★★★★☆
ひどく心を揺さぶられ、しばらく放心状態になった映画だった。
なぜ、人はここまでして殺し合うのか。
◆ネット配信で観る:「アメリカン・スナイパー」特典映像付き(字幕版)
◆DVDで観る:「アメリカン・スナイパー」ブルーレイ&DVDセット 【初回限定生産/2枚組】
◆原作本「アメリカン・スナイパー 」
…(「運び屋」、「アリー/スター誕生」(兼 監督)、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(声のみ)、「リミットレス」、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(声のみ)、「ハング・オーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」など)
〇シエナ・ミラー
…(「夜に生きる」、「マリリン&モナ 踊って、泣いて、輝いて」など)
〇ルーク・グライムズ
〇ジェイク・マクドーマン
〇ケビン・ラーチ
…(「運び屋」、「ハドソン川の奇跡」、「ジャージーボーイズ」、「インビクタス/負けざる者たち」、「グラン・トリノ」、「硫黄島からの手紙」、「父親たちの星条旗」、「ブラッド・ワーク」など)
2014年製作 アメリカ映画
アメリカ海軍のSEALSに所属するクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、NYを襲った「911」のテロの直後、結婚式を挙げたばかりの時にイラクへ派遣される。
現場ではスナイパーとして活躍し、多くの海兵隊を救ったことから、伝説(レジェンド)と言われるようになる。
その後も、計4回、イラク派兵されるようになる間に、長男と長女が生まれ、平和な家庭を築いているように見えていたが、カイルの心は、戦場で疲弊し、少しずつ蝕まれていた…。

なぜ、そこまでして殺し合うのか。
そんなに辛い思いをするならやめてしまえと思う。
しかし、実際に、イラク側の「虐殺者」と言われる人間の、人間とも思えない行為を目の当たりにすると、「あんな奴殺してしまえ」とも思ってしまう。
この映画で描かれているように、国の命令で派兵され、最前線で闘っている人たちの姿を見てしまうと、「戦争なんて今すぐやめなさい」なんて言葉は出てこない。
それは、単なるきれいごとであり、「なんとか、命だけでも助かって帰ってきて」としか言いようがない。
目の前に銃を持った敵がいる以上、命がけで闘わないと国へ帰れないのだから。
この映画で描かれる戦闘シーンは、どれもすごくリアルで、見ているだけで息苦しくなるようなシーンばかりだった。
今、この瞬間も、あぁいう現場で「アメリカの正義」という大義名分の元、命がけで闘っている人がいるのかと思うと、すごく心が痛む。

戦場で、ものすごく悲惨な体験をした彼らは、家に帰ったからといって、彼らに平和が訪れるわけではない。
その後は、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)という心の病と闘わなければならない。
私がこの映画の中で、一番ゾッとしたのは、退役したクリスが居間でテレビを見ているシーン。
その時、明らかに戦場と思われるシーンの音がしていたので、クリスはまた戦場のビデオを見ているのだろうと思った。
そんなものを見るのをやめたらいいのに…と思っていたら、実際には、テレビには何も映っていなかった。
あの時、クリスの目には戦場が映っていたんだろうか…。
ただ虚ろな目をして前をジッと見ているクリスの姿を見て、すごくゾッとして恐ろしくなってしまった。
そんな風に人の精神状態を破壊してしまう戦争は本当に怖い。

どうも、聞いたところによると、この映画のラストシーンは、当初用意していたものと違ったものになってしまったらしい。
まさに、「事実は小説より奇なり」で、実際に起きる出来事というのは、私たちの想像を遥かに超える結末を作り出す。
ラストの事件は映画化が決まってから起きたことだと考えると、まるで、「何よりも必要なのは、PTSDをケアすることだ」と私たちに伝えたくて、神様は事件を起こしたのでは…とすら考えてしまう。
クリスは、全米で最も敵を殺した数が多かった兵士という理由で、英雄、レジェンドと言われた。
しかし、アメリカに帰ってきても、心穏やかに生活できないなんて、本当のレジェンドなんだろうか。
最高級のケアを用意されてこその英雄ではないのか。
ラストシーン、沿道で多くの人たちが国旗を振り、彼を見送っている姿を見ながら、それは国が宣伝したことで集まった人々なんだろうが、そうやって国が作り上げて、国民に伝える「英雄」と、実際に日常生活を送るのでさえ、心穏やかではいられなかった「実像」のギャップがあまりにもあり過ぎて、無性に腹が立ってしまった。
なんだかすごく悲しい。

主演のクリス・カイルを演じるのは、ブラッドリー・クーパー。
いつものスマートなブラッドリー・クーパーとは違って、かなりマッチョな体になっていたので、この映画に合わせて相当ウエイトを増やして役作りしたのがうかがえる。
いつもの線の細いブラッドリー・クーパーだったら、SEALSのメンバーに見えなかったと思う。
プラス、今までに無いブラッドリー・クーパーの演技を見られて良かった。
クリスの奥さん・タヤを演じるのは、シエナ・ミラー。
正直なところ、シエナ・ミラーがクリント・イーストウッド作品に出るなんて、大抜擢!!と思った (^^;
私は、この利己的な奥さんとは全く意見が合わないなと思って観ていたけど、それが、シエナ・ミラーっぽくて、彼女にとっては良かったんじゃないかなと思う。
そして、監督はクリント・イーストウッド。
現在、85歳。衰えるということを知らないガンマン。
常にアメリカを愛し、そして憂う。
アメリカの今後が心配で死ねないのでは…と思う。
だから、いつまでも現役でいて欲しい。クリント・イーストウッドは、アメリカの宝だから。

しかし、個人的な意見を言わせてもらえば、160人も人を殺したから、彼がレジェンドで英雄っていうのは、最後まで納得のいかないことだった。
敵を一人でも多く殺した分、一人でも多くの海兵隊が助かったということなのは分かるし、理解できる。
160人という数字にこだわれば、その上をいこうとして、中身の無い殺しをする人間が出てこないだろうか。
そこは軍法会議にかけるから問題ないんだろうか。
人の生き死にがかかっているときに、それが意義ある殺しだったのかどうかなんて、確認できる人がいるんだろうか。
戦場シーンの衝撃が大きかった分、数多くのモヤモヤが心に残る映画だった。
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◆DVDで観る:「アメリカン・スナイパー」ブルーレイ&DVDセット 【初回限定生産/2枚組】
◆原作本「アメリカン・スナイパー 」
アメリカ軍で史上最高の狙撃手(スナイパー)と言われたクリス・カイルの自叙伝を映画化。
【満足度 評価】:★★★★☆
ひどく心を揺さぶられ、しばらく放心状態になった映画だった。
なぜ、人はここまでして殺し合うのか。
「アメリカン・スナイパー」予告編 動画
(原題:AMERICAN SNIPER)◆ネット配信で観る:「アメリカン・スナイパー」特典映像付き(字幕版)
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◆原作本「アメリカン・スナイパー 」
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キャスト&スタッフ
出演
〇ブラッドリー・クーパー…(「運び屋」、「アリー/スター誕生」(兼 監督)、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(声のみ)、「リミットレス」、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(声のみ)、「ハング・オーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」など)
〇シエナ・ミラー
…(「夜に生きる」、「マリリン&モナ 踊って、泣いて、輝いて」など)
〇ルーク・グライムズ
〇ジェイク・マクドーマン
〇ケビン・ラーチ
監督
〇クリント・イーストウッド…(「運び屋」、「ハドソン川の奇跡」、「ジャージーボーイズ」、「インビクタス/負けざる者たち」、「グラン・トリノ」、「硫黄島からの手紙」、「父親たちの星条旗」、「ブラッド・ワーク」など)
2014年製作 アメリカ映画
あらすじ
アメリカ海軍のSEALSに所属するクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、NYを襲った「911」のテロの直後、結婚式を挙げたばかりの時にイラクへ派遣される。
現場ではスナイパーとして活躍し、多くの海兵隊を救ったことから、伝説(レジェンド)と言われるようになる。
その後も、計4回、イラク派兵されるようになる間に、長男と長女が生まれ、平和な家庭を築いているように見えていたが、カイルの心は、戦場で疲弊し、少しずつ蝕まれていた…。

感想(ネタバレあり)
なんとか命だけでも助かって帰ってきて欲しいと願う
なぜ、そこまでして殺し合うのか。
そんなに辛い思いをするならやめてしまえと思う。
しかし、実際に、イラク側の「虐殺者」と言われる人間の、人間とも思えない行為を目の当たりにすると、「あんな奴殺してしまえ」とも思ってしまう。
この映画で描かれているように、国の命令で派兵され、最前線で闘っている人たちの姿を見てしまうと、「戦争なんて今すぐやめなさい」なんて言葉は出てこない。
それは、単なるきれいごとであり、「なんとか、命だけでも助かって帰ってきて」としか言いようがない。
目の前に銃を持った敵がいる以上、命がけで闘わないと国へ帰れないのだから。
この映画で描かれる戦闘シーンは、どれもすごくリアルで、見ているだけで息苦しくなるようなシーンばかりだった。
今、この瞬間も、あぁいう現場で「アメリカの正義」という大義名分の元、命がけで闘っている人がいるのかと思うと、すごく心が痛む。

本土に帰ってきたからといって、平和で穏やかな日が戻ってくるわけではない
戦場で、ものすごく悲惨な体験をした彼らは、家に帰ったからといって、彼らに平和が訪れるわけではない。
その後は、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)という心の病と闘わなければならない。
私がこの映画の中で、一番ゾッとしたのは、退役したクリスが居間でテレビを見ているシーン。
その時、明らかに戦場と思われるシーンの音がしていたので、クリスはまた戦場のビデオを見ているのだろうと思った。
そんなものを見るのをやめたらいいのに…と思っていたら、実際には、テレビには何も映っていなかった。
あの時、クリスの目には戦場が映っていたんだろうか…。
ただ虚ろな目をして前をジッと見ているクリスの姿を見て、すごくゾッとして恐ろしくなってしまった。
そんな風に人の精神状態を破壊してしまう戦争は本当に怖い。

必要なのは、「英雄」という勲章よりも、心のケア
どうも、聞いたところによると、この映画のラストシーンは、当初用意していたものと違ったものになってしまったらしい。
まさに、「事実は小説より奇なり」で、実際に起きる出来事というのは、私たちの想像を遥かに超える結末を作り出す。
ラストの事件は映画化が決まってから起きたことだと考えると、まるで、「何よりも必要なのは、PTSDをケアすることだ」と私たちに伝えたくて、神様は事件を起こしたのでは…とすら考えてしまう。
クリスは、全米で最も敵を殺した数が多かった兵士という理由で、英雄、レジェンドと言われた。
しかし、アメリカに帰ってきても、心穏やかに生活できないなんて、本当のレジェンドなんだろうか。
最高級のケアを用意されてこその英雄ではないのか。
ラストシーン、沿道で多くの人たちが国旗を振り、彼を見送っている姿を見ながら、それは国が宣伝したことで集まった人々なんだろうが、そうやって国が作り上げて、国民に伝える「英雄」と、実際に日常生活を送るのでさえ、心穏やかではいられなかった「実像」のギャップがあまりにもあり過ぎて、無性に腹が立ってしまった。
なんだかすごく悲しい。

最高の演技を見せるブラッドリー・クーパーと、衰え知らずのクリント・イーストウッド
主演のクリス・カイルを演じるのは、ブラッドリー・クーパー。
いつものスマートなブラッドリー・クーパーとは違って、かなりマッチョな体になっていたので、この映画に合わせて相当ウエイトを増やして役作りしたのがうかがえる。
いつもの線の細いブラッドリー・クーパーだったら、SEALSのメンバーに見えなかったと思う。
プラス、今までに無いブラッドリー・クーパーの演技を見られて良かった。
クリスの奥さん・タヤを演じるのは、シエナ・ミラー。
正直なところ、シエナ・ミラーがクリント・イーストウッド作品に出るなんて、大抜擢!!と思った (^^;
私は、この利己的な奥さんとは全く意見が合わないなと思って観ていたけど、それが、シエナ・ミラーっぽくて、彼女にとっては良かったんじゃないかなと思う。
そして、監督はクリント・イーストウッド。
現在、85歳。衰えるということを知らないガンマン。
常にアメリカを愛し、そして憂う。
アメリカの今後が心配で死ねないのでは…と思う。
だから、いつまでも現役でいて欲しい。クリント・イーストウッドは、アメリカの宝だから。

何が英雄で、何が偉いのか正直分からない
しかし、個人的な意見を言わせてもらえば、160人も人を殺したから、彼がレジェンドで英雄っていうのは、最後まで納得のいかないことだった。
敵を一人でも多く殺した分、一人でも多くの海兵隊が助かったということなのは分かるし、理解できる。
160人という数字にこだわれば、その上をいこうとして、中身の無い殺しをする人間が出てこないだろうか。
そこは軍法会議にかけるから問題ないんだろうか。
人の生き死にがかかっているときに、それが意義ある殺しだったのかどうかなんて、確認できる人がいるんだろうか。
戦場シーンの衝撃が大きかった分、数多くのモヤモヤが心に残る映画だった。
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