樹木希林主演の映画「あん」をWOWOWで観た。

「どら焼き屋」で働くハンセン病患者の老女と、刑務所上がりの店主、そして女子中学生の心の交流を描く人間ドラマ。

満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

心に春風が吹いたような温かな気持ちになる素晴らしい映画だった。

「あん」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者




〇内田伽羅

…(「君の名は。」(声の出演)など)


監督

〇河瀨直美


2015年製作 日本・フランス・ドイツ合作映画



あらすじ


刑務所帰りの千太郎(永瀬正敏)は、どら焼き屋「どら春」の雇われ店長。

そこへ、ある春の日に「時給300円でいいから雇って欲しい」と言う76歳の徳江(樹木希林)が訪ねてきた。

彼女が作ったという「あん」を食べた千太郎は、その味の良さから彼女をアルバイトに採用することに。

そして、徳江が店に来て「あん」を作り始めてから「おいしいどら焼き」だと評判になり、店は繁盛するが、徳江がハンセン病ではないかという噂が広がり始め…。



あん


感想(ネタバレあり)


桜が誘う絶品の味


桜の季節は出会いの季節。

出会いは人を成長させ、その人の人生を変えることもある。

どら焼き屋「どら春」の店長、千太郎はある春の日に老女・徳江と出会う。

徳江の作る「あん」が絶品で、アルバイトとして採用する。

ここまでで、あぁほのぼのとした素敵な話だなぁと思った。

本当は甘いものなんか好きじゃないのに、雇われ店長として「しかたなく」どら焼きを作っていたどら焼き屋の店長が、「あん」の美味しさを知り、お年寄りからその「あん」の作り方を教わっている。

年齢制限があって、働きたくても働けない人もたくさんいる時代

こういう技術のある高齢者に教わるべきことがたくさんある

もっと、もっと積極的に高齢者を採用するべきだと思った。



あん4



徳江と千太郎、籠の中で人生を送る想い


その「ほのぼのとした良い話」が、途中から雲行きが変わっていく。

かつて、千太郎と徳江は、共に過去「籠の中で」暮らしていたことが発覚する。

千太郎は傷害事件を起こし刑務所の中で暮らし、徳江はハンセン病で世間から隔離されて生活していた。

しかし、千太郎は刑務所を出て、徳江はハンセン病が完治しているのに、なぜか心がとらわれたままで自由になれない

それは共に世間の偏見という、また違った檻の中で暮らしているからだ

ちょっとこれは、私には衝撃だった。

なぜなら、ハンセン病への偏見は、もうとっくになくなっていたと思っていたからだ。

しかし、その噂が広まると、行列して買っていた人たちはいなくなり、徳江は隔離施設へと帰っていく…。

いまだに、そんなことがあるのか

売っているどら焼きが美味しければ、それでいいじゃないか。

どうも世間の人たちは、そうは思わないらしい。

そうして、ほのぼのとした話は、胸が痛くなる話へと変わっていった。

徳江は言う

こちらに非が無いと思って暮らしていても、世間の無理解から押しつぶされそうになる



あん5



千太郎が乗り超える壁


ここで、私が注目したのは、店長・千太郎の思いだった。

以前から寡黙な千太郎は、「徳江がハンセン病だ」と言い切るオーナーや、店に偏見を持ったお客様たちに対し、何も言い返せなかったことを後悔する。

千太郎は過去に檻の中で暮らしていた経験があり、かつ、世間の偏見にさらされる経験もあるはず。

だから、誰よりも徳江の立場を理解できるはずなのに、守ることができなかった

しかも徳江は千太郎と違い、何も悪いことはしていないのに。

本当だったら、胸を張って生きて良いはずなのに

ワカナからカナリアを預かった徳江が、檻の中のカナリアがかわいそうになり、自然に放してしまったというエピソードが心から離れない。

あれは徳江の思いをカナリアに託しているように思えた。

ただ、私は、そこで千太郎に何かを感じて、乗り超えて欲しいと思った。

徳江の元に通ってあんの技術を学ぶなり、徳江に何もできなかったなりの何かを学んで成長して欲しいと思い、彼に注目して観ていた。

その答えが、この映画のラストシーンにあったと思う。



あん3



素晴らしい演技を見せる樹木希林


徳江を演じたのは、樹木希林

今さらながらに、素晴らしい女優さんだと改めて思わされた作品だった。

煮ている小豆に向かって「がんばりなさいね」と声をかけたり、本当に嬉しそうに満開の桜の木を眺めたりするその表情に徳江の世界が出ている。

実生活でも孫である内田伽羅との共演にも、なんだかドキドキさせられたが、一切、そのおばあちゃんと孫の関係を匂わせない演技もまた、樹木希林のプロらしさなんだろうと感じた部分だった。



あん2



これからの新しい旅路


徳江は千太郎に言う

「店長なりの「あん」を作って欲しい」

人のマネをしただけでは、それは徳江のマネをした「あん」でしかない。

徳江のあんは50年以上も檻の中で隔離された生活を送ってきて、苦悩の中、生活に喜びを見出そうとして作り出した「あん」

千太郎のあんは、どんなあんなのか

人生を考え、小豆に問いかけて答えを出して欲しいと願う徳江の思い

その答えはラストシーン、桜の木の下でどら焼きを売る千太郎の笑顔にあったように思う。

雇われ店長の座から降りて露店から一から出直し。

でも、その顔には迷いがなく、笑顔があった。

そこから、彼なりのあんを作る道が始まるんだと思った





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