イ・ビョンホン主演の韓国映画「エターナル」を映画館で観た。

家庭を顧みず、仕事中毒になっていた男に、ある日突然降りかかる「中年の危機」を描く。


韓国映画「エターナル」


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

ポスターのコピーにあるようなラストに衝撃を受けるサスペンス映画だとは思わなかったけど、これはそうではなく、「中年の危機」を迎えた仕事中毒の男性の悲哀を描いた映画として観た。

そして、観終わった後には、しみじみと切なさが心に残る作品だった。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想



「エターナル」予告編 動画

(原題:싱글라이더(A Single Rider))



更新履歴・公開、販売情報

・2018年3月18日 映画館にて観た感想を掲載。

・2018年12月21日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。





キャスト&スタッフ


出演者

イ・ビョンホン
…(「それだけが、僕の世界」、「天命の城」、「密偵」、「MASTER マスター」、「王になった男」、「マグニフィセント・セブン」、「インサイダーズ 内部者たち」、「メモリーズ 追憶の剣」、「ターミネーター/新起動:ジェネシス」など)

コン・ヒョジン
…(「女は冷たい嘘をつく」、「ブーメラン ファミリー」、「ラブ・フィクション」など)

アン・ソヒ
…(「新感染 ファイナル・エクスプレス」など)



監督・脚本

〇イ・ジェヨン


2016年製作 韓国映画




あらすじ


証券会社の支店長を務めるカン・ジェフン(イ・ビョンホン)は、会社でトップの成績を上げるために私財をはたいてまで売り上げを伸ばすが、その会社は倒産してしまう。

息子の語学留学のために、妻 スジン(コン・ヒョジン)と息子はオーストラリアにいるため、家に帰っても一人きりのジェフンはインターネットのストリートビューで妻と息子の住所を検索すると、そこには妻の姿があった。

そこで、ジェフンは妻に連絡せずに、一人オーストラリアへと向かう。

ところが、スジンにはジェフンの知らない生活があった…。



韓国映画「エターナル」



感想(ネタバレあり)


ある日突然襲ってくる「中年の危機」


この映画の予告編には「最高ラブ・サスペンス」とあり、ポスターには「映画史上に残る衝撃のラスト」というコピーが躍っているけれど、私は、この映画はそういうラストに衝撃を受けるようなサスペンス映画ではないと思った。

これは、家庭をかえりみず、仕事の夢中になってきた男に突然やってくる「中年の危機」を描いた作品であって、観終わった後にはしみじみとした切なさが残る作品だった。



映画の本編が始まる前に、一編の詩が紹介される。

「下る時には見えた。

上る時には見えなかった花が」(うろ覚え)

私は、この詩がこの映画の主人公であるジェフンの心情を全て表していると思った。



ジェフンは「証券会社でトップの成績」という「頂点」を目指し、周りの景色も気にせず必死で登り続けるが、いざ、その「頂点」に立った時には、「周りに誰もいない」という孤独を味わう。

さらに、その足元にあった「会社」という山が見事に崩れ落ちていく。

そうしてジェフンは、そこから真っ逆さまに落ちていくのだが、その時、ようやく途中で家族を置き去りにしてきたことに気付くのである。



それでは、ジェフンは、一体何のために仕事に尽くしてきたのか。

この映画は、そのジェフンの「孤独」と「置き去りにしてきた家族への愛」を描いた作品である。

サスペンスだと思って期待して観ると、全く違う作品だったとガッカリしかねない作品である。



韓国映画「エターナル」イ・ビョンホン



家庭よりも仕事が生活の中心にあるジェフン


この映画の中で描かれる韓国ならではの光景が「妻と息子を語学留学させるために必死で働く父の姿」である。

日本以上に大卒就職率が低い韓国では、「語学に堪能」であることが就職に有利であるとされ、父親が一流企業に勤務し、経済的に余裕がある家庭では、息子がまだ小学生ぐらいのうちから留学させ、ネイティブの英語を身に着けさせることが珍しくない。

幼い息子を一人で行かせるわけにはいかないので、息子に妻を同行させるのである。



この映画のジェフンも妻と息子をオーストラリアへ留学させる。

そこには、「証券会社のトップ」としての見栄のようなものもあっただろうし、妻はあまり乗り気でなかったにも関わらず、オーストラリアに行かせた様子を見ると、「家族サービスよりも仕事に集中したいから」厄介払いしたような印象さえ受ける。

つまり、彼は家族に対しても「仕事ありき」で考えるような「仕事中毒」の男なのだ。



彼らをオーストラリアへ行かせたのは、「息子の将来」のためなのか、それとも「自分の仕事」のためなのか。

それは、ジェフンだけに限らず、韓国の多くの家庭で見られることであり、日本でも語学留学とはいかなくても、家庭をかえりみずに仕事中毒に陥っている人たちはたくさんいる。

この映画は、そんな「仕事中毒の中年男性」に向けて描かれた作品なのだ。



韓国映画「エターナル」イ・ビョンホン



妻と息子の楽しそうな姿が夫を孤独な気持ちにさせる


そうしてジェフンは、仕事に対して必死になって生きてきたのだが、肝心の会社が倒産してしまう。

そうして、彼に中年の危機がやってくると、彼は家族に会うために、妻子のいるオーストラリアへ向かうのだ。

しかし、妻には何も告げずに。



本当は妻子に会いに行ったはずなのに、さらにジェフンは孤独になってしまう

なぜなら、妻子にはジェフンの知らない生活があったのだ。

ジェフンにとっては異国の地、オーストラリアの生活にすっかりなじみ、英語を話し、ご近所づきあいをして楽しそうにしている。

そんな妻子の楽しそうな姿を見ると、ジェフンは彼らに会いづらくなってしまう。

さらに、かつてバイオリニストだった妻・スジンは、韓国では弾かなかったバイオリンを再び始め、オーストラリアに永住することも考えていた。



ジェフンが家族をかえりみずに仕事ばかりしていた間に、彼らは彼らの充実した生活を送っていたのだ。

そこでスジンは、夫の仕送りに頼らずに、そのままオーストラリアで暮らせるようにバイオリンで生計を立てようとしていたのだ。



さらに、スジンにはオーストラリアにいる間に好きな人ができ、その彼の存在も、スジンをオーストラリアに永住させようとする理由の一つだった。

しかし、かといって、そんなスジンのことをジェフンが責められるかと言ったら、そうではないだろう。

遠く離れた地で、スジンのことなど気にかけていなかった夫よりも、近くにいて、いろいろ不安だったスジン一家がオーストラリアになじむようにいろいろ世話してくれた隣人を好きになってしまうのも、仕方ないのではないか。



そんな妻子の姿を見て、孤独を感じるジェフンは、はっきり言って自業自得なのだ。



韓国映画「エターナル」コン・ヒョジン



「家族に会いたい」という魂が海を越えた「孤独な旅人(A Single Rider)」


そうして、彼らのオーストラリアでの生活のすべてが分かると、「孤独な旅人」ジェフンは、自分が既に死んでいることに気付く

彼は、会社が倒産した時に酒と共に睡眠薬を大量に摂取して亡くなっていたのだ。

この世に「家族に会いたい」という思いを残し、成仏できない魂が、「孤独な旅人」となってオーストラリアへ向かったのだ。



この映画の原題はA Single Rider(単身の乗客)である。

それは、孤独な彼の魂を表現している。

なぜ、邦題が「エターナル」になってしまったのか。

残念でならない。



とはいえ、私はそこで「衝撃の事実」とはならなかった。

彼が荷物にも持たずに、スーツでオーストラリアに降り立った時に、あぁこの人は亡くなったんだなと思った。

だから、「既に亡くなっているということに本人がいつ気付くのか」という視点で、この映画を観ていた。



その「いつ」とは、妻子がジェフンがいなくてもオーストラリアで幸せな生活を送っていると知った瞬間だった

ジェフンが家族をオーストラリアに厄介払いしたようだったけれど、家族に見捨てられたのはジェフンの方だったのだ。

ジェフンは人生が終わって初めてそのことに気付くのだが、それでは遅いのだ。



そこで、映画のオープニングに紹介された詩を再掲する。

「下る時には見えた。

上る時には見えなかった花が」

必死になって仕事をしていたときは、家族をかえりみる余裕すらもなかったけれど、全てを失って振り返ったみると、家族こそが大切にすべきものだったことに気付くという男の話なのだ。



そうして、ジェフンは息子が「パパと一緒に観たかった」と言っていたタスマニアの美しい景色を一人で見に行く場面で物語は終了している。

そこで、彼の「孤独な旅」は終了する



この映画の前に、特別映像として、イ・ビョンホン本人からのメッセージが流れた。

その中でイ・ビョンホンは「この映画を撮っている時に、日本のみなさんのことを思いました。多くの日本の方に観ていただきたい作品です」(うろ覚え)と言っていた。

それは、日本に仕事中毒の人たちが多いことを思ってのことなのだろうと、映画を観終わってから気付いた。



家庭もかえりみず、仕事に夢中になっていると、家族が夫に側にいて欲しいと願っている時に一緒にいることができない。

そして、そんな仕事中毒の人間に中年の危機が訪れ、自分が家族を必要だと思った時には、家族は側にいないということになる。

その時になって、「あぁもっと優しくしておけば良かった」と思っても遅いのだ。

上を目指しながら向かっている時も、時には立ち止まって周りを見渡し、景色の美しさを楽しむようなゆとりがあってこそ、人生は充実したものになるのだと、この映画は訴えているのだ



人生は、仕事ももちろん大切だけど、仕事がすべてではない

家族や愛情があってこそ、充実したものになるのだ。

家族がいるにも関わらず、「孤独な旅人」では、なんだか悲しすぎる

そんな切ない映画だった。







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