チョン・ウソン主演の韓国映画「アシュラ」を試写会で観た。

汚職にまみれた市長と、それに飼われている悪徳刑事。市長を引きずり下ろしたい検事。

彼らの闘いを描く。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

豪華な俳優陣の演技は、文句なしに面白かった。

しかし、あまりにも暴力シーンが多すぎて、途中でうんざりしちゃた作品。

最初から最後まで、悪しか出てこないという設定も残念だった。

悪の中にも一筋の善があれば良かったのに…と思う。


「アシュラ」予告編 動画

(原題:아수라(阿修羅))




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キャスト&スタッフ


出演者

チョン・ウソン
…(「ザ・キング」、「監視者たち」、「グッド・バッド・ウィアード」など)

ファン・ジョンミン
…(「哭声/コクソン」、「国際市場で逢いましょう」、「ベテラン」、「甘い人生」、「ユア・マイ・サンシャイン」など)

チュ・ジフン
…(「コンフェッション 友の告白」、「結婚前夜~マリッジブルー~」)

クァク・ドウォン
…(「哭声/コクソン」、「悪魔の倫理学」など)

チョン・マンシク
…(「ありふれた悪事」、「7番房の奇跡」など)

監督・脚本

キム・ソンス
…(「FLU 運命の36時間」、「MUSA 武士」など)

2016年製作 韓国映画

アシュラ

あらすじ


刑事ドギョン(チョン・ウソン)は、アンナム市の市長(ファン・ジョンミン)から賄賂を受け取り、市長の身辺整理の仕事を裏で行っていた。

しかし、ある時、市長を告発する裁判で、市長を糾弾する側の証人を高跳びさせる際、その仲介者との間にいざこざがあり、同僚の刑事を死なせてしまう事故が起きる。

その件以来、市長を糾弾するチャイン検事(クァク・ドウォン)がドギョンに急接近し、ドギョンに市長を引きずり下ろす決定的な証拠を出すように迫って来る。

ドギョンは、市長の仕事を後輩の刑事ソンモ(チュ・ジフン)に任せ、距離をおくフリをするのだが…



アシュラ2


感想(ネタバレあり)


最近の韓国映画で定番の(公務員=悪)の構図


韓国といえば、現在、大統領をめぐる前代未聞の様々なスキャンダルがニュースをにぎわせている。(公開時、2017年6月:当時、朴槿恵(パク・クネ)政権下)

あまりにもいろんな方面に大統領の手がのびていて、いろんなところで大金が動いているんだなぁと思う。



しかし、そうして日本でも韓国の大統領や公務員の汚職が報道される以前から韓国映画の中では、公務員の悪徳ぶりが映画化されてきた。

数え上げれば切りがない程、そういった「公務員=悪」の有様が映画の中で描かれてきたので、韓国では警察官や刑事がみな賄賂をもらっていて、ヤクザな人たちが仕事がしやすいように社会ができていると思ってしまう



そして、この映画「アシュラ」もまた、公務員の悪徳ぶりを描いている。

なので、正直、またか。またこのネタかと思わずにはいられなかった。



アシュラ3



市長が周りを引きずり込む泥沼


「悪」の中心にいるのは市長である。

市長は様々な企業から金をもらい、その金を刑事に横流しして犬のように扱う。

刑事も金が貯まりだすと、仕事を辞めて市長のボディガードに転職する。

そこには、うまいことリサイクルできるシステムができあがっている



市長は悪の沼を作り出し、周りの人間は市長に近づけば近づく程、ずぶずぶとその底なし沼の深みにはまっていく…

自首したら最後、刑務所行きは確実で、裁判なんてことになったら、殺し屋に狙われ命すら危うい。

生きていくために、沼から抜け出すことができないのだ。



市長の犬になった刑事に気付いた検事は、彼を通じて市長を告発しようとする。

しかし、その検事は検事で「市長反対派」という、これまたワイロと利権でつながった沼がある。

結局のところ、どっちに転がってもそこには沼しかない

つまり、市長も検事も警察も、全て「悪」なのである。



アシュラ5



次第に形相が鬼へと変化していくチョン・ウソンの表情に注目


私がこの映画を観ていて面白かったなぁと思ったのは、主人公の刑事ドギョンが悪の沼にはまればはまる程、その顔がドンドン歪んでいくところ

この表情の変化を観ているのが非常に面白かった



そもそも、この映画の面白さは、ストーリー展開とか、描かれているテーマよりも、豪華な俳優たちの演技にあると思った。

その中でも、チョン・ウソンファン・ジョンミンの対決が面白いわけだけど、さらに言えば、そのチョン・ウソンの人間性の変化と合わせて表情の変化が非常に面白かった。



初めは金が欲しくて始めた市長の裏稼業

しかし、自分のミスで先輩刑事を亡くしてしまう。

そこから、歯車が狂い始める。



初めはクールだったドギョンが、次第に焦り始め、そして発狂し、ボコボコに殴られ、もう全てがどうでも良くなってくる…

いつかは抜け出せると思っていた沼から抜け出せないことに気付き、妻も余命が短く、もう失うものは何もないと気付いた瞬間

まさに、ドギョンは鬼の形相をしている

その極限の状況が、キム・ソンス監督の描きたかった「アシュラ」だったんだろうと思う。




アシュラ4



こんな社会でも変われるという希望が欲しかった


しかし、私にとって残念だったのは、ここには悪しか出てこないこと。

市長、刑事、検事と公務員たちが揃っていながら、誰一人として市民の生活を考えていない。

それはちょっとやり過ぎなんじゃないかなと思った。



ドギョンが裏稼業をしながら、病気の妻を気遣うように、100%の悪じゃない、20%の善がいても良かったと思う。

その僅かな善が、この先に希望を持てるような終わり方にしてくれないと、結局、このまま利権社会は変わらない



それとも、韓国は、このまま利権社会で良いと思っているんだろうか。

どこかに希望を持たせてくれないと、絶望のままという気がする。

この後、検事が持っているレコーダーがうまく機能してくれると信じたいが、でも、このままだと、この後に立った市長もまた、利権の沼を作っていくような気がしてならない

私は、この泥沼の社会構造をガラリと変えるような希望の光が観たかった

そこが残念なところだった。



関連記事


〇 「アシュラ」試写会終了後にトークイベントがありました

トークイベントのレポはこちらから →韓国映画「アシュラ」の上映後トークイベントに行ってきました。ゲスト:キム・ソンス監督、橋本マナミ。トーク再現レポ掲載【レポート】





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