エイミー・アダムス主演、ティム・バートン監督の映画「ビッグ・アイズ」をU-NEXTで観た。

目の大きな子供たちを描いた「ビッグ・アイズ」で知られる画家キーンの驚きの実話を映画化した作品。


満足度 評価】:★★★★☆

「天才作家の妻」「コレット 」と同じ系統の作品。

女性がまだ力を持っていなかった頃気弱で優しい妻は家族のために自分を犠牲にしてしまう。

本当に家族の幸せを思うなら、勇気を持って自分らしく生きることが一番だなと思った。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『ビッグ・アイズ』予告編 動画

(原題:Big Eyes)



更新履歴・公開、販売情報

・2019年7月26日 U-NEXTにて鑑賞。

・2019年7月29日 感想を掲載。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

エイミー・アダムス



〇ジョン・ポリト

クリステン・リッター
…(ドラマシリーズ「ディフェンダーズ」、「ブレイキング・バッド」(シーズン2のみ)など)

〇ジェイソン・シュワルツマン



監督

ティム・バートン
…(「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」、「チャーリーとチョコレート工場」、「ビッグフィッシュ」、「シザーハンズ」など)


2014年製作 アメリカ映画



映画「ビッグ・アイズ」



あらすじ


1950年代、女性の権利がまだあまり認められていなかった頃、マーガレット(エイミー・アダムス)は暴力的な夫の元を離れ、娘と二人で暮らし始める。

絵を描くことが好きだったマーガレットは、家具に絵を描く仕事に就きながら、週末は公園で子供の似顔絵を描いて生活をしていた。

その公園で同じく風景画を売っていたウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)は、マーガレットの才能を高く評価し、やがて二人は恋に落ちる。

その後、二人は結婚し、マーガレットは自分の絵に「キーン」とサインするようになる。

そして、ウォルターは自分とマーガレットの絵をバーの廊下に掲示し、客に売るようになるのだが、マーガレットが書いた「ビッグ・アイズ」の絵が高値で売れ、「誰が描いたのか」と聞かれると「私が描いた」と答えてしまい、それ以来、ウォルターは「ビッグ・アイズ」の作者として知られるようになる…。



映画「ビッグ・アイズ」エイミー・アダムス




感想(ネタばれあり)


「女性の名前では売れなかった」という不遇の時代


1950年代~60年代のアメリカで人気を集めた画家キーン。

目の大きな子供たちを描いた「ビッグ・アイズ」で知られる画家だが、実は妻が描いていたものを夫が自分で描いたと偽っていたという実話を映画化した作品。



その当時のアメリカでは、まだそれほど女性たちに力がなく、「妻は家庭で夫を支えるもの」だと思われていた。

最近観た作品では、キーラ・ナイトレイ主演の映画「コレット」、グレン・クローズ主演の映画「天才作家の妻 40年目の真実」も、この「ビッグ・アイズ」と同じで、才能ある妻の作品を自分の作品だと偽っていた男性たちを描いたものだった。



まだ、女性たちが社会的な地位も低く、力も持っていなかった頃、作家や画家は男性というイメージが強く、夫たちからしたら「妻の名前で作品を発表をしても売れない」という事情があったため、妻に対して強く出ることができた

それは、今ではパワハラなのだが、その当時の女性たちは「夫の名前で作品を発表する」ということに対して、そんな状況を甘んじて受け入れているところもあった



夫の元を離れて、自分一人で作家として、画家として生きて行けるのか。

子供を養っていけるのか。

そんな不安が、自立を思いとどまらせるのだ。



しかし、いつまでも「夫のゴースト」のままではいられない。

これは、そんな妻の精神的な自立について考えさせられた作品だった。



映画「ビッグ・アイズ」ウォルター・キーン



マーガレットの心が表れた子供たちの表情


マーガレット・キーンが描いた「ビッグ・アイズ」は、とても個性的な作品だ。

そこに描かれている子供たちは、顔の半分ぐらいあるかと思われる大きな目で、じっとこちらを見つめている。

しかし、その絵の中にいる子供らはみな孤独で、寂しそうな印象を受ける



歌手は歌に、作家は小説に魂を込めるように、画家は絵に魂を込める。

マーガレットは「ビッグ・アイズ」に魂をこめたに違いない。

なので、「ビッグ・アイズ」の孤独で寂しそうな子供たちの表情は、マーガレットの心を表したものだろうと思った。



マーガレットは、最初の結婚では暴力的な夫から逃げ出し、二度目の結婚で幸せになれるかと思いきや、その才能を利用されてしまう。

「ビッグ・アイズ」に人気が出て売れるようになると、ウォルターは、ずっと前から「画家になりたかった」という夢をマーガレットの絵で叶えていくようになり、どんどん強欲になっていく。



そして、まるでマーガレットが絵を生み出す工場であるかのように「もっと絵を描け」と追い込んでいくようになるのだ。

初めは幸せだった二人の結婚も、やがて、ウォルターの恐怖に支配されるようになっていった。



「アトリエ」という牢屋に閉じ込められ、絵を描くことを強いられたマーガレットの心象風景が「ビッグ・アイズ」の子供たちの表情に現れているのだろう。

本当に何も心配なく、幸せな生活を送っている人は、あんなに寂しい絵を描かないと思う。



映画「ビッグ・アイズ」クリストフ・ヴァルツ



マーガレットを思いとどまらせたのは、社会的な地位


マーガレットの社会的、精神的な自立を阻んでいるのは、女性たちの社会的な地位だった。



その当時、近代美術で人気があったのは、カンディンスキー、アンディ・ウォーホルなどの男性たちであり、画家と言えば男性というイメージが強かった

だから、マーガレットも「この絵は誰が描いたのですか?」と聞かれた時に、「私です」と即答できず、言い淀んでいるうちにウォルターが「私が描いたんです」と言ってしまう。

さらに、口がうまいウォルターは、どんどん「ビッグ・アイズ」を売り込んでいく。



その状況に、気が弱くて、男性に依存しがちなマーガレットは、「ウォルターの方が売るのがうまいから」という理由で、「自分が描いた」と公表することを諦めるようになる。

しかし、マーガレットだけが特別男性に依存しがちだったというわけではない。

その時代の多くの女性たちが、男性に頼らなければ生きていくのが難しかったのだ。



けれど、そうやって「家族のために、娘 ジェーンのために」と、自分を犠牲にし、その状況に甘んじてパワハラに耐えていたマーガレットだったが、それは、決して娘 ジェーンのためにはなっていなかった。

幼い頃から、母が絵を描いているのを隣で観ていたジェーンが、その嘘に気付かないはずがないからだ。



また、マーガレットを利用してあらゆる名声を手にしたウォルターがだったが、有名な美術批評家に批判されると、たちまち荒れてしまう。

自分が描いていない作品で、散々酷いことを言われたからだ。

なんとも勝手な話だが、彼のパワハラはますます酷くなり、大事な娘をその家で育てるのが危険な状態になってしまう。



そこまできて、ようやく、マーガレットは家を出る決断をするのだ。

マーガレットは画家としての才能はあったのかもしれないが、一人の女性としては誰かの支えが必要な普通の女性だったのだ。



映画「ビッグ・アイズ」マーガレット・キーン



マーガレットに自立を決意させたもの


そんな時に、マーガレットが出会ったのが、「神」だった。

娘と共に家を飛び出し、夫から遠くなはれたハワイでマーガレットは新興宗教にはまっていく。

その教えに「汝、嘘つくなかれ」と書かれていたことから、「真実を語らなければならない」と思うようになったのだ。



元々、マーガレットは依存心が強く、強い男性に依存しがちだった。

そんなマーガレットにとって、その新興宗教の良し悪しは別として、神の存在は大きな支えとなったに違いない。



そして、ようやく「夫のために生きる人生」を捨て、「自分のために生きる人生」を選択したのだ。



現代であれば、それはとても当たり前のことだけど、当時の女性たちは家族のために自分を犠牲にするのが、当たり前だった。

日本でも、ちょっと前まで妻は夫から「三歩下がって尽くす」ことが美徳とされていた。

しかし、そんな生き方は、夫の傲慢さをエスカレートさせるだけだし、自分のためにも、子供のためにもならない。



その後、ウォルターは「『ビッグ・アイズ』の作家は自分だ」と言い続け、亡くなる時は無一文だったという。

それが、「名声」と「欲」に負けた人間の末路であり、本当の実力だっただろうと思う。

ウォルターは、最初からマネージャーに徹して、二人三脚で歩んでいれば、「夫婦の名声」になっていたものを、独り占めしようとした結果、全てを失うことになったのだ。



人生は「誰かのため」に生きるものではない。

自分のために生きてこそ、周りの大切な人たちにも良い影響を与えられるんだと、この映画を観て考えさせられた。


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