とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


カテゴリ:ジャンル > 社会派



テオ・ジェームズ主演の映画「バグダッド・スキャンダル」を試写会で観た。

2002年に国連で実際に起きた汚職事件をモデルに描いたサスペンス映画。


映画「バグダッド・スキャンダル」


満足度 評価】:★★★★☆

国連の汚職を巡る社会派サスペンス。

ハードな内容ながら、テンポの良さと緊迫感ありラブロマンスありで一気に楽しめた。

ここで描かれる国連の腐敗ぶりにうんざりし、誰も弱者のことなど考えていない現実が痛くて悲しい。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『バグダッド・スキャンダル』予告編 動画

(原題:Backstabbing for Beginners)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年10月29日 試写会にて鑑賞。

・2018年11月13日 感想を掲載。

・2019年12月28日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

詳しい作品情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
 ↓

映画「バグダッド・スキャンダル」公式サイト




キャスト&スタッフ


出演者


ベン・キングスレー

…(「2重螺旋の恋人」など)

〇ベルシム・ベルギン

〇デヴィッド・デンシック

〇ロッシフ・サザーランド

〇レイチェル・ウィルソン


監督




2018年製作 デンマーク、カナダ、アメリカ合作映画




あらすじ


幼い頃に亡くなった父が外交官だったため、外交官として働くことを夢見ていた24歳のマイケル(テオ・ジェームズ)は、2002年、その若さで国連の職員として採用される。

国連事務次長の補佐官に任命された彼は、バグダッドへ赴任し、国連が主導する「石油・食料支援事業」を担当することに。

それは、フセインの独裁政権に対し経済制裁がくだされたイラクで、石油を売るお金で食料や日常生活に必要なものに変える人道支援事業であり、事務次長サッシャ(ベン・キングスレー)の指示の元でマイケルは働き始める。

しかし、やがて、石油と交換する医薬品の中に期限切れで使用できないようなものが含まれていることに気付き、そのプログラムに問題があるのではと疑い始める…。



映画「バグダッド・スキャンダル」テオ・ジェームズ、ベン・キングスレー



感想(ネタばれあり)


この映画の感想につきましては、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。


バグダッド・スキャンダル (2018)



★★★★ [80点]「今だからこそ観たい社会派エンターテイメント」


ノーマークの作品だったけど、緊迫感とスピード感があって面白い社会派作品だった!



実際に国連で起きた汚職事件をモデルに描くフィクション

2002年。世界平和という、壮大な夢を抱いて国連に就職した24歳のマイケル(テオ・ジェームズ)は、いきなり事務次長バシャ(ベン・キングスレー)の補佐という仕事を任される。

事務次長のパシャは、イラクで 石油・食糧交換プログラムにたずさわっていて、マイケルもパシャに同行してイラクのバグダッドへ。

そこで、イラクの人々に人道支援を行うはずが、その裏側で金が飛び交う汚職まみれの現実を知ってしまう…。



当時の国連は、フセイン大統領の独裁政治を止めるために、経済制裁をしていた。

その中で行われた「石油・食糧交換プログラム」というのは、石油を国連に売ったお金で食糧や医療費など国民の生活に必要な物資と交換できるプログラムだった。

しかし、実際には、国連の職員を通してフセインから各界の大物にワイロが渡り、フセイン自身は石油を売ったお金で私腹を肥やしていた

という事件があって、この映画は、ある一人の国連職員の告発という形で描かれている。



国連が汚職まみれという話は聞いたことがあったけれど、ここまで汚れきっていると、人道支援とか、弱者を守る機関っていうのは、どこにあるんだろうなと、絶望的な気分になってしまう



政界や企業や国連の大物たちは、イラクで行われている民族浄化を見て見ぬ振りをし、悪の枢軸と呼ばれた独裁者(=フセイン)と手を組み金儲けをしている

そして、その事実を知ろうものなら、命が危うくなってしまう…。



それって結局、あのフセインを支援してたのは国連に加盟している先進国ってことじゃん…(呆)

この映画は、その国連を根底から揺るがした事件をサスペンスフルに、ラブロマンスも盛り込み、分かりやすく楽しめるように描いている。

ただし、「石油・食糧交換プログラム」の概要については、一切説明がないから、そこは予習してから観た方がいい。



私は、ざっとあらすじを読んで、そのプログラムの仕組みを理解してから観た。

現在
「命がけのジャーナリズムは必要か、それとも自己責任か」
の議論が沸き起こっている日本だからこそ、観ておきたい作品。

誰かが命をかけなければ明らかにされない悪事は、戦場にこそ潜んでいるのだ


Posted by pharmacy_toe on 2018/11/03 with ぴあ映画生活




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ベニチオ・デル・トロ主演の映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」を映画館で観た。

アメリカ、メキシコ国境での麻薬戦争を描く「ボーダーライン」続編。

国境に高い壁ができて何が起きているのかを描く。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

これは衝撃的に面白かった!

アメリカとメキシコの国境に壁ができたことで何が起きているのか。

予想外の展開で始まり、先の展開が読めず、呆気にとられたまま終了した。

アメリカ映画の強さを感じる傑作!

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』予告編 動画

(原題:Sicario: Day of the Soldado)

 

更新履歴・公開、販売情報

・2018年11月20日 映画館にて鑑賞。

・2018年12月10日 感想を掲載。

・2019年10月20日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、ネット配信、DVD、共に販売中。詳しい作品情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
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キャスト&スタッフ


出演者

ベニチオ・デル・トロ
…(「ロープ 戦場の生命線」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「ボーダーライン」「ガーディアンス・オブ・ギャラクシー」など)

ジョシュ・ブローリン

〇イザベラ・モナー


キャサリン・キーナー


〇イライジャ・ロドリゲス

〇マヌエル・ガルシア・ルルフォ

…(ドラマシリーズ「アンブレラ・アカデミー」など)

監督

〇ステファーノ・ソッリマ


2018年製作 アメリカ映画





あらすじ

メキシコ国境でテロによる死者が出た事件が勃発。

政府が捜査した結果、それがメキシコ国境付近の麻薬カルテルが不法入国させたテロリストの仕業だと判明する。

CIA捜査官のマット(ジョシュ・ブローリン)は政府から依頼を受け、以前も手を組んだアレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)と共に、国境付近のカルテル同志を争わせるため、カルテルの娘・イザベル(イライジャ・ロドリゲス)を誘拐する。

しかし、思わぬ方向に事態は発展してしまい…。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」




感想(ネタばれあり)


トランプ政権が立てた「壁」が国境にもたらした変化とは


前作の「ボーダーライン」では、メキシコからアメリカの国境を通じて運ばれるドラッグの現状を描いていた。

メキシコのドラッグカルテルは、アメリカとメキシコの国境(ボーダーライン)に巨大なトンネルを掘り、そこを通じてアメリカへドラッグを運び入れていたという衝撃的な現実が描かれていた。



それから3年。

アメリカではトランプ大統領が誕生し、アメリカとメキシコの国境は景色が一変

そこに巨大が壁が立ちはだかることとなった。



私はその景色を観て、その後、「どうやってドラッグは壁を越えているのか」が描かれているのかと思った。



しかし、そうではなかった。

それまでドラッグを密輸していたドラッグカルテルは、壁ができたことで、もっと金になるブツがあることに気付いたのだ。



それは「人」だった。



それまでフェンスを乗り越え密入国していた人々は、壁の出現により入国できなくなってしまった。

そこで、カルテルはドラッグよりも人間を運ぶようになった。

そのブツ(人間)は、植物を栽培したり、工場で加工する余計な手間がいらないうえ、ドラッグよりもずっと高値で売買されるのだ。



それに、入国させる前にお金をもらっておけば、たとえ途中で国境を渡ることができず死亡してしまったとしても、収入が減るわけでもない。

当然、ブツを運ぶ彼らが命の保証をするはずもなく、亡くなってしまった人の代わり(アメリカへの入国を希望する人たち)はいくらでもいるのだ。

こんなにいい「ブツ」はないと考えて当然ではないのか。



そうして、麻薬カルテルは積極的に人をアメリカに密入国させる人身売買を開始するのだ。

この、国境ができたことによるドラッグから人身売買へのシフトチェンジという事態は、とても衝撃的で驚いてしまった。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」



他国をかき回し、平気でポイ捨てしてしまうアメリカの姿


その事態を受けたアメリカは、密入国者を減らすために、再びカルテルを一掃する作戦に出る。

国境付近で対立している二つのカルテルを対立させて戦争を起こさせ、二つのカルテルが争い合っているところを一気に潰そうと考えたのだ。



しかし、事態は思うように進まず、協力するはずのメキシコ警察がアメリカ側に攻撃を開始し、死者まで出てしまう。

その予想外の展開に、政府は作戦中止を命令。

対立をあおるために誘拐したカルテルの娘と、協力を要請した傭兵のアレハンドロは証拠隠滅のために消せという命令がくだされてしまう。



それは、アメリカが、こういう作戦の時には他国の人々(女子供も問わず)を利用し、作戦が終わると簡単にポイ捨てする様子を表しているのだ。



ジョシュ・ブローリン演じるCIA捜査官マットが、前作では、ベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロを、最も信頼できる仲間として共に戦っていたのに、国から「殺せ」と命令されると、簡単に見捨ててしまう姿は、とても衝撃的だった。



しかし、カルテルの娘・イザベルの命を救った(その後、アメリカに保護されるのかメキシコに帰されるのかは不明)のは、マットの中に残されたアレハンドロへの懺悔の気持ちではないかと思った。

アレハンドロはイザベルを殺すことに反対していたからだ。



その一方で、自国に死者・負傷者が出ると、即刻作戦を中止して引き上げ、他国の人間は、どんなに貢献しようともポイ捨てしてしまうところが、現在のアメリカのリアルな姿なんだろうと思った。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」



ポイ捨てされた者たちの憎しみが向かうところ


では、そうして作戦終了後に、捨てられて生き延びた傭兵たちは、その後どうなるのか。



そこからがまた、この映画の衝撃的なところだった。

誰もが、頭に穴が開き、もう死んだと思ったアレハンドロが生き返ったからだ。



彼は、ポイ捨てしたアメリカを憎み、テロリストへと生まれ変わるのだ。



かつて中東では、石油の利権のために戦争を起こしていたアメリカが、現地のゲリラに武器を与え、戦える兵士に育て、作戦が終了するとポイ捨てした結果、捨てられたゲリラたちが生活していけなくなりアメリカを憎むようになった。

そして、テロリストになった彼らは、2001年9月11日 同時多発テロ事件を起こすのだ。

その時と同じ状況がここでは描かれている。



この映画では、そこまで描かれていないが、傷が治り、アメリカへ戻ったアレハンドロはメキシコで出会った少年に声をかけるところで、映画は終了している。

その姿を観ただけで、その後、テロリストになるんだろうなぁと十分想像できる。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」



「壁」を作ったことは正解だったのか


そもそも、トランプ政権はその壁について「不法入国者による犯罪を減らす」ことが、その理由になっていた。

しかし、この映画を観る限り、「壁」ができた結果、国境付近でテロが頻発し、むしろ、国境付近の国民の命が脅かされる危機が生れることとなった。



この映画は、そうして「壁」を作ることが本当に正しい政策なのかと国民に問いかけているのだ。



むしろ、人身売買が横行し、反感を買い、テロリストを増やすだけだとしたら…。

壁を作るのは敵を増やすだけでしかない。



そもそもドラッグを密輸していたカルテルの話が、壁ができたことで、こうなるのかぁ…と、後半はあっけにとられて観ていた。



それは、明らかに現トランプ政権の政策を批判する作品であり、そういう作品がメジャースタジオで製作あれるのがすごいと思った。

そこにアメリカの強さがあり、なんだかんだ言って、アメリカはまだ健全な国だと思った。



前作もかなり衝撃的な内容だったけれど、本作も負けていない傑作だった。

ぜひ、多くの人に観て欲しい作品。


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キム・ユンソク主演の韓国映画「1987、ある闘いの真実」を映画館で観た。

1987年に韓国で起きた民主化運動の真相を描く。



満足度 評価】:★★★★★

歪んだ愛国心と権力で人々を操ろうとする人間の恐ろしさに震え、わずかに射す光を足がかりに自由を追い求める人々の勇気に泣く。

彼らは良心に従って行動しただけだが、やがて周りの人々も動かしていく。

その力強さに感動。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『1987、ある闘いの真実』予告編 動画

(原題:1987、英題:1987: When the Day Comes)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年9月8日 映画館にて鑑賞。

・2018年10月5日 感想を掲載。

・2019年9月4日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

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『1987、ある闘いの真実』公式サイト


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キャスト&スタッフ


出演者


ハ・ジョンウ
…(「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」、「お嬢さん」、「群盗」、「テロ、ライブ」、「ラブ・フィクション」、「ベルリンファイル」、「チェイサー」など)


…(「お嬢さん」など)




…(「修羅の華」など)

〇ヨ・ジング


監督

〇チャン・ジュナン


2017年製作 韓国映画



韓国映画「1987、ある闘いの真実」



あらすじ


1987年1月。軍事政権下の韓国で、警察の対北朝鮮・打倒共産主義の部署で、大学生を拷問の末、殺してしまうという事件が起きる。

パク所長(キム・ユンソク)は、その学生を尋問している最中に心臓発作で死亡ということにし、すぐに火葬にして事件をもみ消そうと考えていた。

しかし、学生の死に疑問を感じたチェ検事(ハ・ジョンウ)は、司法解剖を命じる。

その警察と検事の動きから、同じく学生の死に疑問を感じた新聞記者のユン・サンサム(イ・ヒジュン)は、それを記事にし、市民の間で警察への不信感が広がっていく…。



韓国映画「1987、ある闘いの真実」キム・ユンソク





感想(ネタばれあり)


この映画の感想は、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。

1987、ある闘いの真実 (2017)


★★★★★ [100点] 「自由を求める闘いが強く胸を打つ」



人間の恐ろしさに泣き、真実を追い求める人々の勇気に感動して泣き、結局、泣きっぱなしの映画だった。



1987年に韓国で起きた民主化運動について、ある学生の死をきっかけに、自由を求めて水面下で動きはじめた人々を中心に描く。



当時の韓国政権は「打倒!共産主義」をスローガンに、警察の明らかに行きすぎた赤狩りにも目をつぶっていた。

その結局、対北の部署は「何をやっても許される」ならず者集団へと変化していく。

彼らは本来なら「打倒!共産主義」のはずなのに、やっていることは、まるで北朝鮮幹部の虐殺と同じという、ミイラ取りがミイラになったような集団だった。



キム・ユンソク演じる所長も最初からおかしな人間ではなかったはずだ。

彼個人の北朝鮮に対する思いと、その思いを利用する国から与えられた権力によって、歪んだ愛国心の塊になってしまったのだろう



そんな彼らを観ていると「真の愛国心とは、どのようなものなのか」と、考えさせられる。

たとえ、その行いが間違っていたとしても、大統領府のお気に召すように行動し、その考えを他人に押し付けるのが、本当の愛国心なのだろうか。



それよりも、国をより住みやすい国にするために意見を言い、反対意見があれば議論し、国や国民の明るい未来のために貢献するのが、本当の愛国心だろう。



この映画でいえば「愛国心」という大義名分の元、言論統制をする警察は本当の愛国心からは程遠く、拷問して殺された学生の真相を暴くために「真実の伝書鳩」をしていた人たちこそ、本当の愛国者だと思った



そんな真実を追い求める人々が、負け試合と分かっていても、その火の中に飛び込んでいく姿は、とても力強く勇敢で、涙なしでは観られなかった。

彼らは何も特別なことをしていない

検事は法に則って事件の捜査をし、記者は真実を報道し、刑務官は受刑者の秘密を守り、牧師は嘘をつかず真実を語っただけだ。



それぞれが、自分の良心に従って当たり前の行動をしただけなのだ。

しかし、彼らが生きていた時代は、そんな当たり前のことが許されず、とても勇気のいることだったのだ。

その一人一人の行動が、周りの人々を動かし、国をも動かしていく。



自分の良心に従って、当たり前の行動をすることが、周りの人を動かす。

これが、真実の物語だからこそ、その重みをズシリと感じる映画だった。


Posted by pharmacy_toe on 2018/09/11 with ぴあ映画生活


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ファン・ジョンミン主演の韓国映画「ベテラン」をU-NEXT で観た。

財閥の御曹司を逮捕したい刑事と、それを阻止しようとする財閥との戦いを描く社会派エンターテインメント作品。


満足度 評価】:★★★★☆

めちゃくちゃ面白かった!

韓国の暗部「財閥」の闇を描く社会派エンターテインメント。

ナッツリターン以上に酷い財閥の実態が面白い。

が、そこには国が財閥から得る巨額の税収が彼らに力を与えている実態もあり、解決し難い根深い闇を観た。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『ベテラン』予告編 動画

(原題:베테랑)



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・2019年8月22日 U-NEXT にて鑑賞。

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キャスト&スタッフ


出演者

ファン・ジョンミン
…(「哭声/コクソン」、「アシュラ」、「国際市場で逢いましょう」、「ベテラン」、「甘い人生」、「ユア・マイ・サンシャイン」など)




〇チャン・ユンジュ

〇オ・デファン

〇キム・シフ


監督

〇リュ・スンワン


2015年製作 韓国映画



韓国映画「ベテラン」



あらすじ


刑事のソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)は、自殺未遂をした知人の事件性を調べているうちに、その知人が自殺する直前に財閥の御曹司チョ・テオ(ユ・アイン)を訪ねていることを知る。

以前からテオについて犯罪を犯している匂いを感じていたドチョルは、知人がテオを訪問した時の防犯カメラの映像を見ようとするが、その時だけ映像が残っていないという。

ますます疑惑を深めたドチョルだったが、あらゆる方面から妨害を受け、事件を摘発することができず…。


韓国映画「ベテラン」ファン・ジョンミン



感想(ネタばれあり)


セクハラ、パワハラ何でもアリの財閥御曹司


これは、2014年に起きたナッツリターン事件によって、世界が韓国の財閥の傍若無人さを知った翌年に製作された作品であり、それは、最も財閥に対する批判が高まっていた時だった。



そういう時代背景もあってか、もうとにかく、ユ・アイン演じる財閥の御曹司がが呆れるぐらいに酷い。

暴力アリ、暴言アリ、セクハラありで、パワハラあり。

何でもアリのやりたい放題。



さすがに、一緒にスパーリングをしているボディーガードの足をへし折るっていうのは、やり過ぎだと思ってしまうけれど、CAの接客態度が気に入らなくて飛行機をUターンさせたのが実話なんだから、「もしかして、それもあるかもな」と思えてしまうんだから怖い。



何か不祥事を起こせば、周りの人間に責任を押し付け、本人は高跳びしたり、各方面にお金をばらまいて圧力かけて事件をもみ消しちゃうあたりは、実際にあることかもしれない。

どれもこれも、口あんぐりで目が点の話が多すぎてビックリしてしまうのだけど、だからこそ、それが韓国では問題になっていながら、なかなか解決できない闇なのだろう。



また、御曹司を演じるユ・アインのキレっぷりがあまりに自然で、とても説得力があったのも、「これはリアルだ!」と思ってしまった要因の一つ

このユ・アインの演技を見るだけでも、一見の価値あり!だと思う。



韓国映画「ベテラン」ユ・アイン



韓国の財閥を解体できない根深い事情


なぜ、財閥の人たちは、それほどまでにやりたい放題なのか。

暴行事件を起こそうが、交通事故を起こそうが、事件はもみ消され、犯人は逮捕されない。

それは、裏で警察やマスコミに金が積まれ、圧力をかけられているからだ。



この映画の御曹司も、はじめは被害者であるトラックの運転手を散々痛めつけた上で、たくさんの小切手を握らせ、解決するはずだった。

その後、問題になった後も、なじみの所轄警察がいつも通り処理し、マスコミへは広告枠を買って話をつけていた。



それだけではない。

ユ・アインの「この国は俺たちの税金で潤っているくせに」というセリフが、とても心に残っている。



韓国は国としてはとても小さい国で、人口も少ないため、国民の税金だけでは隣国の中国やロシアや日本と戦って行けないという問題点がある。

しかし、世界中に独自の商品を販売し、外貨を獲得する財閥が納める巨額の税金は、国にとって貴重な財源だ。

だからももしも、不祥事で財閥が危機を迎えるようなことがあれば、韓国自体も危機を迎えることになる



韓国国民の貧富の差がどの国よりも激しい格差社会になっているのは、その財閥が問題であり、解体することで国民間の貧富の差を今よりも少なくすることができるかもしれない。

が、財閥を解体したら国の財政を維持することができないのだ。

だから、国は財閥の不祥事に甘くなり、財閥の人たちはやりたい放題になってしまう



それは、誰も止めることができない悪循環になっているのだ。



韓国映画「ベテラン」ユ・ヘジン



財閥に勝つためには


それでは、彼らにやりたい放題させておけばいいのだろうか。

何か有効な手はないのだろうか。



その解決策をこの映画を提示している。

もしも財閥の不祥事を摘発したい!と思った時に必要なのは、この映画のファン・ジョンミンのように「金や権力に屈しない刑事」だ。

謹慎や降格は当たり前だと思って向かって行けば、勝てるかもしれない



しかし、これまでも映画の中で描かれてきたように、韓国の警察は賄賂を貰ってようやくゆとりのある生活ができるぐらい給料が安い

この映画の中でも、ユ・アインの右腕であるユ・ヘジンがシャネルのバッグにお金を詰め込んでファン・ジョンミンの奥さんにプレゼントする場面がある。

そこで奥さんは、その札束を見て「一瞬、受け取ろうとした」と言ってファン・ジョンミンを責めている。



毎日必死になって働いて子供を育てている共働き夫婦にとって、その誘惑を断ち切るのはとても勇気のあることだったに違いない。

「賄賂」を断り、「クビ」や「降格」覚悟で、ファン・ジョンミンのように財閥の上層部に切り込む刑事や検事がいれば、財閥の不祥事を摘発することも可能だろう。



それに、今はSNSがある。

必死になって働く国民にとって、やりたい放題の財閥は怒りの矛先だ。



そこで、SNSをうまくつかって、世論を味方につければ、降格どころかヒーローになれる可能性もある

終盤、ユ・アインに殴られているファン・ジョンミンが、殴り返さずに殴られ続け、それを見ているギャラリーに動画を撮らせ放題させていたのも、そこに理由があるのだ。

ネット先進国の韓国にとって、SNSは希望となるかもしれない。



韓国映画「ベテラン」オ・ダルス



国の暗部・恥部を映画化してヒットさせる韓国映画の強さ


しかし、未だに財閥が韓国の「暗部」であり「恥部」であることに変わりはない

財閥の不祥事がニュースで流れてくるたびに「またか」と思ってしまうのも事実だ。



その現実をぶっちゃけて、平気で世界に恥をさらしてしまうところが、この映画の凄いところだ。



例えば、日本の官僚に闇があったとしても、それを告発する映画を撮ることはできない。

撮ったとしても、全国で上映することが難しく、黒字化することができない。

そうなると、撮りたいという情熱があっても、二の足を踏んでしまう。



韓国では、それを誰もが笑って楽しめるエンターテインメントにして上映し、大ヒットさせている

そうして、それを観た国民が問題意識を持つようになるため、国民の政治に対する関心も高いのだ。



きっと多くの国民が、この映画の中で財閥の御曹司が痛めつけれらているのを見て、スカッとしたに違いない。

財閥の人々は、自分たちの生活とはあまりにもかけ離れた生活をしているからだ。

そうやって生活に密着した問題を描き、国民もそうした映画を支持するからこそ、韓国の映画は質が高く、上質な映画が多いのだろうと思った。




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キム・サンギョン主演の韓国映画「一級機密」を映画館で観た。

韓国空軍と大手軍需産業の癒着を暴く、韓国で実際に起きた軍の不正事件を元に描いた社会派サスペンス映画。


満足度 評価】:★★★★☆

軍の不正に気付き告発しようとする者と、それを阻止しようとする者。

どちらも相手が倒れるまで、家族を巻き込んで徹底的にやり合う激しさがすごい。

巨大な組織の中で、利権を生み出す不正をなくす難しさを感じ、勇気ある行動に感動した作品。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「一級機密」予告編 動画

(原題:1급기밀)



更新履歴・公開情報


・2018年7月12日 映画館にて「一級機密」を鑑賞。

・2018年8月3日 感想を掲載。

・2019年7月4日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、ネット配信、DVD共に販売中。


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キャスト&スタッフ


出演者

…(「死体が消えた夜」、「鬼はさまよう」、「悪魔は誰だ」など)


…(「修羅の華」など)

…(「犯罪都市」など)

〇チョン・イル


監督

〇ホン・ギソン

2017年製作 韓国映画



韓国映画「一級機密」



あらすじ


韓国軍の地方職員を経て、晴れてソウル勤務となったパク・デイク中佐(キム・サンギョン)は、航空部品購買課に赴任する。

夢と希望に満ちた勤務がスタートしたが、過去の購入履歴を見ている中で、大手エアスター社の商品がとても高い値段で買われていることに気付く。

そして、エアスター社の部品に欠陥があることを指摘したパイロットのカン(チョン・イル)は、飛行訓練中に墜落事故が起き、意識不明の重体となってしまう…。

それを受けてパク中佐は、事故の原因を調べるのだが…。



韓国映画「一級機密」



感想


この映画の感想は、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものを紹介します。



一級機密 (2017)


★★★★ [80点]「相手をとことん打ちのめす激しさ」


これは面白かった!

「あぁこれでもう終わりかも…」と思ったところから話が急展開し、最後は感動だった。



韓国で実際に起きた軍の不正事件を元に描いたサスペンス映画

主人公のパク・デイク(キム・サンギョン)は、空軍購買部に異動してきた時に「
韓国空軍が戦闘機の部品を購入する際に、海外の大手航空部品会社から不正に購入をしていた」という事実に気づき、不正を正そうとするのだが…。



恐らくこういう、賄賂とか不正受給とか、事件のもみ消しというのは、どこの国でも起こっている話であり、日本でも、現在公開されている「空飛ぶタイヤ」は、この話とよく似ている話である。



韓国が他の国と違ってすごいところは、「どちらかが潰れるまで徹底的にやる」というところ。

誰かに不正を知られたら、知られた側の人間は知ってしまった人間をくたばるまで叩き続ける。



そのパートナーも子供も容赦しない。

むしろ「死んでくれたらラッキー」という徹底ぶりがすごい。



だから、告発する側もそれなりの心構えで向かっていかないと、立ち直れなくなるまで打ちのめされてしまう

そこが毎度すごいなと思う



それを思えば空飛ぶタイヤの日本は、とても穏やかな国民で、平和な国なんだなと思ってしまう。

そんな韓国の激しさを感じた上で、それでも、どんなに打ちのめされても、ボロボロになっても、不正を正そうとする主人公の姿に感動してしまうのだ。



そして、そんな彼の姿を見て心を動かされ行動を起こす人もいて、そのポジティブな連鎖が世の中を変えていくのだ。

当たり前のことだけど、「間違っているものは間違っている、正しいものは正しい」と言える環境で生きていたい。



この映画のパク・デイクのような勇気ある人がいて世の中は正しい方向に向かっていくと信じたいけど
100%不正のない世の中にすることも難しい
ことであると感じた作品だった。


Posted by pharmacy_toe on 2018/07/15 with ぴあ映画生活


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韓国映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」を映画館で観た。

関東大震災の当時に実在した、日本政府と戦った韓国人の朴烈(パクヨル)と日本人女性 金子文子の愛を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

関東大震災の騒乱に乗じた虐殺と、その火消しに利用された二人。

同じ過ちを繰り返さないために、私たちは互いの違いを知り、認め合うべきだが、それが難しいからこそ、彼らの愛が私たちに必要なのだ。

常に信念を貫く彼らの愛に泣いた

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『金子文子と朴烈(パクヨル)』予告編 動画

(原題:박열)



更新履歴・公開、販売情報

・2019年4月25日 映画館にて鑑賞。

・2019年6月4日 感想を掲載。

現在、公開中。詳しい劇場情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
 ↓
映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」公式サイト

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キャスト&スタッフ


出演者

〇イ・ジェフン

〇チェ・ヒソ

〇キム・インウ

〇キム・ジュンハン

〇山野内扶

〇金守珍


監督

イ・ジュニク
…(「王の運命(さだめ)歴史を変えた八日間」、「ソウォン/願い」など)


2017年製作 韓国映画



映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」



あらすじ


大正時代、関東大震災の際、日本政府は混乱に乗じて「朝鮮人が井戸に毒を入れたせいで、人が大量に死んでいる」というデマを流す。

すると、その話を信じた市民による朝鮮人の虐殺が始まってしまう。

そこで、政府はその騒乱を止めるために、見せしめとして独立運動をしていた朝鮮人 朴烈(パクヨル)(イ・ジェフン)を逮捕する。

朴烈(パクヨル)の恋人である日本人の金子文子(チェ・ヒソ)は、朴烈(パクヨル)が投獄されるならと、自ら逮捕されてしまい…。



韓国映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」



感想(ネタばれあり)


この映画の感想につきましては、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。


金子文子と朴烈 (2017)


★★★★ [80点]「隣人との違いを理解することの大切さ」


関東大震災の騒乱に乗じた日本人による朝鮮人の虐殺と、その火消しに利用された朴烈と金子文子の物語。



正直な話、関東大震災の時に井戸に毒を入れた朝鮮人がいたというデマが流されたことは聞いたことはあっても、その火消しに利用された朴烈と金子文子の話は知らなかった。



なぜ、知らないかと言えば、私の勉強不足なせいもあるけれど、多くの歴史上の汚点がそうであるように、歴史から彼らのことが消し去られてしまったからではないかと思う。



とはいえ、その当時の朝鮮は日本の統治下にあって、日本政府も未熟なところがあり、関東大震災で火の海となってしまった東京の苦悩から目を逸らすためにねつ造されたデマだったと思われる。

それにしても、それはあまりにも幼稚で、酷すぎるデマだった。



その噂を信じた日本人たちは「朝鮮人憎し」と虐殺を始めてしまう。

その虐殺された人数を知って、ヤバイと思った政府は、次に犯人をねつ造する。

そのねつ造されだ犯人が、朝鮮独立の活動家だった朴烈であり、その朴烈の思想に惚れ込んだ恋人が金子文子だったのだ。



この映画は、韓国で製作されたものだけど、決して「日本憎し」という反日的な作り方をしていない。
そこが、ありがたいというか、良いなと思った。



独立のために活動していた朴烈だけど、全ての日本人を嫌っていたわけではない

彼の周りには彼を慕う日本人たちもいたし(そういう人たちは、当然、他の日本人からはアカと言われたけれど)、朴烈自身も、日本人の考え方にとても興味持っていた。

そして、何より、彼が愛した文子は日本人だったのだ。



その事実を知って思うのは、これから先、同じ過ちを繰り返してはいけないということ。

そのために、私たちがしなければいけないのは、他の国の人たちとの違いを知り、受け入れることだと思った。



しかし、それが簡単なようで、とても難しいのだ。

だから、私たちには、この朴烈と金子文子の愛が必要なのだ。



後半は、どんなことがあっても信念を貫き通す二人の愛に泣いてしまった。

彼らの愛をお手本に、違う国に生まれた者同士、習慣や考え方は違って当たり前で、その違いを楽しめるぐらいの心のゆとりがあってこそ、成熟した国になれるのではと思う。

それ以前に、この二人の物語をぜひ知って欲しいので、一人でも多くの人に観て欲しい作品。


Posted by pharmacy_toe on 2019/05/13 with ぴあ映画生活




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「ザ・スクエア 思いやりの聖域」の試写会に行ってきた。

ある美術館を舞台に、芸術家たちが創り出すアートと、そこに込められた理想と現実との落差をあぶり出す。


満足度 評価】:★★★★☆

面白かった!

現代では作品を発表し、それが批判されて炎上してこそビジネスになるし「差別なき思いやりの領域」こそが差別ある現実を表している。

そのアート界が目指す理想と現実社会の落差の激しさが心に刺さった。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「ザ・スクエア 思いやりの聖域」予告編 動画

(原題:The Square)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年4月9日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年5月23日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


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オリジナルサウンドトラック「The Square」

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キャスト&スタッフ


出演者

〇クレス・バング

エリザベス・モス
…(「チャック~”ロッキー”になった男~」など)

〇ドミニク・ウェスト

〇テリー・ノタリー

監督

〇リューベン・オストルンド


2017年製作 スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク合作映画



映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」



あらすじ


スウェーデン コペンハーゲンの X-ロイヤル美術館。

キュレーターのクリスティアン(クレス・バング)が、次回展示する作品は「ザ・スクエア」

それは、床に描かれた一つの正方形であり、その正方形は「人はみな平等であり、互いに助け合う思いやりの領域です」という説明が書かれている。

そして、ちょうどその頃、クリスティアンは人助けをしている間に、携帯と財布を盗まれてしまい…。



映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」



感想(ネタバレあり)


現代アートを理解している自分はカッコイイ思ってしまう人間の悲しい習性


現代アートっていうのは「意味がわからないことを素晴らしいというアート」だと思っている。

たとえば、バスキアの絵は「その辺の少年が壁に描いた落書き」と言われれば「あぁそうかも」と思ってしまうし、ポロックだって誰かがカンバスにペンキをこぼし、それを学芸員の人が「これはポロックなんだよ」と言えば、「おぉ~そうなのかーーー!!」と思ってしまう。

 ↓ これがバスキア
バスキア



 ↓ これはポロック
ポロック



人は、自分が「意識高い系の人間、もしくはIQが高い人間」だと見せるために、たとえば国立近代美術館のような立派なところが「これが最先端の前衛アートだ」と言って紹介した作品を、「いかにも理解しています」風に見栄を張ってしまうという悲しい習性を持つ



この映画の舞台はスウェーデンのコペンハーゲンにあるX-ロイヤル美術館。

つまり、スウェーデンの由緒正しき王立美術館である。

主人公は、その美術館でキュレーターをしているクリスティアンである。



その彼が展示する新作が「ザ・スクエア」である。

それは地面に正方形を描いただけのものであり、「その正方形の中では、誰もが平等であり、互いに助け合わなければならない思いやりの聖域」という説明書きがある



それは現代の格差社会に問題を提起する作品だとして、多くの人を呼び込もうと考えた。

そこで、クリスティアンは広告代理店と共に「どのように宣伝するか」を考えていくのだが、それが思わぬ波紋を呼ぶことになってしまう。



クリスティアンとしては、美術館を訪れた人々にそこで立ち止まってもらい「格差社会」について考える時間を作り出す「アート」だと考えた。

しかし、広告代理店の人たちは「強烈なインパクトがないと人の目には止まらない」と考えたのだ。

その両者の意見の違いをちゃんと摺り寄せなかった結果、後に悲劇(クリスティアンからすれば)(いや、喜劇か(ブラックユーモア)?それともハッピーエンドか(金儲け)?)が起きてしまう…。



映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」


クリスティアンの潜在意識の中にある差別意識


そのアート作品「ザ・スクエア」こそが、スウェーデンのみならず、ヨーロッパの現状を表しているものだった。



私がそのアート作品「ザ・スクエア」を観た感想は、「こんな小さな領域でしか平等が得られないなんて」だった。

日常生活を普通に過ごしていて、「みんなが平等」なのも、「互いに助け合う」のも「当たり前のこと」じゃないか。

むしろ、そんな「平等にするための領域」などいらないはず

しかし、そう思えるのも、それは日本が単一民族で暮らす平和な国だからなのかもしれない。



ヨーロッパでは「平等が当たり前ではない」のだ。

私の中で印象的だったシーンの一つは、クリスティアンが子供たちとモールへ行った場面だ。

彼がベンチに座って電話をしている間に、子供たちを見失ってしまう。

探しに行きたいけれど、荷物があって探しに行けない。



そこで、彼はそばにいたホームレスの男性を「利用する」。

「ちょっと来て」と言って、金も渡さず、「子供を探してくるから、荷物を観ていてくれ」と言う。

はじめは、そのホームレスの男性が「めぐんでくれ」と言ってクリスティアンに声をかけた時には、無視をしたにも関わらず

クリスティアンにとって、ホームレスの男性は「自分の都合で勝手に使ってもいい人」なのである。



そして、心に切なさを残すのは、クリスティアンの「財布とスマホを奪った」という少年。

彼のスマホが「貧しい人たちが暮らすアパートにあるから」という理由で、上から目線で書いた広告をそのアパートにばらまき、「なぜ持っているか」の理由を聞かずに、少年を勝手に「泥棒」呼ばわりし、彼の家を訪ねてきた少年が階段から落ちても助けようともしない。



そのクリスティアンのホームレスの男性と、貧しい暮らしをする少年(移民)に対する態度は共通している。



彼は、自分が展示する作品の中で「平等・助け合い・思いやり」をうたっておきながら、明らかに彼の潜在意識の中には「階級意識」があって、「とても自然に」態度を表に出てしまっているのだ。

いくら表面的には「差別はいけない」と言い、その思いをアートで表現しようとしたって、潜在意識の中に眠る「差別意識」までは変えられないのだ。

彼の中にある「ザ・スクエア」は、とても小さく狭いものだったのだ。

このクリスティアンこそが、ヨーロッパの「格差社会」を表しているキャラクターなのだ。



彼らにとっては「差別のない領域」こそが「理想郷を表すアート」であり、それを「なんて素晴らしい」「差別があってはいけない」と言いながらも、現実には、はっきりとした「境界と階級格差」があるのだ。

所詮、アートはアートでしかなく、現実の世界はその理想とかけ離れているのだ。

なんとも、皮肉な話ではないか。



映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」


イマドキの宣伝は「炎上商法」「ノイズ・マーケティング」で


その美術館に展示する作品「ザ・スクエア」を宣伝するため、広告を代理店に依頼したら、アップされた動画がまた強烈だった。

「白人」で「金髪」で「ホームレス」の女の子を使っているところは、明らかに、ターゲットが「上流社会の人たち」を想定している



「モンキーマン」が登場した晩餐会でもわかる通り、この美術館を支えているのが、その「上流階級の人たち」であり、彼らの心に刺さる動画を作ってこそ、この美術館は潤うのだ。

そこで、彼らは「その領域の中では、そういうかわいそうな子もいなくなる」ことを示すために、「ちょっと刺激的な」動画を作ってアップしたのだが、これが見事に炎上する。



広告代理店が見ている先はあくまでも「ターゲットの人たち」であって、「貧しい人たち」や「非白人の人たち」に対する配慮が全くない

「思いやりの領域」を宣伝するはずが、全く思いやりのない広告ができてしまったのだ。

もう、これは笑うしかない。



しかし、「注目を集めることが仕事」の広告代理店にとっては、動画を作って炎上させるまでが彼らのパフォーマンスであり、どの新聞にも大きくスペースを割いて批判記事が出たことは、ある意味、大成功だったと言える。

その記事と同じだけの大きさの新聞広告を載せるには、相当な予算を割かなければならない。

たとえ、その動画が「最低な倫理観」を持ったものだったとしても、「このアートは、一体何だ」「観に行って批判してやる」と思った人がいれば、それで大成功なのである。




これこそが、日本でも良くあるタイプの「炎上商法」「ノイズ・マーケティング」なのであり、ここには現代社会の問題点に対するブラックユーモアがたっぷりと込められている



映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」


観客の潜在意識の中に眠る「差別意識」に問いかける


「意識高い系」の人たちにとって、現代社会を批判するような「現代アート」には、そこに込められた真意がたとえよくわかっていなくても「『いいね』と言ったらかっこいい」ような雰囲気がある

「バスキアとポロックが好きな私ってかっこいい」みたいな。



この映画ではそんなアートな人たちが、「ザ・スクエア」という作品を通して、「差別ない世の中」を訴える。



しかし、「差別しない領域」をアートにすること自体が差別であり、その異常さに誰も気づいていない

なぜなら、そこで働く彼らも裕福な暮らしをし、ホームレスや移民に対して壁をつくり、当たり前のように上から目線で話しかけ、彼らがけがをしても助けようともしない。



それでは、「芸術」とは一体なんのためにあるのか

自分を「意識高い系に見せる」ための自己満足なのではないか



クリスチャンは最後に少年に対する態度を変え「君を泥棒扱いしてしまい申し訳なかった。これは『富の再分配』だ」と言うのだが、「上から目線」の姿勢は何一つ変わっていない

どんなにつらい思いをして、人の痛みが分かったようでも、実際には姿勢が変わってなく、人々の心の中にある「ザ・スクエア」の大きさを変えることは無理なのではと思った。



しかし、私だって、映画を観て「差別はいけない」と分かっていても、実際に差別を全くしない行動をしているのかと聞かれれば「100%そうだ」と言う自信はない。

クリスティアンの言動は、クリスティアンだけのものではない。

きっと、誰の心の中にもクリスティアンはいるのだ。

この映画は、そんな人それぞれの心の奥底に眠る「差別意識」に「あなたは大丈夫ですか」と問いかける作品なのだ。



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ロバン・カンピヨ監督・脚本のフランス映画「BPM ビート・パー・ミニット」を試写会で観た。

1990年代のフランスで、エイズに対する知識を広めるための活動(『ACT UP(アクト・アップ)』)を行っていた若者たちを描く。

第70回 カンヌ国際映画祭(2017年)グランプリ受賞作品


満足度 評価】:★★★★☆

エイズ患者の環境改善やエイズについての偏見をなくすために正しい知識を広めたり、エイズの予防法について考える彼らが、政府や製薬会社と戦う姿を見ていると「人間らしい生活をさせて欲しい」という心の叫びが聞こえてくる。

HIV陽性であり同性愛者であることで、二重の差別と偏見を持たれ、それでも普通の若者らしく生きようする姿は涙なしには見られない

感動の作品だった。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「BPM ビート・パー・ミニット」予告編 動画

(原題:120 battements par minute)



更新履歴・公開、販売情報

・2017年11月26日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年5月21日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


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サウンドトラック「BPM ビート・パー・ミニット」

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キャスト&スタッフ


出演者

…(「天国でまた会おう」など)

〇アーノード・ヴァロワ

アデル・エネル
…(「午後8時の訪問者」、「ニースの疑惑 カジノ令嬢失踪事件」など)

監督・脚本

〇ロバン・カンピヨ


2017年製作 フランス映画



映画「BPM ビート・パー・ミニット」



あらすじ


1990年代のパリ。

当時はHIVに対する間違った知識が広まっていたため、エイズ患者に対する差別や偏見が蔓延していた。

そこで、ニューヨークから始まった『ACT UP(アクト・アップ)』のパリ支部では、エイズ患者の環境を改善するため、正しい知識を啓蒙するためのデモ行進や、高校での性教育、製薬会社への抗議などの活動を行っていた。

HIVポジティブ患者であるショーン(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)や、ナタン(アーノード・ヴァロワ)や、ソフィー(アデル・エネル)はアクト・アップ・パリのメンバーで、熱心に活動を行っていた。



映画「BPM ビート・パー・ミニット」



感想(ネタばれあり)


『ACT UP(アクト・アップ)』の活動とは


この映画は、1990年代のパリで行われていた『ACT UP(アクト・アップ)』の活動を描いたもの。

私は、その『ACT UP(アクト・アップ)』という組織について、この映画を観て初めて知った。

正式名称は the AIDS Coalition to Unleash Power(=力を解き放つためのエイズ連合)というそうで、1987年にニューヨークで発足された団体。



この映画に登場するのは、その『ACT UP(アクト・アップ)』のフランス支部『ACT UP(アクト・アップ)パリ』。

彼らは、エイズの正しい知識を広めるための活動をしたり、製薬会社に抗議をしたり、高校でコンドームの使用を促す性教育などをしている

次にどんなアクションを起こせばいいかについては、週一回のミーティングで話し合われる。

ここでは、デモや抗議活動の他にミーティングの様子も描かれている。



『ACT UP(アクト・アップ)』のメンバーの多くはゲイの人たちで構成されている。

そのゲイの人たちにはHIVポジティブの人もいて、病状が進行してしまっている人もいる。

ゲイの人たちだけでなく、血友病患者の輸血の際に院内感染してしまった人もいた。



そんな彼らにとっては、新薬の開発が強い願いであるが、当時の感染者がゲイの人たちや血友病患者といったマイノリティに多かったため、その開発が遅れていた。

だから、『ACT UP(アクト・アップ)』での活動は、彼らにとって「明日を生きるため」の活動でもあった。



映画「BPM ビート・パー・ミニット」アデル・エネル


同性愛者であること、エイズであることの二重の偏見を受けた人たち


1990年当時、エイズに感染している人たちに同性愛者が多かったため、エイズと言えば『同性愛者がかかる病気』という偏見が多かった。

私もその頃はエイズについて知識がなく「ゲイの人がかかる病気」だと本気で思っていた。

トム・ハンクス主演の映画「フィラデルフィア」が日本で公開されたのが1994年で、映画館で観たのを覚えているから、その頃にはようやく正しい知識が身についていたように思う。

映画の力って偉大なんだな。

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ただでさえ、エイズにかかっていなくても、同性愛者の人たちに対する偏見が多く、同性愛者であることを隠して生活している人も多かった時代に、さらにエイズという病気がその偏見に追い打ちをかけることになった。



そのためか、製薬会社による新薬の開発も思うように進まない

まず、HIVの検査に行くということは「自分が同性愛者だと認めること」になるため、多くの人が病院に行かないままであり、それがまた感染者を増やすことになってしまう。

しかし、製薬会社としてはわずかな感染者のための新薬開発にお金をかけることもできない。



そのため『ACT UP(アクト・アップ)』では、「同性愛者ではなくてもエイズにかかる可能性があること」や「購入しやすい新薬の開発」を訴え続けていた。



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世間から注目してもらうために彼らがとった手段


しかし、それにしても彼らの活動は紳士的とはいえず、とても過激なものだった

大量の血のりを作って製薬会社にばらまいたり、座り込みの活動をしたり、デモ行進をしたり。



なぜ、そこまでしなければならないのか。

普通に訴えただけでは「誰にも注目してもらえない」からである。



より多くの人たちに、正しい知識を知ってもらうためには、マスコミに報道してもらわなければならない。

そのために、彼らは『より目立つ方法』を考えて、多くの人たちから注目してもらうことを目標としていた。



当時「ゲイ=エイズ=近寄るな」という間違った偏見が広がっていたため、エイズ患者であり同性愛者である人たちの日常は、偏見との戦いだった。

しかし『ACT UP(アクト・アップ)』には、病気が進行していくことへの恐怖や、世間からの偏見を共有する仲間がいた。

だから、そんな彼らにとって『ACT UP(アクト・アップ)』は大事な居場所だったし、仲間がいたから強くなれたのだと思うし、過激なことであっても、勇気を持って活動することができたのだと思う。



『ACT UP(アクト・アップ)』に限らず、どんな時でもそうだけど、1つの目標に向かって同じ気持ちを共有できる仲間がいるっていうのは良いなと思った。



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普通の若者のように「人間らしく生きていたい」


しかし、そんな風に彼らが製薬会社や政府に対して怒りをぶつけている姿を見ていると、これは彼らの「人間らしく生きるため」の戦いなんだと思うようになった。

エイズに感染してしまい、製薬会社や政府の対応に立ち向かう前に、同性愛者であるという偏見を乗り越えなければいけない。



差別や偏見があっても、エイズに感染していても、普通の人たちと同じように愛する人と愛し合い、クラブで踊って、訴えたいがあればデモに参加する

彼らは、そんな「当たり前の日常」を普通に送りたいだけの若者なのである。



しかし、世間の目はそんなことを許してくれない。

彼らをまるで怪物やばい菌でも観るような目で見て、時には酷い言葉を投げかけてくる。

そんな彼らの『ACT UP(アクト・アップ)』の活動は、

「お願いだから、普通の日常を送らせて欲しい」という心の叫びのように見えた。



同性愛者であっても、異性愛者であっても、誰でも病気になるし、平等に治療を受ける権利がある。

しかし、それが「当たり前ではない」時代があって、そんな「当たり前ではない日常」を「普通の出来事」にするために命がけで活動していた人たちがいた。

それが『ACT UP(アクト・アップ)』の活動だった。



物語の後半は涙なくしては観られなかった

監督と脚本を担当したロバン・カンピヨは、『ACT UP(アクト・アップ)パリ』の元メンバーだったのだという。

だからこそ、彼らの叫びが力強く心に響くし、彼らの活動がとてもリアルに伝わってくるのだろうと思った。





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長瀬智也主演の映画「空飛ぶタイヤ」を映画館で観た。

小さな運送会社で起きた事故をきっかけに、大企業の闇を描く。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

面白かったーー。

大企業の闇に立ち向かっていく中小企業。

その戦いから見えてくるのは、大企業が考える命の軽さと異常に高いプライド。

日頃から理不尽なことに耐えて頑張っている中小企業を自然と応援したくなる映画だった。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「空飛ぶタイヤ」予告編 動画





更新履歴・公開情報


・2018年6月16日 映画館で鑑賞。

・2018年7月11日 感想を掲載。

・2019年5月4日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD販売中。詳しい作品情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
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キャスト&スタッフ


出演者

〇長瀬智也

〇ディーン・フジオカ

〇高橋一生

〇深田恭子

〇寺脇康文

〇小池栄子

〇阿部顕嵐

〇ムロツヨシ

〇中村蒼

〇笹野高史

…(「鈴木家の嘘」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)


監督

〇本木克英

2018年製作 日本映画



映画「空飛ぶタイヤ」




あらすじ


小さな運送会社のトラックが配送中に脱輪事故を起こし、そのタイヤが近くを歩いていた女性に直撃・死亡させるという事故が起きる。

運送会社の社長・赤松(長瀬智也)は、自社の整備不良を疑っていたのだが、整備担当(阿部顕嵐)に落ち度はなかったため、そのトラックを製造した自動車会社に連絡するが、なしのつぶてで連絡が取れない。

その時、赤松は週刊誌の記者(小池栄子)から過去にその自動車会社のトラックで同種の事件が起きていることを知らされ、独自に聞き込みを始める。

その頃、自動車会社側でも営業課長(ディーン・フジオカ)がそのトラックの不備に気付いていた…。



映画「空飛ぶタイヤ」ディーン・フジオカ、長瀬智也




感想


この映画の感想は、私が「ぴあ映画生活」に掲載した感想を紹介します。



空飛ぶタイヤ (2018)

★★★☆ [70点]「中小企業は泣き寝入りすべきなのか」


これは某財閥系自動車会社のリコール隠しを題材にした社会派の映画だった。



ある運送会社のトラックが走行中にタイヤの脱輪事故を起こし、たまたまそばを歩いていた女性がそのタイヤに当たって亡くなってしまう。

そこから、運送会社は整備不良を疑われるが、運送会社はトラックそのものに欠陥があったと考え、独自調査を開始。

しかし、財閥系企業の壁はあまりにも厚くて高い。



そこで問われるのは「人の命の重さ」と「正義感」だった

ちょっときれいごと過ぎるかなと、思わなくもないし、大手企業の闇はもっと深いと思うけれど

全ては金で、いろんなところで先回りしていろんな事実を揉み消そうとしてるあたりや

大手企業の中小企業に対する扱いの軽さとか、大手企業内の人間関係とか、「それあるなーありそうだなー」と思うことが満載で面白かった



現実にこういうことがあったら、もっとたくさんの人が絡んでくる(例えば政治家とか)話になるんだろうけど、そこをあえて削って、中小企業の社長が大手企業に立ち向かっていく話にしたんだろうなと思った

そこには、日本の経済を支えている中小企業を応援したいという思いも込められていると感じた

人の思いや命をないがしろにするような企業は、滅びるべきと思う



Posted by pharmacy_toe on 2018/06/18 with ぴあ映画生活





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ポール・グリーングラス監督の映画「7月22日」をNetflixで観た。

ノルウェーで起きた無差別テロについて、実話に基づいて描かれた作品。

Netflixオリジナル映画。


Netflix映画「7月22日」



満足度 評価】:★★★★☆

先日観た「ウトヤ島、7月22日」の詳しい背景が知りたくなって Netflixで観た 。

ウトヤ島、7月22日」ではテロの恐怖に重点が置かれていたけど、この「7月22日」では事件後の経過が詳しく描かれていて、被害者に寄り添った作品になっていた。

是非セットで観たい作品。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想
  6. 関連記事


『ウトヤ島、7月22日』予告編 動画

(原題:22 July)



更新履歴・公開、販売情報

・2019年3月29日 Netflixにて鑑賞。

・2019年5月2日 感想を掲載。

現在、Netflixにて配信中。
 ↓
「7月22日」Netflix 公式サイト





キャスト&スタッフ


出演者

〇アンデルシュ・ダニエルセン・リー

〇ヨナス・ストラン・グラブリ

〇ヨン・オイガーデン

〇マリア・ボック

〇ソービョルン・ハール

〇セダ・ウィット

〇イサク・バクリ・アグレン


監督

ポール・グリーングラス



2018年製作 ノルウェー、アイスランド、アメリカ合作映画



あらすじ


2011年7月22日、ノルウェーのオスロの政府庁舎前で爆弾を爆破させたテロが起き、8人が死亡。

その後、テロリストはウトヤ島へ移動し、サマーキャンプに参加していた青年たちに対して無差別に銃を乱射。

単独犯のテロリスト ブレイビク(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)は現行犯逮捕されるが、69人の命が奪われた。

ブレイビクに撃たれた少年ビリヤル(ヨナス・ストラン・グラブリ)は、九死に一生を得るが、事故当時の記憶に苦しめられ…。



Netflix映画「7月22日」アンデルシュ・ダニエルセン・リー



感想(ネタばれあり)


先日観た「ウトヤ島、7月22日」について、その背景をより知りたくなったので観てみた。

ウトヤ島、7月22日」は、72分間続いたテロの恐怖を訴える作品になっていたけれど、この「7月22日」は、この事件では何が起きたかと、事件後の経緯が描かれているので、より、このテロ事件を全体的に理解できる作品になっている。



また、事件後の被害者の思いが強く反映されて、より被害者の心に寄り添った作品になっている。

この事件後、被害者たちはそれぞれPTSDに悩まされていて、そこから、「彼らがどうやって立ち直ろうとしているか」について描かれているのも良かった。



この映画は、「ジェイソン・ボーン」で有名なイギリス人監督のポール・グリーングラスが監督している。

なぜ、ノルウェーの事件をイギリス人の監督が描いているかといえば、特に欧米では、これはどこの土地でも起こり得る事件だからだろう。



単独犯としては、史上最多 77人の命を奪ったテロリスト ブレイビクは、テロを起こした動機として「政府の移民政策に反対している」と明言している。

そのために、政府庁舎を爆破し、労働党青年部の若者たちを殺害する。

彼らの中には、多様性のある社会を実現するために、政治家になることを夢見ている青年たちもいた。



そのような事件は、ノルウェーだけで起きているわけではない。

先日、ニュージーランドで起きたモスク襲撃事件もこの事件と似たケースだし(参考:Wikipedia「クライストチャーチモスク銃乱射事件」)、その上で「テロに屈しない生き方」をここでは描いている。



ウトヤ島で起きた悲劇を、対岸の火事とせずに、明日は我が身として、考えるために、この映画はあるんだろうと思った。

ウトヤ島、7月22日」を観た人は、ぜひ、セットで観たい作品




関連記事


ノルウェーで起きた「7月22日 テロ事件」について考える


「ウトヤ島、7月22日」
単独犯として史上最多の死者を出した無差別銃乱射テロ事件の実話を映画化。緊迫した72分間をワンカットの映像で再現。ノルウェー映画【感想】





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