とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


カテゴリ:ジャンル > 人間ドラマ



イスラエル・ドイツ合作映画「彼が愛したケーキ職人」を映画館で観た。

一人の男性を愛した男女の姿を描く作品。


満足度 評価】:★★★★☆

とても切なかった。

ドイツ人とユダヤ人の間に横たわる困難も、ジェンダーにまつわる差別や偏見も「愛」があれば乗り越えられると思えた作品。

そんな渋い状況にある人々を繋ぐのが美味しいスイーツだというのもまた良かった。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『彼が愛したケーキ職人』予告編 動画

(原題: The Cakemaker)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年12月14日 映画館にて鑑賞。

・2018年12月27日 感想を掲載。

現在、DVD発売中。詳しい作品情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
 ↓
映画『彼が愛したケーキ職人』公式サイト


DVDで観る:「彼が愛したケーキ職人」

彼が愛したケーキ職人 [DVD]

新品価格
¥3,134から
(2019/6/5 18:05時点)




キャスト&スタッフ


出演者

〇 ティム・カルクオフ

…(「運命は踊る」など)

〇ロイ・ミラー

〇ゾハル・シュトラウス

〇サンドラ・シャーディー

監督・脚本

〇オフィル・ラウル・グレイツァ


2017年製作 イスラエル・ドイツ合作映画



彼が愛したケーキ職人



あらすじ


ベルリンでカフェを経営しているトーマス( ティム・カルクオフ)は、客として店に訪れたオーレン(ロイ・ミラー)と親しくなり、やがて恋愛関係に。

しかし、オーレンが仕事のため故郷のエルサレムへ帰って以来、連絡が途絶えてしまう。

やがて、彼はエルサレムで交通事故のために亡くなったと知る。

その一方で、オーレンにはエルサレムに妻 アナト(サラ・アドラー)がいて、アナトは事故でオーレンを亡くした後、小さなカフェを開いて再出発をしようとしていた。

そして、ある時、そのアナトのカフェにトーマスが訪ねてきて…。



彼が愛したケーキ職人2



感想(ネタばれあり)


ケーキ職人のトーマスとオーレン、そしてアナトとの複雑な三角関係


とても奇妙な運命のめぐりあわせで出会った3人の男女の物語。



主人公は、ドイツ人のケーキ職人トーマス。

彼は、ベルリンのカフェで働いているところ、客として訪ねてきたオーレンと恋に落ちる。



トーマスがオーレンとの将来を考えるようになった頃、オーレンは交通事故で亡くなってしまう。

その後、トーマスはオーレンの故郷であるエルサレムを訪ねる。

そして、オーレンの妻アナトが経営しているカフェで、オーレンと恋人同士だったという過去を隠して働き始める。



アナトは、次第にトーマスに惹かれるようになり、トーマスは、そんなアナトに戸惑ってしまう。



そりゃそうだ。

元カレの奥さんと付き合うなんてことになったら。

その上、その奥さんは、過去に二人が不倫していたことを知らないとなると、誰だって、どうしたらいいか分からず混乱するだろう。



しかし、彼らの前に立ちはだからるのは、そんな婚姻関係と、ジェンダーだけではない

ドイツとイスラエル、ドイツ人とユダヤ人の間にある歴史的な悲劇と因縁の関係もある

そういった複雑な境遇の中で出会った彼らを結び付けたのが、甘いクッキーだったのだ。



舌で覚えた記憶が引き寄せる運命

そして、彼らの間に芽生えた愛が、人種や、過去のしがらみ、そしてジェンダーさえも軽々と越えていく姿が、ここには描かれている。



彼が愛したケーキ職人4



舌に残る記憶が引き寄せるアナトとトーマスの仲


トーマスがエルサレムへ行って、アナトが経営するカフェで働き始めた時、アナトはトーマスが作ったクッキーの美味しさに感激し、トーマスのクッキーをカフェで提供することに決める。



ここで驚いたのは、ユダヤ教には食物規定 カシュルートがあって、アナトが経営するカフェのような飲食店では、カシュルートに適合しているかどうかの審査を受けなければならない

アナトの兄モティは、厳格なユダヤ教信者であり、ドイツ人のトーマスがアナトの店で働くことをよく思っていなかった。



そのためか、トーマスがアナトの店で働くようになってから、アナトの店は「カシュルートに適してない」という判断が下されてしまう



それでも、アナトがトーマスを雇い続けたのはトーマスの作るクッキーの味があったからだ。

アナトの亡くなった夫オーレンは、ドイツからイスラエルに帰る時は必ず、トーマスが作ったクッキーをお土産に買って帰っていた



アナトは、トーマスが作ったクッキーを食べた時に、そのオーレンが買ってきたクッキーの味を思い出したのだ。

その時は、トーマスが作ったとは思わず、ドイツのクッキーは、みなそういう味がするのかぐらいに思っていた。



しかし、そうはいっても、アナトはトーマスが作ったクッキーを食べるたびにオーレンのことを思い出していたはずだ。

そして、アナトとオーレンの中は、最後の方は、あまりうまくいっていなかったこと。

オーレンには好きな人がいて、アナトとは離婚してドイツへ移住しようと決断していたこと、そしてふたりがケンカした日の夜、オーレンは交通事故に遭ったこと。

トーマスの作ったクッキーを引き金に、そういったことを思い出していたに違いない。



その時にアナトの心に浮かび上がった悲しさを埋めてくれたのがトーマスだったのだ。

ところが、そのトーマスこそがオーレンに移住を決断させた相手であり、そのことをアナトは知らずにトーマスに惹かれていく姿を観ているのは、とても切なかった。



彼が愛したケーキ職人3



彼らの間にある宗教と人種的な憎しみ


そして、彼らを隔てるのは、そんな三角関係だけではない。



トーマスはドイツ人で、オーレンとアナトはユダヤ人なのだ。

第二次世界大戦中にヒトラー率いるナチスドイツによって迫害されたのがユダヤ人であり、多くのユダヤ人にとってドイツ人は未だに憎むべき相手なのだ。



それを表す印象的なシーンがある。

アナトがトーマスのパティシエとしての腕前を買って従業員として雇うことを決めた時、アナトの兄モティは「なにも、よりによってドイツ人なんか雇うなんて」と吐き捨てるのだ。



モティはこの中で、厳格なユダヤ教信者として描かれているので、彼のような反応を示す人は一般的とは思えないけれど、中には、モティのように「ドイツ人なんて」と思う人がまだまだいるということなのだ。



彼が愛したケーキ職人5



「愛」とは、ジェンダーも、人種的偏見も、宗教も軽々と越えることができる


人の感情とは複雑なもので、「偏見や差別をなくしてください」と言っても、その全てをなくすことはとても難しい

ダメだと分かっていても、きっと誰でも多少なりとも差別や偏見を持っている



その人それぞれに生まれ育った環境もあるし、過去の経験もあるからだ。



第二次世界大戦終結から70年が経つが、未だにドイツ人とユダヤ人の間にはわだかまりがある。

しかし、トーマス、オーレン、アナトの間に芽生えた「愛」は、その障壁を軽々と越えてしまったのだ。



ということは、頭の中で「差別や偏見をなくそう」と思って、なかなか越えられないことも、そこに愛があれば、その障害も越えることができるのではないかということなのだ。



物語の終盤で、オーレンの相手がトーマスだと知り、愕然としたアナトはトーマスを拒絶。

兄を使ってエルサレムから追い出してしまう。

それでも、その後、アナトがベルリンを訪ねたのは、そこに「愛」の力があったからこそなのだ。



これは、彼らだけの話ではない。

それぞれの心の中にある愛と向きあっていけば、きっと、ドイツとイスラエルの間にあるような過去の忌まわしいできごとからつながる困難な状況も、少しはいい方向に改善できることを示しているのだと思った。



「愛」とは、人種も、ジェンダーも、婚姻関係も、差別や、偏見も軽々と越えることができるのだ。

この映画は、そんなことを思わせてくれる素敵な映画だった。



彼らを取り巻く環境はとても渋いものだけれど、そんな彼らをつないだが甘~いお菓子だったというのが良い。





Twitterでも、映画情報や海外ドラマの情報を発信しています~




Instagramでも映画のレビューを日々更新しています~





ゆるめの映画ネタはこちら→「とにかく映画が好きなんです」【別館】

映画のコラムやイベントに参加した話、音楽やご飯ネタなども掲載しています。

この【本館】よりも、もっとユルッとした裏アカです。

こちらも、ぜひ。
 ↓





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





DVDで観る:「彼が愛したケーキ職人」

彼が愛したケーキ職人 [DVD]

新品価格
¥3,134から
(2019/6/5 18:05時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


イ・ビョンホン主演の韓国映画「エターナル」を映画館で観た。

家庭を顧みず、仕事中毒になっていた男に、ある日突然降りかかる「中年の危機」を描く。


韓国映画「エターナル」


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

ポスターのコピーにあるようなラストに衝撃を受けるサスペンス映画だとは思わなかったけど、これはそうではなく、「中年の危機」を迎えた仕事中毒の男性の悲哀を描いた映画として観た。

そして、観終わった後には、しみじみと切なさが心に残る作品だった。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想



「エターナル」予告編 動画

(原題:싱글라이더(A Single Rider))



更新履歴・公開、販売情報

・2018年3月18日 映画館にて観た感想を掲載。

・2018年12月21日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。





キャスト&スタッフ


出演者

イ・ビョンホン
…(「それだけが、僕の世界」、「天命の城」、「密偵」、「MASTER マスター」、「王になった男」、「マグニフィセント・セブン」、「インサイダーズ 内部者たち」、「メモリーズ 追憶の剣」、「ターミネーター/新起動:ジェネシス」など)

コン・ヒョジン
…(「女は冷たい嘘をつく」、「ブーメラン ファミリー」、「ラブ・フィクション」など)

アン・ソヒ
…(「新感染 ファイナル・エクスプレス」など)



監督・脚本

〇イ・ジェヨン


2016年製作 韓国映画




あらすじ


証券会社の支店長を務めるカン・ジェフン(イ・ビョンホン)は、会社でトップの成績を上げるために私財をはたいてまで売り上げを伸ばすが、その会社は倒産してしまう。

息子の語学留学のために、妻 スジン(コン・ヒョジン)と息子はオーストラリアにいるため、家に帰っても一人きりのジェフンはインターネットのストリートビューで妻と息子の住所を検索すると、そこには妻の姿があった。

そこで、ジェフンは妻に連絡せずに、一人オーストラリアへと向かう。

ところが、スジンにはジェフンの知らない生活があった…。



韓国映画「エターナル」



感想(ネタバレあり)


ある日突然襲ってくる「中年の危機」


この映画の予告編には「最高ラブ・サスペンス」とあり、ポスターには「映画史上に残る衝撃のラスト」というコピーが躍っているけれど、私は、この映画はそういうラストに衝撃を受けるようなサスペンス映画ではないと思った。

これは、家庭をかえりみず、仕事の夢中になってきた男に突然やってくる「中年の危機」を描いた作品であって、観終わった後にはしみじみとした切なさが残る作品だった。



映画の本編が始まる前に、一編の詩が紹介される。

「下る時には見えた。

上る時には見えなかった花が」(うろ覚え)

私は、この詩がこの映画の主人公であるジェフンの心情を全て表していると思った。



ジェフンは「証券会社でトップの成績」という「頂点」を目指し、周りの景色も気にせず必死で登り続けるが、いざ、その「頂点」に立った時には、「周りに誰もいない」という孤独を味わう。

さらに、その足元にあった「会社」という山が見事に崩れ落ちていく。

そうしてジェフンは、そこから真っ逆さまに落ちていくのだが、その時、ようやく途中で家族を置き去りにしてきたことに気付くのである。



それでは、ジェフンは、一体何のために仕事に尽くしてきたのか。

この映画は、そのジェフンの「孤独」と「置き去りにしてきた家族への愛」を描いた作品である。

サスペンスだと思って期待して観ると、全く違う作品だったとガッカリしかねない作品である。



韓国映画「エターナル」イ・ビョンホン



家庭よりも仕事が生活の中心にあるジェフン


この映画の中で描かれる韓国ならではの光景が「妻と息子を語学留学させるために必死で働く父の姿」である。

日本以上に大卒就職率が低い韓国では、「語学に堪能」であることが就職に有利であるとされ、父親が一流企業に勤務し、経済的に余裕がある家庭では、息子がまだ小学生ぐらいのうちから留学させ、ネイティブの英語を身に着けさせることが珍しくない。

幼い息子を一人で行かせるわけにはいかないので、息子に妻を同行させるのである。



この映画のジェフンも妻と息子をオーストラリアへ留学させる。

そこには、「証券会社のトップ」としての見栄のようなものもあっただろうし、妻はあまり乗り気でなかったにも関わらず、オーストラリアに行かせた様子を見ると、「家族サービスよりも仕事に集中したいから」厄介払いしたような印象さえ受ける。

つまり、彼は家族に対しても「仕事ありき」で考えるような「仕事中毒」の男なのだ。



彼らをオーストラリアへ行かせたのは、「息子の将来」のためなのか、それとも「自分の仕事」のためなのか。

それは、ジェフンだけに限らず、韓国の多くの家庭で見られることであり、日本でも語学留学とはいかなくても、家庭をかえりみずに仕事中毒に陥っている人たちはたくさんいる。

この映画は、そんな「仕事中毒の中年男性」に向けて描かれた作品なのだ。



韓国映画「エターナル」イ・ビョンホン



妻と息子の楽しそうな姿が夫を孤独な気持ちにさせる


そうしてジェフンは、仕事に対して必死になって生きてきたのだが、肝心の会社が倒産してしまう。

そうして、彼に中年の危機がやってくると、彼は家族に会うために、妻子のいるオーストラリアへ向かうのだ。

しかし、妻には何も告げずに。



本当は妻子に会いに行ったはずなのに、さらにジェフンは孤独になってしまう

なぜなら、妻子にはジェフンの知らない生活があったのだ。

ジェフンにとっては異国の地、オーストラリアの生活にすっかりなじみ、英語を話し、ご近所づきあいをして楽しそうにしている。

そんな妻子の楽しそうな姿を見ると、ジェフンは彼らに会いづらくなってしまう。

さらに、かつてバイオリニストだった妻・スジンは、韓国では弾かなかったバイオリンを再び始め、オーストラリアに永住することも考えていた。



ジェフンが家族をかえりみずに仕事ばかりしていた間に、彼らは彼らの充実した生活を送っていたのだ。

そこでスジンは、夫の仕送りに頼らずに、そのままオーストラリアで暮らせるようにバイオリンで生計を立てようとしていたのだ。



さらに、スジンにはオーストラリアにいる間に好きな人ができ、その彼の存在も、スジンをオーストラリアに永住させようとする理由の一つだった。

しかし、かといって、そんなスジンのことをジェフンが責められるかと言ったら、そうではないだろう。

遠く離れた地で、スジンのことなど気にかけていなかった夫よりも、近くにいて、いろいろ不安だったスジン一家がオーストラリアになじむようにいろいろ世話してくれた隣人を好きになってしまうのも、仕方ないのではないか。



そんな妻子の姿を見て、孤独を感じるジェフンは、はっきり言って自業自得なのだ。



韓国映画「エターナル」コン・ヒョジン



「家族に会いたい」という魂が海を越えた「孤独な旅人(A Single Rider)」


そうして、彼らのオーストラリアでの生活のすべてが分かると、「孤独な旅人」ジェフンは、自分が既に死んでいることに気付く

彼は、会社が倒産した時に酒と共に睡眠薬を大量に摂取して亡くなっていたのだ。

この世に「家族に会いたい」という思いを残し、成仏できない魂が、「孤独な旅人」となってオーストラリアへ向かったのだ。



この映画の原題はA Single Rider(単身の乗客)である。

それは、孤独な彼の魂を表現している。

なぜ、邦題が「エターナル」になってしまったのか。

残念でならない。



とはいえ、私はそこで「衝撃の事実」とはならなかった。

彼が荷物にも持たずに、スーツでオーストラリアに降り立った時に、あぁこの人は亡くなったんだなと思った。

だから、「既に亡くなっているということに本人がいつ気付くのか」という視点で、この映画を観ていた。



その「いつ」とは、妻子がジェフンがいなくてもオーストラリアで幸せな生活を送っていると知った瞬間だった

ジェフンが家族をオーストラリアに厄介払いしたようだったけれど、家族に見捨てられたのはジェフンの方だったのだ。

ジェフンは人生が終わって初めてそのことに気付くのだが、それでは遅いのだ。



そこで、映画のオープニングに紹介された詩を再掲する。

「下る時には見えた。

上る時には見えなかった花が」

必死になって仕事をしていたときは、家族をかえりみる余裕すらもなかったけれど、全てを失って振り返ったみると、家族こそが大切にすべきものだったことに気付くという男の話なのだ。



そうして、ジェフンは息子が「パパと一緒に観たかった」と言っていたタスマニアの美しい景色を一人で見に行く場面で物語は終了している。

そこで、彼の「孤独な旅」は終了する



この映画の前に、特別映像として、イ・ビョンホン本人からのメッセージが流れた。

その中でイ・ビョンホンは「この映画を撮っている時に、日本のみなさんのことを思いました。多くの日本の方に観ていただきたい作品です」(うろ覚え)と言っていた。

それは、日本に仕事中毒の人たちが多いことを思ってのことなのだろうと、映画を観終わってから気付いた。



家庭もかえりみず、仕事に夢中になっていると、家族が夫に側にいて欲しいと願っている時に一緒にいることができない。

そして、そんな仕事中毒の人間に中年の危機が訪れ、自分が家族を必要だと思った時には、家族は側にいないということになる。

その時になって、「あぁもっと優しくしておけば良かった」と思っても遅いのだ。

上を目指しながら向かっている時も、時には立ち止まって周りを見渡し、景色の美しさを楽しむようなゆとりがあってこそ、人生は充実したものになるのだと、この映画は訴えているのだ



人生は、仕事ももちろん大切だけど、仕事がすべてではない

家族や愛情があってこそ、充実したものになるのだ。

家族がいるにも関わらず、「孤独な旅人」では、なんだか悲しすぎる

そんな切ない映画だった。







↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





Amazonプライムで観る:「エターナル」(字幕版)

エターナル(字幕版)

新品価格
¥2,500から
(2018/7/28 17:14時点)



DVDで観る:「エターナル」

エターナル 豪華版 Blu-ray BOX

新品価格
¥6,171から
(2019/12/23 19:03時点)



イ・ビョンホン「エターナル」 オーストラリアロケ密着30日全記憶

イ・ビョンホン「エターナル」 オーストラリアロケ密着30日全記憶 (公式写真集) (光文社女性ブックスvol.173)

新品価格
¥3,780から
(2018/3/17 22:26時点)












このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


アキ・カウリスマキ監督の映画「希望のかなた」を映画館で観た。

シリアからフィンランドに流れ着いた難民の青年と、彼に対する国や周りの人々の反応をユーモラスに描きつつ、ヨーロッパで起きている難民問題を考えさせる作品。


満足度 評価】:★★★★☆

ここで描かれているのは「難民」という現実的でシビアな問題ながら、時には笑わせ、人々の優しさがとても心地いい作品だった。

国に捨てられても、人々の善意が希望になる。

国同士の政治では解決できない難民問題も、人々の考え方ひとつで解決できることもあるのでは…と思わせてくれる作品だった。



なぜ、そう思ったのか。その理由は感想まで。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「希望のかなた」予告編 動画

(原題:Toivon tuolla puolen)



更新履歴・公開、販売情報

・2017年12月12日 映画館にて観た感想を掲載。

・2018年12月3日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

DVDで観る:「希望のかなた」

希望のかなた [Blu-ray]

新品価格
¥3,772から
(2018/7/19 15:48時点)



ネット配信で観る:「希望のかなた」(字幕版)

希望のかなた(字幕版)

新品価格
¥2,000から
(2018/7/19 15:49時点)





キャスト&スタッフ


出演者

〇シェルワン・ハジ

〇サカリ・クオスマネン



監督

〇アキ・カウリスマキ

2017年製作 フィンランド映画



希望のかなた



あらすじ


空爆が続くシリアから脱出し、ヨーロッパに入り各地を転々とした後、フィンランドに流れ着いた難民のカーリド(シェルワン・ハジ)はフィンランド政府に難民の申請をする。

フィンランドに暮らせるようになったら、ハンガリー国境ではぐれてしまった妹を探し、呼び寄せようと思っていた。

しかし、彼が住んでいたアレッポは「現在政情が安定している」という理由で難民申請を却下され、強制送還されることになってしまう。

ところが現実は、今も空爆が続いており、なんとしてでも妹を探し出したいカーリドは収容施設から逃げ出し、あるレストランのごみ置き場で一夜を過ごす。

カーリドを見つけたレストランのオーナー ヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)は、彼から事情を聞き、「この店で働いてみないか」と提案する。



希望のかなた5



感想(ネタバレあり)


捨て犬を通じて難民問題を考える


もしも、自宅の前に子犬が捨てられていたら、どう行動するだろうか

自分で飼ったり、良い保護施設を探したり、SNSを使って里親探しをするだろうか。

それとも、殺処分されると知りながら、保健所に連絡するだろうか。



その時の「正しい行い」は人それぞれであるが、多くの人が「こんなにかわいいのに、殺されたらかわいそう」と思うのではないだろうか。



それならば、もしも自宅の前に、困り果てた難民が隠れていたらどうするだろうか

本人は、政情不安定で空爆が続く自国には帰りたくないと思っている。

それでも「強制送還されることにだろうな」と薄々感じつつ、警察に連絡するだろうか。

それとも、困っている彼が生活できるように、「どこか働き口や泊まる場所」を探してあげるだろうか。



捨てられた犬も、命からがら逃げてきた難民も、どちらも『命の問題』であるにも関わらず、私たちは「捨てられた犬」の問題には真剣に悩み「役所には渡せない」と思うけど、難民の問題となると「国に渡せば良い」と単純に考えてしまう。

この映画では、難民問題について「その周りにいる人たちにできること」を描いている。

ヨーロッパでは、難民は「仕事と金を奪う泥棒」のように思われ、排斥する動きがあるけれど、果たして、それは正しい行動なのだろうか。

そう思う以前に、私たちにできることがあるのでは…と考えさせられる作品だった。



希望のかなた2


逃亡者と新たな人生を始めた者の出会い



主人公のカーリドはシリアからフィンランドに流れ着いた難民である。

彼が住んでいたアレッポでは、今でも空爆が続いている。

そのため、妹と一緒にシリアから脱出したのだが、避難している最中に離ればなれになってしまった。

そこで、カーリドは妹を探しつつ、フィンランドで難民の申請をして、妹を呼び寄せようと考えた。



ところが、フィンランド政府に難民の申請を拒否され、『強制送還』を言い渡される

そのため、カーリドは収容所を抜け出し、政府の目から隠れながらフィンランドで暮らす道を選択する。



そんなカーリドを救ったのは、レストランのオーナー ヴィクストロムだった。

ヴィクストロムは今までやっていた商売を辞め、長い間共に暮らした妻とも別れ、カジノで稼いだお金でレストラン買い取ったばかりだった。



そんなヴィクストロムが新しい人生を始めたばかりの時、レストランのごみ置き場で寝泊まりをしていたのがカーリドだった。

ヴィクストロムはカーリドに食事を出し、ここに流れ着くまでの話を聞いた後、「ここで働かないか」と声をかける。

カーリドはそのヴィクストロムの申し出に対し、目を輝かせながら、「やります」と答える。



ヴィクストロムの店も商売繁盛しているわけではなく、さらに人を雇う余裕があるわけでもない。

それでも、カーリドを雇ったのは『彼を気の毒に思う気持ち』からである。

レストランの女性店員 ミルヤが、「かわいそうだから」と言って捨て犬を拾ってきたのと同じように、「カーリドが気の毒だから」寝泊まりする場所と仕事を提供する

雇うお金が足りないなら、商売繁盛するようにレストランのメニューを考え直せばいい。



目の前に困っている人がいたら、助けてあげるのが当然のこと。

何も特別なことをしているわけではない。

そんなヴィクストロムの声が聞こえてきそうな行動だった。



そして、ヴィクストロムの第二の人生は、「人助けの人生」としてスタートする。



希望のかなた3


「邪魔者は国へ帰れ」と言うことが、本当に正しいことなのか



しかし、フィンランドでも全ての人々がヴィクストロムのように難民に優しい目線を向けているわけではない。

当然ながら良い人もいれば、悪い人もいる



収容所から逃げ出すときに手助けしてくれた局員の女性や、身分証明書を作ってくれた店員の甥、妹を呼び寄せる手助けをしてくれたドライバーなど、カーリドと彼の妹のために「命のバトン」をつないでくれた良い人たちもいた

しかし、その一方で、カーリドを執拗に追いかける「フィンラド版ネオナチ」のような極右の人たちもいる



彼らは、現在、ヨーロッパ各地で「難民排斥運動」をしている人たちの象徴であり、邪魔者は殺せ、異教徒は殺せと言わんばかりにカーリドを追い詰める。

国や彼ら極右の人たちがしている行動は、カーリドに対し「国に帰って、空爆に遭って殺されなさい」と言っているようなものだ。

だからこそ、国に頼らず、国民一人一人が真剣に難民一人一人の問題を考えたら、もっと助けられる命がたくさんあるのではないかと、考えさせられる。



この映画の中で私がとても印象的だったのは、カーリドの妹の密航を手伝ったトラックの運転手にヴィクストロムが「君に運送費を払わなければ」と言った時、その運転手が「とても素敵なものを運んだんだから、費用なんていらないよ」と言った場面だった。



そう誇らしげに言った運転手がとてもかっこよかったし、とても心が温かくなる場面だった

人の命や善意はプライスレスなのだ。



「困っている人を助ける」と言うのは、本来とても素晴らしいことで幸せな気持ちになれることなのに、いつから私たちは「困っている人をさらに苦しめる」ようになってしまったのか

この映画は、とてもユーモアに溢れ、時々笑いながら観られる作品だけど、その笑顔の裏側にはアキ・カウリスマキ監督の難民問題に対する嘆きが詰まっている



希望のかなた4


国が人を捨てても、国民にできることがある



追われ追われて、フィンランドに流れ着き難民申請をするも、ただの事務処理のように紙一枚で国から拒絶されてしまうカーリド。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり

国民の善意が彼を受け入れる



中には、身分証明書を偽造したり、カーリドの妹の密航を手助けしたり、法律を破る場面が出てくるけれど、最優先すべきなのは「人の命を助けること」なのではないだろうか。

もしも、いつも一緒に働いていた外国から来た友人が、急に国に強制送還されることになって殺されるかもしれないことになっても、「それは国の問題だから仕方ない」と言って割り切れるだろうか

どんな手を使ってもいいから、その友人のために、日本で暮らせる道を探そうと思うのではないだろうか。


目の前にいる人が「生きたい。家族を助けたい」と言っている時に、地獄へ送り返すことが本当に正しいことなのか

一旦立ち止まって「何が一番正しいことなのか」と自分の善意に問いかけることも必要なのではと思う。


周りを海で囲まれ、隣国と接することなく生活している日本では「難民問題」について、どこか「他人事」のような気がしてしまう。

しかし、こういう映画を観ると、日本にもできることがあるのでは…と思えてくる。

そういう貴重な時間のためにも、この映画を観る必要性があるんだと思う。




Twitterでも映画や海外ドラマの情報を発信しています~








↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





DVDで観る:「希望のかなた」

希望のかなた [Blu-ray]

新品価格
¥3,772から
(2018/7/19 15:48時点)



ネット配信で観る:「希望のかなた」(字幕版)

希望のかなた(字幕版)

新品価格
¥2,000から
(2018/7/19 15:49時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


クリス・エヴァンス主演の映画「gifted/ギフテッド」を試写会で観た。

天才的な数学の才能を持った少女メアリーと、彼女を育てる叔父のフランク、そして、彼女に英才教育をさせようとする祖母の物語。


満足度 評価】:★★★★☆

笑って、共感して、最後は号泣。

特別な才能を持った子供がいたら、大人は何をすべきなのか

よりよい教育を受けさせることなのか、同世代の友達と一緒に学ぶべきなのか。

子供の教育について、考えさせられる作品。

「私は子供がいないから」という言い逃れができない作品になっていて、素晴らしい作品なので、一人でも多くの人に観て欲しい。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「gifted/ギフテッド」予告編 動画

(原題: Gifted)



更新履歴・公開、販売情報

・2017年11月18日 試写会で観た感想を掲載。

・2018年12月2日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

ネット配信で観る:「gifted/ギフテッド」(字幕版)

gifted/ギフテッド (字幕版)

新品価格
¥299から
(2018/12/2 16:35時点)



DVDで観る:「gifted/ギフテッド」2枚組ブルーレイ&DVD

gifted/ギフテッド 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

新品価格
¥3,878から
(2018/12/2 16:36時点)



サウンドトラック「ギフテッド」

ギフテッド

新品価格
¥2,592から
(2017/11/18 16:15時点)




キャスト&スタッフ


出演者

クリス・エヴァンス
…(「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」、「アベンジャーズ」、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」など)


ジェニー・スレイト
…(「ヴェノム」、「彼女が目覚めるその日まで」など)

リンゼイ・ダンカン
…(「ウィークエンドはパリで」、「バードマン」、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」など)

オクタヴィア・スペンサー
…(「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ドリーム」、「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」など)




監督

マーク・ウェブ
…(「(500)日のサマー」、「アメイジング・スパイダーマン」など)


2017年製作 アメリカ映画



giftedギフテッド




あらすじ


フロリダの小さな田舎町で暮らす7歳のメアリー(マッケンナ・グレイス)は、生まれて間もなく母を亡くしたため、叔父のフランク(クリス・エヴァンス)と、片目の猫 フレッドと暮らしていた。

7歳になったため、小学校に通い始めたメアリーだったが算数の授業で2ケタと3ケタの掛け算を安産をして先生のボニー(ジェニー・スレイト)を驚かせてしまう。

メアリーは幼い頃から数学の天才的な才能を持っていた(gifted ギフテッド)のだが、普通の小学生らしい生活を送らせたいとフランクが望んだため、地元の公立小学校に通わせることにしたのだ。

しかし、学校は彼女を「適切な学校に通わせるべき」とフランクに提案し、フランクはそれを拒否するが、フランクの母で元数学者のイブリン(オクタヴィア・スペンサー)がメアリーの噂を聞きつけ、彼らの元を訪れる。

そして、イブリンはメアリーに英才教育を受けさせるために預かりたいと言い出し…。



giftedギフテッド2




感想(ネタばれあり)


天才数学者だった姉がフランクに残したギフト



主人公のフランクは未婚で子供がいない。

しかし、ある時突然、子供を育てることになった。



普通の独身男性のように毎日を過ごしていたフランクの元に、姉が生まれたばかりの子供・メアリーを連れて訪ねてきた。

姉は話があると言うが、その日、フランクはデートの約束をしていた。

だからフランクは「話は帰ってから聞く」と言って、姉とメアリーを家に置いたまま遊びに出かけてしまう。

ところが、家に帰ってみると姉は自殺していた。



その時からフランクは、メアリーを育てることになった。

私もフランクと同じく未婚で子供がいないので、もしもいきなり目の前に姪が現れて、その子を育てることになったらどうするかなと考えた。

始めはきっと姉の自殺を止められなかったことに責任を感じてメアリーを育て始めるように思う。

しかし、いくら自分の本当の子供じゃないとは言っても、生まれて間もない頃から育てた子供には、自分の子供と同じぐらいの愛情を感じるだろうし、姉のためにも、自分の子供だと思って大切に育てるのではと思う。



そして、順調に育ったメアリーは数学者だった姉の遺伝子を引き継ぎ、幼い頃から天才的な才能を発揮、小学校に上がる前から難しい数学の本を読破していた

けれど、フランクはメアリーには「普通の小学生の暮らし」をさせたいと思い、公立の小学校へ通わせることにした。

メアリーの友達には隣人のロバータ(オクタヴィア・スペンサー)がいるけれど、やはり、同世代のお友達が必要だと考えたからだった。

そのフランクの選択は正しかったのか

そこから、この物語はスタートする。



giftedギフテッド6


勉強も大切だけど、生きていくためには社会性も必要



メアリーは小学校に上がるまでに難しい本も読んでいたし、公立小学校の教育など必要なかった

メアリー本人も自宅で勉強をすることを望んでいた

隣人のロバータもメアリーを小学校に行かせることで、周りの「大人たち」が、彼女の恵まれた才能(gifged/ギフテッド)に気付き、彼女をどこかに連れて行ってしまうのではと心配していた。



そんなメアリーとロバータの気持ちも理解した上で、フランクがメアリーを学校に行かせたのは「社会性」のためだった。

もちろん勉強も大事だし、彼女の才能が世間から注目されるも心配だけど、それ以上に同じ年頃の子供たちと話をしたり、遊んだりする時間が必要だと考えた。



フランクからしたら、姉が自殺したのは、彼女の才能を伸ばすために母親が彼女の私生活を全て取り上げて、数学だけを与えていたことに原因があったと考えたのだろう。

だからこそ、勉強も必要だけど、それ以外の時間も大切にして欲しいと思ったはず。



実際、学校に通いだしたメアリーは授業内容に物足りなさを感じ、同世代の子供たちは退屈だと感じていた

けれど、授業が物足りないのも、友達関係が退屈なのも全て含めて、教育だし、成長なのだ。



その反面、メアリーの恵まれた才能を伸ばしてあげたいという気持ちもあった。

しかし、メアリーを優秀な学校に通わせるほどの生活水準がフランクには無かった。



giftedギフテッド5


子供の人生を支配しようとする過干渉な毒親



そこへ現れたのが、フランクの母であり、メアリーの祖母であり『熱心な教育ママ』のイブリンだった。

彼女は、「フランクに育てられないのなら、メアリーを預かりたい」と言う。



しかし、このイブリンは子供の人生を支配しようとする過干渉の母親で、典型的な毒親である。

フランクからしたら、メアリーの母親が自殺したのも、彼女の支配的教育の過干渉が原因だと思っている。



ところがイブリンは「子供の将来を考えて、そのレールを引いてあげているだけ」だと思っている
し、フランクの姉が自殺したのも「彼女が弱いから」だと思っている。

しかし、子供からすると「たまにはレールからそれたい時」もあるし、失敗するのもまた、人生勉強なのだ。

イブリンの徹底的な管理教育の結果、フランクの姉は人とうまくコミュニケーションを取ることができず、結婚しないまま子供を産み、目標としていた数学の理論を証明した時点で人生の終わりがやってきてしまった。



そんなフランクの姉は、「勉強だけでは人間生きていけない」ことを象徴している

メアリーが普通の人と同じような人生を送ることは、姉の希望でもあったのだ。

姉の二の舞にしないためにも、フランクは普通の学校に通わせようと思ったのだ。



メアリーの姉の人生は、天才子役たちの悲しい人生の末路によく似ている

彼らも才能に恵まれて、ステージママたちから明らかに過干渉な教育を受けて子役界のスターになったけれど、10代の後半ぐらいからドラッグや酒に溺れてしまい、いつの間にか芸能界からドロップアウトしている。

大人たちからしたら「大切な子供が人生に失敗しないように、良かれと思って」したことだけれど、子供にとっては足かせでしかない。

どんなに子供のことが心配でも「適度な距離」が必要なのだ。



giftedギフテッド4


大人同士で奪い合う以前に大切なのは「子供が何を望んでいるのか」



そうして、普通の暮らしをさせたいフランクと、最高の教育を受けさせたいイブリンの間でメアリーを奪い合うことになる。

この「大人の事情」でメアリーが右往左往する姿を見ていると、本来なら才能に恵まれたということは素晴らしいことなのに、その才能がメアリーを不幸にするのではと思ってしまう。

しばらくフランクと離れていたメアリーが、フランク恋しさに泣きじゃくる姿には、私も号泣したし、その後、何度思い出しても泣けてしまう。



そんな彼らを観て思ったのは、一番大事なのは「メアリーがどうしたいか」ということ

メアリーが飼っている猫のフレッドが生まれつき片目がないように、メアリーには人よりも数学の才能に優れているという個性があるだけなのだ。

その個性を、大人たちが引き伸ばそうと思っても、本人にその気がなければ不幸になるだけ。

メアリーがフランクやフレッドといたいと思うことも、もっと良い教育を受けたいと思う気持ちも両方ともに大切で、周りの大人たちはそんな彼女の奪い合いをするのではなく、互いに相談しながら「彼女の最も望む環境づくり」するべきなんだと思った。



ゴキブリの出る家が劣悪な環境だとしても、メアリーはそんな家が大好きだし、そこで暮らしたいと思っている。

その「大好き」な気持ちも、メアリーという人間の大切な一部なのだ。

フランクであれ、イブリンであれ「子供はこうあるべき」を押し付けるのではなく、互いにできることを出し合い「メアリーは何を望んでいるのか」を全力で考えることが一番だなと思った。

7歳の子供にだって、意志も人権もある



giftedギフテッド3





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





サウンドトラック「ギフテッド」

ギフテッド

新品価格
¥2,592から
(2017/11/18 16:15時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


奥山大史監督の日本映画「僕はイエス様が嫌い」を東京フィルメックスで観た。

小さな田舎町に引っ越してきた小学生の男の子が初めて知った信仰と戸惑いを描く。

サンセバスチャン映画祭 新人監督賞 受賞作品。



満足度 評価】:★★★★☆

辛いことがあった時、人々は「祈りなさい」と言うけれど、祈ってもどうにもならない時はどうすれば良いのか。

大人でも答えが出てこない問題について、子供の視点から描いた作品。

素直さとみずみずしさが溢れる感性がとても良かった。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『僕はイエス様が嫌い』予告編 動画



更新履歴・公開、販売情報

・2018年11月17日 東京フィルメックスにて鑑賞。

・2018年11月30日 感想を掲載。

・2019年5月31日 全国順次ロードショー。




キャスト&スタッフ


出演者

〇 佐藤結良

〇大熊理樹

〇チャド・マレーン

〇佐伯日菜子


監督・脚本・撮影・編集

〇奥山大史


2019年製作 日本映画



映画「僕はイエス様が嫌い」



あらすじ


おじいちゃんが亡くなって、おばあちゃんと同居することになって、田舎の町に引っ越したユラ(佐藤結良)。

ユラが転校したのは、クリスチャンの学校で、そこでユラは初めてキリスト教とイエス様を知る。

イエス様がどんな存在なのか、まだよく分からないユラの目の前に小さなイエス様(チャド・マレーン)が現れ、新しい学校で一人ぼっちのユラは、小さなイエス様と行動するようになるが…。



映画「僕はイエス様が嫌い」



感想


この映画の感想につきましては、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。

僕はイエス様が嫌い (2019)


★★★★ [80点]「映像から溢れ出るピュアさとみずみずしさ」


サンセバスチャン映画祭 新人監督賞を受賞した作品。

奥山大史監督は22歳で、これがデビュー作。

なるほど、とてもみずみずしい作品だった。



小学生のユラは、おじいちゃんが亡くなって、一人になってしまったおばあちゃんと同居するために、お父さんの実家に引っ越してきた。

ユラが転校した学校はクリスチャンの学校で、お祈りというものをユラはそこで始めて知る。



友達が一人もいないユラだったが、やがて、ユラにしか見えない神様が現れ、神様はユラにクラスメートのカズキを紹介する。

これは「神様は本当にいるのか」「お祈りは何のためにするのか」という、大人でも答えづらい疑問について、小学生の目線で描いている作品。



たしかに、悲しいことがあった時、人は「祈りましょう」と言うけれど、祈っても、どうにもならないことはたくさんあるわけで、それを子供に説明しなければならないとなったら、ますます難しくなる。

そんな時、大人たちは「神に祈りなさい」と言ったとしても、それに従順に従うのではなくて「僕はイエス様が嫌いです」と言っても良いと思った。

むしろ、それが子供ならではの素直さであって、そうやって彼らは成長していく



窓の外の景色を障子に穴を開けて覗くように、ユラにとっては、ちょっと大人の世界を覗くような、そんな経験になったのではと思う。



面白かったのは、その時、監督は映像を少し斜めにしたこと。

それは子供の気持ちをよく表していて、これまで真っ直ぐに見ていた社会を少し斜めから見るようになったということではないのか。

映画を観る前に、出演者たちによる舞台挨拶があって、登壇した佐伯日菜子さんは「監督は子供の感性をお持ちの方」だと話されていた。

この映画を観ていて、その言葉が何度も私の頭の中でグルグルと回っていた。

景色が斜めなのも、障子に穴を開けて外を覗くのも、真っ白な雪の上に残る足跡も、ピュアだからこその映像

その感性で、今後、世界をどう観ていくのかが、とても楽しみな監督だと思った。


Posted by pharmacy_toe on 2018/11/27 with ぴあ映画生活




Twitterでも、映画情報や海外ドラマの情報を発信しています~




Instagramでも映画のレビューを日々更新しています~




ゆるめの映画ネタはこちら→「とにかく映画が好きなんです」【別館】

映画のコラムやイベントに参加した話、音楽やご飯ネタなども掲載しています。

この【本館】よりも、もっとユルッとした裏アカです。

こちらも、ぜひ。
 ↓





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村






















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


黒木華主演の映画「日日是好日」を映画館で観た。

エッセイスト森下典子が25年間通い続けた茶道教室の日々をつづったエッセイ「日日是好日」を映画化した作品。


満足度 評価】:★★★★☆

お茶の作法の一つ一つにじっくりと時間をかけ、その間、水の音や鳥の声に耳を澄ませ、季節を感じるひと時は、ヨガの瞑想にも似て癒しを与えてくれる。

慌ただしい毎日だからこそ、そういう「無」になれる時間を作りたいと思った作品



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『日日是好日』予告編 動画




更新履歴・公開、販売情報

・2018年11月19日 映画館にて鑑賞。

・2018年11月29日 感想を掲載。

現在、全国順次公開中。詳しい上映劇場情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
 ↓
映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)公式サイト


映画「日日是好日」は、現在U-NEXT で配信中


Amazon Primeで観る:「日日是好日」

日日是好日

新品価格
¥2,500から
(2019/6/15 17:14時点)



DVDで観る:「日日是好日」

日日是好日 通常版 [DVD]

新品価格
¥3,131から
(2019/6/15 17:19時点)



原作本:「日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

新品価格
¥594から
(2018/11/29 15:02時点)



「日日是好日」映画パンフレット

【 映画パンフレット チラシ2種付き 】 日日是好日 パンフレット (映画出演: 樹木希林 黒木華 多部未華子 他)

新品価格
¥1,410から
(2018/11/29 15:03時点)




キャスト&スタッフ


出演者



…(「映画 深夜食堂」など)

…(「密偵」など)

〇鶴田真由

〇郡山冬果

〇山下美月

監督・脚本

〇大森立嗣


2018年製作 日本映画


映画「日日是好日」




あらすじ


大学4年生の典子(黒木華)は、就職先も決まらず、将来の目標も特になくぶらぶらしていると、母(郡山冬果)からお茶に通うことを勧められ、いとこの美智子(多部未華子)と共に武田先生(樹木希林)の茶道教室に通い始める。

全く何も知らない状態で始めたお茶に、典子は様々なことを気付かされるようになり…。



日日是好日2




感想(ネタばれあり)



日日是好日 (2018)


★★★★ [80点]「慌ただしい日々にこそ感じたい静寂の時」



樹木希林さんをしっかりと目に焼き付けるために行ってきたけれど、とても心が洗われて帰ってきた

素敵な映画だった。



主人公の典子(黒木華)が、大学4年生の時、就職先も決まらずにいたところ、母親のススメでいとこの美智子(多部未華子)と一緒に、武田先生(樹木希林)の茶道教室に通い始める。

全く知識のない典子が茶道を習い始めるのを観て、茶道経験のない私も武田先生に教えられる気分で観ていた。



そして「茶道ってゆとりだなぁ」と思った



お茶を立てて飲むまでの間に、様々な作法があって、その一つ一つにゆっくりと時間をかけて、お客様にお茶を出し、お客様はそれを最後の一滴までじっくりと時間をかけていただく。

その間、水の音や、鳥の声を聞き、窓の外の景色を見ながら季節を感じて、今日という良き日に感謝する。



それは、ヨガの瞑想にとても似ていて、じっくりとお茶を立てる時間は、心に「ゆとり」をもたらすんじゃないかと思った。



ご飯を食べる時間すらも慌ただしく過ぎていく日々の中で、一週間に一時間でも、こんな風にゆったりとした時間を過ごすことなんてないなぁと反省した。



そして、メモしておきたい言葉もたくさんあった。

2月に黄色いく花を咲かせるマンサクは「誰よりも早く咲く、まんず咲く」がなまって名付けられた名前だとか、

不苦者有智(福は内)は「苦を知らない者は智を有する」という意味だとか

最も寒い時期に立春があるのは
昔の人が「もうすぐ春だ」と言って寒い辛さを乗り越えるためだ
とか。



昔から、幸せな時も、辛い時も 、人々はお茶を立てながら静寂の時を感じ、お茶を飲んで、様々な日々を過ごしてきたんだなぁ
と思った

そんな日々こそが、日日是好日なんだね

毎日が、とても慌ただしく過ぎていくけれど、少し立ち止まって静寂の時を過ごす時間を作って心にゆとりを作りたいと思った。


Posted by pharmacy_toe on 2018/11/29 with ぴあ映画生活



映画「日日是好日」は、現在U-NEXT で配信中




Twitterでも、映画情報や海外ドラマの情報を発信しています~




Instagramでも映画のレビューを日々更新しています~




ゆるめの映画ネタはこちら→「とにかく映画が好きなんです」【別館】

映画のコラムやイベントに参加した話、音楽やご飯ネタなども掲載しています。

この【本館】よりも、もっとユルッとした裏アカです。

こちらも、ぜひ。
 ↓





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村



Amazon Primeで観る:「日日是好日」

日日是好日

新品価格
¥2,500から
(2019/6/15 17:14時点)



DVDで観る:「日日是好日」

日日是好日 通常版 [DVD]

新品価格
¥3,131から
(2019/6/15 17:19時点)



原作本:「日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

新品価格
¥594から
(2018/11/29 15:02時点)



「日日是好日」映画パンフレット

【 映画パンフレット チラシ2種付き 】 日日是好日 パンフレット (映画出演: 樹木希林 黒木華 多部未華子 他)

新品価格
¥1,410から
(2018/11/29 15:03時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


フランシス・マクドーマンド主演の映画「スリー・ビルボード」を映画館で観た。

アメリカの小さな田舎町で娘をレイプされ殺された女性が、町に看板を3枚の広告看板を作ったことで町民に起こる波紋を描く。


満足度 評価】:★★★★★

これはすごい映画だった!

私にはちょっと恐ろしい映画だった。

この感想にはネタバレを含みます。映画をご覧になってからお読みください

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「スリー・ビルボード」予告編 動画

(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年2月8日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年11月18日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

ネット配信で観る:「スリー・ビルボード」(字幕版)

スリー・ビルボード (字幕版)

新品価格
¥2,500から
(2018/7/16 10:42時点)



DVDで観る:「スリー・ビルボード」

スリー・ビルボード 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

新品価格
¥2,098から
(2018/7/16 10:42時点)



オリジナルサウンドトラック「スリー・ビルボード」

スリー・ビルボード

新品価格
¥2,592から
(2018/2/8 15:20時点)




キャスト&スタッフ


出演者

フランシス・マクドーマンド
…(「プロミスト・ランド」など)

ウディ・ハレルソン
…(「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」、「LBJ ケネディの意志を継いだ男」、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」、「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」、「スウィート17モンスター」、「ファーナス 訣別の朝」など)

サム・ロックウェル
…(「バイス」、「プールサイド・デイズ」、「ギャラクシー・クエスト」、「禁断のケミストリー」など)

〇アビー・コーニッシュ

〇ジョン・ホークス

〇ピーター・ディンクレイジ

ルーカス・ヘッジズ
…(「ある少年の告白」、「レディ・バード」、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」など)


監督

〇マーティン・マクドナー


2017年製作 イギリス映画



スリー・ビルボード




あらすじ



アメリカのミズーリ州にある田舎町エビング。

その町で娘がレイプされ、殺されてから7か月が経ち、業を煮やしたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は事件現場のそばにある3枚の看板に自分の意見広告を掲載する。

「娘がレイプされ殺された」「まだ犯人はつかまっていない」「どうする?ウィロビー署長?」という3枚。

その看板が町に思わぬ波紋を呼ぶことに…。



スリー・ビルボード2




感想(ネタバレあり)


3枚の看板に込められたミルドレッドの希望



これは面白い映画だったなぁ。

ただの看板、されど看板。

町はずれにある3枚の看板が、予期せぬできごとを引き起こす。



娘をレイプされ、殺された女性・ミルドレッドは、町はずれの道路沿いに警察の不手際を告発する3枚の看板を立てる。

「警察は黒人を差別することで忙しく、娘の事件を捜査してくれないから」という理由で。



だからなのか、その看板は赤地に黒文字のみというシンプルな作りながら、その色合いはナチスドイツを思い起こさせる

つまりそれは「警察=ナチ=差別的 である」と言っているように見える

実際に、警察官のディクソン(サム・ロックウェル)はいかにも南部の田舎町にいそうな「差別主義」の白人男性である。

彼は、私たちがニュース映像でよく見る黒人をこん棒で殴っているような南部の保守的な白人警官を象徴しているのだ。



その色合いで警察がいかに差別主義的で無能なのかを皮肉り、その上で、ミルドレッドは「怒り」の感情を文字に乗せている

彼女が、その看板に書いた「警察への3つの告発」とは

「娘がレイプされ殺された」

「犯人はまだ逮捕されていない」

「どうする?ウィロビー署長?」

という3枚。



なぜ、看板は3枚だったのか

それは、それぞれが過去・現在・未来を示している

娘がレイプされたという「過去」、まだ逮捕されていないという「現在」、そしてこれからどうするのかという「未来」



その中で、「未来」の看板にウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)の名前が書かれているのは、ミルドレッドにとってウィロビー署長が未来への希望だったからだ。

南部の小さな田舎町の「差別的な(ナチ的な)警察の中で、最もまともなウィロビー署長」にミルドレッドは期待をかけて、その看板を書いたのだろう。

しかし、ミルドレッドのその希望はもろくも崩れ去っていく…。



スリー・ビルボード4


「秩序」を失った町は感情がエスカレートする



ミルドレッドの希望だったウィロビー署長は病気を苦に自殺してしまう。

これは恐らく、ミルドレッドの「スリー・ビルボード」が掲げられる前から署長が決めていたことなのではないかと思う。



ミルドレッドからしたら、差別主義者ディクソンの手綱を取れるのはウィロビー署長だけだと思ったのだろう。

しかし、ウィロビー署長は自分と家族のことで精いっぱいだったのだ。



そうして、「町の秩序」だった署長がいなくなってしまったことで、町はたががはずれ、やがて町民の感情はエスカレートし、カオスになっていく

ミルドレッドの看板は炎上。

それがディクソンの仕業だと思ったミルドレッドは警察に放火をし、警察署が炎上。

たまたまその場にいたディクソンは全身に大やけどを負ってしまう。

ウィロビー署長という「秩序」を失った町で起きたのは、報復の連鎖だったのだ。



しかし、看板の炎上はディクソンの仕業ではなく、ミルドレッドの元夫の仕業だったのだ。

看板を見て「ブチ切れた」元夫は、怒りに任せて看板に火を放ったのだ。

娘を失ったという思いは、ミルドレッドも元夫も同じながら、表現の仕方はそれぞれ。

その時、既にミルドレッドも、ディクソンも、ミルドレッドの元夫も感情のコントロールができなくなっていた



しかし、ミルドレッドが放火した時、彼女のそばにいたジェームズのナイスプレーによって、ミルドレッドが放火したことはばれずに済んでしまう。

放火された時、警察署で敬愛するウィロビー署長からの手紙を読んでいたディクソンは、大やけどを負ってしまうが、それまでの自分の行いを反省し、その手紙に書かれていた「善い行いができる人間になれ」という言葉に心を動かされる。



そして、ディクソンは、ミルドレッドの娘の事件を解決することがウィロビー署長の言う「善い行い」だと思うようになる。

これは一見、「雨降って地固まる」のように見えるが、ディクソンの怒りの矛先が「レイプ犯」に移っただけなのだ。



スリー・ビルボード3


Twitter村の炎上を連想させる「3つの看板」



そんな「3枚の看板が引き起こす騒乱状態」を観て、私は「Twitterの炎上」を連想した



ミルドレッドが看板に込めた「3つの告発」は、「『Twitter村』に思いをぶちまける3つのつぶやき」である。

「Twitter村」では、そのつぶやきに対し、賛否両論が起きる。

たいていが賛成の声よりも、否定的な声の方が大きく、その声は拡散し、やがて炎上する。



つぶやきが炎上したことで、意気消沈し消えていく者もいれば、さらにつぶやきを連投する者もいる。

また、たとえ数が少なくても彼女を支援する「賛成の声」は、彼女の背中を押し、その声が集まれば集まるほど気持ちは大きくなっていき、「もっとやっていいんだ」という気持ちにさせる

これはTwitterでいえば、「いいね」や「リツイート」の数のことである。



批判の声の中には、命の危険を感じるような脅迫もあり、ひどく落ち込むこともある。

それでも、ミルドレッドは戦い続け、町は騒乱状態になる。

Twitterでいえば、それが「炎上」であり、

ミルドレッドは周りの批判が大きくなればなるほど、アクションを起こすタイプなのだ。

それが、誰も望んでいない「警察への放火」であり、これが次の報復の連鎖へとつながっていく。



そこまでくると、エスカレートした彼女を見た賛同者の中には、ジェームズのように「あなたの進む方向は間違っている」と言って離脱していく者もいる。

しかし、その時には既に気持ちが高ぶっているミルドレッドからしたら、「離脱した人がおかしい」と思い、「去る者は追わず」の状態になっている



さらにエスカレートすると、ミルドレッドが投下した「犯人はまだ見つかっていない」という声に乗じて「犯人探し」が始まり、それはやがて「魔女狩り」へと進展していく



それまで対立し続けていたミルドレッドとディクソンが手を組んで始めたのが、まさに「魔女狩り」だったのだ。

はじめ「怒りの告発」を投下したミルドレッドは、「正義はどこにあるのか」を問いかけたかったはずだ。

その結果として、「差別主義者」のディクソンと手を組んで「レイプ犯探し」をすることは、決して正義ではないし、それはウィロビー署長が望んでいた「善い行い」ではない



周りの「いいね」の声に踊らさせれて、ミルドレッドは「自警団」にでもなった気分になってしまい、行き先を間違えてしまった。

それもこれも、「彼女の希望だったウィロビー署長」が亡くなってしまったことから端を発している。



スリー・ビルボード5


SNSのつぶやきに社会が巻き込まれる現代



アメリカでは、Twitterにおける「大統領のつぶやき」が連日ニュースになっている。

その中で、大統領は自ら新聞社の実名を挙げ「フェイクニュースだ」と怒りのつぶやきをする。

そう言われた新聞社は、大統領批判に熱を込めるようになる。

この負の連鎖反応は、まさに町の秩序(ウィロビー署長)を失った町の騒乱状態と同じである。



SNSでは、毎日のようにそうした「批判合戦」による炎上が起きている。

それを読んだ人たちは、その言葉を「自分の都合のいいように解釈」し、「犯人捜し」をスタートさせてしまう

そこに文字の恐ろしさがある。



ミルドレッドは、ただ「警察に一石を投じたいだけ」だったはずだ。

それが、警察官による暴力事件にまで発展してしまう。

Twitterでも、「死にたい」と言った一言が殺人事件にまで発展していまうのと同じことだ。



多くの人たちが後先を考えずに、気軽に批判をしたり、心情を吐露すると、それが受け取る側の解釈によって、事態は思わぬ方向に進んでいくというのがよくわかる。



もしもこの後、ミルドレッドとディクソンが手を組んで、あの「レイプした可能性がある男」を殺してしまったら、次はどうするのか。

彼は犯人ではないという証拠まであるのに。

また、「可能性のある男」を探し出して、勝手に制裁をくだすのか。

そうやって、どこまで魔女狩りを続けたら満足できるのか



それ以前に、あの男がバーで言った言葉は、ただの「はったりかも」しれないのに



最期はミルドレッドとディクソンのとてもさわやかな表情でこの映画は幕を閉じるが、私はそんな二人を見て、とても暗澹たる気持ちになった。

彼らがやっていることは、明らかに法を超えた「ただの自警団による魔女狩り」に過ぎないから。

ミルドレッドが看板を出した時に望んでいたのは、そんなことではなく、「事実」を知りたかっただけのはずなのに。

ディクソンが警察官ではない以上、そこに正義はないのだ。



それを思うと、現代の私たちはSNSに日常を振り回され過ぎているなと感じた。

著名人の多くのつぶやきが連日炎上し、議論が交わされるが、その結果、この映画のように最後は「犯人捜し」と「魔女狩り」で終わってしまうだけなのだ。

ミルドレッドの娘を思う気持ちには、何度も胸が張り裂けそうになったけれど、残念ながら、このやり方は正しくなかったなと思った。

世の中は、そんな彼女を応援してくれる人ばかりではないのだ。



この映画は、SNSの炎上がニュースをにぎわせている現代を見事に表した作品だった。

そして、その結末が私にはちょっと恐ろしい作品でもあった。








↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村



ネット配信で観る:「スリー・ビルボード」(字幕版)

スリー・ビルボード (字幕版)

新品価格
¥2,500から
(2018/7/16 10:42時点)



DVDで観る:「スリー・ビルボード」

スリー・ビルボード 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

新品価格
¥2,098から
(2018/7/16 10:42時点)



オリジナルサウンドトラック「スリー・ビルボード」

スリー・ビルボード

新品価格
¥2,592から
(2018/2/8 15:20時点)




















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


ルーニー・マーラケイシー・アフレック共演の映画「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー」を試写会で観た。

亡くなってからゴーストとして始まる魂の旅路。


満足度 評価】:★★★★☆

ゴーストの視点で描かれた切ない物語。

生きている人に人生があるように、亡くなってからゴーストとして始まる人生もあるんだと思った。

叙情的で詩的な雰囲気が好き。主演の二人も良い



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』予告編 動画

(原題:A Ghost Story)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年10月31日 試写会にて鑑賞。

・2018年11月14日 感想を掲載。

・2018年11月17日 全国ロードショー。

詳しい上映劇場情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
 ↓
映画『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』公式サイト



オリジナルサウンドトラック:「Ghost Story」

Ghost Story /

新品価格
¥1,367から
(2018/11/14 16:22時点)



【輸入盤】DVD「Ghost Story」

Ghost Story / [Blu-ray] [Import]

新品価格
¥2,287から
(2018/11/14 16:23時点)




キャスト&スタッフ


出演者

ケイシー・アフレック
…(「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、「ザ・ブリザード」、「トリプル9 裏切りのコード」、「ジェシー・ジェームズの暗殺」、「ファーナス 訣別の朝」、「インターステラー」など)


監督

〇デビッド・ロウリー


2017年製作 アメリカ映画



AGhostStory/ア・ゴースト・ストーリー




あらすじ

田舎の一軒家で暮らし始めた若い夫婦。

しかし、ある日突然、夫(ケイシー・アフレック)が交通事故で亡くなってしまう。

悲しみに暮れる日々を暮らす妻(ルーニー・マーラ)だったが、そこへ、夫がシーツを被ったゴーストとなって帰ってくる。

しかし、妻にはそんな夫の姿が見えず…。



AGhostStory/ア・ゴースト・ストーリー2





感想(ネタばれあり)


この映画の感想は「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。


A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー (2017)


★★★★ [80点] 「魂はゴーストとなって生き続ける」


これは、ハロウィンの日に観るのにピッタリの映画だった



主人公は、あるゴーストで、この映画は、そのゴーストが観た世界を描いている。

田舎町にある小さな一軒家で暮らしはじめた夫婦。

ところが、夫(ケイシー・アフレック)が、交通事故で亡くなってしまい、それ以来、夫はゴーストとなって妻(ルーニー・マーラ)を見守り始める。

この映画は、そんな夫が亡くなってから、ゴーストととして、新たな人生を歩み始める姿が描かれる



人が死ぬ時、肉体が死んでも、魂は生き残るという。

それならば、その魂にも感情があるはず



この映画の主人公ゴーストも、初めのうちは、自分の制御できない感情に苦しめられる。

悲しみに暮れる妻に、何もしてあげられない悔しさ。

新しい人生を歩み始める妻への嫉妬。

それまでの幸せだった時を忘れ、ゴーストになってしまった苦しみに怒り狂い、それはポルターガイストとなって現れる。



けれどそのうち、ゴーストは様々な人々の様々な人生を見て「どうにもならない人生」について、学ぶようになる。



これは、「あるゴーストの人生」を描いた作品だった



私たちが死んだ後、魂にはゴーストとしての新たな人生が始まり、そして、私たちがそうであるように、ゴーストも人生のゴールに向かって歩み続ける

そのゴーストの視点で描かれたこの作品は、多くを語らず、叙情的で詩的な雰囲気たっぷりの作品だった



その、とても静かで清らかな空気感が好きだなぁと思った。

最初の方は悲しくて、ボロボロ泣きながら観てた。

演じているルーニー・マーラも、ケイシー・アフレックも、とても良かった。

私たちが「何のためのに生きるのか」と考えるように、ゴーストもまた「何のために死んだのか」を考えるのでは…
そんなことを思った作品だった。


Posted by pharmacy_toe on 2018/11/06 with ぴあ映画生活



AGhostStory/ア・ゴースト・ストーリー3







Twitterでも、映画情報や海外ドラマの情報を発信しています~




Instagramでも映画のレビューを日々更新しています~




ゆるめの映画ネタはこちら→「とにかく映画が好きなんです」【別館】

映画のコラムやイベントに参加した話、音楽やご飯ネタなども掲載しています。

この【本館】よりも、もっとユルッとした裏アカです。

こちらも、ぜひ。
 ↓





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





オリジナルサウンドトラック:「Ghost Story」

Ghost Story /

新品価格
¥1,367から
(2018/11/14 16:22時点)



【輸入盤】DVD「Ghost Story」

Ghost Story / [Blu-ray] [Import]

新品価格
¥2,287から
(2018/11/14 16:23時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


ジム・ジャームッシュ監督、アダム・ドライヴァー主演の映画「パターソン」を映画館で観た。

ニュージャージー州パターソンで暮らすバス運転手パターソンの日常を描く。


満足度 評価】:★★★★★

本当に素敵な映画だったので、一人でも多くの人に観て欲しい作品。



主人公のパターソンが送るシンプルな日常を観て、「これまで常に時間と成果に追われていた自分の生活は何だったんだろう」と思った。

どれだけ、日常生活の中に無駄が多いことか

雑然としている部屋を整理し、不要な物を捨てていくと、本当に大切なものだけが残っていくように

日々の無駄を削り取ることで、本当に大切なことが見えてくることを教えられた作品だった。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「パターソン」予告編 動画

(原題:PATERSON)




更新履歴・公開、販売情報

・2017年12月13日 映画館にて鑑賞した感想を掲載。

・2018年10月28日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



ネット配信で観る:「パターソン」(字幕版)

パターソン(字幕版)

新品価格
¥399から
(2018/10/27 23:44時点)



DVDで観る:「パターソン」

パターソン [Blu-ray]

新品価格
¥3,845から
(2018/10/27 23:45時点)



【Amazon.co.jp限定】パターソン(非売品プレス&ポストカードセット付)DVD

【Amazon.co.jp限定】パターソン (非売品プレス&ポストカードセット付)[DVD]

新品価格
¥4,104から
(2017/12/13 14:36時点)



Paterson(Blu-ray Digital HD)【輸入版】

Paterson (Blu-ray Digital HD)

新品価格
¥2,173から
(2017/8/28 16:36時点)



「ユリイカ」 2017年9月号 特集=ジム・ジャームッシュ

ユリイカ 2017年9月号 特集=ジム・ジャームッシュ ―『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から『パターソン』『ギミー・デンジャー』へ―あるいはイギー・ポップ&ザ・ストゥージズ―

新品価格
¥1,512から
(2017/8/28 16:38時点)





キャスト&スタッフ


出演者

アダム・ドライヴァー
…(「ブラック・クランズマン」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「ローガン・ラッキー」、「沈黙-サイレンス-」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「あなたを見送る7日間」など)

ゴルシフテ・ファラハニ
…(「ワールド・オブ・ライズ」、「マリリン&モナ 踊って、泣いて、輝いて」など)

〇バリー・シャバカ・ヘンリー

永瀬正敏
…(「パンク侍、斬られて候」、「蝶の眠り」、「禅と骨」、「あん」、「紙屋悦子の青春」など)



監督

〇ジム・ジャームッシュ


2016年 アメリカ映画



パターソン



あらすじ


ニュージャージー州パターソンで暮らすバス運転手のパターソン(アダム・ドライヴァー)。

朝起きると妻(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをし、シリアルを食べ、仕事へ向かう。

一日の勤務を終えて家に帰ると、夕飯を食べて、マーヴィンの散歩に行く。

散歩の帰りには、バーに立ち寄り、ビールを飲んで帰る。

そして、空いた時間には、大好きな詩を書く。

それが、パターソンのシンプルな日常だ。



パターソン5



感想(ネタバレあり)


「毎日同じことの繰り返し」は決して「退屈な生活」ではない


毎日同じことの繰り返しにうんざりし

「退屈だな」「何か良いことないかな」「何か新しいことを始めたいな」と思ったことはないだろうか

私の人生は、そんな思いの繰り返しだった。

これまで、常に新しい習い事を見つけては、日々の生活に彩を添えてきた。



そんな私からしたら、パターソンのシンプルすぎる毎日は、価値観を覆すぐらいの衝撃だった。

『同じことを繰り返す毎日』は、決して『退屈』なんかではない

パターソンの生活は、『退屈』なんかではなく、むしろ、『充実した日々』に思えた。

退屈と思われる日常の中には、小さな幸せがたくさん落ちている

今まで、そのことに気づかなかっただけだ。

それに比べて、私のこれまでの人生にはどれだけ無駄が多いことか



いつから『同じことの繰り返し』を『退屈』だと思うようになってしまったんだろうか

日々の小さなできごとに満足できず、まるでテレビドラマのように『ドラマチックな日々』を送れるとでも思っていたんだろうか。

これまで、どうでもいいことに必死になっていた自分が、とてもちっぽけに思えた。



そして、この映画を観終わった頃には、私もパターソンのようなシンプルな生活を送りたいと思うようになっていた。

では、どうすれば、生活から無駄をなくすことができるのか、パターソンの行動を振り返りながら考えようと思う。



パターソン4


小さな喜びを積み重ねて、次の幸せへとつなげていく生き方



この映画の中で大好きなエピソードがある。



カップケーキを作ることが大好きなパターソンの妻が、大量のカップケーキを焼き、フリーマーケットへ売りに行った時のこと。

どうやら、フリマでは大盛況だったらしい。

フリマから帰ってきた妻は、「今日は、300ドルも売れたのよ。お祝いに、ちょっと贅沢をしましょう」と言う。

その夜、2人は近所のモールへでかけ、外食をし、映画を観て帰ってくる。

そして、2人は「今夜は、とても素晴らしい夜だったわね」と語り合う。

さらに、「来週もカップケーキを売って、映画を観に行こう」と約束する。



なんて、素敵な生活なんだろうと思った。

フリマでカップケーキが売れたから、プチ贅沢をしたいと思う気持ちも、

外食をして映画を観ることがちょっとした贅沢だと思える気持ちも。



この時、「300ドルも売れたから、贅沢しましょう」と言った奥さんがとてもステキだなと思ったのだ。

もしも、私だったら、「材料費もあるし、売り上げ300ドルだったら儲けはいくらになるかな」「今後も続けても平気なか」「貯金しておこうかな」と考えてしまう。

なんて私はせこいんだ。

この映画で描かれる喜びや幸せとは、そんなせこい『損得勘定』の中にはない



「カップケーキを売ったら、ちょっと贅沢な暮らしをできる」ことを楽しみにするように

自分が作ったカップケーキを売る楽しみの他に、『売った後の楽しみを』付加させることで

楽しみが倍増し、「来週もやろう」という気持ちへとつながっていく。

そして、もしも、次も売れたら、「カップケーキ屋さんができるかも」という夢へとつながっていくかもしれない。



人生の喜びとは、そうやって小さな喜びを1つずつ積み重ねて、大きくしていくものなんだなということがよく分かる。

フリマのカップケーキの話は、『日々の小さな幸せの積み重ねが、心豊かな生活を作り出す』ことを示す良いエピソードだった。



パターソン2


人生は、もっとシンプルで良い。『詩』がこの映画で伝えるメッセージ



主人公のパターソンの趣味は「詩を書くこと」である。

真っ白いノートに、思いついた詩を書き留める。

時には、大好きなマッチのデザインのことだったり、何気ない日常のことや、愛する妻のことだったり。



文章の中にある、あらゆる無駄をそぎ落としたものが『詩』なのだとしたら

パターソンと、その妻、愛犬マーヴィンの生活は、『詩』そのもの



『詩』こそが、この映画の「人生はもっとシンプルで良い」というメッセージそのものである



そして、この映画の中で紹介されるのが、ニュージャージー州出身の作家、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズである。

永瀬正敏は、この映画の中でウィリアムズの熱心な読者を演じている。

パターソンにとって、永瀬との出会いの場面は、いつもの日常の中で起きたちょっとした驚きの瞬間である。



ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ「ウィリアムズ詩集」

ウィリアムズ詩集 (海外詩文庫)

新品価格
¥1,258から
(2017/8/28 15:36時点)





それまで、愛犬マーヴィンに、ちょっと腹を立てていたパターソン。

頭を冷やすために散歩に出た先で、永瀬との出会い、笑顔を取り戻す。

その瞬間もまた、「何気ない日常がもたらした小さな幸せ」の瞬間である



パターソン3


日常の無駄を捨て、「本当に大切なもの」を探す時間の大切さ



私は、この映画「パターソン」を観て、物や行動に対する見方や考え方がちょっと変わったような気がする。

例えば、日頃している運動が、昨日よりも少し多くできたこととか

ブログのアクセス数が一週間前より少し良かったこととか

それまで、何とも思わなかったようなことを、楽しめるようになった。



つい、「棚からぼたもち」を期待して、刺激的でドラマチックな生活を求めてしまうけれど、

特に何もすることのない日常の中で、ある日突然、幸せが降りかかってくるようなことはない。

全ては、日々の積み重ねなのだ。



目の前にある小さな幸せに感謝する

その積み重ねが次へとつながっていく

そう考えたら、一日の生活の中にたくさんの幸せが落ちている。

そう思えるようになっただけでも、この映画「パターソン」に出会えて本当に良かったなと思った。



なぜ、つい刺激的で、ドラマチックな生活を求めてしまうのか。

私たちの身の回りには、無駄な情報が多すぎて、いろんなことに振り回されているんだなと思った。

パターソンのようにスマホもPCも手放せとは言わないし、パターソンの妻はスマホもPCもタブレットも使っている。

しかし、大量に入ってくる情報の中で、自分が本当に必要としているものだけを選択する目は必要なんだろうと思う。



それに、清貧が美しいわけではないけれど、不要な物や時間にあふれた贅沢すぎる生活が素晴らしいわけでもない。

しかし、無駄が多すぎると、その無駄の中に大切なものが埋もれてしまい、「本当に大切にすべきもの」を見失ってしまう

だから、常に心の中を整理し、無駄なものは捨てていくことが、「大切なものを見失わない」シンプルな生活を送るコツなのではと思う

時には立ち止まって、今、目の前にある幸せは何か、本当に大切にすべきものは何かを考え

それ以外のものは捨てていく時間をつくること。

その時間の大切さを、私はこの映画「パターソン」から教えられた



Twitterでも映画情報を発信しています~








↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村



ネット配信で観る:「パターソン」(字幕版)

パターソン(字幕版)

新品価格
¥399から
(2018/10/27 23:44時点)



DVDで観る:「パターソン」

パターソン [Blu-ray]

新品価格
¥3,845から
(2018/10/27 23:45時点)



【Amazon.co.jp限定】パターソン(非売品プレス&ポストカードセット付)DVD

【Amazon.co.jp限定】パターソン (非売品プレス&ポストカードセット付)[DVD]

新品価格
¥4,104から
(2017/12/13 14:36時点)



ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ「ウィリアムズ詩集」

ウィリアムズ詩集 (海外詩文庫)

新品価格
¥1,258から
(2017/8/28 15:36時点)



Paterson(Blu-ray Digital HD)【輸入版】

Paterson (Blu-ray Digital HD)

新品価格
¥2,173から
(2017/8/28 16:36時点)



「ユリイカ」 2017年9月号 特集=ジム・ジャームッシュ

ユリイカ 2017年9月号 特集=ジム・ジャームッシュ ―『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から『パターソン』『ギミー・デンジャー』へ―あるいはイギー・ポップ&ザ・ストゥージズ―

新品価格
¥1,512から
(2017/8/28 16:38時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


イラン映画「セールスマン」を試写会で観た。

ある夜妻が侵入者により暴行される。妻は警察の捜査を拒み、怒りを募らせた夫はその執念で犯人を突き止めていくサスペンス映画。


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

近代化が急速に進むイランを背景に、ある夫婦を襲った性犯罪とその犯人を追い詰める夫。

そのサスペンスと同時進行する舞台「セールスマンの死」

この二つが見事に重なった時、現実も舞台も絶望しか残されていなかった。

そのどうにもならない悲しみに、私も心が追い詰められたような気分になった。

最後の2人の呆然とした表情がとても印象的。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「セールスマン」予告編 動画

(原題:FORUSHANDE / 英題:THE SALESMAN)



更新履歴・販売情報

・2017年6月10日 試写会で観た感想を掲載。

・2018年8月26日 WOWOWでの放送に合わせて、加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



ネット配信で観る:「セールスマン」(字幕版)

セールスマン(字幕版)

新品価格
¥400から
(2018/8/26 11:19時点)



DVDで観る:「セールスマン」

セールスマン [Blu-ray]

新品価格
¥4,063から
(2018/8/26 11:20時点)



DVD「セールスマンの死」

セールスマンの死 [DVD]

新品価格
¥4,530から
(2017/6/9 23:54時点)



アーサー・ミラー戯曲「セールスマンの死」

アーサー・ミラー〈1〉セールスマンの死 (ハヤカワ演劇文庫)

新品価格
¥1,080から
(2017/6/9 23:55時点)



キャスト&スタッフ


出演者

〇シャハブ・ホセイニ

〇タラネ・アリシュスティ

監督・脚本

〇アスガー・ファルハディ

2016年制作 イラン、フランス合作映画

第89回(2017年)アカデミー賞 外国語映画賞 受賞作品


セールスマン



あらすじ


学校の教師をしているエマッド(シャハブ・ホセイニ)と妻のラナは劇団に所属し、夜は演劇の公演に出演している。

彼らが現在公演しているのはアメリカの戯曲家アーサー・ミラーの書いた「セールスマンの死」である。

夫のエマッドが舞台を終えて家に帰ると、先に帰っているはずの妻ラナ(タラネ・アリシュスティ)が家にいないことに気付く。

そして家には血痕が残されていた。

病院へ行くと、頭に傷を負ったラナが治療を受けており、何者かによってレイプ被害に遭っていたことを知る。

この事件を警察に通報しようとしたエマッドだったが、「誰にも知られたくない」とラナは拒否をし…。



セールスマン2



感想(ネタバレあり)


イランでもiPhoneを使い、アメリカの戯曲を公演し、宅配ピザを食べ、ヘプバーンのポスターを飾る


この映画を観るまで、イランの人々が日頃どんな暮らしをしているのか、よく知らなかった。



映画を観たところ、とても失礼なことを言っているかもしれないが、とても普通の生活をしていることに驚いた。

主人公はiPhoneを使い、普通に車に乗るし、バケットだってピザだってパスタだって普通に食べるし、ヘプバーンのポスターを部屋に飾っている。

つまり、私たちの生活とあまり変わらない光景がそこにはあった。



最近、イランの首都テヘランでは急速に近代化が進んでいるのだという。

そのイランの近代化とシンクロさせているのが、劇中劇の「セールスマンの死」だ。

「セールスマンの死」とは、アメリカの戯曲家アーサー・ミラーが書いた脚本で、第二次大戦後、アメリカが高度経済成長期を迎える中、逆に人々の心が荒んでいく様を描いたものである。

(参考:Wikipedia セールスマンの死



現在のテヘランでは、第二次大戦後のアメリカと同じような高度経済成長期を迎えている。

この映画はその近代化が進むイランと「セールスマンの死」をシンクロさせ、経済発展と共に荒んでいく市民の心を描いた作品である。



セールスマン4



ショッキングな映像がなくても伝わるレイプの悲惨さ


この映画のテーマは「レイプ」である。

ある時妻が見知らぬ男にレイプされ、徐々に怒りを募らせた夫が犯人捜しをする。



しかし、イランの映画である。

イスラム教では、女性が肌を露にすることが許されない。

そのため、実際に妻がレイプ被害に遭っている場面は一切出てこない。



夫がアパートに帰り、インターホンで呼び出しても返答がない。

近所に人に開けてもらうと、階段や部屋の床に血痕がある。

夫が病院に駆け付けた時の妻の状況、助けてくれた近所の人たちの話でレイプされてしまったんだと分かる。



その彼らの演技を観ているだけで、ショッキングな映像なんか一切無くてもレイプの悲惨さは十分に伝わってくる。

夫に声を掛けられた時の妻の怯えたような反応、何も語ることができない状況、そんな彼女についイラついてしまう夫の様子。

それだけで十分だった。



そして、レイプ被害に遭った女性を取り巻く環境や、その周りの人たちの反応はイランも日本も大差ないと思った

一番辛いのは被害者のはずなのに、なぜか、その被害者が「申し訳ない」という気持ちになる



被害女性は恥ずかしい状況に追いやられ、洗いざらい話さなければならないことに恐怖を感じる。

そのうちに「あの時、インターホンを確認しなかったのがいけないんだ」と自分を責めはじめ、被害女性は事件について口をつぐんでしまう。



なぜ、被害女性が罪悪感を背負わなければならないのか

この腹立たしさはイランだけではなく、どの国でも起きていることのように思う



セールスマン5



高度経済成長が市民生活に落とす影


この被害に遭った夫妻は劇団に所属し、夜は公演に出演していた。

その時、公演していたのが「セールスマンの死」である。



イランで、よりによってアメリカの劇作家が書いた戯曲が公演されるなんて、本当に時代は変わったんだなと思った。

さて、その「セールスマンの死」は、かつては敏腕で好き勝手していたセールスマンが、老いと共に売り上げが減り、家庭にも問題を抱えるようになってしまう。

しかし、セールスマンの妻はそんな好き勝手する夫を尊敬し、家庭の問題に悩みながらも献身的に夫を支えていくという夫婦の姿が描かれている。



この映画の中で、その「セールスマン」が象徴しているのが、レイプ犯である加害者である。

加害者にははどんなことがあっても愛しているという献身的な妻と、もうすぐ結婚する娘がいる。

しかし、彼は娘にお金が必要な時にも関わらず、その裏で娼婦にお金を使っていた。



それを知った被害者の夫は加害者の家族を呼び、「そのことを家族に洗いざらいぶちまける」と言う。

すると、以前より心臓の弱かった加害者は急に体調が悪くなり、到着した妻が嘆き悲しむ前で心臓発作を起こしてしまう。

それは「セールスマンの死」のラストシーンで夫の棺の前で嘆き悲しむ妻の姿と全く一緒である。



つまり、被害者夫婦が日頃演じている「セールスマンの死」の実写版が彼らの目の前で展開してしまったのである。

本当はそこで嘆き悲しみたいのは、被害者なのに。



なぜ、加害者の命を必死になって助けようとしなければならないのか。

この時の被害者、被害者の夫、加害者、加害者の家族たちの混乱、矛盾、不条理が「加害者の死」によって絶望へと変わっていく

もうどうにもならない悲しみに暮れる被害者夫妻。

「セールスマンの死」が当時のアメリカに訴えかけたように、イランでも経済発展が市民生活や家庭環境に影を落とし始めているのではと思った。



セールスマン3



トランプ政権に抗議した主演女優


この映画は今年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞した作品である。

この作品を見ることによって、イランという国のレイプや性犯罪に対する考え方が私たちとあまり変わらないと分かったし、何より、彼らの生活が私たと大して変わらないという驚きもあった。

まさか、iPhoneを使い、アメリカの戯曲を公演し、部屋にヘプバーンの絵ポスターが飾ってあるなんて思いもしなかった。



本当に私はイランについて何も知らなかったんだなぁと思った。

ニュースをチラ見しているだけでは世界を知ることはできない。

映画は知らない国を教えてくれる良い先生だ。

何も知らなかった自分への自戒も込めて、「知らない」ということは偏見を生むんだなと思った。



イランは、アメリカがトランプ政権になって「テロ支援7か国」に指定され入国禁止を受けた国である。

主演女優のタラネ・アリシュスティは、そんなトランプ政権に抗議し、アカデミー賞に欠席した人物である。

もしも、そのトランプがこの映画を観たら、なんと思うだろうか。

それでもイランはアメリカに敵対的な国だと言うんだろうか。



むしろ、拒否することで無駄に敵を増やしているようにも見える。

拒否からは何も生まれず、むしろマイナス要因が増えるばかり。

しかし、互いに相手を理解し合おうとすれば新たな関係が生み出される。

イランで暮らす主人公夫婦が「セールスマンの死」を公演しているように、私たちも彼らを拒絶する前に理解することが必要なように思う。


Twitterでも映画や海外ドラマの情報を発信しています~






↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





ネット配信で観る:「セールスマン」(字幕版)

セールスマン(字幕版)

新品価格
¥400から
(2018/8/26 11:19時点)



DVDで観る:「セールスマン」

セールスマン [Blu-ray]

新品価格
¥4,063から
(2018/8/26 11:20時点)



DVD「セールスマンの死」

セールスマンの死 [DVD]

新品価格
¥4,530から
(2017/6/9 23:54時点)



アーサー・ミラー戯曲「セールスマンの死」

アーサー・ミラー〈1〉セールスマンの死 (ハヤカワ演劇文庫)

新品価格
¥1,080から
(2017/6/9 23:55時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック