トム・ハーディ主演の映画「チャイルド44 森に消えた子供たち」をWOWOWで観た。
1953年のソ連。44人もの子供が殺される連続殺人事件が起こり、ソ連の元秘密警察の人間が、地方の警察官と共に捜査を開始するが…
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
共産主義下にあるソ連を舞台にしたサスペンス映画っていうのが面白かったのと、誰が味方で敵か分からないというサスペンスタッチも良かった。
ただ、映画の限られた時間内に説明しきれていない部分があって、疑問点が残ったのが残念なところ。
出演:トム・ハーディ、ノオミ・ラパス、ゲイリー・オールドマン、ジョエル・キナマン、パディ・コンシダイン、ジェイソン・クラーク、ヴァンサン・カッセル、ニコライ・リー・コス
監督:ダニエル・エスピノーサ
◆「チャイルド44 森に消えた子供たち」 Blu-ray
◆原作本「チャイルド44 上巻」 (新潮文庫)
◆原作本「チャイルド44 下巻」 (新潮文庫)
1953年のソ連。
第二次世界大戦でナチスを破った英雄のレオ(トム・ハーディ)は、戦後はMGB(ソ連)に所属。
そこで、子供たちが次々と殺されていく連続殺人事件を担当する。
しかし、その裏で妻のライーサ(ノオミ・ラパス)がスパイだと疑われ、レオはMGBの職を追われ、モスクワから地方の警察官へと格下げに。
ところが、赴任先の地域でも子供を狙った連続殺人事件が起きており、レオはそれがモスクワと同じ犯人と確信。
地元の警察で上官のネステロフ将軍(ゲイリー・オールドマン(「クリミナル 2人の記憶を持つ男」、「裏切りのサーカス」など))と共に捜査を開始する…。

舞台は1953年のソ連。
第二次世界大戦でナチスを倒した後、「そこには楽園がある」というキャッチフレーズと共に共産主義を掲げ、西側諸国との冷戦に突入していた。
しかし、その裏で国民たちは飢えと貧困に苦しみ、孤児院では食べ物も与えられず、餓死していく子供たちが急増していた。
本来あるべき自由を獲得しようと西側に情報を売る者もいれば、ソ連という国の中でのし上がっていこうとするものは、周りの人間を売る者が急増。
自由に正直に生きようとする人間が生き難い世の中になっていた。

そんな中、主人公のレオは孤児院で育つが、食事も与えられない状況から脱出。
逃げ出した先で軍人に拾われ、レオという名前をもらいナチスを倒した立役者として英雄となる。
しかし、「楽園では皆が平等。連続殺人犯などいない」という政策の元、子供たちが殺される事件をかぎまわった結果、上層部から睨まれる存在に。
そして、妻のライーサまでもがスパイとしてはめられてしまう事態になるが、証拠不十分で地方送りに。
その状況を見ていると、「いったい、楽園とは何ぞや」と思う。
当時は日本でも、在日朝鮮人の人たちを北朝鮮に送ったり、貧しい人たちを南米に送った時に
「そこには楽園がある」っていうのがキャッチフレーズだった。
ところが、実際に行ってみれば、そこにあるのは楽園とどころが地獄であり、多くの人が飢えと貧困で苦しんでいた。
その、いかにもゾッとするような時代に人々とどうやって暮らしていたのか。
何も見ず、何も言わずに暮らすのが一番だった時代を恐ろしく思いながら、この映画を観ていた。

その孤児院出身でありながら、英雄となったレオと対照的に登場するのが、連続殺人犯のウラジミールだ。
子供の頃に孤児院で虐待されて過ごした思い出が忘れられず、1人で歩いている子供を見ると声をかけ、同じ目に遭わせた上に殺してしまうという行為を繰り返していた。
それは絶対にやってはいけない行為だけれども、孤児院での出来事から心に傷を負った「楽園」政策の犠牲者の一人だった。
ただ、この映画でちょっと物足りないと思ったのは、このウラジミールについて詳細を描き足りないと思ったところだ。
初めに子供たちの死体が見つかった時、その捜査結果では、「外科的な知識のあるものによる犯行」っていう手がかりがあった。
ところが、見つかったウラジミールは自動車工場で働いていた。
なぜ、そんな専門的な知識を有する人間が自動車工場で勤務を?
また、足をひきずっていたと思うけど、なぜ彼は足をひきずっていた?
など、この犯人ウラジミールについては謎の部分が多く、もう少し丁寧に描いて欲しかったなぁと思う。

とはいえ、冷戦下のソ連を舞台に描かれているという珍しさ、誰が味方で敵か分からないという気持ち悪さ、当時のソ連という国の恐ろしさは十分伝わってきて、楽しめる作品になっていた。
また、アメリカ映画でありながら出演者がほぼほぼヨーロッパ人で占めるというこだわりから、アメリカ英語にはない雰囲気が漂っていたのも面白かった。
(スパイ役で登場するジェイソン・クラークがオーストラリア人で、それ以外はヨーロッパ人)
この映画を観ていて分かるのは、異質な物を排除しようとすればする程、その裏で異質な物は膨張していくというのが良く分かる。
スパイを排除しようとしても裏ではドンドン拡張し、異常者は追いかければ追いかける程、その犯罪のスピードを増していく。
そして、そんな世の中を国は「楽園」と呼ぶ。
そのいびつな世界観をジワジワと楽しむ映画だった。
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1953年のソ連。44人もの子供が殺される連続殺人事件が起こり、ソ連の元秘密警察の人間が、地方の警察官と共に捜査を開始するが…
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
共産主義下にあるソ連を舞台にしたサスペンス映画っていうのが面白かったのと、誰が味方で敵か分からないというサスペンスタッチも良かった。
ただ、映画の限られた時間内に説明しきれていない部分があって、疑問点が残ったのが残念なところ。
出演:トム・ハーディ、ノオミ・ラパス、ゲイリー・オールドマン、ジョエル・キナマン、パディ・コンシダイン、ジェイソン・クラーク、ヴァンサン・カッセル、ニコライ・リー・コス
監督:ダニエル・エスピノーサ
「チャイルド44」予告編 動画
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あらすじ
1953年のソ連。
第二次世界大戦でナチスを破った英雄のレオ(トム・ハーディ)は、戦後はMGB(ソ連)に所属。
そこで、子供たちが次々と殺されていく連続殺人事件を担当する。
しかし、その裏で妻のライーサ(ノオミ・ラパス)がスパイだと疑われ、レオはMGBの職を追われ、モスクワから地方の警察官へと格下げに。
ところが、赴任先の地域でも子供を狙った連続殺人事件が起きており、レオはそれがモスクワと同じ犯人と確信。
地元の警察で上官のネステロフ将軍(ゲイリー・オールドマン(「クリミナル 2人の記憶を持つ男」、「裏切りのサーカス」など))と共に捜査を開始する…。

感想(ネタバレあり)自由で正直に生きることが許されない1953年のソ連
舞台は1953年のソ連。
第二次世界大戦でナチスを倒した後、「そこには楽園がある」というキャッチフレーズと共に共産主義を掲げ、西側諸国との冷戦に突入していた。
しかし、その裏で国民たちは飢えと貧困に苦しみ、孤児院では食べ物も与えられず、餓死していく子供たちが急増していた。
本来あるべき自由を獲得しようと西側に情報を売る者もいれば、ソ連という国の中でのし上がっていこうとするものは、周りの人間を売る者が急増。
自由に正直に生きようとする人間が生き難い世の中になっていた。

「そこには楽園がある」と国民を啓蒙した共産主義
そんな中、主人公のレオは孤児院で育つが、食事も与えられない状況から脱出。
逃げ出した先で軍人に拾われ、レオという名前をもらいナチスを倒した立役者として英雄となる。
しかし、「楽園では皆が平等。連続殺人犯などいない」という政策の元、子供たちが殺される事件をかぎまわった結果、上層部から睨まれる存在に。
そして、妻のライーサまでもがスパイとしてはめられてしまう事態になるが、証拠不十分で地方送りに。
その状況を見ていると、「いったい、楽園とは何ぞや」と思う。
当時は日本でも、在日朝鮮人の人たちを北朝鮮に送ったり、貧しい人たちを南米に送った時に
「そこには楽園がある」っていうのがキャッチフレーズだった。
ところが、実際に行ってみれば、そこにあるのは楽園とどころが地獄であり、多くの人が飢えと貧困で苦しんでいた。
その、いかにもゾッとするような時代に人々とどうやって暮らしていたのか。
何も見ず、何も言わずに暮らすのが一番だった時代を恐ろしく思いながら、この映画を観ていた。

虐げられた子供時代の思い出から抜け出せない連続殺人犯
その孤児院出身でありながら、英雄となったレオと対照的に登場するのが、連続殺人犯のウラジミールだ。
子供の頃に孤児院で虐待されて過ごした思い出が忘れられず、1人で歩いている子供を見ると声をかけ、同じ目に遭わせた上に殺してしまうという行為を繰り返していた。
それは絶対にやってはいけない行為だけれども、孤児院での出来事から心に傷を負った「楽園」政策の犠牲者の一人だった。
ただ、この映画でちょっと物足りないと思ったのは、このウラジミールについて詳細を描き足りないと思ったところだ。
初めに子供たちの死体が見つかった時、その捜査結果では、「外科的な知識のあるものによる犯行」っていう手がかりがあった。
ところが、見つかったウラジミールは自動車工場で働いていた。
なぜ、そんな専門的な知識を有する人間が自動車工場で勤務を?
また、足をひきずっていたと思うけど、なぜ彼は足をひきずっていた?
など、この犯人ウラジミールについては謎の部分が多く、もう少し丁寧に描いて欲しかったなぁと思う。

そこにあるのは「楽園」という名の「地獄」。そのいびつな世界観を楽しむ
とはいえ、冷戦下のソ連を舞台に描かれているという珍しさ、誰が味方で敵か分からないという気持ち悪さ、当時のソ連という国の恐ろしさは十分伝わってきて、楽しめる作品になっていた。
また、アメリカ映画でありながら出演者がほぼほぼヨーロッパ人で占めるというこだわりから、アメリカ英語にはない雰囲気が漂っていたのも面白かった。
(スパイ役で登場するジェイソン・クラークがオーストラリア人で、それ以外はヨーロッパ人)
この映画を観ていて分かるのは、異質な物を排除しようとすればする程、その裏で異質な物は膨張していくというのが良く分かる。
スパイを排除しようとしても裏ではドンドン拡張し、異常者は追いかければ追いかける程、その犯罪のスピードを増していく。
そして、そんな世の中を国は「楽園」と呼ぶ。
そのいびつな世界観をジワジワと楽しむ映画だった。
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