ティモシー・シャラメ主演の映画「君の名前で僕を呼んで」を試写会で観た。
1983年の夏、北イタリアの田舎町で出会ったエリオとオリヴァーのひと夏の恋を描く。
第90回 アカデミー賞(2018年) 脚色賞(ジェームズ・アイヴォリー) 受賞作品。
【満足度 評価】:★★★★★
この映画大好き!!
BLの映画ではあるけれど、LGBTというくくりではなく、人と人が出会って恋をした時の気持ちが全部詰まっている作品だった。
この感想には、結末に関するネタバレを含みます。映画をご覧になってからお読みください。
◆ネット配信で観る:君の名前で僕を呼んで(字幕版)
◆DVDで観る:「君の名前で僕を呼んで」コレクターズ・エディション (初回生産限定)
◆原作本「Call Me By Your Name」【洋書】
◆「君の名前で僕を呼んで」オリジナル・サウンドトラック
〇アーミー・ハマー
…(「ビリーブ 未来への大逆転」、「カーズ/クロスロード」(声の出演)、「フリー・ファイアー」、「コードネーム U.N.K.L.E」、「ソーシャル・ネットワーク」など)
〇マイケル・スタールバーグ
…(「シェイプ・オブ・ウォーター」など)
〇アミラ・カサール
〇エステール・ガレル
2017年製作 イタリア、フランス、ブラジル、アメリカ合作映画
1983年 夏。
イタリア北部にある田舎町で暮らす17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、父(マイケル・スタールバーグ)の研究の手伝いに来たアメリカ人大学生のオリヴァー(マイケル・スタールバーグ)と出会う。
長身で紳士的なオリヴァーは、たちまち町の女性たちを虜にし、エリオもまたオリヴァーのことが気になり始める。
そのオリヴァーへの思いを消すように、エリオは地元の女性マルシア(エステール・ガレル)と付き合うようになるのだが…。
イタリアは恋がよく似合う。
青い空と、自由奔放な国民性とおいしい料理と、美しい景色は恋する人たちを演出する。
この映画の舞台は、北イタリアの田舎町である。
時代は1983年。
この映画の脚本を書いたジェームズ・アイヴォリーの監督作「モーリス」が製作されたのは1988年だから、まだ、それほど人々がゲイに対して寛容ではなかった時代。
北イタリアの田舎町で、少年エリオと、大学生のオリヴァーが出会う。
◆「モーリス」HDニューマスター版 [DVD]
恋に寛容なイタリアの田舎町は、ほどよく人が少なくて、青い空と美しい景色で囲まれた町。
二人の恋は他の町なら許されないものだったけれど、この北イタリアの田舎町だったからこそ開放的になれた。
ロンドンでも、NYでも、LAでも、パリでもなく、北イタリアだからこそ彼らの恋が美しく輝くのだ。
17歳のエリオは、ピアノの才能があり、文学に造詣が深いけれど、まだ恋を知らなかった。
そこへ現れたのが、まるでダビデ像がそのまま人間になったようなオリヴァーだった。
たちまち、エリオはオリヴァーのことが気になり始め、次第に夢中になってしまう。
この映画は、そんなエリオとオリヴァーのボーイズラブ(BL)を描いているけれど、LGBTという枠にとらわれず、人が人を好きになった時の感情、切なさ、恋しさ、苦しさ、嬉しさ、悲しさ、喜び、のすべてが詰まった作品だった。
きっと、これを見た誰もが、エリオの感情に共感し、彼の視線を通して彼の恋に感情がシンクロし、思わず身もだえしながら、胸が引き裂かれるに違いない。
そんな体験型の恋愛映画だった。
この映画を観始めて、いっきに虜になったのは、エリオがオリヴァーを見つめる時の視線だった。
というのも、この映画のカメラ位置がエリオの目の高さにあるからだった。
だから、エリオよりも背が高いオリヴァーを見つめるときは、ちょっと見上げるようなカメラ位置になる。
すると、観客は自然とエリオの気持ちでオリヴァーを見つめるようになる。
この物語が始まったばかりの頃、オリヴァーはエリオの視界の隅っこにいた。
オリヴァーが町にやってきたばかりの頃、町に暮らす若い女の子たちを呼んでみんなでバレーボールをする場面がある。
いかにも文科系のエリオは、そんな彼らを遠目に眺めている。
しかし、私はそんなエリオの視線にドキドキしていた。
視界の端っこにオリヴァーを置き、ぼんやりと背中を見つめているからだった。
これが良い。
視界の端っこにいる「背中」だから、ぼんやりと眺めていられるのだ。
もしも、オリヴァーがこちらを向いていて、うっかり目が合ったりしたら、こちらが恋をしていることが悟られてしまいそうで怖い。
これが、エリオが25歳ぐらいになっていたら、むしろ恋していることを知ってもらうために、ガッツリ正面から眺めていたかもしれない。
17歳で、恋を知らないからこそ、恋を悟られることが怖くて、背中を見ている方が安心なのだ。
だから、その後、エリオの元へボールを取りに来たオリヴァーがエリオの肩に手を置いたとき、戸惑って、つい身体を固くしてしまうのだ。
そのエリオの「こんな感情は初めてだ。どうしよう」という気持ちが、彼の視線に現れている。
なんと繊細な映画なんだろうと思い、私は、そこからエリオの感情にシンクロし、ドキドキしながらオリヴァーを見つめるようになった。
きっと、多くの人がそんなエリオの視線を通して「自分が初恋をした時の初々しい感情」を思い出すに違いない。
それまで恋を知らなかったエリオは、マルシアと身体の関係を持つことで自分に自信をつけ、前よりも積極的にオリヴァーに接するようになる。
そして、エリオとオリヴァーは恋に落ちる。
オリヴァーも出会ったときからエリオのことが気になっていたのだ。
その二人の幸せな時間の中で、最も心に残るのは、映画のタイトルにもなっている「君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼ぶ」という「二人にしかわからない、二人だけの合図」だった。
それはオリヴァーがエリオと幸せな一夜を過ごした後、「君の名前で僕を呼んで」と言い、それに答えるようにエリオはオリヴァーを「エリオ」と呼ぶ。
そして、エリオはオリヴァーが来ていたシャツをもらい、オリヴァーの前でだけ「オリヴァー」になる。
周りの人からしたら、エリオがオリヴァーをエリオと呼ぶのはおかしいと思うけれど、恋する二人にとっては、それが幸せな一夜を思い出す呪文であり、「二人だけにしかわからない」からこそ幸せなのだ。
それは、ドリカムの「未来予想図Ⅱ」の歌詞にある「ブレーキランプ5回点滅 ア・イ・シ・テ・ルのサイン」と同じで、周りの人にはなんてことないことでも、二人にとっては愛を確かめる合図になるのだ。
そうして、二人は時間さえあれば、ちょっとでも触れたくなって指を絡め、他人の視線が無ければキスをして、愛を確かめ合うようになる。
恋をすれば臆病になり、ちょっとした反応で嫌われたかな?と気になって悩み、ちょっとでも離れればすぐに会いたくなる。
私もエリオの視線と表情を通して、彼らの恋を感じ、胸をときめかせ、幸せな気持ちになっていた。
そして、時には息苦しくなり、切なくもなっていた。
しかし、ひと夏の恋は、ひと夏で終わるものなのだ。
私がこの時思い出したのは、ゴールズワージーの小説「林檎の樹」だった。
「林檎の樹」とは、しばらく田舎町で暮らすことになった主人公の青年が、その田舎町の少女と恋に落ち結婚の約束をするが、結婚の準備のために都会に帰った青年は、彼女は田舎にいるからこそ美しいということに気付き、結局、違う女性と結婚してしまうという悲恋の物語だ。
◆小説「林檎の樹」
エリオとオリヴァーの恋も、「林檎の樹」のように誰の視線も感じることなく過ごすことができる北イタリアの田舎町だからこそ、奔放になれたのだ。
この映画が象徴するのは「林檎」ではなく、アプリコットだけど。
オリヴァーが都会へ帰っていったことで、彼らの恋は終了してしまう。
それを感じていたエリオのお父さんは、「悲しみを閉じ込めなくていい。新しい恋で上書きしなくていい。幸せだった時の感情を大切にしなさい」とエリオに優しく語りかける。
お父さんもまた、誰にも言えない恋の経験があるからこそ、エリオの気持ちを理解し、優しく包み込むのだった。
私は、エリオの気持ちを分かっていながら何も言わずに見守っていたお父さんの言葉に号泣してしまった。
そして、夏が終わり冬が来ると、オリヴァーから電話がかかってくる。
オリヴァーは電話口でエリオに悲しいお知らせをしながらも、ため息交じりに「オリヴァー」とエリオを呼ぶ。
それは、互いに愛し合いながら結ばれない二人の切ない悲しみの合図だった。
この後の、火を見つめるエリオのロングショットの中で、お手伝いさんのマファルダから「エリオ」と声をかけられながら、気付かない場面がある。
その時、エリオはオリヴァーだったのだ。
私はそんなエリオを眺めながら、涙が止まらなかった。
そこまで2時間かけてエリオの恋を追体験していたからこそ、その最後の電話には私も胸が張り裂けそうであり、観終わってから、しばらくの間、胸の痛みがとれなかった。
さすがに、この恋には終わりがあると分かっていたものの、あの青い空の下で、ふたりは永遠に幸せであって欲しいと思ったいたのだ。
しかし、夏は終わり、冬になると雪が降り、あの美しい景色はなくなってしまう。
二人の恋は、あの夏だけのできごとなのだ。
こんなにリアルに恋の切なさが伝わってくる映画もなかなかない。
明らかにBLの映画ではあるけれど、LGBTというくくりではなく、人が人に恋した時の感情のすべてを表現している素晴らしい映画だと思う。
これは、恋をしたことがある全ての人におススメの映画である。
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◆DVDで観る:「君の名前で僕を呼んで」コレクターズ・エディション (初回生産限定)
◆原作本「Call Me By Your Name」【洋書】
◆「君の名前で僕を呼んで」オリジナル・サウンドトラック
1983年の夏、北イタリアの田舎町で出会ったエリオとオリヴァーのひと夏の恋を描く。
第90回 アカデミー賞(2018年) 脚色賞(ジェームズ・アイヴォリー) 受賞作品。
【満足度 評価】:★★★★★
この映画大好き!!
BLの映画ではあるけれど、LGBTというくくりではなく、人と人が出会って恋をした時の気持ちが全部詰まっている作品だった。
この感想には、結末に関するネタバレを含みます。映画をご覧になってからお読みください。
目次
「君の名前で僕を呼んで」予告編 動画
(原題:Call Me by Your Name)更新履歴・公開、販売情報
・2018年3月8日 試写会で観た感想を掲載。
・2019年2月24日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
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◆原作本「Call Me By Your Name」【洋書】
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◆「君の名前で僕を呼んで」オリジナル・サウンドトラック
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キャスト&スタッフ
出演者
〇アーミー・ハマー
…(「ビリーブ 未来への大逆転」、「カーズ/クロスロード」(声の出演)、「フリー・ファイアー」、「コードネーム U.N.K.L.E」、「ソーシャル・ネットワーク」など)
〇マイケル・スタールバーグ
…(「シェイプ・オブ・ウォーター」など)
〇アミラ・カサール
〇エステール・ガレル
監督
…(「サスペリア」など)
脚本
〇ジェームズ・アイヴォリー2017年製作 イタリア、フランス、ブラジル、アメリカ合作映画

あらすじ
1983年 夏。
イタリア北部にある田舎町で暮らす17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、父(マイケル・スタールバーグ)の研究の手伝いに来たアメリカ人大学生のオリヴァー(マイケル・スタールバーグ)と出会う。
長身で紳士的なオリヴァーは、たちまち町の女性たちを虜にし、エリオもまたオリヴァーのことが気になり始める。
そのオリヴァーへの思いを消すように、エリオは地元の女性マルシア(エステール・ガレル)と付き合うようになるのだが…。

感想(ネタバレあり)
1983年の夏、北イタリアの田舎町で出会ったふたり
イタリアは恋がよく似合う。
青い空と、自由奔放な国民性とおいしい料理と、美しい景色は恋する人たちを演出する。
この映画の舞台は、北イタリアの田舎町である。
時代は1983年。
この映画の脚本を書いたジェームズ・アイヴォリーの監督作「モーリス」が製作されたのは1988年だから、まだ、それほど人々がゲイに対して寛容ではなかった時代。
北イタリアの田舎町で、少年エリオと、大学生のオリヴァーが出会う。
◆「モーリス」HDニューマスター版 [DVD]
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恋に寛容なイタリアの田舎町は、ほどよく人が少なくて、青い空と美しい景色で囲まれた町。
二人の恋は他の町なら許されないものだったけれど、この北イタリアの田舎町だったからこそ開放的になれた。
ロンドンでも、NYでも、LAでも、パリでもなく、北イタリアだからこそ彼らの恋が美しく輝くのだ。
17歳のエリオは、ピアノの才能があり、文学に造詣が深いけれど、まだ恋を知らなかった。
そこへ現れたのが、まるでダビデ像がそのまま人間になったようなオリヴァーだった。
たちまち、エリオはオリヴァーのことが気になり始め、次第に夢中になってしまう。
この映画は、そんなエリオとオリヴァーのボーイズラブ(BL)を描いているけれど、LGBTという枠にとらわれず、人が人を好きになった時の感情、切なさ、恋しさ、苦しさ、嬉しさ、悲しさ、喜び、のすべてが詰まった作品だった。
きっと、これを見た誰もが、エリオの感情に共感し、彼の視線を通して彼の恋に感情がシンクロし、思わず身もだえしながら、胸が引き裂かれるに違いない。
そんな体験型の恋愛映画だった。

視界の端っこにいるオリヴァーの背中をぼんやりと眺める17歳の純情
この映画を観始めて、いっきに虜になったのは、エリオがオリヴァーを見つめる時の視線だった。
というのも、この映画のカメラ位置がエリオの目の高さにあるからだった。
だから、エリオよりも背が高いオリヴァーを見つめるときは、ちょっと見上げるようなカメラ位置になる。
すると、観客は自然とエリオの気持ちでオリヴァーを見つめるようになる。
この物語が始まったばかりの頃、オリヴァーはエリオの視界の隅っこにいた。
オリヴァーが町にやってきたばかりの頃、町に暮らす若い女の子たちを呼んでみんなでバレーボールをする場面がある。
いかにも文科系のエリオは、そんな彼らを遠目に眺めている。
しかし、私はそんなエリオの視線にドキドキしていた。
視界の端っこにオリヴァーを置き、ぼんやりと背中を見つめているからだった。
これが良い。
視界の端っこにいる「背中」だから、ぼんやりと眺めていられるのだ。
もしも、オリヴァーがこちらを向いていて、うっかり目が合ったりしたら、こちらが恋をしていることが悟られてしまいそうで怖い。
これが、エリオが25歳ぐらいになっていたら、むしろ恋していることを知ってもらうために、ガッツリ正面から眺めていたかもしれない。
17歳で、恋を知らないからこそ、恋を悟られることが怖くて、背中を見ている方が安心なのだ。
だから、その後、エリオの元へボールを取りに来たオリヴァーがエリオの肩に手を置いたとき、戸惑って、つい身体を固くしてしまうのだ。
そのエリオの「こんな感情は初めてだ。どうしよう」という気持ちが、彼の視線に現れている。
なんと繊細な映画なんだろうと思い、私は、そこからエリオの感情にシンクロし、ドキドキしながらオリヴァーを見つめるようになった。
きっと、多くの人がそんなエリオの視線を通して「自分が初恋をした時の初々しい感情」を思い出すに違いない。

ふたりだけにしかわからない、幸せな夜を思い出すための呪文
それまで恋を知らなかったエリオは、マルシアと身体の関係を持つことで自分に自信をつけ、前よりも積極的にオリヴァーに接するようになる。
そして、エリオとオリヴァーは恋に落ちる。
オリヴァーも出会ったときからエリオのことが気になっていたのだ。
その二人の幸せな時間の中で、最も心に残るのは、映画のタイトルにもなっている「君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼ぶ」という「二人にしかわからない、二人だけの合図」だった。
それはオリヴァーがエリオと幸せな一夜を過ごした後、「君の名前で僕を呼んで」と言い、それに答えるようにエリオはオリヴァーを「エリオ」と呼ぶ。
そして、エリオはオリヴァーが来ていたシャツをもらい、オリヴァーの前でだけ「オリヴァー」になる。
周りの人からしたら、エリオがオリヴァーをエリオと呼ぶのはおかしいと思うけれど、恋する二人にとっては、それが幸せな一夜を思い出す呪文であり、「二人だけにしかわからない」からこそ幸せなのだ。
それは、ドリカムの「未来予想図Ⅱ」の歌詞にある「ブレーキランプ5回点滅 ア・イ・シ・テ・ルのサイン」と同じで、周りの人にはなんてことないことでも、二人にとっては愛を確かめる合図になるのだ。
そうして、二人は時間さえあれば、ちょっとでも触れたくなって指を絡め、他人の視線が無ければキスをして、愛を確かめ合うようになる。
恋をすれば臆病になり、ちょっとした反応で嫌われたかな?と気になって悩み、ちょっとでも離れればすぐに会いたくなる。
私もエリオの視線と表情を通して、彼らの恋を感じ、胸をときめかせ、幸せな気持ちになっていた。
そして、時には息苦しくなり、切なくもなっていた。

ふたりの恋は「アプリコットの樹」
しかし、ひと夏の恋は、ひと夏で終わるものなのだ。
私がこの時思い出したのは、ゴールズワージーの小説「林檎の樹」だった。
「林檎の樹」とは、しばらく田舎町で暮らすことになった主人公の青年が、その田舎町の少女と恋に落ち結婚の約束をするが、結婚の準備のために都会に帰った青年は、彼女は田舎にいるからこそ美しいということに気付き、結局、違う女性と結婚してしまうという悲恋の物語だ。
◆小説「林檎の樹」
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エリオとオリヴァーの恋も、「林檎の樹」のように誰の視線も感じることなく過ごすことができる北イタリアの田舎町だからこそ、奔放になれたのだ。
この映画が象徴するのは「林檎」ではなく、アプリコットだけど。
オリヴァーが都会へ帰っていったことで、彼らの恋は終了してしまう。
それを感じていたエリオのお父さんは、「悲しみを閉じ込めなくていい。新しい恋で上書きしなくていい。幸せだった時の感情を大切にしなさい」とエリオに優しく語りかける。
お父さんもまた、誰にも言えない恋の経験があるからこそ、エリオの気持ちを理解し、優しく包み込むのだった。
私は、エリオの気持ちを分かっていながら何も言わずに見守っていたお父さんの言葉に号泣してしまった。
そして、夏が終わり冬が来ると、オリヴァーから電話がかかってくる。
オリヴァーは電話口でエリオに悲しいお知らせをしながらも、ため息交じりに「オリヴァー」とエリオを呼ぶ。
それは、互いに愛し合いながら結ばれない二人の切ない悲しみの合図だった。
この後の、火を見つめるエリオのロングショットの中で、お手伝いさんのマファルダから「エリオ」と声をかけられながら、気付かない場面がある。
その時、エリオはオリヴァーだったのだ。
私はそんなエリオを眺めながら、涙が止まらなかった。
そこまで2時間かけてエリオの恋を追体験していたからこそ、その最後の電話には私も胸が張り裂けそうであり、観終わってから、しばらくの間、胸の痛みがとれなかった。
さすがに、この恋には終わりがあると分かっていたものの、あの青い空の下で、ふたりは永遠に幸せであって欲しいと思ったいたのだ。
しかし、夏は終わり、冬になると雪が降り、あの美しい景色はなくなってしまう。
二人の恋は、あの夏だけのできごとなのだ。
こんなにリアルに恋の切なさが伝わってくる映画もなかなかない。
明らかにBLの映画ではあるけれど、LGBTというくくりではなく、人が人に恋した時の感情のすべてを表現している素晴らしい映画だと思う。
これは、恋をしたことがある全ての人におススメの映画である。

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「君の名前で僕を呼んで」で主演男優賞にノミネートされているティモシー・シャラメが共演者アーミー・ハマーと仲良く2ショット。#アカデミー賞 https://t.co/tN67GDnZW6
2018/03/05 09:43:16
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toe@とにかく映画が好きなんです@pharmacy_toe
アカデミー賞 脚色賞 受賞作品
2018/03/05 23:10:34
「 #君の名前で僕を呼んで #CMBYN 」の試写会に行ってきた
これは大好き!
LGBTというくくりではなく
人が人に恋する時の切なさ、恋しさ、嬉しさ、悲しさ、喜びの全てがここに詰め込まれていて… https://t.co/Doo7HedJwo
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