ヒョンビン主演、ユ・ヘジン共演の韓国映画「コンフィデンシャル/共助」を試写会で観た。
北朝鮮から流出した偽ドル札の原板を追う北朝鮮の刑事が、韓国の刑事と共助操作で犯人を追跡するアクション映画。
【満足度 評価】:★★★★☆
面白かったーー!!
ヒョンビンかっこいい、アクションかっこいい、笑えるとこもたくさんあるし、南北関係にも思いをはせる。
そんな映画だった。
この感想にはラストに関するネタバレが含まれています。映画をご覧になってからお読みください。
◆ネット配信で観る:「コンフィデンシャル/共助」(字幕版)
◆DVDで観る:「コンフィデンシャル/共助」
…(「王の涙 イ・サンの決断」など)
〇ユ・ヘジン
…(「1987、ある闘いの真実」、「タクシー運転手 約束は海を越えて」、「LUCK-KEY/ラッキー」、「国選弁護人 ユン・ジンウォン」、「あいつだ」、「極秘捜査」など)
〇ユナ(少女時代)
2017年製作 韓国映画
北朝鮮の刑事チョルリョン(ヒョンビン)は、上官のギソン(キム・ジュヒョク)によって奪われ、韓国に流出した北朝鮮の偽ドル札(スーパーノート)の原板を追って韓国のソウルへ向かう。
ソウルでは韓国の刑事・ジンテ(ユ・ヘジン)と共に共助捜査を行うのだが、スーパーノートの存在は極秘事項であり、ジンテに明かすことができない。
一方でジンテは、チョルリョンが「何を隠しているのか」を探るため、自宅に招いたり妻の手料理でもてなしたり、「人情で心を開かせる作戦」に出るのだが、ちょっとでも目を離すとチョルリョンは単独で行動をしていて…。

この記事を書いているのは2018年2月。
もうすぐ、韓国の平昌では冬季オリンピックが開かれてようとしていて、韓国と北朝鮮で「合同チーム」を作るか、作らないかがニュースで報じられている。
きっと私たちが思う以上に、選手同士が「共に手を組む」ことの難しさがあるに違いない。
ちょっと軽めではあるけれど、その「難しさ」を描いたのが、この映画『コンフィデンシャル/共助』である。
はじまりは北朝鮮だった。
北朝鮮では「スーパーノート」(ずいぶん久しぶりに聞いた)と言われる偽ドル札を大量に印刷していた。
しかし、その原版が幹部兵士ギソン(キム・ジュヒョク)によって持ち去られ、韓国へ流出。
この世に存在していないはずのスーパーノートの原版が流出してしまった北朝鮮では、ギソンを犯罪者として国際手配し、近々行われる首脳会議に合わせて刑事・チョルリョン(ヒョンビン)を韓国へ送り込む。
韓国では、刑事・ジンテ(ユ・ヘジン)に共助捜査としてチョルリョンの相手をさせ、北朝鮮の「本当の狙い」を探る。
しかし、このチョルリョンがスーパーエリート刑事で、ジンテの監視をすり抜けてギソンを追い詰めていく…。
ストーリーだけを追うと、なんだかとてもシリアスな感じがするが、随所に笑えるところもあるし、アクションも迫力があって、「リーサルウェポン」のようなバディムービーに仕上がっていた。
ヒョンビンのアクションがかっこよく、ユ・ヘジンの三枚目っぷりに笑いつつ、韓国と北朝鮮の関係も感じ取ることができるエンターテインメント娯楽作品だった。
北朝鮮の刑事・チョルリョンは「国の命令が絶対」の完全無欠なエリート。
感情を表に出すことはなく、自分の目標に向かって狙った獲物にまっしぐら。
しかし、そんな彼も、その裏では殺された妻の復讐を誓っていた。
当然、北朝鮮はチョルリョンのそんな「復讐心」を利用していた部分もあったに違いない。
一方で、ジンテは「うだつの上がらない」刑事である。
家族をこよなく愛し、目の前にいる犯罪者にも逃げられてしまうような、そんな刑事だ。
韓国でよくあるタイプの「ワイロを使ってうまく立ち回る」ような悪いこともできないジンテは、日本でいえば下町にいるような「人情派」であり、完ぺき主義で全く愛想のないチョルリョンとは対照的である。
完ぺき主義者の二枚目と、人情派の三枚目のバディムービーと聞けば、ありがちなコンビのように聞こえるけれど、実は、そこには現在の南北関係が反映されているのである。
南北の上層部は互いに「本当の狙い」を隠し、腹の探り合いをする中で、現場にいる南北の国民同士、チョルリョンとジンテは時間を追うごとに心の距離が近くなっていた。
愛想もなく、無表情で感情を表に出さないチョルリョンだったが、次第に「人情派」のジンテの「おもてなし」により、少しずつ「凍っていた心」が溶けていき、次第に自分の身の上を話すようになる。
そして、チョルリョンとジンテの凸凹コンビも、「バディ」らしいコンビへと変化していく。
そのジンテのチョルリョンに対する「おもてなし」は、韓国の「太陽政策」を象徴している。
「太陽政策」とは、軍事的な圧力よりも、人情や人間同士の交流で関係を融和させていくというもの。
しかし、その家族との会話の中でジンテの妻や義理の妹が「北朝鮮の人が飢えてるなんて、そんなぁ」と苦笑いする場面がある。
それに対してジンテは「お前らも少しは新聞を読め」とたしなめる。
そこには「主婦や若い人たちは政治に無関心」という、ややステレオタイプ的な描き方だけれども、「北朝鮮の現状が韓国に伝わっていない」という皮肉が込められている。
「太陽政策」で北朝鮮との関係を改善しようとしたけれども、進展は見られず、国は積極的には北朝鮮の現状を知らせていない一面があることがそこから見受けられる。
その現状があっての、これはチョルリョンとジンテの南北バディなのだ。
ほぼほぼ殺人兵器と化したチョルリョンの頑なになった心を、ジンテの温かいもてなしがその心を溶かし、最後にはチョルリョンがジンテを「ヒョン(兄貴)」と呼ぶまでになる。
この二人の活躍と兄弟になるまでの過程には、韓国国民の願いが込めれられているように思う。
大事なのは、国同士の問題よりも国民同士の心の交流なのだ。
聞くところによれば、この映画は韓国で「上半期ナンバー1」の大ヒットになったのだとか。
もちろん、アクションと笑いが融合したそのエンターテインメント性が受けた結果だと思う。
しかし、そこには韓国国民の「南北統一の願い」が表れているのではと思った。
この映画の中で統一が語られることはないけれど、映画のラストでは、またしても合同捜査をしなければならない事件が起きて、次はジンテが北朝鮮へと向かうシーンで終わっている。
そこには、こういった「人的交流」の機会がどんどん増えていけばいいという希望が込めれれている。
とはいえ、今回の平昌オリンピックで、南北合同チームを作るにあたって、韓国国内からの反発の声が上がっているという。
映画と現実の違いを痛切に感じる平昌オリンピックなのである。
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◆ネット配信で観る:「コンフィデンシャル/共助」(字幕版)
◆DVDで観る:「コンフィデンシャル/共助」
北朝鮮から流出した偽ドル札の原板を追う北朝鮮の刑事が、韓国の刑事と共助操作で犯人を追跡するアクション映画。
【満足度 評価】:★★★★☆
面白かったーー!!
ヒョンビンかっこいい、アクションかっこいい、笑えるとこもたくさんあるし、南北関係にも思いをはせる。
そんな映画だった。
この感想にはラストに関するネタバレが含まれています。映画をご覧になってからお読みください。
目次
「コンフィデンシャル/共助」予告編 動画
(原題:공조)更新履歴・公開、販売情報
・2018年2月1日 試写会にて観た感想を掲載。
・2019年3月8日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
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キャスト&スタッフ
出演者
〇ヒョンビン…(「王の涙 イ・サンの決断」など)
〇ユ・ヘジン
…(「1987、ある闘いの真実」、「タクシー運転手 約束は海を越えて」、「LUCK-KEY/ラッキー」、「国選弁護人 ユン・ジンウォン」、「あいつだ」、「極秘捜査」など)
…(「復讐のトリック」など)
〇ユナ(少女時代)
監督
〇キム・ソンウン2017年製作 韓国映画

あらすじ
北朝鮮の刑事チョルリョン(ヒョンビン)は、上官のギソン(キム・ジュヒョク)によって奪われ、韓国に流出した北朝鮮の偽ドル札(スーパーノート)の原板を追って韓国のソウルへ向かう。
ソウルでは韓国の刑事・ジンテ(ユ・ヘジン)と共に共助捜査を行うのだが、スーパーノートの存在は極秘事項であり、ジンテに明かすことができない。
一方でジンテは、チョルリョンが「何を隠しているのか」を探るため、自宅に招いたり妻の手料理でもてなしたり、「人情で心を開かせる作戦」に出るのだが、ちょっとでも目を離すとチョルリョンは単独で行動をしていて…。

感想(ネタバレあり)
アクション満載で笑える南北バディムービー
この記事を書いているのは2018年2月。
もうすぐ、韓国の平昌では冬季オリンピックが開かれてようとしていて、韓国と北朝鮮で「合同チーム」を作るか、作らないかがニュースで報じられている。
そこには、両国の首脳同士の思惑があるのだが、その思惑に振り回される選手たちも大変だろうし、気の毒だ。
きっと私たちが思う以上に、選手同士が「共に手を組む」ことの難しさがあるに違いない。
ちょっと軽めではあるけれど、その「難しさ」を描いたのが、この映画『コンフィデンシャル/共助』である。
はじまりは北朝鮮だった。
北朝鮮では「スーパーノート」(ずいぶん久しぶりに聞いた)と言われる偽ドル札を大量に印刷していた。
しかし、その原版が幹部兵士ギソン(キム・ジュヒョク)によって持ち去られ、韓国へ流出。
この世に存在していないはずのスーパーノートの原版が流出してしまった北朝鮮では、ギソンを犯罪者として国際手配し、近々行われる首脳会議に合わせて刑事・チョルリョン(ヒョンビン)を韓国へ送り込む。
韓国では、刑事・ジンテ(ユ・ヘジン)に共助捜査としてチョルリョンの相手をさせ、北朝鮮の「本当の狙い」を探る。
しかし、このチョルリョンがスーパーエリート刑事で、ジンテの監視をすり抜けてギソンを追い詰めていく…。
ストーリーだけを追うと、なんだかとてもシリアスな感じがするが、随所に笑えるところもあるし、アクションも迫力があって、「リーサルウェポン」のようなバディムービーに仕上がっていた。
ヒョンビンのアクションがかっこよく、ユ・ヘジンの三枚目っぷりに笑いつつ、韓国と北朝鮮の関係も感じ取ることができるエンターテインメント娯楽作品だった。

国の命令が絶対の北朝鮮刑事 VS 人情派の韓国刑事
北朝鮮の刑事・チョルリョンは「国の命令が絶対」の完全無欠なエリート。
感情を表に出すことはなく、自分の目標に向かって狙った獲物にまっしぐら。
しかし、そんな彼も、その裏では殺された妻の復讐を誓っていた。
当然、北朝鮮はチョルリョンのそんな「復讐心」を利用していた部分もあったに違いない。
一方で、ジンテは「うだつの上がらない」刑事である。
家族をこよなく愛し、目の前にいる犯罪者にも逃げられてしまうような、そんな刑事だ。
彼が共助捜査に選ばれたのは、チョルリョンに時間稼ぎのために観光案内をさせるためで、「仕事ができないからこそ」選ばれた人間だった。
韓国としては、チョルリョンにいろいろと国内を嗅ぎ回られては困ると考えたのだ。
韓国でよくあるタイプの「ワイロを使ってうまく立ち回る」ような悪いこともできないジンテは、日本でいえば下町にいるような「人情派」であり、完ぺき主義で全く愛想のないチョルリョンとは対照的である。
完ぺき主義者の二枚目と、人情派の三枚目のバディムービーと聞けば、ありがちなコンビのように聞こえるけれど、実は、そこには現在の南北関係が反映されているのである。

「人情派」のジンテが示す「太陽政策」
南北の上層部は互いに「本当の狙い」を隠し、腹の探り合いをする中で、現場にいる南北の国民同士、チョルリョンとジンテは時間を追うごとに心の距離が近くなっていた。
愛想もなく、無表情で感情を表に出さないチョルリョンだったが、次第に「人情派」のジンテの「おもてなし」により、少しずつ「凍っていた心」が溶けていき、次第に自分の身の上を話すようになる。
そして、チョルリョンとジンテの凸凹コンビも、「バディ」らしいコンビへと変化していく。
そのジンテのチョルリョンに対する「おもてなし」は、韓国の「太陽政策」を象徴している。
「太陽政策」とは、軍事的な圧力よりも、人情や人間同士の交流で関係を融和させていくというもの。
だからこそ、ジンテはチョルリョンを自宅へ招くのだ。
そして、ジンテの家族との会話でチョルリョンは少しずつ心を開いていく。
しかし、その家族との会話の中でジンテの妻や義理の妹が「北朝鮮の人が飢えてるなんて、そんなぁ」と苦笑いする場面がある。
それに対してジンテは「お前らも少しは新聞を読め」とたしなめる。
そこには「主婦や若い人たちは政治に無関心」という、ややステレオタイプ的な描き方だけれども、「北朝鮮の現状が韓国に伝わっていない」という皮肉が込められている。
「太陽政策」で北朝鮮との関係を改善しようとしたけれども、進展は見られず、国は積極的には北朝鮮の現状を知らせていない一面があることがそこから見受けられる。
その現状があっての、これはチョルリョンとジンテの南北バディなのだ。
ほぼほぼ殺人兵器と化したチョルリョンの頑なになった心を、ジンテの温かいもてなしがその心を溶かし、最後にはチョルリョンがジンテを「ヒョン(兄貴)」と呼ぶまでになる。
この二人の活躍と兄弟になるまでの過程には、韓国国民の願いが込めれられているように思う。
大事なのは、国同士の問題よりも国民同士の心の交流なのだ。

国民の願いを乗せて映画は大ヒット
聞くところによれば、この映画は韓国で「上半期ナンバー1」の大ヒットになったのだとか。
もちろん、アクションと笑いが融合したそのエンターテインメント性が受けた結果だと思う。
しかし、そこには韓国国民の「南北統一の願い」が表れているのではと思った。
この映画の中で統一が語られることはないけれど、映画のラストでは、またしても合同捜査をしなければならない事件が起きて、次はジンテが北朝鮮へと向かうシーンで終わっている。
そこには、こういった「人的交流」の機会がどんどん増えていけばいいという希望が込めれれている。
とはいえ、今回の平昌オリンピックで、南北合同チームを作るにあたって、韓国国内からの反発の声が上がっているという。
やはり、現実は映画のようにはいかないのだ。
映画では描ききれない「生の人間の心情」というものがあるんだなぁと感じた。
映画と現実の違いを痛切に感じる平昌オリンピックなのである。
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『コンフィデンシャル 共助』クールな北朝鮮刑事と人情派の韓国刑事。二人の関係性には南北統一の夢が反映されているけど、そんな政治的なことを知らなくてもアクションは派手でカッコいいし、笑える場面も多々あって楽しい娯楽作だった #共助感想 https://t.co/rmS6MviRXi
2018/01/26 12:11:36
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