イルファン・カーン主演の映画「めぐり逢わせのお弁当」をWOWOWで観た。
夫のために作ったお弁当が、違う人にご配送されたことでめぐり逢うサージャンとイラの心の交流の物語。
【満足度 評価】:★★★★☆
美味しいご飯は人の心を温かくするように、観ていて心が温かくなる映画だった。
暑い夏は、暑いインドの映画がピッタリだと思った(笑)
出演:イルファン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー
監督:リテーシュ・バトラ
◆「めぐり逢わせのお弁当」DVD
主婦のイラ(ニムラト・カウル)は、最近、夫との仲があまりうまくいってないので、心のこもったお弁当でその心を取り戻そうとしていた。
ところが、イラの作ったお弁当は配送システムにより、夫ではない人、サージャン(イルファン・カーン)に届いていた。
一つも残さず、夫よりもキレイに食べてくれたことに感動したイラは、サージャンに「残さずきれいに食べてくれてありがとう」と手紙を入れる。
すると、サージャンから「今日は塩味が少し強かった」とだけ返事があり、それをきっかけに2人の文通が始まるのだが…。

まず、ビックリしたことがある。
それは、インドのムンバイで行われているお弁当配送システム「ダッバーワーラー」だ。
このシステムは、各家庭で作られたお弁当を夫の職場へ届けるサービスである。
この映画で観て初めて知ったので、ちょっと調べてみたところ、始まりはインドがイギリス統治下だった時代という。
その頃、イギリスの企業で働くインド人たちはイギリス式の食事にうんざりしており(笑)
また、人種の階級によるカースト制が厳しく定められていたインドでは、下級のクラスの人間が作ったお弁当を食べられないという上流階級の人間がいたという。
そこで、各家庭で作ったお弁当を届けさせることから、このシステムが始まったそう。
その上、インドでは宗教的な事情から食べれられるものに制限がある人たちもおり、このシステムが広まるのに拍車がかかったという。
なるほどね。
ちなみに、独身の男性には配送までやってくれるお弁当屋さんがある。
現在では、このダッバーワーラーの誤配送は600万個に1個だそうで。
その天文学的な数字は、どうやって出したんだろうね(笑)
数字に強いインド人が出したんだから間違いないと思うけど、かなりモリモリな感じもインドらしくて良い(笑)
この映画では、その600万分の1の誤配送の奇跡が産んだ物語が描かれている。

「女は男の胃袋をつかめ」…器量の良くない女は料理で勝負しろと日本ではよく言われる。
この映画の主人公イラは、夫との仲がうまくいっていないため、心のこもった料理で夫の愛情を取り戻そうと熱心にお弁当を作る。
ところが、そのお弁当はダッバーワーラーの誤配送で、違う人、サージャンに届いてしまう。
サージャンは独身で、お弁当屋さんに頼んでいるので、そこからのお弁当なのかと勘違いする。
そこからのイラの行動が面白い。
速攻、ダッバーワーラーを問い詰めて、誤配送の原因を探るとかそんなことをしない。
まずは、サージャンにお礼の手紙を書く。
「残さず、きれいに食べてくれてありがとう」
これがね、すごくいいなと思った。
ご飯を作る側からしたら、何が嬉しいって、キレイに残さず食べてくれること。
その上で「おいしい」って言ってくれたらすごく嬉しい。
イラは、心を込めて作ったお弁当をキレイに食べてくれたことが本当にうれしかったんだねぇ。
そのことに対し、素直に気持ちを手紙に書くイラの綺麗な気持ちがいいなと思った。

そして、そこからイラとサージャンの手紙のやり取りが始まる。
毎日続けていくうちに、イラもサージャンも打ち解けてきて、それぞれの打ち明け話になっていく。
イラは夫が浮気していると疑っていること、サージャンは奥さんと死別していること、そしてイラは幸せな国、ブータンへ引っ越したいと思っていること・・・など。
そして、サージャンの優しい心が伝わったイラは、彼に「2人で会いたい」と告げる。
この2人の心温まる手紙のやり取りがすごく良い。
メールではなく、LINEでもなく、手書きの手紙。
直筆の手紙には、その人の心が乗っているような気がする。
だから、ただでさえ、お弁当に心がこもっているのに、さらに、手紙で気持ちが上乗せされているような温かさをかんじるんだよね。

しかし、サージャンはイラに会う直前まで、その気満々だったのに、その直前で尻込みしてしまう。
本当は、待ち合わせの場所まで行ったサージャン。
イラが自分よりもずっと若くてきれいだったことを知り、身を引くことを選んでしまった。
分かるなぁ。痛い程よく分かるなぁ。
サージャンは、イラのような美しい人と一時の夢を見られただけでも感謝したい気持ちでいっぱいだという。
そうだよね。
出会うはずのないような人と出会い、心が通じ合えたような気持ちになれただけでも幸せだと。
そのサージャンの気持ちが分かる気がする。
イラには自分なんかよりも、もっと幸せな出会いが待っているはずだと思ったんじゃないかと。
でも、そうじゃないんだよね。
イラは、話を聞いてくれて、彼女の気持ちを理解してくれる人がいてくれるだけで良かった。
年寄りだから嫌だとか、そんなことは一切考えてなかった。
この2人のすれ違いが、妙にリアルで心が痛かった。

そのすれ違いのところで、この映画は終わっている。
しかし、最後のイラの言葉が私の心に残っている。
「『乗り間違えた電車も、正しい行先にしかいかない』その言葉を信じて、私はこの家を出ます」
神様がめぐり逢わせた600万分の1の奇跡。
互いに、別の方角に向かっているように見えて、でも最終的にはめぐり逢う。
そう思える素敵なラストだった。
奥さんと死別して孤独だったサージャン、夫はいても家では孤独だったイラ。
でも、真面目に毎日生きていれば、神様のいたずらで奇跡が起きることもあるんだなと思える素敵な映画だった。
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◆「めぐり逢わせのお弁当」DVD
夫のために作ったお弁当が、違う人にご配送されたことでめぐり逢うサージャンとイラの心の交流の物語。
【満足度 評価】:★★★★☆
美味しいご飯は人の心を温かくするように、観ていて心が温かくなる映画だった。
暑い夏は、暑いインドの映画がピッタリだと思った(笑)
出演:イルファン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー
監督:リテーシュ・バトラ
「めぐり逢わせのお弁当」予告編 動画
(原題:DABBA/英題:THE LUNCHBOX)◆「めぐり逢わせのお弁当」DVD
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あらすじ
主婦のイラ(ニムラト・カウル)は、最近、夫との仲があまりうまくいってないので、心のこもったお弁当でその心を取り戻そうとしていた。
ところが、イラの作ったお弁当は配送システムにより、夫ではない人、サージャン(イルファン・カーン)に届いていた。
一つも残さず、夫よりもキレイに食べてくれたことに感動したイラは、サージャンに「残さずきれいに食べてくれてありがとう」と手紙を入れる。
すると、サージャンから「今日は塩味が少し強かった」とだけ返事があり、それをきっかけに2人の文通が始まるのだが…。

感想(ネタバレあり) インドのムンバイにある驚くべきシステム「ダッバーワーラー」
まず、ビックリしたことがある。
それは、インドのムンバイで行われているお弁当配送システム「ダッバーワーラー」だ。
このシステムは、各家庭で作られたお弁当を夫の職場へ届けるサービスである。
この映画で観て初めて知ったので、ちょっと調べてみたところ、始まりはインドがイギリス統治下だった時代という。
その頃、イギリスの企業で働くインド人たちはイギリス式の食事にうんざりしており(笑)
また、人種の階級によるカースト制が厳しく定められていたインドでは、下級のクラスの人間が作ったお弁当を食べられないという上流階級の人間がいたという。
そこで、各家庭で作ったお弁当を届けさせることから、このシステムが始まったそう。
その上、インドでは宗教的な事情から食べれられるものに制限がある人たちもおり、このシステムが広まるのに拍車がかかったという。
なるほどね。
ちなみに、独身の男性には配送までやってくれるお弁当屋さんがある。
現在では、このダッバーワーラーの誤配送は600万個に1個だそうで。
その天文学的な数字は、どうやって出したんだろうね(笑)
数字に強いインド人が出したんだから間違いないと思うけど、かなりモリモリな感じもインドらしくて良い(笑)
この映画では、その600万分の1の誤配送の奇跡が産んだ物語が描かれている。

女は男の胃袋をつかめ
「女は男の胃袋をつかめ」…器量の良くない女は料理で勝負しろと日本ではよく言われる。
この映画の主人公イラは、夫との仲がうまくいっていないため、心のこもった料理で夫の愛情を取り戻そうと熱心にお弁当を作る。
ところが、そのお弁当はダッバーワーラーの誤配送で、違う人、サージャンに届いてしまう。
サージャンは独身で、お弁当屋さんに頼んでいるので、そこからのお弁当なのかと勘違いする。
そこからのイラの行動が面白い。
速攻、ダッバーワーラーを問い詰めて、誤配送の原因を探るとかそんなことをしない。
まずは、サージャンにお礼の手紙を書く。
「残さず、きれいに食べてくれてありがとう」
これがね、すごくいいなと思った。
ご飯を作る側からしたら、何が嬉しいって、キレイに残さず食べてくれること。
その上で「おいしい」って言ってくれたらすごく嬉しい。
イラは、心を込めて作ったお弁当をキレイに食べてくれたことが本当にうれしかったんだねぇ。
そのことに対し、素直に気持ちを手紙に書くイラの綺麗な気持ちがいいなと思った。

メールでもLINEでもない手紙の良さ
そして、そこからイラとサージャンの手紙のやり取りが始まる。
毎日続けていくうちに、イラもサージャンも打ち解けてきて、それぞれの打ち明け話になっていく。
イラは夫が浮気していると疑っていること、サージャンは奥さんと死別していること、そしてイラは幸せな国、ブータンへ引っ越したいと思っていること・・・など。
そして、サージャンの優しい心が伝わったイラは、彼に「2人で会いたい」と告げる。
この2人の心温まる手紙のやり取りがすごく良い。
メールではなく、LINEでもなく、手書きの手紙。
直筆の手紙には、その人の心が乗っているような気がする。
だから、ただでさえ、お弁当に心がこもっているのに、さらに、手紙で気持ちが上乗せされているような温かさをかんじるんだよね。

「一瞬でも心を通わせることができた」ことへの嬉しさ
しかし、サージャンはイラに会う直前まで、その気満々だったのに、その直前で尻込みしてしまう。
本当は、待ち合わせの場所まで行ったサージャン。
イラが自分よりもずっと若くてきれいだったことを知り、身を引くことを選んでしまった。
分かるなぁ。痛い程よく分かるなぁ。
サージャンは、イラのような美しい人と一時の夢を見られただけでも感謝したい気持ちでいっぱいだという。
そうだよね。
出会うはずのないような人と出会い、心が通じ合えたような気持ちになれただけでも幸せだと。
そのサージャンの気持ちが分かる気がする。
イラには自分なんかよりも、もっと幸せな出会いが待っているはずだと思ったんじゃないかと。
でも、そうじゃないんだよね。
イラは、話を聞いてくれて、彼女の気持ちを理解してくれる人がいてくれるだけで良かった。
年寄りだから嫌だとか、そんなことは一切考えてなかった。
この2人のすれ違いが、妙にリアルで心が痛かった。

ラストシーンに観る希望
そのすれ違いのところで、この映画は終わっている。
しかし、最後のイラの言葉が私の心に残っている。
「『乗り間違えた電車も、正しい行先にしかいかない』その言葉を信じて、私はこの家を出ます」
神様がめぐり逢わせた600万分の1の奇跡。
互いに、別の方角に向かっているように見えて、でも最終的にはめぐり逢う。
そう思える素敵なラストだった。
奥さんと死別して孤独だったサージャン、夫はいても家では孤独だったイラ。
でも、真面目に毎日生きていれば、神様のいたずらで奇跡が起きることもあるんだなと思える素敵な映画だった。
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