ペドロ・アルモドバル製作のアルゼンチン映画「エル・クラン」を映画館で観た。

アルゼンチンで1985年に発覚した誘拐をビジネスにしていた一家の実話を映画化。

満足度 評価】:★★★★☆

面白かったなぁ~。最初から最後まで目が離せなかった。

映画に描かれる一家の様子を観ながら、次第に共犯者になった気分のようになり、いつかバレると思いハラハラドキドキしながら観ていた。

そして、ようやく終わったと思いきや、その後に待っていた結末に唖然。

「エル・クラン」予告編 動画

(原題:EL CLAN/英題:THE CLAN)





キャスト&スタッフ

出演者

・ギレルモ・フランセーヤ…(「瞳の奥の秘密」、「ルドandクルシ」など)

・ピーター・ランサーニ

監督・脚本

・パブロ・トラベロ

製作

ペドロ・アルモドバル(<監督>「バッド・エデュケーション」、「オール・アバウト・マイ・マザー」、「トーク・トゥ・ハー」<製作>「人生スイッチ」など)

エル・クラン

あらすじ


1983年のアルゼンチン。

情報局に勤務する父アルキメデス・プッチオの一家は3人の息子と2人の娘がいる裕福な家庭。

長男アレハンドロ・プッチオは、ラグビーのアルゼンチン代表選手。

しかし、ある時父は仲間たちと共に彼のチームメイトを誘拐。

多額の身代金を手にするが、言うことを聞かなかったチームメイトを殺してしまう。

それ以来、父は誘拐を繰り返し、身代金で生活するようになる。

そして、アレハンドロも父の仕事を手伝うようになるが…。

エル・クラン2

感想(ネタバレあり)

1983年のアルゼンチンで何が起きていたのか


いや~。これは驚きだった。

表の顔は幸せそうな家族。裏の顔は誘拐犯。

なぜ、このプッチオ一家は誘拐をビジネスにするようになったのか。

どうもそれには、当時のアルゼンチンの社会情勢が強く影響しているようだ。

1970年代のアルゼンチンは国民を強く抑圧する軍事政権が続いていた。

ところが、1982年のイギリスとのフォークランド紛争に敗れたことにより、軍事政権が崩壊。

Wikipedia「アルゼンチン」より

その後、急速に民主化が進み、それまで情報局のエリートだったプッチオ一家の父アルキメデスは失業してしまう。

しかし、彼の一家は5人の子供がいる7人家族であり、まだ学校に通っている子供たちもいた。

そこで、エリートだったこれまでの生活を維持するために、仲間たちと共に身代金目的の誘拐をするようになる。

さらには、元情報局員という経歴を生かし、彼らに捜査の手がおよばないよう手を回していたのも、事実の発覚を送らせることとなった。


エル・クラン3

手口がどんどんエスレートしていくお父さん


一度計画が成功すると、次から次へと事件はエスカレートしていく。

私も初めは、「うわぁお父さん人でなしだなぁ」と思いながら観ていた。

ところが、事件がどんどんエスカレートしていくうちに、なんだか観ている私も共犯者になったような気分になってきた。

いつまでそんなことをしているのか。

「いつかバレるから、お父さん、今のうちに辞めましょうよ」と、私が画面の中のお父さんに向かって声をかけたくなるような心境になってくる。

しかし、彼らの犯行のエスカレートはとどまることを知らない。

子供たちを巻きこみ、誘拐 → 身代金ゲット → 殺害 を繰り返す。

途中ですごいなと思ったのは、プッチオ家と共に行動していた仲間たちが1人1人と捕まっていくのに、お父さんはその手を決して緩めないこと。

どこから「私は捕まらない」という根拠のない自信が来るのか。

それとも、感覚がマヒしてしまっているのか…。

エル・クラン4

逮捕されて一件落着!ではない…驚愕のその後


そして、ようやく1985年。彼らは逮捕されることになる。

正直、私はここでホッとした。

何はともあれ、この身代金ビジネスが終了して良かったと思った。

ところが、驚くべきことにお父さんの人でなしっぷりはさらに続く。

逮捕されたのはお父さんと2人の息子たち。

子供たちは、父に命令されただから、父が罪を被り、自分たちは罪が軽くなると信じていた…。

しかし、父は罪を被るどころか、子供たちをダシにして自分だけでも助かろうとしていた!!

この期に及んで、子供たちを不幸にしてでも、自分だけ助かろうとするなんて!!

その父の態度に激怒したのは長男のアレックス。

父をボコボコにしたうえで、裁判で父の味方をしたくないあまり飛び降り自殺を図る!!

もぉ~、逮捕されてからの彼らの行動に驚愕&唖然だった!

もちろん、一番ダメなのはお父さんだけど、飛び降り自殺しちゃうアレックスも激しい!!


エル・クラン5

独裁政権がエリートたちを追い詰める


昨年のビックリ映画「人生スイッチ」に引き続き、このアルゼンチンの怪作「エル・クラン」は驚きの連続だった。

普通の人たちと同じように平然と日常を過ごす一家の人たち。

しかも、長男は、ラグビーのスター選手。

当たり前のように誘拐し、身代金をとり、少しでも反抗するようなら殺してしまうというその人でなしっぷり。

当時のアルゼンチンの独裁政権から民主化への以降期だからこそ起きた犯罪のようだけど、その事細かな計画性があるんだったら、お父さんにはきっとピッタリと合う仕事があっただろうし、アレックスも有名な選手だったんだろうから、贅沢しなければ普通に暮らせたのにと思っちゃうのは甘い考えなのかな。

この家族を見る限り、そうは感じなかったけど、旧体制でエリートだった人たちってそれ程までに追い詰められてたってことなんだろうな。

本当に恐ろしいわぁ。

途中から切羽詰まったお父さんの顔がドンドン怖くっていくのが印象的。

興味がある人には是非見て欲しい作品。





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