クリント・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」をNHK BSプレミアムで観た。

第二次世界大戦。アメリカの勝利の象徴として使われた「星条旗を立てる米兵たち」

その写真が撮られた硫黄島の戦いと、写真が有名になったその後の話を描く。



映画「父親たちの星条旗」



満足度 評価】:★★★★☆

戦争の英雄とは何か。本当に平和で住みやすい世の中とは何かについて考えさせられた。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「父親たちの星条旗」予告編 動画(日本語字幕なし)

(原題:FLAGS OF OUR FATHERS)



更新履歴・公開、販売情報

・2016年8月6日 NHK BS プレミアムで観た感想を掲載。

・2019年8月5日 NHK BS プレミアムでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

〇ライアン・フィリップ

〇ジェシー・ブラッドフォード

〇アダム・ビーチ

…(「崖っぷちの男」、「ディファイアンス」など)





監督

クリント・イーストウッド


2006年製作 アメリカ映画




あらすじ


1944年、第二次大戦の末期。

アメリカと日本は硫黄島で決戦を迎えていた。

米軍は、これまで戦争を経験していない若い兵士たちの多くを硫黄島へ送るが、予想以上の苦戦を強いられてしまう。

数日間の死闘の末の穏やかなある日。米兵たちは硫黄島の摺鉢山の頂上に星条旗を立てる。

そして、その際に撮った写真が本土に渡ると、それは戦意高揚の材料として使われ始める。

しかし、硫黄島での苦戦はその後も続いていた…。




感想(ネタバレあり)


摺鉢山に星条旗を掲げる米兵たち


あぁこの写真は硫黄島で撮ったものなのかと、真っ先に思った。



父親たちの星条旗2



この映画では、この「摺鉢山に星条旗を掲げる米兵たち」の写真について描かれている。

これはいかにも「米軍が硫黄島で勝利しました」と言いたげな写真だが、実際には、この星条旗を立てた後も硫黄島ではアメリカと日本の死闘が続き、この写真に写っている6人も、その多くがその後の戦闘で亡くなっている。



幸運にも、この戦闘で怪我をしたが軽症だった者、運よく最後まで命が助かった者のみが、本土に帰ることができた。

まさに、そこは地獄のような有様だった。



映画「父親たちの星条旗」



「国債買ってよキャンペーン」に利用される英雄たち


そして、彼らが運よく本土に帰った頃、この写真は戦意高揚の象徴としてあまりにも有名になっていた



この星条旗を掲げた小隊のメンバー3人、ドク(ライアン・フィリップ)、レイニー(ジェシー・ブラッドフォード)、アイラ(アダム・ビーチ)は英雄として迎えられる。

彼らは3人で全国を周り「国債を国民に買うよう促すキャンペーン」に使われるようになってしまった。



しかし、実際の硫黄島の戦闘は苦戦続きで、多くの仲間を失った彼らは英雄扱いをされることに戸惑いを感じていた



たちまち英雄となった彼らは、3人で全国を周り、国債の宣伝をし、戦争の資金集めの手伝いをさせられることに。

その「嘘の戦意高揚作戦」のプレッシャーに押しつぶされたアイラは自分自身を見失い、日々、泥酔するようになってしまう。



しかし、他の2人を含め、米軍の国債キャンペーンのスタッフたちは、そんなことはお構いなしだった。

今見れば、この時の「国債買ってキャンペーン」がなんてバカバカしいことかと思うけど、当時のアメリカの資金難は尋常じゃなかったんだろうなと思う。



人々に注目してもらうために作られた英雄

そこに違和感を持たずにはいられなかった



映画「父親たちの星条旗」



人種差別を受ける「英雄」


そんな中、私にとって、最も印象的なシーンがある。

それは、街にあるバーの前の道路で仁王立ちになったアイラが椅子を振り回し、大暴れしているシーンだった。



日頃から泥酔していたアイラだったので、スタッフたちは「あいつ、また暴れてる。なんとかしろ」程度の対応しかしなかった。

しかし、その後、ドクがアイラにその理由を尋ねると、彼は「入店を拒否された」と答えた。



これは衝撃だった。

全米各地を英雄として巡っていた彼らが、「ネイティブアメリカンだから」という理由で入店を拒否される



アメリカのように自由で平和な資本主義を広めるために世界で戦っている彼らが、本土へ帰れば差別を受けている

彼の生活が一向に良くならないのなら、なぜ、何のために彼らは戦っているのかと言わざるを得ない場面だった。



映画「父親たちの星条旗」



生き残るのが英雄なのか、戦場で命を落とせば良かったのか


そして、そのプレッシャーに苦しみ、ほぼ毎日泥酔していたアイラのセリフがとても印象的だった。

俺はただ弾をよけていただけなのに。なんで英雄にされるんだ



運よく命が助かっただけで、英雄ではない。

これは、多くの兵士たちが思う現実だろう。



多くの亡くなった兵士たちとなんの違いもないのに。なぜ、自分は英雄なのか

そのことに悩まされ続けたアイラは、その後、孤独な死を遂げてしまう。



戦争でせっかく助かった命、生き延びた命だったのに、本土に帰ってきてから悩まされ続け、辛い思いをし、命を落としてしまうなんてあまりにも悲しすぎる彼の生涯だった。



映画「父親たちの星条旗」



表面ではなく、その裏側を知る努力


そして思う。英雄とは、一体何なのか。

人を一人でも多く殺した者が英雄なのか。

それとも悲惨な状況の中、逃げ続け、命からがら助かった者が英雄なのか。



米軍から「英雄」と言われ、資金集めに散々利用された結果、それまで生活が変わらず、差別を受けていたものが差別を受け続けるのであれば、ただの戦意高揚の道具だとしか言いようがない。



私たちは、つい、テレビやラジオで政府が垂れ流す情報をそのまま鵜のみにしてしまうことが多々ある。

しかし、その裏にある真実とは何かということに目を向け、耳を傾けないと、世の中は簡単に間違った方向に動いてしまう。

そのことを強く感じた映画だった。




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