M・ナイト・シャマラン監督、サミュエル・L・ジャクソン主演の映画「ミスター・ガラス」を映画館で観た。

2017年に製作された「スプリット」を融合した、2000年に製作された「アンブレイカブル」の続編。

壊れやすい身体を持つミスター・ガラス、24人の人格を持つケヴィン、そして、驚異の怪力を持つ男デヴィッドの3人が、ある施設に集められる。

その目的は一体何なのか…。


映画「ミスター・ガラス」



満足度 評価】:★★★★☆

面白かった!アメコミではヒーローがヴィランを倒して世界は平和になるけれど、現実世界では、そんなキレイごとでは済まないよって話だった。

人と違うことは本当に神からのギフトなのか。

生きづらいだけじゃないのかと思った


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想
  6. 関連記事


『ミスター・ガラス』予告編 動画

(原題:Glass)


更新履歴・公開、販売情報

・2019年1月21日 映画館にて鑑賞。

・2019年2月28日 感想を掲載。

・2019年11月3日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

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キャスト&スタッフ


出演者

 


…(「マローボーン家の掟」、「スプリット」など)

〇スペンサー・トリート・クラーク



監督

…(「スプリット」など)


2019年製作 アメリカ映画




あらすじ


フィラデルフィアのある施設に集められたのは、ちょっとした衝撃で骨が折れてしまうミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)、怪力であり、人の悪事が見えてしまうデヴィッド(ブルース・ウィリス)、そして、24人の人格を持つケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)の3人。

彼らを集めたのは精神科医(サラ・ポールソン)。

彼女は、特殊な能力を持つ彼らに対して、「この世にスーパーヒーローなどあり得ない。その思い込みを治療する」と言うのだが…。



映画「ミスター・ガラス」




感想(ネタばれあり)


「アメコミ」におけるヒーローとは


まず、この映画を観る前に、「アンブレイカブル」と「スプリット」を観ることが必須!

前2作を観ないと、ここで描かれていることが一切理解できない作品だった。

私も、2000年の公開時に「アンブレイカブル」を観ていたのだけど、15年以上も経ってしまったので、久しぶりに観て、予習してから、この「ミスター・ガラス」に挑んだ。

観たはずの「アンブレイカブル」も忘れているところが多数あったので、予習して正解だった。



「アンブレイカブル」と「スプリット」が融合して出来上がったこの「ミスター・ガラス」では、「アメコミ」に対するシャマラン監督なりの解釈が描かれている。



よくあるタイプの一般的な「アメコミ」では、特殊な能力を持ったヒーローが、悪者から世界を救う物語が描かれている。



当然、現実の世界で特殊な能力を持つ人などいない。

アメコミでの「特殊な能力」とは「他人と違うこと」を象徴している。



「他人と違うこと」とは、例えば肌の色が違ったり、障害があったり、性的マイノリティだったりということ。

そういう「他人との違い」は、学校や会社でいじめられたり、差別されたりする原因になってしまいがちだ。

そこで「アメコミ」では、「他人と違うこと」とは「神から与えられたギフト」であり、そのギフトのおかげで人々を救うヒーローになれると描き、いじめられてしまい、教室の隅っこでマンガを読んでいるような子供たちを励ましているのだ。



しかし、M・ナイト・シャマラン監督は、そんなアメコミの考え方に対して、「もしも、他人とは違う特殊な能力を持つ人がいたら」という仮説のもと、彼なりの考えをこの「ミスター・ガラス」で展開しているのだ。



映画「ミスター・ガラス」



ヒーローではなくヴィランを選んだミスター・ガラス



主人公の「ミスター・ガラス」は、とても屈折した人間だ。



幼い頃から体が弱く、ちょっとした衝撃で骨が折れてしまうという身体の持ち主だ。

そのため、彼もまた「アメコミ」に夢中になり、やがて、全米で有数のアメコミコレクターにまでなる。



「アメコミ」は、そういう少年たちに対し「この身体は神に与えられたギフト。いつか人を救えるヒーローになれる」と励ましていたはずだった。

ところが、ミスター・ガラスはそう考えなかった。

身体の弱い自分はヒーローにはなれない、それならばヴィランになろうと考えたのだ。



「アメコミ」では、人からいじめられた痛みで、同じように痛みを持つ人の気持ちを理解でき、同じ境遇にある彼らを助けることができると描く。

しかし、ミスター・ガラスは人から痛めつけられたことで、人を恨み、憎み、人を殺すことをなんとも思わない歪んだ人間に育ってしまったのだ。



そうして、ヴィランになった彼だったが、「アメコミ」はヴィランだけでは話にならない。

ヴィランには敵対するヒーローが必要なのだ。



そこで、「ヒーローが必要だから」という勝手なエゴの元、数々の大量殺人事件を仕掛けていく

そして、ついにデヴィッドというヒーローを生み出し、さらに、ケヴィンという副産物まで偶然作り出してしまう。



ちなみに「自分は超能力者だ」と信じている人を精神科医が診察すると「解離性人格障害」だと診察されることが多いらしい。

ケヴィンは、心理学が確立されていない時代なら「超能力者」になれたかもしれない。



確かに、人にいじめられたことで「同じような境遇にある人を助けよう」と思うか、それとも「自分はもっと力をつけて、今までの恨みを返そう」と思うか。

かつて、幼い頃にいじめられた人が、大人になって犯罪者になる例は多い。

だからこそ、アメコミではそういういじめられっ子がヒーローになれる希望を描くのだ。

しかし、シャマランは、そこをより現実的に描いたのだ。



アメコミが理想主義なら、シャマランは現実主義なのだろう。



映画「ミスター・ガラス」



この世を動かすのは、ヒーローでも、ヴィランでもない何か


ヒーローがヴィランを破り、再び世界に平和がやってくるのがアメコミ流の典型的な終わり方だ。



しかし、シャマランの描く世界は、そんな終わり方をしない。

世界を支配するのは、ヒーローでも、ヴィランでもなく、彼らを制御する一部のエリートたちなのだ。



彼らを診断する精神科医こそが、その一部のエリートたちの1人なのだ。



彼女は、彼らの弱みを握り、その弱みを使って彼らをうまく制御する。

どんなヒーローでも、ヴィランでも、誰にでも弱みの一つはあって、その弱みを握った者が、その人間を支配することができるのだ。



そのエリートたちはとにかく「突き抜けた人間、飛び抜けた人間」を嫌っている

その突き抜けた人間(ヒーローやヴィラン)を支配すれば、世界は彼らのものなのだ。



それはよく統率された軍隊や組織のようなものである。

一人の個性あふれる人に組織を乱されることを嫌い、その個性を消してしまい、平均的で統率しやすい組織を作る。



そのよく統率された組織に歯向かったらどうなるのか。

それが、この映画の中で描かれている。

そんな組織に逆らおうとする者は消されてしまうのだ。



つまり、どんなに特殊な能力を持ったヒーローがいたとしても、結局、一部の優秀な人間によって、そのヒーローは潰されてしまう。

その一部の優秀な人間とは、政治家や、シンジケートや、フリーメイソンのような秘密結社なのか。

シャマランは、この世を支配するのは、特殊能力ではなく、そういう世の中を動かせる力を持った人間だと言いたいのだろう。



映画「ミスター・ガラス」



そして、未来は誰にも予測できない


しかし、人並み以上に高いIQを持ったミスター・ガラスは、そんなエリートたちの動きに気付いていた。

おそらく、「なぜ自分たちが何の目的で集められたのか」と考えたのだろう。



そこで、わざとケヴィンの動画を流し、世界中にいる「他人と違う人々」に「君は一人ではない」と語り掛ける

そして、「他人と違う人々」はフィラデルフィアに集まってくる。

フィラデルフィアに行けば仲間に会えると思ったのだろう。



あまりの多くの人々が集まってしまったため、精神科医が困惑するところで物語は終わっている。

ミスター・ガラスは、どんなことが起きてもまるでバットマンのペンギンのように、事態を冷静に判断し、裏で策を練っていたのだ。

そして、死んだ後も、精神科医のグループに抵抗したのだ。



つまり、この世の中はヒーローにも、ヴィランにも、エリートにも予測できるような単純の世界ではない。

当然、「アメコミ」で描かれるような世界でもない。

もっと複雑に入り組んだ多面体なのだとシャマランは言いたいのだろう。



しかし、そんなことを言ってしまったら「人と違うこと」は、ただのコンプレックスであり、障害でしかない

そこには夢も希望もない



シャマランの現実主義も分からなくもない。

しかし、「アメコミ」で描かれる世界は嘘ばかりだと分かっている。

だからこそ、人々はそんな理想郷のような夢を見ながら生きていきたいんじゃないかと私は思った。



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〇「スプリット」




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