イーサン・ホーク主演の映画「ドローン・オブ・ウォー」をWOWOWで観た。

アメリカ空軍の無人爆撃機(ドローン)による「テロとの闘い」を描いた社会派映画。

満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

この映画「ドローン・オブ・ウォー」の中で一番衝撃だったのは、空軍基地まで車で通い8時間戦争をして、また車で家に帰るという毎日だった。

そのうち戦争は在宅勤務が可能な仕事になり、戦場に人がいなくなる。

そして、人を殺しているという感覚がドンドン薄れていく世の中になる。なんだかとても恐ろしい映画だった。


出演イーサン・ホークブルース・グリーンウッドゾーイ・クラヴィッツ、ジャニュアリー・ジョーンズ

監督:アンドリュー・ニコル 2014年製作 アメリカ映画

「ドローン・オブ・ウォー」予告編 動画

(原題:GOOD KILL)




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あらすじ


アメリカ空軍のパイロット トーマス・イーガン少佐(イーサン・ホーク(「マグニフィセント・セブン」、「マギーズ・プラン-幸せのあとしまつ-」など))は、ラスベガスにある空軍基地に勤務している。

彼の任務は基地内にある小屋の中でモニターに向かい、衛星無線を使って無人爆撃機(ドローン)を操縦し、アフガニスタンにいるタリバンを掃討することだ。

ある時、上層部から「CIAからの支持に従うこと」という命令がくだされ、任務に就くが、CIAは「タリバンと思しき人間がいれば、周りに一般人がいても爆撃しろ」という、非人道的な命令を出し、イーガンは次第に精神面が崩壊していってしまう…。


ドローン・オブ・ウォー

感想(ネタバレあり) 空軍パイロットはモテる兵士No.1 から 8時間勤務のデスクワークへシフトチェンジ


米空軍のパイロットといったら、モテる兵士No.1のイメージだ。

分かりやすく言うと、「トップガン」だ。

もちろん、みんながみんなトム・クルーズではないのは分かっている。

しかし、あの映画を観てモテたくて空軍に入った人もいるだろうし、あの映画を観てパイロットに的をしぼってアプローチをかける女性たちもたくさんいただろう。

ところが、この映画「ドローン・オブ・ウォー」に登場するパイロットたちは、そんな花形のイメージからは程遠い。

毎日、基地に車で出勤し、基地内にある小屋の中でモニターに向かい、操縦かんを握りながらドローンを操縦し、殺すべきターゲットが見つかればボタンを押して爆弾を落とす。

そして、その8時間の勤務が終了すると、また車を運転して家へと帰っていく。

当然、命の危険もないし、戦闘機を操縦することすらない。

ドローン・オブ・ウォー2

モニターごしに敵を見る命の軽さ


この「ロード・オブ・ウォー」では、2001年に起きた「911同時多発テロ」から始まったテロとの闘いで、2009年以降、急激に増えた無人爆撃機(ドローン)による戦闘の様子が描かれている。

なぜ、米空軍では戦闘機ではなくドローンで闘うことになったのか。

この映画の中では、「国民が、毎日アフガニスタンから送られてくるたくさんの兵士たちの棺を見ることとにうんざりしている」ため、犠牲者を減らすために始めたことだと説明していた。

そして、グアンタナモ捕虜収容所がもういっぱいで入り切らないから、殺してしまえというのも理由の1つなんだとか。

上空3,000メートルにあるドローンは地上の人間が目を凝らしても見つけられるものではないそうで、万が一見つかって爆撃されても、また飛ばせばいいだけだから、ドローンを使うことが主流になったようだった。

しかし、彼らパイロットが操縦するモニターはもちろん、音も無ければ、風を感じることも無い。

それが現実であるという感覚に乏しい。まるでテレビゲームの画面を見ているようだ。

なんだか、人の命が軽いよなぁ。

「ふぅ」と息を吹きかけたら、それだけで何人も死んでしまうような、そんな軽さを感じてしまった。


ドローン・オブ・ウォー3

パイロットのスカウトはゲーセンのシューティングゲームで


それはまるでテレビゲームのようだと思ったら、実際、彼ら空軍のパイロットの50%がゲームセンターでスカウトされているという。

たまたまシューティングゲームで高得点を叩き出した。

そしたら、「空軍のパイロットにならないか」と声をかけられる。

そして、飛行機を数回操縦しただけでパイロットとして採用され、ドローンを操縦する「仕事」を任される。

この映画でブルース・グリーンウッド演じる中佐は「これからは、飛行機を操縦しなくてもパイロットとして採用される人間が出てくる」と言っていた。

これからの時代のパイロットに必要とされるのは、ずば抜けた操縦スキルではなく、XBOXのシューティングゲームで高得点を叩き出す能力になる。

そのうち、在宅勤務のドローンパイロットが生まれたり、AIが操縦するようになって、世界は「ターミネーター」のようになっていくんだろうか…。

ドローン・オブ・ウォー4

モニター越しに人を殺すことにうんざりする兵士たち


主人公のイーガン少佐はとても優秀なパイロットで、華々しい経歴の持ち主だった。

そんな彼にとって現場ではなく、モニターの前に座って操縦かんを握っていることは苦痛でしかなかった。

まるで充実感のない毎日は、次第に精神面を病んでいく。

そして、ひたすらにボタンを押して地球の裏側にいる人を殺していくことに嫌気がさしていく。

印象的だったのは、イーガンの同僚で新人のスアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)が言ったセリフだった。

空軍に入ったばかりでドローンの任務についた彼女は、ボタン一つで簡単に大量の人たちを殺すことについて、

「この爆撃を見ている少年は『いつか大人になったらアメリカに報復しよう』と思うようになる。私たちはテロリスト製造工場だ。『タリバン新兵募集します』と言っているようなものじゃないの」と言っている。

それは、新人ならではのとても青臭い発言だったのだが、まさにそれが的を得ている。

親や兄弟を見えない敵(=アメリカ)に殺された少年たちは、自然とアメリカを憎むようになる。

そして、彼らが無人爆撃機(ドローン)を持つようになれば、ワシントンやNYを標的にするようになる。

そこから想像できるのは、うんざりするような負の連鎖だった。

ドローン・オブ・ウォー5

ドローンを良きことのために使いたいという願い


そして、精神面が崩壊し、家族まで失ってしまったイーガンは、最後に彼の思う「善き行い」をする。

どうせ空軍を辞めるなら、最後にドローンを使って良いことをして辞めてやろうと思ったに違いない。

彼の行いによって、毎日行われていたレイプから解放された女性はどう思っただろうか。

きっと、「アメリカが助けてくれた」と思うに違いない。

これはちょっと極端な例で、法律的にはやってはいけないことだけど、

「どうせドローンを使うなら、もっと明るい未来のために使いたい」

私には、最後のイーガンの行いがそう言っているように見えた。

命の危険もなく、エアコンの効いた部屋でボタン一つで人を殺すような人たちに戦争を任せていいのだろうか。

誤爆の記録は抹消され、「テロとの闘い」という大義名分があれば何をやっても許される。

そんな不毛なことを終わりにしたいという願いがそこにはあったんだと思った。



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