クリント・イーストウッド監督・主演の映画「グラン・トリノ」をNHK BSプレミアムで観た。

田舎町で1人で暮らす偏屈ジジイが、隣人の中国系移民との交流を通して、人生の幕引きの仕方を考えていく物語。

満足度 評価】:★★★★☆

観終わってから、この映画の素晴らしさがジワジワとこみ上げてきた作品だった。

減らず口の偏屈じいさんに時には笑わされ、でも最後にはグッときた。

やっぱり、クリント・イーストウッドはかっこいい。

「グラン・トリノ」予告編 動画

(原題:GRAN TORINO)




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キャスト&スタッフ


出演者


〇ビー・ヴァン

〇アーニー・ハー

〇クリストファー・カーリー

〇コリー・ハードリクト

監督

クリント・イーストウッド
…(「運び屋」、「ハドソン川の奇跡」、「アメリカン・スナイパー」、「ジャージーボーイズ」、「インビクタス/負けざる者たち」、「硫黄島からの手紙」、「父親たちの星条旗」、「ブラッド・ワーク」など)

2008年製作 アメリカ映画

グラン・トリノ

あらすじ


田舎町に暮らすウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は最愛の妻を亡くしたばかり。

ある時、自慢の車グラン・トリノを何者かに盗まれそうになってしまう。

犯人を捕まえようとしたウォルトだったが、暗闇で顔を見ることもできず逃げられてしまう。

すると、隣人の中国系移民一家の息子タオ(ビー・ヴァン)が家族と共にウォルトを訪ね、「車を盗もうとしました」と告白、さらに謝罪をし、罰としてウォルトのために働かせてくれという。

それ以来、ウォルトとタオ、そしてタオの家族たちとの交流が始まり、ウォルト自身の中国系移民に対する偏見がどんどんと薄れていくようになるのだが…


グラン・トリノ3

感想(ネタバレあり)


遠くの親戚よりも近くの隣人


主人公のウォルトは、田舎町に暮らすバリバリ保守的な偏屈ジジイだ。

中国人を「ネズミ」と言い、黒人を「クロ」と言い、イタリア人を「イタ公」と言う。

口は悪く、気難しいけど、気は優しい。

そんな彼が、「米食いのネズミ野郎」である中国系移民の一家と交流するようになる。

最初は毛嫌いしていた一家だったはずなのに次第に仲良くなり、タオに至っては、まるで自分の息子のように可愛がるようになる。

このウォルトとタオ一家の交流がとても微笑ましい。

これがまさに、「遠くの親戚よりも、近くの隣人」であり、ウォルトは自分の息子一家と共にいるよりも、タオ一家と一緒にいることの方が安らぎを感じるようになる。

何かをしてくれた人に対してはきちんとお礼をし、目上の者を敬い、礼儀正しい。

アジア人にとっては、当たり前のように思えることでも、ウォルトにとっては、それが新鮮であり、心温まるできごとだった。

グラン・トリノ2

貧困層である移民たちを取り巻く現実


そして、タオ一家と交流することで、彼ら中国系移民たちの現実も思い知らされることになる。

彼らを取り巻く貧困、就職口の少なさ、黒人やヒスパニック系人種との対立。

個人個人がどんなに真面目で誠実であっても、貧困層にいる彼らがのし上がっていくために道を切り開くのはとても難しい。

さらには、誰が暴行されようが、レイプされようが報復される恐ろしさから告訴できず、警察も彼ら人種内の問題に必要以上に介入してこない。

ますます貧困は広がり、若者たちは犯罪に走り、就職口は狭くなっていく。

トランプ氏が「移民たちが出て行けば、アメリカは平和になる」と言った、その現実がここにはあるような気がした。

いや、もちろん、彼に移民を追い出す権利なんてないけれども。


グラン・トリノ4

残りの人生で自分がすべきことは何か


真面目で誠実なタオ一家が、理不尽な抗争に巻きこまれていく現実を観たウォルトは、彼らに対し何かできることがないかと考えるようになる。

タオに就職口を紹介したり、タオがイジメられた復讐をしたり。

しかし、ウォルトが良かれと思ってしたことは全て裏目に出てしまう。

家に銃弾が撃ち込まれ、タオのお姉ちゃんは暴行されてしまう。

そして、それを警察に言ったところで、タオ一家は報復を恐れて告訴しないため、事件にならないまま、誰も逮捕されず終了してしまう。

それこそが、彼らを取り巻く現実だということを、ウォルトは思い知らされることになる。

さらには、彼らを観るうちに、自分もかつて朝鮮戦争でアジア系の人たちに対し人間以下の扱いをしてきたこことを思い出し、それを悔いるようになる。

そして、これまでの長い人生の生き様を振り返り、身近で起きている現実を知り、残りの人生を如何にして価値のあるものとして終了させるかを考えるようになる。

それに対し、ウォルトの出した答えは、「彼らの抗争で白人が死ねば警察も事件として扱わざるを得ず、これまで横暴の限りを尽くしてきたチンピラたちを刑務所に入れることができ、タオ一家の復讐も果たすことができる」だった。


グラン・トリノ5

アジア人に対する贖罪と、彼らに遺していくもの


この映画は、ウォルトにとって「贖罪」と「遺産」の物語である。

これまでの人生で懺悔すべきことは何か、そして、周りの人たちに遺せるものは何か。

そこから自分の「死に様」を導いていく。

朝鮮戦争で虫けらのように扱ってきたアジア系人種に対する悔いと贖罪、そして、本当の息子たち以上に心遣いをしてくれたタオ一家への遺産。

全てが、彼の「死に様」に集約されていく。

ウォルトはタオにグラン・トリノを遺したけど、それ以上に大切な心の平和と安らぎを遺して行く。

しかし、そこで安心して良いという訳ではない。

グラン・トリノに乗って、タオがこの貧困層から脱出していくことがウォルトの本当の願いだ。

ラストシーンで果てしなく続く道を走り続けるタオを観ながら、この道は未来につながっていると思った。


グラン・トリノ6

果たして人は周りの人たちに何が遺せるのか


最近、「世界一キライなあなたに」や「92歳のパリジェンヌ」、そして、この映画「グラン・トリノ」と、「人生の最後の幕引きの仕方」がテーマになっている作品を続けて観ている。

そして、その3つの作品に共通しているのは、「自分が人生で積み重ねてきたものを一番大切な人たちに遺す」ということ。

人生とは「どう生きるか」であると同時に、「何を蓄積するのか、そして何を遺すのか」がとても大切なことなんだと改めて思った。

私は今、周りの人たちに何か遺せるものがあるのか。

うーーーん。私もまだまだ青二才だなぁ…。





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