ヴィゴ・モーテンセン主演の映画「グリーンブック」を試写会と映画化で2回観た。

1960年代のアメリカで、差別主義者のイタリア系アメリカ人とインテリの黒人ピアニストの間に生れる友情を描く。


満足度 評価】:★★★★★

笑いあり、感動あり、その裏にある社会問題も描いてて、最後には心が温かくなる良い映画だった。

初めは差別主義者だった運転手のトニーが、差別される側の現実を知って考えが変わっていく姿が良い。

それが実話というのも良かった


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. 受賞歴
  5. あらすじ
  6. 感想


『グリーンブック』予告編 動画

(原題:Green Book)



更新履歴・公開、販売情報

・2019年1月29日 試写会にて鑑賞(1回目)。

・2019年3月10日 映画館にて鑑賞(2回目)。

・2019年3月22日 感想を掲載。

現在、全国公開中。詳しい劇場情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
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キャスト&スタッフ


出演者

…(「はじまりへの旅」など)




監督

〇ピーター・ファレリー


2018年製作 アメリカ映画



グリーンブック






受賞歴


第91回 アカデミー賞(2019年)

作品賞・最優秀助演男優賞(マハーシャラ・アリ)・脚本賞 


第76回 ゴールデン・グローブ賞(2019年)

作品賞(ミュージカル・コメディ部門)・最優秀助演男優賞(マハーシャラ・アリ)・脚本賞



グリーンブック2




あらすじ


1962年。ニューヨークにあるナイトクラブ コパカバーナの用心棒をしていたトニー・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)は、コパカバーナが2ヶ月間改修工事をするため、その間、仕事がなくなってしまう。

二人の子供と妻のドロレス(リンダ・カーデリーニ)を養わなければならないトニーだったが、コパカバーナの客から仕事を紹介される。

それは、カーネギーホールに暮らす黒人ピアニスト ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)からの依頼だった。

ドクは、2ヶ月間かけて南部を旅する演奏ツアーに出るのだが、当時の南部には、まだ差別があったため、ボディガードを兼ねた運転手を必要としていたのだ。

しかし、自信が差別主義者であるトニーは、黒人に雇われることを嫌い、そのオファーを断っていたのだが、ドクからの強い希望もあり、その仕事を受ける。

そして、差別主義者と黒人ピアニストが同じ車で南部に向け旅をスタートさせるのだが…。



グリーンブック3




感想(ネタばれあり)


「グリーンブック」とは


タイトルにある「グリーンブック」とは、何のことだろうか。

それは、1960年代に実在していたガイドブックのことである。



しかし、ただのガイドブックではない。

黒人専用のガイドブックである。



1962年当時のアメリカでは、南部の地域で黒人に対する差別がまだ残っていた。

様々な公的な場所(例えば、レストラン、トイレ、ホテル、バスなど)では、白人と黒人が共存することが許されなかった。

そのため、黒人たちが安全に旅行するために作られたのが、その「グリーンブック」だったのだ。
(正確には、1936年から1966年まで、毎年出版されていたそうである)



裏を返せば、その当時、黒人たちはその「グリーンブック」がなければ安全に旅行することができなかったのだ。

この物語は、そんな「グリーンブック」の時代に、白人と黒人の間で芽生えた友情が描かれている。



そんな時代を背景に、差別主義者の白人と黒人のピアニストが2ヶ月の旅をしている間に、友情が生れていく

それが、なかなか成立しずらい時代だったからこそ、この物語に感動するのだ。

そして、白人からの視点で描かれているため、白人たちからの罪の告白のように私には観えた。



今でも「差別」はなくなっておらず、むしろ、残念なことに、近年になって増えてきているようにも感じる。

そんな時代だからこそ、私たちは、この映画に学ぶことがあるのではないかと思う。



グリーンブック4






ステレオタイプに苦しめられたドク


主人公のトニーと、黒人ピアニストのドクは、とても対照的な二人である。

無学で、力自慢で差別的なトニーと、インテリで、ゲイで、カリスマ的なピアニストのドク。

そんな2人だから、当然、出会った頃は、お互いに反発し合っていた。



確かに、二人が出会った頃のトニーはひどかった。

「黒人はフライドチキンが好き」「黒人はソウルミュージックを聞いている」と決めつける。

恐らく、それはトニーだけの偏見ではなく、多くの人たちが「黒人たちの趣味嗜好について」、そういうものだと決めつけているステレオタイプの代表だ。



そんなトニーとドクのやり取りを観て、「偏見」とは、人々が勝手につくった「ステレオタイプ」でできていることに気付かされる。

この映画のドクのように、黒人だけどフライドチキンを食べたことがなく、音楽はクラシックしか聴かない人だっているのだ。



ドクは、フィクションのために作られたキャラクターではなく、実在した人物なのだ。

彼は、人々が黒人に求める「ステレオタイプ」とは大きく違うキャラクターだからこそ、周りが求めるキャラクターに応えられないことに苦しめられていたのだ。



そして、トニーはそんなドクと出会い、「違う世界」を学び、私たちはそんなトニーを観て、自分の心の中にあるステレオタイプからくる偏見や差別について、考えさせられるのだ。



グリーンブック5





「差別」を失くすための最初の一歩は「友情」


「差別」や「偏見」はなくさなければいけないことだと思う。

けれど、残念ながら、それは誰の心にも潜んでいるものだと思う。

正直に告白をすれば、私の心の中にもある。



相手のことなどよく知らないくせに、第一印象や、その人の経歴を聞いただけで「苦手な人」だと決めつけてしまうのは、私の心の中にある偏見からきている。



しかし、その苦手な人に実際に会って会話してみると、意外と良い人だったり、仲良くなれたりするのは、よくあることだ。



この映画の中で、なぜトニーは、自分の黒人に対する考え方が間違っていたと気付いたのか。

それは、実際に差別されているドクの側になったからだ。

人は、差別する側に立っていると気付かないが、差別される側になって初めて、どんなに酷いことをされているのかに気付くのだ。



いじめっ子でいるうちは、いじめられっ子の辛さに気付かないが、自分がいじめられる側になって初めて、その辛さに気付くのと一緒だ。



先ほども言った通り、そういった「差別」をこの世から失くすことは難しいけれど、この映画のトニーとドクのように友達になることはできる。

例えば、日本人だったら「中国人はちょっと苦手だ」という偏見を持っていたとしても、中国人と友達になることはできる。

そして、友達になれば、その友達の仲間たちに対しても友好的な気持ちになれる。



そうやって、トニーのように、今までの自分の考え方が間違っていたことに気付き、少しずつ、差別や偏見の気持ちが薄れていくのだ。



人の差別や偏見には、そのステレオタイプができるまでに長い長い時間がかかっている。

それを今すぐ取り崩し、「偏見をなくせ」「差別をするな」というのは、とても難しいことである。

しかし、目の前にいる人と友達になることは、気持ちさえあれば、今すぐにでもできることなのである。



トニーとドクは、2ヶ月間、同じ車に乗って旅をしている間に、友情が生れた。

日本語にも「同じ釜の飯を食う」という言葉あるように、どんなに苦手な相手でも、2ヶ月間共に暮らせば、それなりに友情が生れるのだ。



行きの車の中は、お互いの心の間に距離があったけれど、帰りは、クリスマスに間に合わせるために、必死になって車を走らせる二人の姿にほっこりする。

その行きと、帰りの違いが、この映画の全てである。



グリーンブック6





今の世の中だからこそ「憎しみ」よりも「友情」を


この映画で大切なことは、これが「白人の視点」で描かれていることである。



白人の視点で描くことで、彼らがその当時、黒人を差別し、「二グロ」と呼び、レストランやホテルから彼らを追い出し、不当に警察に監禁していたことを認めたということだからだ。

この映画は白人による「差別の告白」なのである。



そして、これはフィクションではなく実話であり、どんなに偏見を持った人でも、嫌いな相手と友達になれることができるのだ。



白人たちは、自らの過失を認め、二人の間の友情を描き、前へ進もうとしている。

これは差別や偏見をなくすための、はじめの一歩を描いているのだ。

今、再び時代は保守的な世の中になりつつあるからこそ、「友達になろうよ」というメッセージはとても大事なことだと思う。



そして、この映画は、そのメッセージをファレリー監督らしく、笑いながら描いているところがとても良い

笑って楽しみながらも、その裏には、しっかりとメッセージが込められているのだ。



「憎しみ」よりも「友情」を。

それが当たり前の世の中になればいいなと思う。





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