北野武監督の映画「HANA-BI」をWOWOWで観た。

ある事件で相棒が下半身不随になったり、亡くなったりしたことをきっかけに辞職。余命わずかの妻を連れて旅に出た男の話。

満足度 評価】:★★★★☆

久しぶりに観た。重かったなぁ。重いけど好きなんだなぁ。この映画。

北野武は長生きしたくないのかな…。そんなことを考えた映画だった。


「HANA-BI」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者


…(「鈴木家の嘘」など)


〇寺島進

…(「その男、凶暴につき」など)

〇芦川誠


監督


1997年製作 日本映画




あらすじ


ある凶悪犯の貼り込みをしていた際に、相棒の堀部(大杉漣)は下半身不随、同僚の田中(芦川誠)は撃たれて死亡、中村(寺島進)も負傷する事件が起きてしまう。

西(ビートたけし)は犯人を射殺するが、その後辞職してしまう。

その後、西は暴力団から借金をし、盗難車をパトカーに改造し、銀行強盗をし、強奪した金で妻(岸本加代子)と旅に出る。

実は、西の妻は重病人で余命わずか。

彼らにとっては、これが最後の夫婦旅行だった…。



HANA-BI



感想(ネタバレあり)


自由に感じ取っていいよというスタンスの映画


好きだなぁ。この映画。

何が好きかって、セリフがあまりないところが良い。

余計な説明をせず、「この画面を観て、自由に感じてください」っていう感じのスタンスが良い。

絵画とかのアート作品を観ている感覚に近いかな。

この映画のそういうところが好き。


主人公の西は、元刑事。

凶悪犯を追っている事件で、同僚たちが死亡、下半身不随、負傷となるなか、自分だけが元気に生き残った時、彼は辞職し、残りの人生を考え始める。

というのも、西の妻は重病人。

余命わずかな上、子供を先に亡くしていた。

そして、彼は妻の担当医から旅行に行くことを勧められる。



HANA-BI2



金がない → 暴力団から借金 → その金で銀行強盗


ここからが北野流と言うのか、非常にユニークと言うのか…。

旅行に行くためにお金が必要になった西は、暴力団に借金をし、その金を元手に銀行強盗をする。

スケールの大きさが普通の感覚の人と違うよね。

サラ金に金を借りようとか、ちょっと人をだまして金とっちゃおうとか、そういうセコイレベルではない。

さらに、そのお金を自分だけで使ったりしないところがまた粋なんだ。

下半身不随になった元相棒には絵画セットを、亡くなった同僚の奥さんにはまとまったお金を送っている。

そこからは、「自分だけがのうのうと生きていて申し訳ない」という声が聴こえてくる。

それもまた、これ見よがしにやるのではなく、密やかに、あしながおじさんのように郵送しているあたりが、照れ屋の北野武の色が出ていたように思う。



HANA-BI3



西が最後に観たかったのは「妻の笑顔」


そして西は、残りのお金を使って、妻との最後の旅行に出かける。

西が最後にしたかったのは、豪華絢爛な旅ではなく、「妻の笑顔」を観ることだったように思う。

子供を亡くし、以来、入院していた妻は、それまでどれだけ彼に笑顔を見せていたのだろうか。

トランプのカードを当てるゲーム、2人で一緒に撮った写真、深い雪の中に落ちちゃったこと。

彼らにとっては、場所ではなく、一緒に楽しい時間を過ごすことが、何よりも大切なことだと分かる。

しかも、そんなことは、2人でイチイチ口にしなくても理解し合えているところがまた良い。

彼が次に何をしようとしているのか、何をしたいと思っているのか。

何も言わなくたって分かっている。

その全てが、最後に唯一妻がつぶやくセリフ「ごめんね。ありがとう」に集約されている。



HANA-BI4



人生で最も輝ける時を終えたら…


2発の銃弾音を聴いて観終わった時、必死に真面目に細々と生きる人生より、ドドーンと打ち上がっては、一瞬にして消えてしまう花火のように、「一瞬の華」を求めて生きた男の人生だと感じた。

それは、西にとって長い間観ることがなかった妻の笑顔がその華であり、美しい華を眺めた後は、同僚たちが見守る中で自ら人生を終えていく。

銀行強盗をしてまで集めた金の使い道。

妻を長生きさせるための治療費ではない。

どうせ長生きできないのなら、一花咲かせて良い思いをしてから死のう。

そう思ったんだろうか。

花の美しさが一瞬で終わってしまうように、枯れた花に水をあげても生き返らないように、人生の輝けるときは一瞬。

その一瞬のために、私たちは毎日必死に生きているんだとしたら、キレイに咲かせて散ろう。

あとは死ぬのを待つ人生なんかいらない。

北野武は、そんな風に人生の終わり方を考えたのかなと思った。




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