タラジ・P・ヘンソン主演の映画「ドリーム」を映画館で観た。

1960年代、アメリカでは黒人たちの自由が認められていなかった頃、NASAの宇宙開発を影で支えた黒人女性たちの活躍を描く。


満足度 評価】:★★★★★

本当に素晴らしい映画だった。

今から50年以上も前、NASAの開発に大きく貢献しながら、『黒人女性だから』という理由で差別や偏見を受け、その活躍が公表されなかった黒人女性たち。

しかし、実際に働く彼女たちの姿に悲壮感がなく、どんなに酷い仕打ちにあっても、前向きに明るく生きる姿にはとても感動するし、何より、彼女たちがとってもかっこいい!!

「差別を受けています」と言って嘆くだけでなく、「誰よりも有能であること」を仕事ぶりと成果で見せ、必要ならば裁判所へ行って権利を獲得する行動力。

胸をはって前に向かって進む強さを、彼女たちから教えられた作品だった



「ドリーム」予告編 動画

(原題: Hidden Figures)




更新履歴・販売情報

・2017年10月3日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年8月12日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、ネット配信、DVD共に販売中。


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キャスト&スタッフ


出演者

〇タラジ・P・ヘンソン

オクタヴィア・スペンサー
…(「gifted/ギフテッド」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」など)

ジャネール・モネイ
…(「ムーンライト」など)

ケビン・コスナー
…(「ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~」、「モリーズ・ゲーム」、「クリミナル 2人の記憶を持つ男」、「ドリフト・デイ」、「ラスト・ミッション」、「マン・オブ・スティール」、「ボディ・ガード」、「フィールド・オブ・ドリームス」、「アンタッチャブル」など)

〇キルスティン・ダンスト

マハーシャラ・アリ


監督

セオドア・メルフィ
…(「ヴィンセントが教えてくれたこと」など)


2016年製作 アメリカ映画



ドリーム



あらすじ


1961年の冷戦時代、アメリカはソ連との宇宙開発競争で後れを取っていたため、NASAでは、ソ連よりも早く有人宇宙飛行を成功させることが求められていた。

責任者のハリソン(ケビン・コスナー)は、より早く正確に計算ができるスタッフを探していたところ、NASAで計算係をしていた数学者のキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)が採用される。

宇宙船の軌道を計算する部署に配属されたキャサリンだったが、当時のアメリカでは黒人の自由が許されず、同じ部署のスタッフから差別や偏見を受けたり、白人女性と同じトイレが使えないなどの困難を乗り越えながら奮闘していく。



ドリーム3



感想(ネタばれあり)


差別や偏見を受けながらも、前向きに働き続ける姿に感動



舞台は1961年のアメリカ。

当時のアメリカでは、有色人種の自由が認められていなかった。

正確には、法律で認められている州もあったけれども、彼女たちが暮らす州では、まだまだ認められないことが多かった。



そのため、国のトップ機関であるアメリカ航空宇宙局(NASA)ですら、黒人が働くビルが白人とは別だったり、白人のトイレは黒人が使えないなどの不便があった。

その中で、数学者やエンジニア、プログラマーとしての優秀な才能を持った黒人女性たちが、自分たちの才能を開花させ、差別や偏見に負けずに働く姿がここでは描かれる。

それは、NASAにも昔は差別があったことを認めることでもあるし、輝かしい宇宙開発事業の影には、名前が表に出ることのない黒人職員たちがいたということを認めることでもある。



そんな彼女たちの活躍を見ながら、『私も有色人種の女性である』という視点に立ち、彼女たちのように差別や偏見を受けたらどう思うか、どう感じるかと思いながら観ていた

すると、周りの人たちからの、まるで、ばい菌やゴミを観るような視線が、ビシビシと伝わってくる。

つまらない差別や偏見は、人間の進歩を遅らせるだけで、なんの利点もない

他人をけなすことのつまらなさと、偏見を乗り越え、協力し合うことの素晴らしさを感じた作品だった



ドリーム4


『働きたい』のに能力を発揮できない『偏見』の壁



『働く』ということは、どういうことだろうか。

同じ会社に集まった人たちが1つの事業に向かい、知恵や技術を出し合い、業績を上げ、利益を出し、それぞれの生活が豊かになっていくこと。

それが、『働く』ということなのだとしたら、社員、一人一人は『知恵や技術』を出せば良い。

それなのに、例えば、性別が違うから、学歴が悪いから、コネがないからという『どうでも良い理由』が目の前に立ちふさがり、能力を存分に発揮できない人たちがいる



NASAで働くキャサリンは、幼い頃から数字の天才だった。

黒人が通える大学の数も限られている中、小学校4年生の頃に飛び級で高校へ進み、博士号を取り、NASAに就職した逸材だった。

そんな彼女に、ようやくキャリアアップのチャンスがめぐって来る。

それが、「マーキュリー計画(アメリカ有人宇宙飛行計画)」で、宇宙船の軌道を決める計算係のポストだった。



しかし、様々な偏見と差別が彼女の前に立ちはだかり、せっかくポストを与えられながら、思うように実力を発揮できない

私も、バスの中では白人と座る位置が別とか、トイレが別っていうのは知っていたけど、まわりにいる同僚たち、一人一人の意識がキツイと思った。

部屋に入ればゴミ箱を手渡され、同じコーヒーポットのコーヒーを飲めないとか。

最悪なのは、仕事を与えられながら、同僚からの差別で数値を読むことができず、やりたい仕事が思う存分できないということ。



「自分よりも、彼女の方が優秀なはずがない」という男性職員の傲慢さが、どれだけ無駄な時間を費やしてしまったことか

キルスティン・ダンスト演じるヴィヴィアンが、トイレの中でオクタヴィア・スペンサー演じるドロシーと会った時、ヴィヴィアンはドロシーと「私は偏見を持っていないのよ」と言い切る。

それに対して、オクタヴィア・スペンサーは「その思い込みは立派ね」(うろ覚え)と言う場面がとても印象的だ。



「私は、あなたを理解しているのよ」と言っていること自体、相手を下に見ている。

偏見を持っていないというのなら、同じ部署に彼女を招き入れ、隣同士に机を並べ、共に仕事をすればいい。

伝言をするのにも、イチイチ長い距離を歩かなくて済むし、効率的じゃないか。

ヴィヴィアンがそのことに気づくのは、随分先の話になる。



その他にも、ドロシーが図書館で本を借りられなかったり、才能のあるメアリーがエンジニアになるために、裁判所に申請をして、白人しか通えない高校に通う権利を得る様子が描かれる。

今、アメリカで有色人種の人たちが自由に行動できるのは、そういう彼女たちの地道な活動があってこそなのだということがよく分かる



そんな風に、周りの人たちの差別や偏見に、1つずつ対処することに時間を割いている間、敵国のソ連はどんどん先に進んでいる。

その様子を見ていると、差別や偏見は、人間の進歩を遅らせるだけで、何の得にもならないことがよく分かる



ドリーム5


『偏見』を乗り越えるのは、確かな成果と数字



そんな差別の中で、彼女たちが素晴らしいなと思うのは、自分たちの才能や実力を「成績」や「成果」できちんと結果にしたこと

「差別があるから、この職場では働けません!」ではなく、

「私には、これだけの技術があるから、この職場で必要とされるべきです」と証明していく



実際には、刺さるような視線の中で働くということは、かなりしんどいことだったと思う。

それでも、彼女たちがそれをやり遂げたのは、『仕事をしたい』という、誰よりも強い気持ちがあるから。

彼女たちの強い熱意は、周りの人たちの心を次第に動かしていく。



原題の「Hidden Figures」とは『隠されたもの(者・物 両方)たち』という意味で、それは、当然NASAが長いあいだ隠してきた彼女たちの実績を示している。

しかし、彼女たちの内側に眠る『隠れた才能』を、成果という数字にして、目に見える形にしたからこそ得られた栄光という意味も含まれるのではと思った。



これは、日々、働いている人なら誰にもあてはまる話。

もしも、仕事で昇進したい、給料をあげたいと思うなら、「数字」を出さなければならない。

正確な「数字」だけが、人の心を動かすことができる。



差別や偏見はとても理不尽なものだけど、それを「理不尽だ!」と言うのなら、自分が誰よりも働ける姿を見せるべきということに、改めて気付かされた

私も、有色人種の女性として、もっと働きたい!稼ぎたい!と思うなら、もっともっと確かな数字を出さなきゃいけないなと思った。



ドリーム2


つまらない偏見は人間の進歩を遅らせる



もしも、彼女たちが最初から偏見を受けていなかったら、物語はどう進んでいただろうか。

軌道の計算も、IBMのコンピューターでの計算も、もっと早く進んでいたのではないだろうか。

それを思うと、「差別や偏見は、物事を後退させるだけで、何一つ良いことはない」ということがよく分かる。



全ての社員が気持ち良く働けるからこそ、仕事の効率も上がり、成果も出せる。

「女性だから」「学歴がないから」という、つまらない偏見を持つ前に、「チャンスが欲しい」と思っている人に対して、もっと活躍の場を与えるべきだと思う。

もしかしたら、その人が「Hidden Figures」の持ち主かもしれない。



現在、多様性の大切さが求められる時代だからこそ、この映画が訴える思いは、とても大きな意味を持つものだと思う。



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