渡辺謙主演の映画「怒り」を映画館で観た。

八王子で起きた一家惨殺事件から1年。千葉、東京、沖縄に現れる素性の知れない人たち。

彼らの中に未だ逃げ続ける犯人がいるのか…。彼らと、彼らを愛してしまった人たちとの生活を追う…。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

私がこの映画を観終わって、一言で表すなら、それは「怒り」ではなくて「信じる」だった。

そこが、私にとっては少し残念な点だった。


出演渡辺謙、森山未來、綾野剛、松山ケンイチ、妻夫木聡宮崎あおい池脇千鶴広瀬すずピエール瀧、佐久本宝

監督:李相日

「怒り」予告編 動画





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あらすじ


八王子で起きた一家惨殺事件。犯人が見つからないまま1年が過ぎようとしていた。

ちょうどその頃、千葉の鮮魚市場で働き始めた田代(松山ケンイチ)は、どこから来たのか、経歴も分からない。

やがて、田代の上司である槇(渡辺謙)の娘愛子(宮崎あおい)と付き合い始める。

しかし、槇は、愛子が素性の知れない男と付き合うことが心配になり…。


また、同じころ東京では、会社員の藤田優馬(妻夫木聡)は新宿二丁目の風俗店で知り合った大西直人(綾野剛)と同棲を始める。

名前は分かっているのもも、どこから来たのか、どこに住んでいるのかも言わない直人を怪しむ優馬だったが、日を重ねるごとに二人の関係は親密になり…。


そして、沖縄。

離島で母と2人暮らしの泉(広瀬すず)は、同級生の辰哉(佐久本宝)と無人島に遊びに行くと、廃墟で謎の男(森山未來)が暮らしていることを知る。

彼の名前は田中と言い、人見知りをしない泉はすぐに仲良くなるのだが…。

怒り

感想(ネタバレあり)


もしも、自分の周りに殺人犯がいたら


八王子で一家惨殺事件が起きてから一年。

犯人は顔を変え、人々の生活に交じり、どこかで普通に生活している。

そこから浮かび上がる、犯人のモンタージュ写真に良く似た3人の男。

千葉の男は上司の娘と同棲し、東京の男は風俗店で知り合った恋人と同棲し、沖縄では無人島で生活をしていた。

彼らは、それぞれに恋人や友人を作り、普通に日常生活を送っていた。

そんな彼らの中に犯人がいるのか…。

もしも、そのうちの誰かが犯人だと分かった場合、周りの人々はどう反応するのか。

未解決事件の犯人の生活をあぶりだすサスペンスタッチの人間ドラマだった。

怒り2

「信じる」ということ


私たちは、誰かと友人関係や恋人関係になる時、お互いに履歴書を提出する訳ではない。

それに、親しくなるまでは、それまでどこに住み、どんな生活を送ってきたのかなどイチイチ聞いたりしない。

それでも、親しい友人や恋人になったりできるのは、お互いの「信頼関係」があるからに他ならない。

互いに信じれば信じる程、心も体も互いの距離は近くなる。

しかし、ちょっとでも相手を疑うようなことがあれば、それを言葉にしなくても、少しずつ二人の間の心も体も距離が離れていってしまう。

そして、互いの「信じる気持ち」が裏切られた時、「信じる」思いは、一転、「怒り」へと変わってしまう。

だから、もしも、相手が手放したくない人ならば、どんなことがあっても「信じる」ことを続けないといけない。

この映画を観ていて思ったのは、その「信じる」ということだった。

口では簡単に「信じているよ」と言っても、ホントに些細なことでその信頼は簡単に吹き飛んでしまう。

その「信じる」ことの難しさ、重さを改めて考えさせられた作品だった。


怒り4

千葉・東京・沖縄…。それぞれの「信じる」と「疑い」


千葉では、父親が娘の恋人を疑っていた。

その疑いが娘に伝染し、娘は恋人を裏切り「殺人犯なのでは?」と疑ってしまう。

自分では「絶対に違う」と分かっていても、外野から言われると、「そうなのかもしれない」と思ってしまう心の弱さ。

その思いを察知したように恋人はその町からいなくなってしまう。


東京では、たまたまテレビを観た男は、恋人が殺人犯なのではと疑う。

警察からかかってきた電話を勘違いし、殺人犯だと確信してしまう。

そして、疑い始めた時から、恋人は行方をくらましてしまう。

本当は、恋人は彼を悲しませたくなかっただけなのだが、彼が疑い始めた直後にいなくなったのは、偶然だったのか。

もっと信頼し合えていたら、もう少し長く側にいられたのではないか。


沖縄では、まだ幼い高校生たちが辛い現実と向き合おうとして必死に生きていた。

そして、大人の友人である田中を信頼し、相談するが、その高校生の純粋で必死な思いを見事に踏みにじられてしまう。

そして、そのピュアな思いも、一瞬にして「怒り」へと変化していく…。


怒り3

「怒り」の出所はどこに…


しかし、この映画のタイトルは「信じる」ではなく、「怒り」だ。

私が本当に知りたかったのは、なぜ、彼は八王子で惨殺した時に「怒り」と大きな文字で書いたのか。

どんな些細なことでも、書きださないと気が済まない犯人の癖にしても、あの「怒り」という文字には、相当な思いが込められていたように思う。

でも、そのことに関しては、あっさりと「『殺してやる』という衝動」で片付けられてしまった。

私には、その「怒り」に関する描写が少し物足りなかった。

わざわざ沖縄へ行き、反米デモがあり、暴行を繰り返す米兵への不信感が募る中、様々な怒りが渦巻く「沖縄」をなぜ選んだのか。

その思いが、ここには反映されていないように思った。


怒り5

ピュアな沖縄を思いっきり汚す者たち


とはいえ、今でもどこかでひっそりと暮らす未解決事件の真犯人たちを思うとゾッとするし、こういう人たちが隣で平気な顔をして暮らしているかもしれないなと考えてしまう。

電車で隣合わせになるかもしれないし、どこかで会話をすることがあるかもしれない。

その部分の描写は興味深かったし、いろいろと考えながら観ていた。

しかしなぁ沖縄の海が異常にキレイだったんだよなぁ。

あのどこまで透き通る美しさと、泉と辰哉のピュアさ、そしてそれを思いっきり汚すレイプ犯と殺人犯。

その対比がとても印象的で、心に残る場面だった。

人を信頼するのというは、とても簡単なようで難しい。

その重さを知る映画だった。





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