トム・ヒドルストン主演の映画「アイ・ソー・ザ・ライト」を映画館で観た。

1950年代にアメリカで大ヒットしたカントリー歌手ハンク・ウィリアムスの短すぎる生涯を描く。

満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

ハンク・ウィリアムスという人は、トップに立つにはあまりにも繊細過ぎる人だと思った。

小さな田舎町のマイナーな歌手が、急激にスターになってしまったために、周りの環境についていけなくなった精神面が引き起こす悲劇。

その切なさが心に残る作品だった。


出演トム・ヒドルストンエリザベス・オルセン、チェリー・ジョーンズ、ブラッドリー・ウィットフォード、マディー・ハッソン

監督:マーク・エイブラハム 2015年 アメリカ映画


「アイ・ソー・ザ・ライト」予告編 動画

(原題:I SAW THE LIGHT)




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あらすじ


1944年アメリカ・アラバマ州。

カントリー歌手ハンク・ウィリアムス(トム・ヒドルストン)は、歌手志望のオードリー(エリザベス・オルセン)と結婚する。

やがて、ハンクは歌手として成功し、2人の間に息子も生まれ生活も豊かになっていく。

しかし、ハンクが全国を周るツアーに出るようになると、オードリーは常に家にいな彼を責めるようになり、ハンクも満たされない思いから逃げるように酒に頼るようになる…。

アイ・ソー・ザ・ライト

感想(ネタバレあり)


あまりも早すぎた成功が生んだ悲劇


未だにアメリカでは「偉大なカントリー歌手の1人」と称えられるハンク・ウィリアムス。

この映画では、29歳という若さでこの世を去ってしまった彼の生涯を描いている。

美談にするわけでもなく、ハンクの肩を持つわけでもない。

良いところも、悪いところもありのままのハンクを描いているように見受けられるのが、この映画の良いところだと思った。

ハンク・ウィリアムスという歌手がどれ程偉大な歌手だったのかについては、正確な数字を伝えるためにWikipediaから引用する。

ハンク・ウィリアムズ(Hank Williams、本名:ハイラム・キング・ウィリアムズ、Hiram King Williams、1923年9月17日 - 1953年1月1日)は、カントリー音楽の歴史において最も重要な人物のひとりと見なされている、アメリカ合衆国のシンガーソングライター、音楽家。

1947年から、29歳で亡くなった1953年の最初の日までの短い間に、ウィリアムズは、「ビルボード」のカントリー&ウェスタン・チャートにおいて、1位になった11枚を含め、トップ10入りした35枚のシングル盤を録音した(このうち5枚は、ウィリアムズの死後にリリースされた)。

 「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第27位。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第74位。「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第59位。

Wikipedia「ハンク・ウィリアムス」より

ということで、なんと、わずか6年間でチャート1位が11枚!トップ10入りが30枚!

その数字だけでも、彼がどれ程急速にトップに上り詰めたのかが良く分かる。

しかし、ハンクという人はトップに立つにはあまりも若すぎただけでなく、繊細過ぎた人だったとこの映画を観て思った。


アイ・ソー・ザ・ライト5

日々の辛い生活を支えたのは家庭ではなく、酒とドラッグ


それでは、ハンク・ウィリアムスはなぜ破滅の道を歩むようになってしまったのか。

1943年。彼は20歳という若さで歌手志望のオードリーと恋に落ち結婚する。

初めは互いに歌手で成功する夢を見ていたが、ハンクが成功するにつれ、2人の関係はギクシャクし始める。

彼らの関係が壊れていく様子を見ながら、ハンクがあまりにも早く成功しすぎたため、2人とも周辺の環境の変化についていけなくなったと思った。

ハンクが悪い、オードリーが悪いではなく、2人とも生活に順応していくのに精一杯だった。

田舎町のローカルなカントリー歌手だったハンクが、急激に売れ始め、見知らぬ友人が増え、酒やドラッグが簡単に手に入り、前よりも大きな家に住むようようになる。

憧れの生活を手に入れたはずが、どうしていいか分からないことが増え、若すぎるためにどう対処していいのか分からない。

そして、オードリーは1人で子育てすることを愚痴るようになり、ハンクはその苦情から逃げるように、その場限りの快楽に頼るようになっていく。

ハンクもオードリーもお互いが、もう少しずつ歩み寄っていたら、状況は全く変わっていたはずだ。

それができないのが若さであり、ハンクが破滅の道へと歩んでいく一番の原因だったように見えた。


アイ・ソー・ザ・ライト2

破滅が生み出した歌が人々に愛されるという皮肉


そして、ハンクとオードリーは離婚を決意する。

きっかけは、ハンクが脊椎の手術を受けた時にオードリーが彼の看病をしなかったことだったが、そうなる前に2人のの関係は終わっていた。

本当は、ハンクが歌うことを休まざるを得なかった期間、2人の関係を見直す良いチャンスだった。

しかし、すっかり関係が冷え切ってしまった2人にとっては、余計に関係を悪化させるだけの時間になってしまった。

もしかしたら、その脊椎の異常が発覚するのがもう少し早かったら、2人の関係も変わっていたのかもしれない。

でも、2人の関係を見ていると、問題なのは文句ばかり言っているオードリーだけでなく、「歌うこと」以外は何も知らないハンクが、仕事の疲れや忙しさから逃げるように酒やドラッグに頼っていた生活にも大いに問題があった。

それは、ハンクの意志の弱さ、辛いことに耐えられない繊細さが原因だったように思う。

もちろん、酒とドラッグに頼る生活は身体も蝕んでいく…。

どう考えても、ハンクは破滅の道を歩んでいたのに…。

どうして誰も彼にアドバイスできなかったのか…。

それがとても残念で仕方がない。

でも、もしかしたら、その破滅的な私生活が、彼の素晴らしい歌を生み出したのかもしれないと思うと、それもまた切ない。

アイ・ソー・ザ・ライト3

ピュアで繊細なハンク・ウィリアムスを演じたトム・ヒドルストン


ハンク・ウィリアムスを演じるのは、イギリスの俳優トム・ヒドルストン

現在、イギリスに限らずアメリカでも人気上昇中の俳優トムヒさん。

この映画を見始めた時に、アメリカの伝説的なカントリー歌手をイギリス人が演じるというのが不思議だったんだけど、アメリカでは反発はなかったんだろうか…。

彼は、この映画「アイ・ソー・ザ・ライト」の中で歌も披露しているが、トム・ヒドルストンがこのハンク役に選ばれたのも分かる気がする。

トム・ヒドルストンの細やかな演技が、ハンク・ウィリアムスをピュアで繊細な人物に作り上げている。

私の中で、トム・ヒドルストンと言ったら「マイティ・ソー」シリーズのロキのイメージしかなかったんだけど(笑)

この映画「アイ・ソー・ザ・ライト」を観て、ガラリと印象が変わった。

彼が、今、「世界で最もモテる男の1人だ」という理由が分かった気がする。

ウルウルとした大きな瞳で歌を歌いあげる姿に、実物のハンク・ウィリアムスもそうやって女性たちをメロメロにさせたのでは…と思ってしまった。

それに、高音で澄み渡る歌声が良い!ぜひ、ミュージカル映画もやって欲しい!と思った。

トムヒに限らず、今、アメリカで大人気の新世代のイギリス俳優たち。

ベネディクト・カンバーバッチ、エディ・レッドメイン、ジャック・オコンネル、ドーナル・グリーソンなどなど。

演技がうまいのはもちろん、1人1人が非常に多彩なところが魅力だ。

きっと、今後も彼らの勢いは増すばかりと思われる。

トム・ヒドルストンの他の出演作には、「クリムゾン・ピーク」、「アベンジャーズ」など

アイ・ソー・ザ・ライト4

夫がトップスターになっていく事実を受け止められない妻オードリーを演じたエリザベス・オルセン


ハンク・ウィリアムスの妻、オードリーを演じたのはエリザベス・オルセン

彼女もトムヒと同じく、マーベルコミック映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でいきなりメジャー街道に上がってきた女優だ。

残念ながら、今のところトムヒとエリザベス・オルセンがマーベル映画で共演したことはないけど。

エリザベス・オルセンは海外ドラマ「フルハウス」に出演していたオルセン姉妹の妹。

自然で等身大の女性を演じることが多い。

この映画「アイ・ソー・ザ・ライト」でも、家を留守がちなスターを夫に持つ妻のブチ切れ感が良く出ていてた。

一見、オードリーは悪妻だけど、彼女に同情する人も多いはずだ。

そんなエリザベス・オルセンの他の出演作には、「ウインド・リバー」、「GODZILLA ゴジラ」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「恋するふたりの文学講座」など

アイ・ソー・ザ・ライト7

人生経験が足りなままに成功する人々の墜落人生


成功したいという気持ちはきっと誰もが持っている欲望の1つだけど、人生経験がないままに、いきなり成功してしまうと、「どんな環境でも自分を見失わずにいること」がとても難しいことだというのが良く分かる。

ハリウッドで子役の頃に成功してしまった人たちの多くが潰れしまうのも、そこが原因かと思う。

そうなると、周りにいる大人たちが的確なアドバイスをすることが大切なんだろうと思うけど、トップに立ってしまった人間が周りのアドバイスを受け入れるというのもなかなか難しい。

でも、あれだけ多くの人から愛された歌を歌っていた人が、そんな風にあまりにも短い人生を終えていってしまうのもなんだか、とても残念だ。

あぁ。とても切ない映画だった。





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