マーゴット・ロビー主演の映画「アイ,トーニャ」を試写会で観た。
1994年 リレハンメル冬季五輪 全米代表選考会で起きた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」その加害者として世間を騒がせたトーニャ・ハーディングの半生を描く。
第90回 アカデミー賞(2018年) 助演女優賞(アリソン・ジャネイ)受賞作品。
【満足度 評価】:★★★★☆
面白かった!
毒親の子に与える影響と、その親に支配から抜け出すことの難しさを感じた作品。
トーニャも母も、トーニャの夫も暴力を振るうことに罪悪感を感じていないところが恐ろしくて、衝撃的だった。
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◆【映画パンフレット】アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
◆参考:「氷の炎―トーニャ・ハーディング」
…(「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」、「グッバイ・クリストファー・ロビン」、「死の谷間」、「ピーターラビット」(声の出演)、「スーサイド・スクワッド」、「ターザン:REBORN」、「フランス組曲」、「フォーカス」、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」など)
〇アリソン・ジャネイ
〇セバスチャン・スタン
…(「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、「ローガン・ラッキー」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」など)
〇マッケンナ・グレイス
…(「gifted/ギフテッド」、ドラマシリーズ「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」など)
…(「ザ・ブリザード」、「ミリオンダラー・アーム」など)
2017年製作 アメリカ映画

貧しい家庭で育ち、母親(アリソン・ジャネイ)から暴力を受けながら育てられ、フィギュアスケートの全米代表選手にまで登りつめたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)。
その暴力的な母親から逃げるように家を出てジェフ(セバスチャン・スタン)と結婚したトーニャだったが、彼もまたトーニャに暴力を振るう男だった。
そのため、ジェフと離婚したり、よりを戻したりしながらスケートを続けたトーニャは、アメリカ人フィギュアスケーターとして初めてトリプルアクセルを成功させ、92年のアルベールビル冬季オリンピックに出場。
しかし、続く94年に開催されるリレハンメル冬季五輪の選考会で、ライバル選手のナンシー・ケリガンが襲撃される事件が起き、ナンシーは欠場、トーニャは優勝してオリンピック出場を決めるが、トーニャがナンシー襲撃に関わっていると疑われてしまい…。

フィギュアスケートにどんなイメージを持つだろうか。
女性も男性も、華やかで美しい衣装を着て、壮大な音楽をバックに優雅にスケートリンクを舞い、観客を魅了する。
そのため、冬季オリンピックでは、最も人気のある競技の一つである。
そういう私も、スポーツを見ている時間があったら、一本でも多く映画を観ていたいタイプだが、平昌冬季オリンピックでは、羽生選手の演技が見たくて、男子フィギュアだけは観たのだ。
きっと、私のように「フィギュアスケートだけは観た」という人が少なくないだろうと思う。
この映画の主人公トーニャ・ハーディングは、そのフィギュアスケートでオリンピック全米代表になった選手である。
しかし、彼女を育てたのは、その華やかさ、優雅さ、美しさとは正反対の世界だった。
そして、彼女はそれまでのアメリカフィギュアスケート史の中でも、最も才能のある選手の一人だったにも関わらず、その生まれ育った環境が彼女の人生を追い詰めることになってしまう。
この映画は、その表の世界(フィギュアスケート)と、裏の世界(劣悪な家庭環境)のギャップに驚愕してしまう作品だった。
1994年 1月6日 リレハンメル冬季五輪 フィギュアスケート代表選考会。
その当時、アメリカ代表の中で実力ナンバー1だったナンシー・ケリガンが襲われる事件が起きる。
彼女を襲撃した犯人として、ライバルのトーニャ・ハーディングが疑われてしまう。
なぜ、事件は起きたのか。
彼女は本当に犯人だったのか。
その当時、カタリナ・ヴィットと伊藤みどりの時代が終わり、私自身は、フィギュア・スケートに興味をなくした頃だった。
しかし、それでも、トーニャ・ハーディングの襲撃事件があったことは憶えている。
それも、「彼女がナンシー・ケリガンを襲わせたんでしょ?」と思っていた。
それは、私の大きな勘違いなのだが、なぜ、私はそんな記憶違いをしていたのか。
この映画を観終わった後は、それも理解できるような気がした。

幼少時代のトーニャ・ハーディング。
演じるのは天才子役のマッケンナ・グレイス。
幼い頃のトーニャは貧しい家庭で育つ。
しかし、アイススケートが好きなトーニャには才能があると思った母親は、貧しいながらもトーニャをスケート場に通わせる。
そこまでは、美談になる。
しかし、その母親は、トーニャに対し、言うことを聞かなければ殴る、蹴る、罵声を浴びせるを繰り返す。
この母親は完全に毒親(言葉や力による暴力で子供を支配しようする親)である。
その恐ろしい日々の中で、トーニャは恐怖に震えながらアイススケートを続ける。
そんな母親に呆れた夫(トーニャの父)は、泣いてすがるトーニャを置いて家を出てしまう。
それ以降、トーニャは恐ろしい毒親と2人で全米代表選手を目指すようになる。
この小学生から思春期まで、トーニャは毒親から激しい暴力を受け続けた結果、暴力というものに対して抵抗のない人間に育ってしまう。
普通の人が恐れるような暴力も、「たかが暴力」程度になってしまうのだ。
そこが、毒親が子供に及ぼす影響の恐ろしさなのだ。

そんな「暴力にあまり抵抗を感じない」トーニャは、思春期を終えると、口うるさい母親の元を離れ、ジェフと結婚する。
しかし、このジェフもまた、とんでもないDV男なのだ。
彼は、ちょっと気に食わないことがあれば、平気で暴力を振るうような男だった。
そんな男と暮らしていられるのも(のちに離婚と復縁を繰り返すことになるが)、トーニャ自身が暴力に対して抵抗がないことを示している。
彼らのケンカもけた違い。
それは、暴力の影響のない世界で育った人間からすれば異常なものだけど、彼らにとっては、それが「普通の世界」なのだ。
そんな生活の中で、トーニャの心を自分に向けたいジェフは、ナンシー・ケリガンを脅して、全米選手権でトーニャを勝たせたいと思うようになる。
そこで、ジェフは友人のシェーンに「ちょと脅してやれ」と指示するのだが、その指示を「痛めつけてやれ」と勘違いしたシェーンは、ナンシー・ケリガンを襲撃してしまう。
だから、本当のところ、トーニャは「ナンシー・ケリガン襲撃事件」と何の関係もないのだ。
けれど、世間の人はそうは見ない。
トーニャはどれだけ「関係ない」と主張しようとも、トーニャもジェフもシェーンも同じ穴の狢であり、ひとくくりなのだ。
ジェフがそういう人間だと分かっていて、縁が切れなかったトーニャへの因果応報だとしか思えないのだ。
その結果、遠く離れた日本で暮らす私が「トーニャ自身が関わっていた事件」だと勘違いしてもおかしくないのだ。
いくらトーニャが知らないと主張しても、ジェフもシェーンも、他人からみればトーニャファミリーの一人であり、1%でも黒い部分があれば、世間からは100%黒だとみなされるのだ。
フィギュアスケートとは、優雅で華麗なスポーツ。
全米代表ともなれば、私生活も代表選手らしく優雅で華麗であるべきなのだ。
彼女が直接手を下した、していない、命令をした、してないに関わらず、彼女が追放されてしまったのは、そこに理由がある。
代表選手には、代表選手らしい生き様があるのだ。
スケートリンクを降りてからも、人々の手本となるべき人間が代表選手としてふさわしいのだ。
日本の羽生選手を見ればよくわかる。
どこを切り取っても、リンクを降りてもゴールドメダリスト。
そんな人が、代表選手としてふさわしいのだ。

アメリカのフィギュアスケート史に残るような素晴らしい才能の持ち主ながら、スケート界を追放され、ボクサーとして晩年を過ごすことになってしまった不幸(本人は不幸だと思っていないかもしれないが)には、毒親による影響の強さを考えずにはいられない。
トーニャにとって最大の不幸は、毒親を母親に持ったことである。
幼い頃から暴力に抵抗なく育った結果、常に身の回りに暴力があるような人生を送り、その果てに「ナンシー・ケリガン襲撃事件」が起きるのである。
にもかかわらず、母親は肩にインコを乗せながら、自分は「貧しい中でトップのフィギュアスケーターを育てた」と自慢げなのだから恐れ入る。
呆れて笑ってしまうわ。
確かに、彼女は一流のスケート選手を育てたかもしれない。
しかし、そのトーニャの内面は「一流選手とは程遠いもの」であり、それがスケート界からの追放につながるのだ。
その毒親の影響については、先日観たホアキン・フェニックス主演の映画「ビューティフル・デイ」でも描かれていたけれど、その支配から逃れることは非常に難しいのだ。
「ビューティフル・デイ」でホアキン・フェニックスは、毒親に育てられながら暴力的な一面を持つ殺し屋になり、トーニャ・ハーディングはフィギュアスケーターを辞めた後は、ボクサーに転身している。
そうやって、一生暴力と付き合っていくことになるのだ。
トーニャ・ハーディングは、ナンシー・ケリガンに対しては加害者側の人間かもしれないが、毒親に虐待された被害者でもある。
この映画は、そんな母と娘と夫の生活を、時に笑いを交えながらユーモアに描いているけれど、そこに描かれている闇は、現代社会が抱える問題点であり、その奥はとても深いのである。
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◆DVDで観る:「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」
◆【映画パンフレット】アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
◆参考:「氷の炎―トーニャ・ハーディング」
1994年 リレハンメル冬季五輪 全米代表選考会で起きた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」その加害者として世間を騒がせたトーニャ・ハーディングの半生を描く。
第90回 アカデミー賞(2018年) 助演女優賞(アリソン・ジャネイ)受賞作品。
【満足度 評価】:★★★★☆
面白かった!
毒親の子に与える影響と、その親に支配から抜け出すことの難しさを感じた作品。
トーニャも母も、トーニャの夫も暴力を振るうことに罪悪感を感じていないところが恐ろしくて、衝撃的だった。
目次
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」予告編 動画
(原題: I, Tonya)更新履歴・公開、販売情報
・2018年5月17日 試写会で観た感想を掲載。
・2019年6月9日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
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キャスト&スタッフ
出演者
〇マーゴット・ロビー…(「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」、「グッバイ・クリストファー・ロビン」、「死の谷間」、「ピーターラビット」(声の出演)、「スーサイド・スクワッド」、「ターザン:REBORN」、「フランス組曲」、「フォーカス」、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」など)
〇アリソン・ジャネイ
〇セバスチャン・スタン
…(「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、「ローガン・ラッキー」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」など)
…(「ブラック・クランズマン」など)
〇マッケンナ・グレイス
…(「gifted/ギフテッド」、ドラマシリーズ「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」など)
監督
〇クレイグ・ギレスピー…(「ザ・ブリザード」、「ミリオンダラー・アーム」など)
2017年製作 アメリカ映画

あらすじ
貧しい家庭で育ち、母親(アリソン・ジャネイ)から暴力を受けながら育てられ、フィギュアスケートの全米代表選手にまで登りつめたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)。
その暴力的な母親から逃げるように家を出てジェフ(セバスチャン・スタン)と結婚したトーニャだったが、彼もまたトーニャに暴力を振るう男だった。
そのため、ジェフと離婚したり、よりを戻したりしながらスケートを続けたトーニャは、アメリカ人フィギュアスケーターとして初めてトリプルアクセルを成功させ、92年のアルベールビル冬季オリンピックに出場。
しかし、続く94年に開催されるリレハンメル冬季五輪の選考会で、ライバル選手のナンシー・ケリガンが襲撃される事件が起き、ナンシーは欠場、トーニャは優勝してオリンピック出場を決めるが、トーニャがナンシー襲撃に関わっていると疑われてしまい…。

感想(ネタバレあり)
優雅で華麗なステージの裏で起きた卑劣な「ナンシー・ケリガン襲撃事件」
フィギュアスケートにどんなイメージを持つだろうか。
女性も男性も、華やかで美しい衣装を着て、壮大な音楽をバックに優雅にスケートリンクを舞い、観客を魅了する。
高度な身体能力を求められるスポーツであるが、それと同時に、観客の目を楽しませるエンターテインメントな一面も持ち合わせている。
そのため、冬季オリンピックでは、最も人気のある競技の一つである。
そういう私も、スポーツを見ている時間があったら、一本でも多く映画を観ていたいタイプだが、平昌冬季オリンピックでは、羽生選手の演技が見たくて、男子フィギュアだけは観たのだ。
きっと、私のように「フィギュアスケートだけは観た」という人が少なくないだろうと思う。
この映画の主人公トーニャ・ハーディングは、そのフィギュアスケートでオリンピック全米代表になった選手である。
しかし、彼女を育てたのは、その華やかさ、優雅さ、美しさとは正反対の世界だった。
そして、彼女はそれまでのアメリカフィギュアスケート史の中でも、最も才能のある選手の一人だったにも関わらず、その生まれ育った環境が彼女の人生を追い詰めることになってしまう。
この映画は、その表の世界(フィギュアスケート)と、裏の世界(劣悪な家庭環境)のギャップに驚愕してしまう作品だった。
1994年 1月6日 リレハンメル冬季五輪 フィギュアスケート代表選考会。
その当時、アメリカ代表の中で実力ナンバー1だったナンシー・ケリガンが襲われる事件が起きる。
彼女を襲撃した犯人として、ライバルのトーニャ・ハーディングが疑われてしまう。
なぜ、事件は起きたのか。
彼女は本当に犯人だったのか。
その当時、カタリナ・ヴィットと伊藤みどりの時代が終わり、私自身は、フィギュア・スケートに興味をなくした頃だった。
しかし、それでも、トーニャ・ハーディングの襲撃事件があったことは憶えている。
それも、「彼女がナンシー・ケリガンを襲わせたんでしょ?」と思っていた。
それは、私の大きな勘違いなのだが、なぜ、私はそんな記憶違いをしていたのか。
この映画を観終わった後は、それも理解できるような気がした。

成長期に毒親からの暴力を受け続けて育ったトーニャ・ハーディング
幼少時代のトーニャ・ハーディング。
演じるのは天才子役のマッケンナ・グレイス。
幼い頃のトーニャは貧しい家庭で育つ。
しかし、アイススケートが好きなトーニャには才能があると思った母親は、貧しいながらもトーニャをスケート場に通わせる。
そこまでは、美談になる。
しかし、その母親は、トーニャに対し、言うことを聞かなければ殴る、蹴る、罵声を浴びせるを繰り返す。
この母親は完全に毒親(言葉や力による暴力で子供を支配しようする親)である。
その恐ろしい日々の中で、トーニャは恐怖に震えながらアイススケートを続ける。
そんな母親に呆れた夫(トーニャの父)は、泣いてすがるトーニャを置いて家を出てしまう。
それ以降、トーニャは恐ろしい毒親と2人で全米代表選手を目指すようになる。
この小学生から思春期まで、トーニャは毒親から激しい暴力を受け続けた結果、暴力というものに対して抵抗のない人間に育ってしまう。
普通の人が恐れるような暴力も、「たかが暴力」程度になってしまうのだ。
そこが、毒親が子供に及ぼす影響の恐ろしさなのだ。

問われているのは、トーニャ自身の生き様である
そんな「暴力にあまり抵抗を感じない」トーニャは、思春期を終えると、口うるさい母親の元を離れ、ジェフと結婚する。
しかし、このジェフもまた、とんでもないDV男なのだ。
彼は、ちょっと気に食わないことがあれば、平気で暴力を振るうような男だった。
そんな男と暮らしていられるのも(のちに離婚と復縁を繰り返すことになるが)、トーニャ自身が暴力に対して抵抗がないことを示している。
彼らのケンカもけた違い。
殴ったり、物を投げたりするのは当たり前で、時にはトーニャが猟銃を持ちだしてジェフを撃つこともあった。
それは、暴力の影響のない世界で育った人間からすれば異常なものだけど、彼らにとっては、それが「普通の世界」なのだ。
そんな生活の中で、トーニャの心を自分に向けたいジェフは、ナンシー・ケリガンを脅して、全米選手権でトーニャを勝たせたいと思うようになる。
そこで、ジェフは友人のシェーンに「ちょと脅してやれ」と指示するのだが、その指示を「痛めつけてやれ」と勘違いしたシェーンは、ナンシー・ケリガンを襲撃してしまう。
だから、本当のところ、トーニャは「ナンシー・ケリガン襲撃事件」と何の関係もないのだ。
けれど、世間の人はそうは見ない。
トーニャはどれだけ「関係ない」と主張しようとも、トーニャもジェフもシェーンも同じ穴の狢であり、ひとくくりなのだ。
ジェフがそういう人間だと分かっていて、縁が切れなかったトーニャへの因果応報だとしか思えないのだ。
その結果、遠く離れた日本で暮らす私が「トーニャ自身が関わっていた事件」だと勘違いしてもおかしくないのだ。
いくらトーニャが知らないと主張しても、ジェフもシェーンも、他人からみればトーニャファミリーの一人であり、1%でも黒い部分があれば、世間からは100%黒だとみなされるのだ。
フィギュアスケートとは、優雅で華麗なスポーツ。
全米代表ともなれば、私生活も代表選手らしく優雅で華麗であるべきなのだ。
彼女が直接手を下した、していない、命令をした、してないに関わらず、彼女が追放されてしまったのは、そこに理由がある。
代表選手には、代表選手らしい生き様があるのだ。
スケートリンクを降りてからも、人々の手本となるべき人間が代表選手としてふさわしいのだ。
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そんな人が、代表選手としてふさわしいのだ。

毒親の支配と影響から逃れることの難しさ
アメリカのフィギュアスケート史に残るような素晴らしい才能の持ち主ながら、スケート界を追放され、ボクサーとして晩年を過ごすことになってしまった不幸(本人は不幸だと思っていないかもしれないが)には、毒親による影響の強さを考えずにはいられない。
トーニャにとって最大の不幸は、毒親を母親に持ったことである。
幼い頃から暴力に抵抗なく育った結果、常に身の回りに暴力があるような人生を送り、その果てに「ナンシー・ケリガン襲撃事件」が起きるのである。
にもかかわらず、母親は肩にインコを乗せながら、自分は「貧しい中でトップのフィギュアスケーターを育てた」と自慢げなのだから恐れ入る。
呆れて笑ってしまうわ。
確かに、彼女は一流のスケート選手を育てたかもしれない。
しかし、そのトーニャの内面は「一流選手とは程遠いもの」であり、それがスケート界からの追放につながるのだ。
その毒親の影響については、先日観たホアキン・フェニックス主演の映画「ビューティフル・デイ」でも描かれていたけれど、その支配から逃れることは非常に難しいのだ。
「ビューティフル・デイ」でホアキン・フェニックスは、毒親に育てられながら暴力的な一面を持つ殺し屋になり、トーニャ・ハーディングはフィギュアスケーターを辞めた後は、ボクサーに転身している。
そうやって、一生暴力と付き合っていくことになるのだ。
トーニャ・ハーディングは、ナンシー・ケリガンに対しては加害者側の人間かもしれないが、毒親に虐待された被害者でもある。
この映画は、そんな母と娘と夫の生活を、時に笑いを交えながらユーモアに描いているけれど、そこに描かれている闇は、現代社会が抱える問題点であり、その奥はとても深いのである。
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〇「ビューティフル・デイ」
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toe@とにかく映画が好きなんです@pharmacy_toe
映画『アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル』★★★★4.0点。 面白かったなー
2018/04/29 22:41:37
これはなかなかの衝撃作だった
「ナンシー・ケリガン襲撃事件」で知… https://t.co/2FWsJgSKuE #Filmarks #映画
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