蒼井優主演の映画「彼女がその名を知らない鳥たち」を映画館で観た。

元OLで現在無職の十和子と、その同棲相手、不倫相手、元カレをめぐるサスペンス映画。



満足度 評価】:★★★★☆

観ている人の恋愛観を試すような映画だった。

「人を愛しすぎてブレーキがきかない」人と、相手に何も求めない「無償の愛」が出会ったとき、そこから奇跡が生まれる物語だった。

主人公の十和子は酷い女だけど、私の心の奥底のどこかにも十和子が潜んでいると思った。

女を怒らせたら怖いのだ。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「彼女がその名を知らない鳥たち」予告編 動画




更新履歴・公開、販売情報

・2017年12月5日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年11月4日 WOWOWでの放送に合わせて加筆修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

…(「斬、」など)

〇阿部サダヲ

松坂桃李
…(「孤狼の血」、「図書館戦争 THE LAST MISSION」など)

竹野内豊
…(「孤狼の血」、「シン・ゴジラ」など)

〇村川絵梨

〇赤堀雅秋

〇赤澤ムック

〇中嶋しゅう


監督

白石和彌
…(「孤狼の血」、「凶悪」など)

原作

〇沼田まほかる


2017年製作 日本映画



映画「彼女がその名を知らない鳥たち」



あらすじ


元OLで現在無職の十和子(蒼井優)は、建築作業員の陣治(阿部サダヲ)と同棲している。

陣治は稼いできた給料のほとんどを十和子に貢ぐが、十和子はその金で自由に生活している上に、掃除や洗濯もせず、陣治に対して恋愛感情がない。

さらに、十和子は8年前に分かれた元カレ・黒崎(竹野内豊)のことが忘れられず、その上、妻子ある男・水島(松坂桃李)と付き合い始める。

そして、いつか水島が離婚して十和子と一緒に海外へ行くのだと信じている。

そんな十和子に対し、陣治は「水島は酷い男だ」と言って、十和子と水島の後をつけまわす。

すると、水島が盗難に遭う事件が起きて…。



映画「彼女がその名を知らない鳥たち」蒼井優と松坂桃李



感想(ネタバレあり)


何もしないヒモ女に貢ぎ続ける男と、ヒモ女を利用する不倫男


蒼井優が演じる主人公の十和子は、なかなか酷い女だ。

日常生活では、無職で掃除や洗濯や料理もせず、一日、家でゴロゴロしながら過ごし、「お宅で買った腕時計が動かないから弁償しろ」と電話で時計販売店に延々とクレームをし、借りてきたDVDは「再生できなかった。私の貴重な時間を返してよ」とショップ店員にクレームを言って暇をつぶしている。

男関係では、8年前に別れた男・黒崎(竹野内豊)のことを忘れられずに引きずり続け、いまだにその当時に撮った動画を観て、思い出に浸ったりしている。



正直言って、女としてというより、人間としての魅力をどこにも感じられない

しかし、そんな十和子をこよなく愛し続けるのが、阿部サダヲ演じる陣治である。

建築作業員の陣治は、十和子のためにマンションを買い、二人で同棲をし、夕飯を作り、生活するためのお小遣いを渡している。



ところが、十和子の方はそんな陣治に愛情を感じるどころか、「品性下劣で不潔」だと言って切り捨てた上に、陣治と同棲しているのにも関わらず、妻子ある男・水島(松坂桃李)と不倫関係にある。

水島は、黒崎のことを思い起こさせる雰囲気があって、十和子には「離婚して二人で海外の辺境に行って愛し合おう」なんて甘い言葉で引き留める。



十和子と水島の不倫関係を知った陣治は十和子のことが心配になり、十和子が水島と会っている時は二人を尾行するなどしていた。

そして陣治は「あの男は妻子持ちで、どうせ十和子のことなんかすぐに捨てるんだから、会うのはやめろ」と十和子に忠告する。



十和子は陣治にとって、ヒモ男ならぬヒモ女だ。

ヒモ男が外でどんなに酷いことをしようとも、女はその男を愛し続け、ひたすら金を貢ぎ続けるように、陣治は、十和子がどんなに外で酷いことをしようとも、ひたすら愛し続け、金を貢ぎ続ける

ヒモ男を好きになった女性が「貧乏くじを引いた」と言われるように、ヒモ女を好きになってしまった陣治は貧乏くじを引いてしまったとしか言いようがない。



そんな三角関係に悩まされながらも、金遣いの荒い尻軽女に振り回される男の話で終わったなら、この映画はとても平和で幸せな映画だっただろう。

ところが、そうはいかない。

ある時、十和子と陣治の間に事件が起きる。

十和子が8年前に分かれた男・黒崎の失踪が発覚

失踪したのは5年前、ちょうど十和子が陣治と出会ったばかりの時だった。



映画「彼女がその名を知らない鳥たち」蒼井優


愛した男に見た夢が完ぺきに崩れ落ちた瞬間、その心がえぐられる



十和子は『愛した男に期待しすぎる』女である。

8年前に付き合っていた黒崎は派手な金遣いをする男で、十和子は黒崎にとってただの「性欲解消のための都合のいい女」だった。

黒崎は、十和子とは別に、結婚相手として「金づるになる女性」を用意していた。

ところが、十和子は愛していた黒崎を信じ切り、彼と結婚し、高級マンションに住んで休日にはクルージングに行くような、そんな二人の甘い生活を夢見ていた



しかしある時、黒崎が他の女と結婚するからと言って、十和子に別れ話を切り出す。

その瞬間、十和子が思い描いていた夢(高級マンションやクルージング)が見事に音を立てて崩れ落ち、十和子の心を鋭い刃がえぐる。

いやだと言って十和子がしがみつけば、「顔が変形するのでは」と思うぐらい、十和子のことを蹴る、殴るの暴行を加える。



黒崎という男は、どこから見ても酷い最低のDV男だった。

お金が困った時には、資金提供者に十和子の身体を差し出したこともある。

それでも十和子が黒崎にしがみついたのは、十和子が黒崎自身よりも「黒崎に期待してた夢の世界」に固執していたように思う。



黒崎と結婚して、仕事もやめて、高級マンションで暮らし、休日はクルージング。

そんな夢のようなセレブの生活。

しかし、現実は鋭い刃となって十和子の心臓を突き刺す。

別れ際に、殴られたり蹴られたりしたことよりも、十和子には黒崎に捨てられことの方が痛かった



十和子が黒崎に捨てられた直後、十和子は陣治と出会い、陣治は十和子のためにマンションを買い、十和子は仕事を辞め、二人で暮らすようになる。



映画「彼女がその名を知らない鳥たち」蒼井優と竹野内豊


「理想の女性像」に対するステレオタイプを覆す陣治の「愛のカタチ」


十和子とは真逆に、陣治は「愛した相手に何も期待しない男」である。

愛した女性が望むことをなんでも叶えてあげるのが愛情」だと思っている。

十和子がマンションに住みたいならマンションを買うし、仕事を辞めたいなら生活費は陣治が稼ぐし、他の男とセックスしたいなら、それすらも黙認してしまう。

ヒモ女にひたすら貢ぐ男である。



だからこそ、陣治は自信をもって「十和子を幸せにできるのは僕しかいない」と言い切るのである。



女性は掃除・洗濯・料理をしてくれるもの、夫に尽くしてくれるのが夢の奥さん。

陣治のしていることは、そんな「ステレオタイプの理想の女性像」を見事にくつがえす



画面のこちら側にいる観客は、少数派で共感されにくい陣治の行動を観て、「いつかキレるんじゃないだろうか」「そんなに十和子を愛しすぎちゃって大丈夫なんだろうか」と、「いつか爆発する陣治」を期待してしまう。

すると、そこへ「黒崎が失踪」の知らせが入ってきて、観客は「あぁやっぱり」と思う。

「黒崎を殺したのは陣治じゃないのか」と予想し、「陣治は良い人そうに見えるけど、その裏では嫉妬や怒りが渦巻いていたんだね」と勝手に想像する



しかし、それは十和子が「恋の熱」に浮かされて、黒崎に対して見果てぬ夢を見ていたように、観客も「陣治の愛のカタチ」を勝手に「あり得ない」と決めつけ、そこから妄想を抱いていたことがわかる。

これは「無償の愛」なんてあるはずがないと思っていた観客の心の汚れ具合を試すような作品だった。



映画「彼女がその名を知らない鳥たち」阿部サダヲと蒼井優


「その時」に備えて舞台をセッティングしていた陣治



これは、これまで酷い扱いを受けてきた十和子の男性たちへの復讐の物語だった。

都合が良い時に呼びつけてセックスをし、次もまた会えるように適当にものを買い与え、耳元で甘い言葉をささやきかける。

そして、いよいよ身を固める時になったら、都合のいい女をキレイに捨て去る。



十和子自身は、目の前にいる男の人の良いところだけを見て、「私はこの人と夢の世界に行くんだ」と本気で思っていた

しかし、現実は鋭い刃となって、彼女の心を思う存分切り裂いてズタズタにする

だから、十和子は鋭い刃で彼らに仕返しをしてやっただけだった。



多くの人が「十和子はなんてバカな女なんだ」と思うかもしれないが、「恋とは人をバカにするもの」なのである。



その十和子を深く愛しながら、冷静に見ていたのが陣治だった。

だから、黒崎と似たタイプの水島と付き合い始めた十和子が心配になり、常に尾行を続けていた。

陣治が「忙しくなって、お金を入れられないかも」と言っていたのは、仕事よりも十和子のために時間を使っていたからだ。



誰よりも十和子をよく知る陣治が思ったのは、「十和子を自由にさせてあげること」だった。

だから、十和子の姉にも、水島にも「陣治=怪しい男」としての伏線を張り、十和子が二度目の復讐を果たしたところで舞台は完ぺきにセットされ、陣治は十和子のために旅立っていく

そうして、ようやく陣治は「十和子のたった一人の恋人」の座を手に入れる

そして、そこから飛び立つ「彼女がその名を知らない鳥たち」のように、十和子はようやく自由になる羽を手に入れる



そんな十和子は「共感度ゼロ」と言われるけれど、本当にゼロだろうか

愛した相手に期待しすぎてしまうのも、二人との間に見果てぬ夢を見てしまうのも、きっと誰でも経験があることではないか。

私たちは、その期待や夢に対し「そんなことがあるはずない」と思い、現実を見てブレーキをかけてしまうけど、十和子はそのブレーキが壊れていただけ。

陣治はそんな十和子を理解して、ブレーキの代わりをしていただけだった。



私にも、心の奥底の暗いところに十和子が住んでいるなと思った。

すごく共感するわけではないし、友達にも欲しくないけど、でも十和子的なところは私のどこか一部にもいるから、十和子がしていることを理解することができる



さて、自由な羽を手に入れた十和子は、その後、社会とうまく付き合うようになれるのか。

それとも、二番目の陣治を探しに行くのか…

なんとも怖い話だった。


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