山田孝之主演の映画「凶悪」をWOWOWで観た。

ある事件で死刑囚になった男が、全ての事件における真犯人について語り始めた…。

満足度 評価】:★★★★☆

面白かったと言っていいのかわからないけど、画面から一瞬も目を離せず、怖くて恐ろしい映画だった。

人間の闇はどこにでもある。その闇を食い物にして楽しんでいる悪魔がいる。

実際にあった事件を元に、その悪魔の所業について語られている。


出演山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー池脇千鶴、小林且弥、白川和子

監督:白石和彌

「凶悪」予告編 動画





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あらすじ


ジャーナリストの藤井(山田孝之)は、編集部に届いた死刑囚・須藤純次(ピエール瀧)からの一通の手紙を読み、本人の話を聞くために、刑務所を訪れた。

その手紙には須藤がこれまで犯してきた殺人の詳細が書かれており、彼によれば、これらの事件の真犯人は先生と呼ばれた不動産ブローカー・木村孝雄(リリー・フランキー)だという。

須藤の告白の裏付けをとるために、各事件を調べ始めた藤井だったが、あまりにも証拠が少なく取材は難航する…。

凶悪

感想(ネタバレあり) 人の闇を食い物にして楽しんでいる凶悪


この映画は、人生に対して前向きになったり、気分が良くなったり、楽しんだりするような映画ではない。

「恐ろしい」「怖い」そんな言葉しか出てこない、心の奥底にずっしりとした重みを感じる映画だった。


私たちが生きている世界には、陰と陽がある。

普段、明るい光の下で暮らしている「陽」の人間には想像もつかないような、深い闇を持つ「陰」の世界がある。

この映画は、その「陰」について描かれている。

「陰」は、常に私たちのすぐ近くにある。

もしも、誰かが誰かに死んで欲しいと心の底から思った時、そこに「陰」が現れる。

例えば、病気で寝たきりの親に死んで欲しいと願った子供がいたとしたら、痴ほうでトイレの生き方もわからなくなった親に死んで欲しいと願った子供がいたら、そこには「陰」が寄り添う。

須藤と先生はその「陰」を食い物にし、楽しみながら人を殺す凶悪犯であり、「死んで欲しい」という人の願いを叶える「悪魔の代理人」だ。

凶悪3

高温多湿でねっとりとしたサスペンス映画


このタイプのサスペンス映画は、韓国でよく見られるタイプの映画だ。

この「凶悪」と、韓国版のサスペンス映画に共通しているのは、ねっとりとした殺人の風景。

気候で表現するなら、高温多湿。

欧米のように簡単に銃で殺してしまうようなカラッと乾燥した感じは一切無い。

その「悪」は、人が死んでいく状況をじっくりと楽しみ、ジワジワと追い詰めながら、殺していく。

もう、いっそのこと、さっさと殺してくれと、何度思ったことか…。

それは、憎悪の深さなのか、執着心なのか…。

正直、気分が悪くて目を伏せたくなったことが何度もあった。

私も、須藤や先生も同じ人間なのに、どうして、ここまで「凶悪」になれるのか…。

その理由は最後まで分からなかった。


凶悪2

私の疑問:須藤は改心したのか…?


しかし、最後の最後で疑問として残ったことがある。

それは、須藤は本当に改心したのかどうかだ。

「牧師さんにススメられて」「キリスト教徒になった」り、「ペン習字を始めた」り、「俳句・短歌を詠み」始めたという。

この間まで、人が死ぬことをなんとも思っていなかった人が、そんなに簡単に改心するものだろうか。

ジャーナリストの藤井が刑務所を訪れた時だって、突然、発狂したばかりなのに。

それは、先生を自分と同じ闇に引き込むための須藤による「改心プレイ」だったのでは…。

私はそう思った。

先生がいかに酷い人間であるかを際立たせるためのプレイ。

須藤だって、所詮は「悪」、「悪」が「悪」を倒すためになら、どんなことだってするのではないか。そう思った。

凶悪4

負のパワーを須藤に利用されたジャーナリスト藤井


それを確信したのは、ラストシーンで先生とジャーナリストの藤井が対峙したシーンだった。

初めて藤井と対面した先生は、彼に向かって

「本当に私のことを殺したがっているのは誰だか知っているか?被害者でじゃない」

と言いながら、藤井のことを指さしている。

私は、そのシーンを観ながら、藤井は須藤に利用されたんだと思った。

須藤の話を聞きながら、先生の悪行に憎悪を感じた藤井。

その「憎悪」という「陰」を感じ取った須藤は、その藤井の放つ負のパワーを利用し、先生を自分と同じ闇に引きずり込んだ。

そして、見事に藤井の「先生を刑務所に入れたい」という願いを叶えてしまった。

もしも、悪魔がこの世にいるのなら、人の「憎悪」という感情をうまく利用して、自分の闇に引きずり込み、「凶悪」という「陰」を増殖させていく。

そういう闇に潜む者なのではないかと思った。



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