マリオン・コティヤール主演の映画「愛を綴る女」を試写会で観た。

フランスがインドシナ戦争をしていた頃を舞台に、夢見がちな女性が本物の愛を知るまでを描く。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

マリオン・コティヤールが好きで、彼女が出演しているなら、それだけで観たいと思う。

今回のマリオンが演じる主人公のガブリエルは、現実逃避しがちで、いつも素敵な恋に憧れている「夢見る女性」

分かりやすく言えば、『白馬の王子様』を待っているタイプの女の子

妄想と現実の間を行き来して生きている彼女の姿は、同じ女性としてとてもイタイなと思うけど、だからといって嫌悪感があるわけではなく、むしろ、気持ちが分かるなと思ってしまう

それはきっと、私の中にも『妄想の中で生きる私』がいるからこそ。



少女マンガや小説、TVドラマや映画の中にだけあるような素敵な恋に憧れたことがある人なら、きっとガブリエルの気持ちが理解できるはず。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「愛を綴る女」予告編 動画

(原題:Mal de pierres)



更新履歴・公開、販売情報

・2017年9月29日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年12月5日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVDが販売中。


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キャスト&スタッフ


出演者

マリオン・コティヤール
…(「たかが世界の終わり」、「マリアンヌ」、「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」、「サンドラの週末」、「コンテイジョン」、「インセプション」など)

〇ルイ・ガレル
…(「プラネタリウム」など)

〇アレックス・ブレンデミュール
…(「ローマ法王になる日まで」など)


監督

〇ニコール・ガルシア

2016年製作 フランス、ベルギー、カナダ合作映画


愛を綴る女



あらすじ



フランスがインドシナ戦争を行っていた当時、南仏で暮らすガブリエル(マリオン・コティヤール)は読書が好きで、恋愛小説に書かれているような恋がしたいと思う少女だった。

そんなフワフワとした彼女を見た母親は、「早く身を固めた方が良い」と、スペイン革命から逃れてきた真面目な使用人のジョゼ(アレックス・ブレンデミュール)と結婚させる。

愛してない相手と結婚することになったガブリエルはジョゼに対し、「あなたのことは絶対に愛せない」と告げるが、その後、しばらくしてガブリエルは妊娠。

しかし、間もなく流産してしまう。

医師の診断により、その原因は腎臓結石にあると言われたガブリエルは、北部にある療養所で温泉治療をすることに。

そこで、彼女はフランス軍中尉(ルイ・ガレル)と運命的な出会いをする…。



愛を綴る女2



感想(ネタばれあり)


現実よりも幸せな妄想の世界で生きること



つらい現実を直視するのが嫌になり、物語の中に身を置いて妄想にふけりたくなる時はないだろうか

私が毎日のように映画を観るのは、映画の中にいる時は、全てを忘れ、楽しく幸せな気持ちになれるから。

時には、主人公になりきってお姫様気分を味わったり、素敵な男性との恋に心を躍らせることもある。

そうやって、私自身は幸せに浸っているけれど、そんな私を他の人が見たら、きっと「イタイ女だなぁ」と思うに違いない



この映画の主人公ガブリエルは、まさに、そんなタイプの「イタイ女」である。



時代は、フランスが遠く離れた東南アジアのインドシナで戦争をしていた頃。

フランス国土が戦地になっているわけではないけれど、国全体を戦時ムードが覆っていた。

そんな現実から逃避するように、ガブリエルは読書にふけり、『小説のような恋』に憧れていた。

また、思い込みが激しく、先生を「運命の人」だと思い込み、誘惑するような激しさも持ち合わせいた。

そんな彼女のことを『イタイ女』だと思ったのは、彼女の母親だった



現実を観ようとせず、妄想癖のあるガブリエルを見兼ねた母親が、『愛の無い結婚』を彼女に押し付ける

日本でも、戦前・戦時中にはよくあった「親の決めた結婚」である。



今の時代でも、若い頃は『少女マンガ』や『恋愛小説』の恋に憧れ、大人になってリアルな恋をすることで、『恋愛の理想と現実』を思い知ることになる。

ところが、ガブリエルは『リアルな恋』を知らないまま、愛の無い結婚をしてしまったため、「これは本物の恋じゃない」「運命の恋は他にある」という『恋への憧れ』を捨てきれないまま、結婚生活に突入してしまった



そして、ついに彼女が思い描いていた『運命の恋』を見つけるのだが、その運命の恋を経て、彼女は『現実の恋』を知ることとなる

ガブリエルは妄想の中で生きていて、とても『イタイ女』だけど、彼女の気持ちはとてもよく分かる

悪いのはガブリエルではない、女性たちが思い通りに生きることができなかった時代のせいなのである。



愛を綴る女3



運命を変えたのは、身体にできた「石」



彼女の運命を変えたのは、腎臓にできた石である。



もしも、腎臓結石になっていなかったら、そのまま子供を産み、「私の人生は、こんなはずじゃなかった」と思いながら、人生を終えていたかもしれない。

流産をしたことで、結石の存在を知り、現実から隔離された療養所で暮らすことになった。



そして、その療養所で出会ったのがソバージュ中尉だった。

ガブリエルは、一目会った瞬間にソバージュに恋してしまう。

ソバージュはとても魅力的な男性で、一目ぼれしてしまう気持ちも分かる。

そこで彼女は、ソバージュとの官能的な夜を過ごすが、彼女は治療が終わり退院することになってしまう。

離ればなれになってしまう二人は手紙を送り合うことを誓い合う。



ソバージュと恋している時のガブリエルは、それまでの陰気な彼女とは違い、血色もよく、イキイキとする。

まさに、恋が女性にとても大切なことだということが、彼女の表情を見ているとよく分かる



そして、退院後、家に戻ったガブリエルは妊娠していた

それがソバージュの子だと確信していた彼女は、彼に手紙を書き続けるが、返信が来ない。

それから10年以上の月日が経ち、子供が大きくなってから、彼女は真実を知ることになる。



愛を綴る女4



夫の深い愛があったからこそ、妄想の海で泳ぎ続けたガブリエル



実は、ソバージュとの恋は妄想の中の出来事だった。



ソバージュと過ごした熱い夜は、本当は夫との間にあったことで、それも彼女の脳内では、夫をソバージュに置き換えられていた。

そんなのおかしい、どう考えても頭が狂ってると思うかもしれない

でも、どうだろう。本当にガブリエルはおかしいのだろうか。

たとえば、隣にいる男性があまり好きではない時、その人をとても素敵な男性と頭の中で置き換えることはないだろうか

ガブリエルには、そもそも男性を選ぶという選択肢がなく、親が決めた結婚相手と結婚させられた女性であり、本当の恋を知らず、恋に恋する純粋な乙女である。



そんな彼女の目の前には、これまで夢に描いたような白馬の王子様がいる。

そしたら、妄想が暴走して、現実と妄想の区別がつかなくなる時だってあるんじゃないだろうか。

本当は、ソバージュと過ごしたと思っていた熱い夜の相手が、夫だったと薄々感づいていたかもしれない。

それでも、彼女の強い思い込みは彼女を空想の世界に押し込めてしまっていた。

ただただ、現実を知りたくなかっただけなのだ。



しかし、それがただの妄想だと分かった時の衝撃。

そして、突き付けられる現実。



その時、ガブリエルは夫を突き離さずに、むしろ、夫との現実を見つめ直そうと思ったのは、それまで夫は全てを知りながら、何も言わず、彼女を責めることなく、彼女の側で見守りつづけたから

この夫の愛の深さ

その愛の深さがあったからこそ、ガブリエルは自由に妄想の海で泳ぎ続けることができたのかもしれない

最後に彼女自身もそのことに気づいて、私はホッとした。



愛を綴る女5



現実から目を背けて暮らしていた女性の本当の幸せ



フランスが戦時中だった頃、田舎町で暮らす女性たちには、自由な恋愛が許されなかった人たちがいた

そんな彼女たちを慰めたのは、空想の中にいる『運命の人』だった



しかし、今の時代だって、テレビや映画の中で活躍するスターたちに思いを寄せ、妄想していることを考えたら、ガブリエルがしていることと大した違いはない。

ただ、ガブリエルの場合は、今と比べたらずっと自由がなかったということ。

それは、戦争がそうさせたのかもしれないし、田舎町がそうさせたのかもしれない。



この中でとても大切なことは、ガブリエルが空想の世界から現実の世界に戻ってきた時、本当の恋は、とても身近にあったということ

近くにある幸せは、近くにあればあるほど、気付きにくい。

その『近くにある恋』にガブリエルが気付けたことが、この映画の希望だったと思う



『妄想の恋』と『現実の恋』の違いは、目の前にいる相手のことをより深く知ろうとする気持ち

目の前にある現実をしっかり見据えようする思い。

だからこそ、手を取り合い、彼女は夫の故郷を訪ねようと思ったのだと思う。

彼女が観た夫の故郷に明るく陽が差しているのは、二人の未来に希望があるからだと思った





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