神木隆之介主演の映画「3月のライオン【前編】」を映画館で観た。
幼い頃に家族を亡くし、17歳でプロ棋士になった主人公の青春物語。

【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
原作は人気のコミックらしいけど読んだことないし、将棋のルールも良くわからない。
それでも対局のシーンは緊迫感があって面白かった。
ただ、全体的に漂う昭和の雰囲気に「今の日本」を感じ取ることができず、浮世離れした感じが私としてはちょっと残念だった。
…(「3月のライオン 後編」、「君の名は。」、「バクマン。」など)
〇有村架純
…(「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」、「3月のライオン 後編」、「ビリギャル」など)
〇染谷将太
…(「きみの鳥はうたえる」、「泣き虫しょったんの奇跡」、「パンク侍、斬られて候」、「3月のライオン 後編」、「バクマン。」など)
〇加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「3月のライオン 後編」、「沈黙-サイレンス-」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)
…(「ミュージアム」など)
桐山零(神木隆之介)は6歳の頃に、家族を交通事故で亡くし、父の友人で棋士の幸田柾近(豊川悦司)に育てられる。
それ以来、ひたすら将棋をする生活を送るが、中学生になる頃には幸田の娘・香子(有村架純)や息子よりも強い棋士となり、幸田は自分の子供たちにプロ棋士になることを諦めさせる。
桐山はその後、順調にプロ棋士となるが、香子たちとの暮らしづらくなってしまったため、家を出て独立し、1人暮らしを始める。
とはいえ、桐山はその後も香子を姉と思い慕うが、香子は棋士の後藤九段(伊藤英明)と不倫関係にあり、それが許せない桐山はトーナメント戦で後藤を倒すことを目標にし始める…。

どんな分野でも、1つのものに熱中し、それしかできない人って強いなと思う。
私も昔、週末になれば映画館に通っていた頃があり、仕事か映画かの毎日を送っていた。
しかし、そんな「映画しかない」自分が嫌になって、全く違う趣味を見つけたり、仕事中心の生活をして、しばらく映画から離れた時期があった。
今思えば、あの「映画しかない自分」をもっと極めるべきだったと思う。
そしたら、今とはもっと違う映画の見方ができたに違いないと思うと、その時の自分の選択を時々後悔してしまう。
だから、この映画の主人公の桐山零のように、「僕には将棋しかないんです」と言って苦悩している子を見ると、自然と応援したくなってしまう。
そして、背中を叩き「それで良いんだよ」と言ってあげたくなる。
「ぼくにはこれしかありません」と言いきれるのは、他の誰にも真似できない才能なのだ。
人気コミックが原作のこの映画、マンガは読まないので、原作は知らないし、将棋もルールが分からない。
でも、この映画を観ているうちに、将棋のルールを知りたくなったし、画面の中でうたれている手がどんな意味を持つのかとても知りたくなった。
棋士たちが、彼らの人生の全てをかけて、盤の上で勝負しているその姿がこの映画の魅力だ。

この映画の中で、最も面白かったのは対局のシーンだ。
身体の大きな男の人たちが、小さな将棋盤を挟んで座り、勝負が始まる。
対戦するふたりの間には、ピンと張り詰めた緊張感が走り、思考回路を回転し続ける。
そして、早く緊張感が途切れ、回転速度が遅くなった方が負けだ。
頭脳戦のようだけれども、体力勝負のようなところもある。
その緊迫感溢れる対局の場面は非常に面白かった。
将棋のさし方、座り方から、間の取り方まで、棋士それぞれに個性があって、いかに相手のペースに乗せられずに、マイペースに対局を進めることができるのか。
そんな見た目の裏側にある心理戦も面白かった。
もしも、将棋のルールが分かったら、彼らがさした手の意味も分かって、より面白かっただろなぁと思うと、そこが残念だった。

将棋の対局のシーンは面白くて、ふんふんなる程と思いながら観ていたが、それ以外の日常生活の描写については、少し退屈なところもあった。
まず、あまりにも話が長い。
もっと、シンプルでコンパクトにできたんじゃないかなと思う。
これで、同じ長さの【後編】があるかと思うと、テレビドラマのワンクール分を見させられた気分になる。
そして、この映画を観ながら感じたのは、「なぜ、今、将棋なんだろう」という謎だった。
アナログからデジタルへ移行している今、なぜ、あえて「将棋」というテーマで映画を作ったんだろう…。
しかし、その答えは、この映画の中には無かった。
さらに残念なことには、この映画から「日本の今」を感じ取ることができなかった。
全体的に昭和感が漂う画面に浮世離れした雰囲気を感じ、まるでおとぎ話のような印象が残った。
現在の私たちの生活にリンクするような部分がなく、東京の下町を舞台にしている割に、「今の東京で必死になって生きている人」がここにはいない。
そこには、これからはデジタルの時代だけど、ゲームを捨てて将棋をしましょうと感じ取れることもない。
素晴らしい映画というものは、時代を読み、それを制作側が咀嚼して画面に反映させ、観た者にこれからの時代を考えさせるものであるが、多くの日本映画にはそこが欠けている。
その辺の日本映画特有の「現実味のない甘さ」は、他国の映画の基準からは大きく引き離されている部分である。
ただ、この映画はまだ【前編】であり、もしかしたら、【後編】を観たら、「この時代に『将棋』をやる意味」が見えてくるかもしれないから、【後編】を期待して待ちたい。

というわけで、若干退屈な部分がありつつも、なんとなく最後まで楽しめたのは、役者たちの演技によるところが大きかった。
どの俳優も安心して観ていられる俳優さんたちばかりで良かった。
中でも、染谷将太はいつもいい仕事をするなと思って観ていた。
私の中では神木隆之介よりも、染谷将太の方が印象に残っている。
それぐらい、今回の染谷将太は良かった。
あともう1人あげるなら加瀬亮。
歩いている姿を見ただけで、羽生名人かと思った。
出番は少ないけれど、その全体的に漂う雰囲気や、漏れ出るオーラがとても良いなと思った。
これは、前編であり、後編は1ヶ月後ということで、因縁の後藤との対決やら、宗谷との対局もあるんだろうけど、「最年少で勝っちゃう奇跡」みたいなのあるんだろうか…。
だったら、説得力のあるやつにして欲しいが…。
まぁ、とにかく、いろいんな意味で【後編】に期待してる。
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幼い頃に家族を亡くし、17歳でプロ棋士になった主人公の青春物語。

【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
原作は人気のコミックらしいけど読んだことないし、将棋のルールも良くわからない。
それでも対局のシーンは緊迫感があって面白かった。
ただ、全体的に漂う昭和の雰囲気に「今の日本」を感じ取ることができず、浮世離れした感じが私としてはちょっと残念だった。
目次
「3月のライオン」予告編 動画
更新履歴・公開、販売情報
・2017年3月24日 映画館で観た感想を掲載。
・2019年2月4日 NHK BS プレミアムでの放送に合わせて加筆・修正。
・2019年12月24日 NHK BS プレミアムでの放送に合わせて加筆・修正。
キャスト&スタッフ
出演者
〇神木隆之介…(「3月のライオン 後編」、「君の名は。」、「バクマン。」など)
〇有村架純
…(「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」、「3月のライオン 後編」、「ビリギャル」など)
〇倉科カナ
…(「3月のライオン 後編」)
〇染谷将太
…(「きみの鳥はうたえる」、「泣き虫しょったんの奇跡」、「パンク侍、斬られて候」、「3月のライオン 後編」、「バクマン。」など)
〇清原果耶
…(「3月のライオン 後編」など)
〇加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「3月のライオン 後編」、「沈黙-サイレンス-」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)
〇伊藤英明
…(「3月のライオン 後編」など)
〇豊川悦司
…(「パンク侍、斬られて候」、「3月のライオン 後編」など)
監督・脚本
〇大友啓史…(「ミュージアム」など)
2017年製作 日本映画
あらすじ
桐山零(神木隆之介)は6歳の頃に、家族を交通事故で亡くし、父の友人で棋士の幸田柾近(豊川悦司)に育てられる。
それ以来、ひたすら将棋をする生活を送るが、中学生になる頃には幸田の娘・香子(有村架純)や息子よりも強い棋士となり、幸田は自分の子供たちにプロ棋士になることを諦めさせる。
桐山はその後、順調にプロ棋士となるが、香子たちとの暮らしづらくなってしまったため、家を出て独立し、1人暮らしを始める。
とはいえ、桐山はその後も香子を姉と思い慕うが、香子は棋士の後藤九段(伊藤英明)と不倫関係にあり、それが許せない桐山はトーナメント戦で後藤を倒すことを目標にし始める…。

感想(ネタバレあり)
1つのことしかできない人は強い
どんな分野でも、1つのものに熱中し、それしかできない人って強いなと思う。
私も昔、週末になれば映画館に通っていた頃があり、仕事か映画かの毎日を送っていた。
しかし、そんな「映画しかない」自分が嫌になって、全く違う趣味を見つけたり、仕事中心の生活をして、しばらく映画から離れた時期があった。
今思えば、あの「映画しかない自分」をもっと極めるべきだったと思う。
そしたら、今とはもっと違う映画の見方ができたに違いないと思うと、その時の自分の選択を時々後悔してしまう。
だから、この映画の主人公の桐山零のように、「僕には将棋しかないんです」と言って苦悩している子を見ると、自然と応援したくなってしまう。
そして、背中を叩き「それで良いんだよ」と言ってあげたくなる。
「ぼくにはこれしかありません」と言いきれるのは、他の誰にも真似できない才能なのだ。
人気コミックが原作のこの映画、マンガは読まないので、原作は知らないし、将棋もルールが分からない。
でも、この映画を観ているうちに、将棋のルールを知りたくなったし、画面の中でうたれている手がどんな意味を持つのかとても知りたくなった。
棋士たちが、彼らの人生の全てをかけて、盤の上で勝負しているその姿がこの映画の魅力だ。

緊迫感あり!対局シーン
この映画の中で、最も面白かったのは対局のシーンだ。
身体の大きな男の人たちが、小さな将棋盤を挟んで座り、勝負が始まる。
対戦するふたりの間には、ピンと張り詰めた緊張感が走り、思考回路を回転し続ける。
そして、早く緊張感が途切れ、回転速度が遅くなった方が負けだ。
頭脳戦のようだけれども、体力勝負のようなところもある。
その緊迫感溢れる対局の場面は非常に面白かった。
将棋のさし方、座り方から、間の取り方まで、棋士それぞれに個性があって、いかに相手のペースに乗せられずに、マイペースに対局を進めることができるのか。
そんな見た目の裏側にある心理戦も面白かった。
もしも、将棋のルールが分かったら、彼らがさした手の意味も分かって、より面白かっただろなぁと思うと、そこが残念だった。

日本映画特有の「現実味のない甘さ」
将棋の対局のシーンは面白くて、ふんふんなる程と思いながら観ていたが、それ以外の日常生活の描写については、少し退屈なところもあった。
まず、あまりにも話が長い。
もっと、シンプルでコンパクトにできたんじゃないかなと思う。
これで、同じ長さの【後編】があるかと思うと、テレビドラマのワンクール分を見させられた気分になる。
そして、この映画を観ながら感じたのは、「なぜ、今、将棋なんだろう」という謎だった。
アナログからデジタルへ移行している今、なぜ、あえて「将棋」というテーマで映画を作ったんだろう…。
しかし、その答えは、この映画の中には無かった。
さらに残念なことには、この映画から「日本の今」を感じ取ることができなかった。
全体的に昭和感が漂う画面に浮世離れした雰囲気を感じ、まるでおとぎ話のような印象が残った。
現在の私たちの生活にリンクするような部分がなく、東京の下町を舞台にしている割に、「今の東京で必死になって生きている人」がここにはいない。
そこには、これからはデジタルの時代だけど、ゲームを捨てて将棋をしましょうと感じ取れることもない。
素晴らしい映画というものは、時代を読み、それを制作側が咀嚼して画面に反映させ、観た者にこれからの時代を考えさせるものであるが、多くの日本映画にはそこが欠けている。
その辺の日本映画特有の「現実味のない甘さ」は、他国の映画の基準からは大きく引き離されている部分である。
ただ、この映画はまだ【前編】であり、もしかしたら、【後編】を観たら、「この時代に『将棋』をやる意味」が見えてくるかもしれないから、【後編】を期待して待ちたい。

退屈さを吹き飛ばす俳優たちの演技
というわけで、若干退屈な部分がありつつも、なんとなく最後まで楽しめたのは、役者たちの演技によるところが大きかった。
どの俳優も安心して観ていられる俳優さんたちばかりで良かった。
中でも、染谷将太はいつもいい仕事をするなと思って観ていた。
私の中では神木隆之介よりも、染谷将太の方が印象に残っている。
それぐらい、今回の染谷将太は良かった。
あともう1人あげるなら加瀬亮。
歩いている姿を見ただけで、羽生名人かと思った。
出番は少ないけれど、その全体的に漂う雰囲気や、漏れ出るオーラがとても良いなと思った。
これは、前編であり、後編は1ヶ月後ということで、因縁の後藤との対決やら、宗谷との対局もあるんだろうけど、「最年少で勝っちゃう奇跡」みたいなのあるんだろうか…。
だったら、説得力のあるやつにして欲しいが…。
まぁ、とにかく、いろいんな意味で【後編】に期待してる。
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