イ・ビョンホン主演の韓国映画「MASTER マスター」を映画館で観た。

マルチ金融で巨万の富を得て韓国の上層部を牛耳るカリスマと、「汚職まみれの上層部を一掃する!」と息巻く若手熱血刑事の対決を描くエンターテインメント作品。


【満足度 評価】:★★★★☆

全体的に話がとてもザックリとしていて詰めが甘いところが随所に見られるものの、エンターテインメントだと思えば、それも楽しめる作品だった。

何より「我が国は汚職まみれですよ!!はははっ!!」っていう自虐をネタに娯楽作品を作ってしまう韓国映画の強さを感じた


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「MASTER マスター」予告編 動画

(原題:마스터(Master



更新履歴・公開、販売情報

・2017年11月24日 映画館にて鑑賞した感想を掲載。

・2018年10月21日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。




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キャスト&スタッフ


出演者

イ・ビョンホン
…(「それだけが、僕の世界」、「エターナル」、「王になった男」、「マグニフィセント・セブン」、「インサイダーズ 内部者たち」、「メモリーズ 追憶の剣」、「ターミネーター/新起動:ジェネシス」、「甘い人生」など)

カン・ドンウォン
…(「ゴールデンスランバー」、「1987、ある闘いの真実」、「プリースト 悪魔を葬る者」、「群盗」など)

キム・ウビン
…(「技術者たち」、「二十歳」など)

オ・ダルス
…(「朝鮮名探偵3 鬼(トッケビ)の秘密」、「殺人者の記憶法」、「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」、「国際市場で逢いましょう」、「朝鮮名探偵2 失われた島の秘密」、「朝鮮名探偵 トリカブトの秘密」、「7番房の奇跡」など)

オム・ジウォン
…(「女は冷たい嘘をつく」、「リバイバル 妻は二度殺される」、「ソウォン/願い」など)

チン・ギョン
…(「監視者たち」など)



監督・脚本

チョ・ウィソク
…(「監視者たち」など)

2016年製作 韓国映画



MASTERマスター



あらすじ


「私どもにお金を預けていただければ、必ずあなたを幸せにします」という謳い文句のマルチ金融で巨万の富を得たチン会長(イ・ビョンホン)は、韓国の上層部を買収し牛耳っているため、その取引がどんなに違法であっても逮捕することができない。

一方で「汚職まみれの韓国を一掃し、クリーンな社会を作る!」と息巻く熱血若手刑事のキム・ジェミョン(カン・ドンウォン)は、チン会長を逮捕することで多くの汚職にまみれた役人を逮捕できると確信し、特別チームを作ってチン会長を追い続けてきた。

賄賂にまみれた大物官僚たちを逮捕するには、「金の流れ」と「交流関係」の証拠が必要だと考えたキム・ジェミョンは、チン会長の右腕であるプログラマー、パク・ジャングン(キム・ウビン)を味方に引き込もうとするのだが…。



MASTERマスター3



感想(ネタばれあり)


韓国国民は汚職まみれから救ってくれるヒーローを待っている


韓国では、必ずと言っていい程、大統領が任期を終えると逮捕される。

そして、その大統領に巨額の裏金を支払い続けた財閥や一流企業や政治家たちの名前が芋づる式に出てくる。

大統領の任期が終わるたびにそういう話が出てくるので、正直、「あぁまたか…」と思ってしまうし、元大統領が逮捕されても韓国から汚職はなくならない



韓国の歴史ドラマを見ていると、王様と王様に裏金を渡し続ける官僚たちの構図は朝鮮王朝の頃から出来上がっていたのが分かるので、韓国の汚職や賄賂は伝統文化のようなものだと思っている

だから、映画やドラマの中で、警察が裏金で操られている姿を見るたびに「待ってましたぁ」と言いたくなるぐらい、私の中ではお約束になっている。



しかし、そんな恩恵を受けるポジションにいない、日頃から真面目に働いている韓国国民からしたら、「もう、いい加減にしてくれよ」と言いたいところだろう。

その「いい加減にしてくれよ」という国民感情の中から生まれた理想のヒーローが、カン・ドンウォン演じる若手刑事キム・ジェミョンである



キム・ジェミョンは、刑事になるまでの試験は全て1位で通過し、コネも財力も使わずに刑事の地位を築き上げたスーパーエリートとして登場する。
(実際に、コネも財力も使わずに1位通過できるのかは不明…)

そのキム・ジェミョンを演じるカン・ドンウォンと言えば、韓国で最も人気のある俳優の一人として名前があがるぐらいの人気者。

そんな彼がこのキム・ジェミョンを演じるからこそ、「きっと彼だったら、この汚職まみれの国を救ってくれる」という説得力が生まれるのである。



そんなキム・ジェミョンが登場する場面が、いきなり自虐ネタでスタートしたもんだから、ちょっとのけ反った。

「イギリスでは、女王陛下の乗っている車が交通違反をしたことで違反切符を切られたため、公式行事に遅刻したことがあるそうです」

「お付きの人間は、行事に遅刻してしまうからと警察に言ったそうですが、『規則は規則だから』と言われ、聞き入れてもらえなかったそうです」

といった感じの「イギリス警察は女王陛下にも規則が厳しい」という話をキム・ジェミョンが自分が指揮するチームのメンバーにしたシーンだった。



そこでキム・ジェミョンが言いたかったのは、「韓国も大統領が運転する車が交通違反をしたら、違反切符を切る国であるべき」ということであり、部下たちに「刑事・警察官としての心構え」を説いていた場面だった。

それが、大統領だろうと、官僚だろうと、それがどんなに小さい交通違反だろうと、「違反」したものは罰せられる国であるべきだとキム・ジェミョンは訴える。

この冒頭のシーンは、キム・ジェミョンがどんな人間であり、この映画が何を目指しているのかを示している場面だった。



MASTERマスター2



チン会長 は 韓国の大統領 !?


そのエリート刑事キム・ジェミョンが刑事生命をかけて追い続けているのが、マルチ金融で巨万の富を得たチン会長である。



イ・ビョンホン演じるチン会長の行っているビジネスは、ネットワークビジネスのようなもの。

チン会長は「『ワン・ネットワーク』にお金を預けてくれれば、様々な投資を行って、皆さまに銀行よりも良い金利をつけてお返しする」と言って会員から金を集め、実際にはその多くを海外の口座に入金し、マネーロンダリングをして富を増やしている詐欺師。

さらに、そのお金で政界や財界、官僚のトップを買収し、困ったことがあれば、買収した人間の電話番号が書いてある帳簿を開いて「電話一本で」何事も解決できるようになっている。



そうして金も力も手に入れたチン会長は、自分が神になったと錯覚し、「逮捕されるわけがない」と思っている

この会長が「神になったと錯覚していく」様子は、先日観た韓国映画の「我は神なり」で、詐欺師が信者を前に大風呂敷を広げ、信者はその話を大絶賛し、持ちあげられた牧師は自分が神だと錯覚していく様子ととてもシンクロしていたのが面白かった。

この「MASTER マスター」では、プログラマーのパク・ジャングンが「資金洗浄してお金が回る仕組み」作りをし、会員からお金を集めるためにチン会長が『時には涙ながらに』この国の行く末を語り、それを絶賛した会員たちがどんどん『素晴らしい会長のために』お金を振り込んでいく。

これは「我は神なり」のカルト教団ができていく仕組みとほぼ一緒である。



普通の人なら「そんなに派手にやったら、詐欺容疑で逮捕されるだろう」と思われるところも、チン会長には無敵の『帳簿ホットライン』があるから、逮捕される心配もない。

そうしてチン会長は、自分が神だと錯覚するようになる。



この映画では、チン会長はいかにも怪しい詐欺師だけれど、そのチン会長の姿は韓国の大統領たちとダブルところが多い

大統領まで登りつめる人間とは、大勢の人を前に『涙ながらに』国民の行く末を語り、多くの信者(有権者)を集め、大統領の地位に登りつめるけれど、実際の姿は賄賂まみれ。

政界・財界・官僚に息のかかった人間たちがいて、「誰も逮捕することはできない」と思っているから、やりたい放題。

それはまるでチン会長と一緒ではないか。



なので、途中からこの映画は「大統領を巡る汚職」を皮肉る作品なんだなと思いながら観ていた。



MASTERマスター4



汚職まみれをネタにする自虐エンターテインメント


「韓国から汚職を一掃する」と息巻く若手熱血刑事のキム・ジェミョンが目を付けたのは、その「帳簿ホットライン」である。

手書きされたアナログの帳簿は、動かぬ証拠だからである。

チン会長がその大事な証拠を常に肌身離さず持ち歩いていたのは、最後には誰かが電話で助けてくれるという意味もあっただろうし、「俺が逮捕されたら、お前らも道連れ」という脅しも込められていたように思う。

その帳簿が警察の手に渡ったら、今の地位を失ってしまう人たちが大勢出てくるからだ。



そもそもキム・ジェミョンの目的はチン会長の逮捕によって、汚職を無くすことだった。

しかし、それよりも、この映画の見どころは「チン会長とキム・ジェミョンの腹の探り合い」へとシフトしていく。

ところが、キム・ジェミョンは韓国でチン会長の逮捕に失敗し、その後、チン会長はフィリピンへ逃亡してしまう。



キム・ジェミョンはそこまで一度もチン会長と会っていないため、直接会ってもバレないと思い、投資家のフリをしてフィリピンにいるチン会長に会いに行く。

ところが、チン会長は彼が投資家ではなくキム・ジェミョンであることを知っていたのだ…。

ここで物語は二転三転し、先の読めないエンターテイメントが展開する。



確かに、そのキム・ジェミョンとチン会長の対立はとても緊迫があって面白いエンターテインメントになっていた

しかし、それと同時に、当初、この映画が描きたかったはずの『汚職一掃』については、だいぶトーンダウンしてしまい、鋭さがなくなっていたのも事実

チン会長に立ち向かっているキム・ジェミョンの対立を描きながらも、韓国の汚職の背景について、もっと鋭く描けていたら最高傑作になれたのに…と思ったら、ちょっと残念だった。

本当だったら、マネーロンダリングの話とか、「ワン・ネットワーク」が儲かる仕組みをもっと詳しく描いてくれたらチン会長の恐ろしさや信ぴょう性も増したと思う。



そんな甘さもありつつ、チン会長に立ち向かっていく若手熱血刑事の構図は面白かったし、むしろ、何も考えずに観てても楽しめる作品になっていたように思う。

だから、私はこの映画は「韓国は汚職まみれ」という自虐のこもったエンターテインメント作品なんだなと思うようにした

でも、残念ながら大統領を逮捕しても韓国から汚職がなくならないように、チン会長を逮捕しただけでは韓国から汚職はなくならないのだ。

やっぱり、そこにメスを入れるのは映画であっても難しいんだなぁと思った。



MASTERマスター5



ベテラン俳優に挑む若手俳優二人の相乗効果が抜群


それに、ベテラン俳優 イ・ビョンホンに立ち向かって行く若手(中堅?)俳優のふたり、カン・ドンウォンキム・ウビンという構図は、チン会長に立ち向かう若手二人という絵面にうまいこと相乗効果を出していたと思う。


チン会長に叱られている時のパク・ジャングンは、明らかにビビっている様子が出ていて、「もしかしたら、これはキム・ウビンが本当にイ・ビョンホンにビビっているのでは??」と思うシーンがいくつかあった。



また、かつて四天王の一人と言われたイ・ビョンホンに対するのは、現在、韓国で最も勢いのある俳優カン・ドンウォン

そして、そのふたりの『直接対決の場面』を最後の最後まであえて作らずに出し惜しみするという贅沢さ。

その最後の最後に実現した『新旧対決』も画面にうまいこと緊張感をもたらしていた。



ということで、この映画はテンポの良い展開と、キャスティングの上手さを楽しむ映画だなと思った。



しかし、最後の最後で会員に金を返すというのは、なんとも絵空事の感じがして、なんとも甘さの残る作品ではあった。

韓国映画が得意とする社会派の鋭さと、観て楽しませるエンターテイメントを融合させるっていうのは、難しいものなのかもしれない。



MASTERマスター6






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