ジェシカ・チャステイン主演の映画「女神の見えざる手」を映画館で観た。
政界で最も信頼されているロビイストのリズが銃規制法案の票集めのために、大手ロビー会社から小さな会社に移籍し奮闘する社会派ドラマ。
【満足度 評価】:★★★★☆
ジェシカ・チャステイン演じるロビイスト、リズ・スローンの辣腕ぶりにグイグイと引き込まれながら観た!
正直、こんなに面白い映画だと思っていなかったので、ちょっとビックリした。
アメリカの銃社会を変えることは不可能。そう言われてきた。しかし、本当に不可能なのか。
映画『女神の見えざる手』公式サイト
◆ネット配信で観る:「女神の見えざる手」(字幕版)
◆DVDで観る:「女神の見えざる手」
◆ロビイストが気になったら…「敏腕ロビイストが駆使する 人を意のままに動かす心理学」
…(「モリーズ・ゲーム」、「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」、「オデッセイ」、「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」、「インターステラー」、「MAMA」など)
〇マーク・ストロング
…(「シャザム!」、「キングスマン:ゴールデンサークル」、「キングスマン」、「記憶探偵と鍵のかかった少女」、「イミテーションゲーム」、「リピーテッド」、「ワールド・オブ・ライズ」、「シャーロック・ホームズ」、「裏切りのサーカス」、「キック・アス」など)
〇ググ・ンバータ=ロー
…(「砂上の法廷」、「幸せの教室」など)
〇アリソン・ピル
〇ジョン・リスゴー
…(「ザ・コンサルタント」、「インターステラー」、「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」、「シビル・アクション」など)
…(「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」、「恋におちたシェイクスピア」、「マリー・ゴールドホテルで会いましょう」など)
2017年製作 フランス・アメリカ合作映画

エリザベス(通称:リズ)・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、政界で最も信頼されているロビイストのひとり。
そんな彼女が勤務するロビー会社では、銃規制法案に反対票を集める仕事を請け負うことになった。
彼らの裏側にある銃器メーカーを考え、このロビー活動に成功すれば莫大な利益が会社に入ってくると幹部たちは計算し、リズのチームをその仕事に指名した。
しかし、リズ本人は銃規制法案に賛成派のため、その仕事を請け負うことができないと判断し、これまで勤務していた会社を辞め、銃規制法案に賛成派のロドルフォ・シュミット(マーク・ストロング)がCEOを務めるロビー会社へ転職することに。
そして、彼女はこれまで共に戦ってきたチームのメンバーのうち、リズの意見に賛同する者をシュミットの会社へ連れて行ってしまう。
だが、銃規制法案を可決させるのは、なかなか一筋縄ではいかず…。

ロビイストと言われても、あまり日本ではピンとこない職業ではないだろうか。
東京オリンピックを誘致する時に、その職業を知ったという人もいるかもしれない。
私も、ロビイストという職業について名前を聞いたことはあっても、具体的にどんな風に仕事をしているのか、よく分かっていなかった。
しかし、Netflixで配信しているドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」で、マハーシャラ・アリがロビイストを演じているのを見て、その仕事内容に興味を持つようになった。
ロビイストとは、「票を集めること」が仕事である。
例えば、国会で審議される経済政策について、政治家たちが賛成、または反対票を投じる時、顧客(企業)にとってより都合が良い方に票が集まように政治家たちに働きかける。
東京オリンピックの場合、東京都から雇われたロビイストたちは、投票権ある人たちに東京の良さをアピールし、一人でも多くの人が東京に投票するように説得する。
感動的な「おもてなし」のスピーチの裏で、そんなロビイストたちによる熱心なロビー活動が行われていたからこそ、東京はオリンピックを誘致できたのである。
この映画の主人公のリズ・スローンは、業界でも有名なロビイストであり、国会で審議予定である「銃規制法案」の賛成票を集めるためにロビー活動を行っていた。
銃廃止ではなく、銃規制。
現在のアメリカでは、成人なら誰でも普通にスーパーで銃が買えてしまうけど、今後は、「誰でも」ではなく、厳しい審査を通過した人だけが買える世の中にしようというのが、「銃規制法案」。
そうなると困るのが、銃の売り上げで生活している「銃器メーカー」や、銃をこよなく愛する「ライフル協会」の人たちと、彼らに支持されている政治家たち。
もしも、銃規制法案にYesと投票したら、支持母体を失ってしまい、政治家を続けられなくなってしまう政治家もいる。
アメリカで、その「銃器メーカー」や、「ライフル協会」の圧倒的な数を抑えて『銃規制法案』を通過させるのは、不可能に近いと言われている。
実際、現実のアメリカで何度も銃を規制しようという動きはあるものの、それが実施されることはない。
そんな中、リズ・スローンは「銃規制反対派」の保守的でマッチョな人たちに立ち向かうのだ。
大手ロビー会社を捨て、政治家たちに「銃規制 Yes!」と言わせるために闘い続ける。
彼女にとっては、「勝ち目がないからこそ、やりがいのある仕事」だったんだろうと思う。
これを観ていると、ロビイストのがんばり一つで、アメリカに銃規制をさせることが可能なのでは…と思えてくるから面白い。

そんなロビイストに最も大事なこととは何か。
「予見すること。敵の動きを予測し、対策を考えること」だと、リズ・スローンは言う。
彼女は、敵 (この場合、「銃規制法案」に反対の人たち) を出し抜くためには、どんな手段も使う人だった。
それこそ、ゴキブリさえも。
この映画の面白さは、そのミス・スローンが「相手を言い負かす」ディベート力にある。
とにかく、しゃべる。そして、決して負けない。
ディベートが苦手な日本人の代表のような私からすると、立て板に水のごとく、よどみなくしゃべり続けるミス・スローンが羨ましくて仕方がなかった。
相手の出方を予測しながらしゃべり続け、かつ、説得力を持たせながら、先手を打って相手を黙らせる。
そして、時には身内も引き込んで世間を驚かせる話題を提供する
本来なら、ディベートの上手さで世論を動かすのは政治家、もしくは弁護士の仕事だったはず。
しかし、「失言」を恐れた政治家たちはロビイストという代役を通じて世論を先導する時代がやってきたようだ。
ロビイストは政治家と違って合法的にお金を使えるという利点もある。
ということは、資産が豊富で弁が立つロビイストが1人いれば、この世の中を変えることができるということなのか。
さらに、これからの時代はマイノリティの意見を反映した方が世論の受けが良い。
ここで言うマイノリティとは、女性、LGBTQ、有色人種たち。
リズが、テレビの討論会で部下のエズメ(黒人の女性)を利用したのは、もちろん、計算ずくのことである。
ミス・スローンは、現代のアメリカの政治を象徴しているような存在なのである。

そして、この映画を観ていて強く感じたのは、「右へ左へと揺れ動く政治家」たちの信念のなさだった。
この映画の中には、一枚のホワイトボードが登場する。
そのボードは、3つのエリアに分かれていて、
左端は「銃規制 賛成派」、右端は「銃規制 反対派」、真ん中は「どちらにしようか迷っている派」。
分かりやすく左派、右派、中道派に分けて描いてくれているのがありがたい。
その3つのブロックの人たちは、何かあるごとに揺れ動き、その中の人数が変わっていく。
そこから分かってくるのは、政治家たちは、自身の信念に動かされているわけではなく、世論を見て動いているということ。
それに比べて、ミス・スローンは最初から最後まで一貫して、「銃規制に賛成」の信念を貫いている。
果たして、どちらが「政治家として」あるべき姿なのだろうか。
政治家たちは「銃規制法案」について審議しておきながら、「誰も真剣に銃が無くなった世の中のことを考えていない」のだ。
彼らは、少しでも長く国会に籍を置くことしか考えていない。
皮肉なことに、そのフラフラと揺れ動く政治家たちの様子を見て、先日、日本で行われた(2017年10月)衆議院選挙のことを思い出した。
あの選挙の時も、平気で信念を変え、「勝てそうな政党」に移った人たちがいた。
そして、選挙に負けると、自分が信念を変えたことに対する反省もなく、党首のせいにする。
いや、人のせいにする前に、君たちの信念はどこへ消えてしまったのかと聞きたい。
恐らく、これは世界中で見られる光景なのだろうと思う。
ミス・スローンの信念が1㎜もブレないからこそ、右へ左へとウロウロする政治家たちの姿が際立って見えてくる。
政治家たちに、ロビイストの姿勢を見習って欲しいと思ってしまうのは、なんとも皮肉な話だと思った。

そして、考える。
一体、「政治」とは誰のためのものなのか。
ロビイストが金を集めるためのものなのか、政治家たちの職業を安定させるためにあるものなのか。
映画の前半部分でミス・スローンは、自動車免許の取得試験に失敗した過去を明かし、「車の運転をするよりも、政治の方が向いていると思った」と言っている。
その時は「では、なぜロビイストになったのか…」と思った。
しかし、映画を最後まで観終わって、なるほど と思った。
彼女の言う「政治」の意味するところが、「世論を正しい方向へ動かすこと」だとするなら、政治家になるよりもロビイストになった方が満足感を得られると考えたのではないだろうか。
だからこそ、ミス・スローンにとって、この「銃規制法案」のロビー活動が念願の機会だったのでないか。
自分がどんな窮地に立とうとも、結果、自爆することになろうとも、最後まで世論に訴えかける方法を用意していたのは、なんとしてでも、彼女の人生を賭けてでも、この法案を通したいと思ったから。
もちろん、「負け」を許さない性格もある。
本来なら、政治家が「政治生命を賭けてでも」取り組む問題のはずなのに、なぜか、ロビイストが自分の人生と引き換えに、その法案を通過させてしまった。
一体、政治家の信念はどこへ行ってしまったのか。
とにかくジェシカ・チャステインがカッコイイ!それだけでも一見の価値がある映画だったけれど、
ある1人の信念を持った女性の仕事への取り組み方、生き方を私たちに提示する作品でもあるし、政治の現状と希望を示した作品だった。
私は、彼女の活躍で世論が変わったことに希望があると信じたい。
そして、日本にも、信念のない政治家たちを振り落とすために、ミス・スローンが必要だと思われる。
〇ホワイトハウスを動かしているのはロビイスト!?ケヴィン・スペイシー主演 Netflixドラマシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」
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◆ロビイストが気になったら…「敏腕ロビイストが駆使する 人を意のままに動かす心理学」
政界で最も信頼されているロビイストのリズが銃規制法案の票集めのために、大手ロビー会社から小さな会社に移籍し奮闘する社会派ドラマ。
【満足度 評価】:★★★★☆
ジェシカ・チャステイン演じるロビイスト、リズ・スローンの辣腕ぶりにグイグイと引き込まれながら観た!
正直、こんなに面白い映画だと思っていなかったので、ちょっとビックリした。
アメリカの銃社会を変えることは不可能。そう言われてきた。しかし、本当に不可能なのか。
一人の女性ロビイストが不可能を可能にする。
目次
「女神の見えざる手」予告編 動画
(原題:MISS SLOANE)更新履歴・公開、販売情報
・2017年10月30日 映画館にて鑑賞した感想を掲載。
・2018年10月21日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
映画『女神の見えざる手』公式サイト
◆ネット配信で観る:「女神の見えざる手」(字幕版)
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◆DVDで観る:「女神の見えざる手」
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◆ロビイストが気になったら…「敏腕ロビイストが駆使する 人を意のままに動かす心理学」
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キャスト&スタッフ
出演者
〇ジェシカ・チャステイン…(「モリーズ・ゲーム」、「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」、「オデッセイ」、「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」、「インターステラー」、「MAMA」など)
〇マーク・ストロング
…(「シャザム!」、「キングスマン:ゴールデンサークル」、「キングスマン」、「記憶探偵と鍵のかかった少女」、「イミテーションゲーム」、「リピーテッド」、「ワールド・オブ・ライズ」、「シャーロック・ホームズ」、「裏切りのサーカス」、「キック・アス」など)
〇ググ・ンバータ=ロー
…(「砂上の法廷」、「幸せの教室」など)
〇アリソン・ピル
〇ジョン・リスゴー
…(「ザ・コンサルタント」、「インターステラー」、「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」、「シビル・アクション」など)
監督
〇ジョン・マッデン…(「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」、「恋におちたシェイクスピア」、「マリー・ゴールドホテルで会いましょう」など)
2017年製作 フランス・アメリカ合作映画

あらすじ
エリザベス(通称:リズ)・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、政界で最も信頼されているロビイストのひとり。
そんな彼女が勤務するロビー会社では、銃規制法案に反対票を集める仕事を請け負うことになった。
彼らの裏側にある銃器メーカーを考え、このロビー活動に成功すれば莫大な利益が会社に入ってくると幹部たちは計算し、リズのチームをその仕事に指名した。
しかし、リズ本人は銃規制法案に賛成派のため、その仕事を請け負うことができないと判断し、これまで勤務していた会社を辞め、銃規制法案に賛成派のロドルフォ・シュミット(マーク・ストロング)がCEOを務めるロビー会社へ転職することに。
そして、彼女はこれまで共に戦ってきたチームのメンバーのうち、リズの意見に賛同する者をシュミットの会社へ連れて行ってしまう。
だが、銃規制法案を可決させるのは、なかなか一筋縄ではいかず…。

感想(ネタばれあり)
ロビイストとは何をする仕事なのか
ロビイストと言われても、あまり日本ではピンとこない職業ではないだろうか。
東京オリンピックを誘致する時に、その職業を知ったという人もいるかもしれない。
私も、ロビイストという職業について名前を聞いたことはあっても、具体的にどんな風に仕事をしているのか、よく分かっていなかった。
しかし、Netflixで配信しているドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」で、マハーシャラ・アリがロビイストを演じているのを見て、その仕事内容に興味を持つようになった。
ロビイストとは、「票を集めること」が仕事である。
例えば、国会で審議される経済政策について、政治家たちが賛成、または反対票を投じる時、顧客(企業)にとってより都合が良い方に票が集まように政治家たちに働きかける。
東京オリンピックの場合、東京都から雇われたロビイストたちは、投票権ある人たちに東京の良さをアピールし、一人でも多くの人が東京に投票するように説得する。
感動的な「おもてなし」のスピーチの裏で、そんなロビイストたちによる熱心なロビー活動が行われていたからこそ、東京はオリンピックを誘致できたのである。
この映画の主人公のリズ・スローンは、業界でも有名なロビイストであり、国会で審議予定である「銃規制法案」の賛成票を集めるためにロビー活動を行っていた。
銃廃止ではなく、銃規制。
現在のアメリカでは、成人なら誰でも普通にスーパーで銃が買えてしまうけど、今後は、「誰でも」ではなく、厳しい審査を通過した人だけが買える世の中にしようというのが、「銃規制法案」。
そうなると困るのが、銃の売り上げで生活している「銃器メーカー」や、銃をこよなく愛する「ライフル協会」の人たちと、彼らに支持されている政治家たち。
もしも、銃規制法案にYesと投票したら、支持母体を失ってしまい、政治家を続けられなくなってしまう政治家もいる。
アメリカで、その「銃器メーカー」や、「ライフル協会」の圧倒的な数を抑えて『銃規制法案』を通過させるのは、不可能に近いと言われている。
実際、現実のアメリカで何度も銃を規制しようという動きはあるものの、それが実施されることはない。
そんな中、リズ・スローンは「銃規制反対派」の保守的でマッチョな人たちに立ち向かうのだ。
大手ロビー会社を捨て、政治家たちに「銃規制 Yes!」と言わせるために闘い続ける。
彼女にとっては、「勝ち目がないからこそ、やりがいのある仕事」だったんだろうと思う。
これを観ていると、ロビイストのがんばり一つで、アメリカに銃規制をさせることが可能なのでは…と思えてくるから面白い。

世論を動かすためには何でも利用するのが、ミス・スローン
そんなロビイストに最も大事なこととは何か。
「予見すること。敵の動きを予測し、対策を考えること」だと、リズ・スローンは言う。
彼女は、敵 (この場合、「銃規制法案」に反対の人たち) を出し抜くためには、どんな手段も使う人だった。
それこそ、ゴキブリさえも。
この映画の面白さは、そのミス・スローンが「相手を言い負かす」ディベート力にある。
とにかく、しゃべる。そして、決して負けない。
ディベートが苦手な日本人の代表のような私からすると、立て板に水のごとく、よどみなくしゃべり続けるミス・スローンが羨ましくて仕方がなかった。
相手の出方を予測しながらしゃべり続け、かつ、説得力を持たせながら、先手を打って相手を黙らせる。
そして、時には身内も引き込んで世間を驚かせる話題を提供する
本来なら、ディベートの上手さで世論を動かすのは政治家、もしくは弁護士の仕事だったはず。
しかし、「失言」を恐れた政治家たちはロビイストという代役を通じて世論を先導する時代がやってきたようだ。
ロビイストは政治家と違って合法的にお金を使えるという利点もある。
ということは、資産が豊富で弁が立つロビイストが1人いれば、この世の中を変えることができるということなのか。
さらに、これからの時代はマイノリティの意見を反映した方が世論の受けが良い。
ここで言うマイノリティとは、女性、LGBTQ、有色人種たち。
リズが、テレビの討論会で部下のエズメ(黒人の女性)を利用したのは、もちろん、計算ずくのことである。
ミス・スローンは、現代のアメリカの政治を象徴しているような存在なのである。

信念がブレまくる政治家たちと、一貫して信念を曲げないロビイストの皮肉
そして、この映画を観ていて強く感じたのは、「右へ左へと揺れ動く政治家」たちの信念のなさだった。
この映画の中には、一枚のホワイトボードが登場する。
そのボードは、3つのエリアに分かれていて、
左端は「銃規制 賛成派」、右端は「銃規制 反対派」、真ん中は「どちらにしようか迷っている派」。
分かりやすく左派、右派、中道派に分けて描いてくれているのがありがたい。
その3つのブロックの人たちは、何かあるごとに揺れ動き、その中の人数が変わっていく。
そこから分かってくるのは、政治家たちは、自身の信念に動かされているわけではなく、世論を見て動いているということ。
それに比べて、ミス・スローンは最初から最後まで一貫して、「銃規制に賛成」の信念を貫いている。
果たして、どちらが「政治家として」あるべき姿なのだろうか。
政治家たちは「銃規制法案」について審議しておきながら、「誰も真剣に銃が無くなった世の中のことを考えていない」のだ。
彼らは、少しでも長く国会に籍を置くことしか考えていない。
皮肉なことに、そのフラフラと揺れ動く政治家たちの様子を見て、先日、日本で行われた(2017年10月)衆議院選挙のことを思い出した。
あの選挙の時も、平気で信念を変え、「勝てそうな政党」に移った人たちがいた。
そして、選挙に負けると、自分が信念を変えたことに対する反省もなく、党首のせいにする。
いや、人のせいにする前に、君たちの信念はどこへ消えてしまったのかと聞きたい。
恐らく、これは世界中で見られる光景なのだろうと思う。
ミス・スローンの信念が1㎜もブレないからこそ、右へ左へとウロウロする政治家たちの姿が際立って見えてくる。
政治家たちに、ロビイストの姿勢を見習って欲しいと思ってしまうのは、なんとも皮肉な話だと思った。

政治とは一体誰のためのものなのか
そして、考える。
一体、「政治」とは誰のためのものなのか。
ロビイストが金を集めるためのものなのか、政治家たちの職業を安定させるためにあるものなのか。
映画の前半部分でミス・スローンは、自動車免許の取得試験に失敗した過去を明かし、「車の運転をするよりも、政治の方が向いていると思った」と言っている。
その時は「では、なぜロビイストになったのか…」と思った。
しかし、映画を最後まで観終わって、なるほど と思った。
彼女の言う「政治」の意味するところが、「世論を正しい方向へ動かすこと」だとするなら、政治家になるよりもロビイストになった方が満足感を得られると考えたのではないだろうか。
だからこそ、ミス・スローンにとって、この「銃規制法案」のロビー活動が念願の機会だったのでないか。
自分がどんな窮地に立とうとも、結果、自爆することになろうとも、最後まで世論に訴えかける方法を用意していたのは、なんとしてでも、彼女の人生を賭けてでも、この法案を通したいと思ったから。
もちろん、「負け」を許さない性格もある。
本来なら、政治家が「政治生命を賭けてでも」取り組む問題のはずなのに、なぜか、ロビイストが自分の人生と引き換えに、その法案を通過させてしまった。
一体、政治家の信念はどこへ行ってしまったのか。
とにかくジェシカ・チャステインがカッコイイ!それだけでも一見の価値がある映画だったけれど、
ある1人の信念を持った女性の仕事への取り組み方、生き方を私たちに提示する作品でもあるし、政治の現状と希望を示した作品だった。
私は、彼女の活躍で世論が変わったことに希望があると信じたい。
そして、日本にも、信念のない政治家たちを振り落とすために、ミス・スローンが必要だと思われる。
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