キム・ミニ主演、ホン・サンス監督の韓国映画「夜の浜辺でひとり」を映画館で観た。

映画監督と不倫騒動を起こした女優の心の移り変わりを描く恋愛映画。


満足度 評価】:★★★★☆

物理的な距離は離れても心は離れられない映画監督と不倫中の女優。

それは明らかにホン・サンス監督とキム・ミニの姿であり、たとえ観客が退屈しようとも2人の関係を描きたいという確信犯的作品。

そんな2人の愛にのけ反りつつも楽しんだ。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想
  6. 関連記事


「夜の浜辺でひとり」予告編 動画

(原題:밤의 해변에서 혼자(夜の浜辺でひとり)




更新情報・公開情報


・2018年6月18日 映画館で鑑賞。

・2018年7月16日 感想を掲載。

・2019年2月13日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

・2019年3月6日 DVD販売予定。
 


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キャスト&スタッフ


出演者

…(「クレアのカメラ」、「それから」、「お嬢さん」など)



…(「正しい日 間違えた日」など)

…(復讐のトリック」など

〇ソン・ソンミ

…(「王様の事件手帖」、「操作された都市」など)



監督・脚本



2017年製作 韓国映画


受賞歴


第67回 ベルリン国際映画祭(2017年)最優秀主演女優賞(キム・ミニ



韓国映画「夜の浜辺でひとり」




あらすじ



女優のヨンヒ(キム・ミニ)は、監督との不倫騒動を起こし、友人のジヨン(ソ・ヨンファ)を頼ってハンブルグへ。

そこでヨンヒは「迎えに行く」と言った彼の言葉を信じて待ち続けていた。

しばらく時間が経ち、韓国へ戻ったヨンヒは友達の勧めもあって女優に復帰しようと考えていた…。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」




感想(ネタバレあり)


キム・ミニと監督の不倫騒動が巻き起こる中、堂々と撮影された作品


この映画を観る前に知っておきたい基本情報がある。

それは、監督のホン・サンスキム・ミニの不倫関係である。



日本での公開は前後になるけれど、ホン・サンスキム・ミニは、この映画を撮影する前の2015年に「正しい日 間違えた日」で初めてコンビを組む。

その公開後、ホン・サンスキム・ミニは不倫関係にあると噂されるようになる。

それから2年が経った2017年、この映画「夜の浜辺でひとり」の公開時に、二人は不倫関係にあることを正式に認めるのだ。



そんな韓国中を賑わせた騒動があった中で、この映画は撮影された。

その上、キム・ミニは監督と不倫騒動を起こして海外に逃亡する女優ヨンヒを演じていて、話の中で、その相手の監督は「離婚する」と言いながら、なかなか煮え切らないのだ。

これはまるでホン・サンスキム・ミニの関係をそのまま映し出したような映画なのである



そんな「彼らの事情」を知って観るのと知らずに観るのとでは、かなり景色の違う映画になるが、ぜひ、そんな背景を知ってからこの映画は観て欲しいと思う。

すると、この映画の全てがホン・サンスの「不倫の言い訳」に見えてくるのだ…。

これを潔いというべきか、ずるいと言うべきなのか…。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ、チョン・ジェヨン



遠く離れた距離は二人を引き離すことができるのか


主人公ヨンヒは監督と不倫騒動を起こした女優である。

その騒動のさなか、彼女は友人を頼ってハンブルグにやってくる。



なぜ、韓国から遠く離れた海外へやってきたのか。

彼(=不倫相手)は、身の回りを整理して迎えに行くと言ってくれたこともあったし、ヨンヒ自身は、彼のことを待ちながらそんな騒動から距離を置きたかっただろう。



実際、距離を置いてみると見知らぬ土地の何もかもが新鮮に見える。

それはヨンヒにとって久しぶりにゆっくりと呼吸できた時間に違いない。



しかし、しばらくすると、約束したはずの彼は来ないことがわかる。

そうなると、本当にハンブルグに来てよかったのかと思い始める。

寂しさからは逃れられず、いつしか消えてしまいたいと思うようになり、ただぼんやりと海を見つめてしまう



たとえ物理的な距離ができていても心の片隅にはいつも監督がいて、浜辺でひとり海をぼんやり眺めていると、いつのまにか砂浜に監督の似顔絵を描いてしまうほどなのだ。

2人の間の距離が物理的に離れていても、むしろ心は恋しくなってしまい、遠く離れた彼のことで頭がいっぱいになってしまうのだ。



そのまま誰か連れ去ってくれればいいのに…とヨンヒは夢想するけれど、そんな人は現れないのだ。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ



浜辺の白昼夢が描きだすヨンヒの願望


そして、しばらく時間が経った後、ヨンヒは帰国する。

友人の勧めもあって、ソウルから少し離れたカンヌンで仕事を再開しようと準備を始める。

その時、ヨンヒは人づてに監督の噂を聞き、「最近の監督はまるで抜け殻のようだ」と言われると、なんだかホッとする



1人になったヨンヒは浜辺をぼんやり歩いていると、かつての仕事仲間から声をかけられる。

そして、飲み会に誘われたヨンヒはそこで監督と再会する。

「抜け殻のようだ」と言われた監督はいつも通り仕事をしていて、そんな監督を見たヨンヒは酔った勢いで怒鳴ってしまう



この時の監督とヨンヒのやり取りを見ていると、きっとホン・サンスキム・ミニはいつもこんな感じなんだろうなぁと思った。

いつまで経っても煮え切らず、ハッキリしない監督に対し、ヨンヒは周りの目も気にせず怒鳴りつけてしまう

それは煮え切らないホン・サンスに対するキム・ミニの態度そのものなのだろう。



しかし、実は、それはヨンヒの願望が描きだす白昼夢なのだ。

そうやって酔った勢いで感情を思い切りぶつけて人目もはばからずに痴話げんかしてしまうことも、ヨンヒにとっては幸せなできごとであり、心の奥底で恋しがっているということなのだ。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ



もしも二人が別れることになったら、互いに抜け殻のようになってしまう…という監督の願望


これは、ホン・サンス監督が「もしもキム・ミニと別れたら」という仮定の話を描いた作品なのだ。



「離婚するから」と約束しておきながら、いつまでも煮え切らない監督はホン・サンス自身であり、もしも遠く離れることになったら、二人は抜け殻のようになってしまうに違いないというのは、ホン・サンスの願望である。



その中で印象的だったのは、「私的な回想を描いた作品なんて退屈でしかない」と監督が言ったセリフだ。

しかし、この「夜の浜辺でひとり」こそが、ホン・サンス監督による私的な回想を描いた映画なのだ。

ホン・サンスは観客が退屈するに違いないと確信しつつ、この映画を撮っているのだ。



とはいえ、それは砂浜で観た白昼夢のようなものであり、愛なんてものはただの虚構でしかない

しかし、虚構だからこそ、こうして映画にその美しい思い出を残しておくのだ。



たとえ、観客にとって退屈なものになってしまったとしても、二人にとっては残しておきたい美しい思い出なのだ。



不倫という間柄でありながら、二人の心の結びつきを映画にしたこの作品は、ベルリン国際映画祭に招待されたうえに、キム・ミニは主演女優賞を受賞するという偉大なるプライベート映画だった。

だからこそ、ホン・サンス監督はキム・ミニと別れることができないという言い訳なのだろう。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ、ディエゴ・ルナ



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〇2017年製作
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