イ・ビョンホン主演の韓国映画「王になった男」をキネカ大森で開催していた韓国映画夏祭りで観た。

1616年。暴君と言われた第15代朝鮮王 光海君の影武者として生きることになってしまった道化ハソンが、王室を巡る陰謀に巻き込まれていく姿を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

主人公が影武者というのが、よくある時代劇と一味違っていて面白い。

さらに、その影武者が道化師だけに笑える部分もたくさんあって、前半は彼の道化っぷりにたくさん笑わされた。

後半は、その道化が王としての自覚を持ち始めていく姿にグイグイと引き込まれていくし、「政治とは誰のためのものなのか」について、ハッとさせられるところも多々あって面白かった。


「王になった男」予告編 動画

(原題:광해, 욍이 된 남자




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キャスト&スタッフ


出演者

イ・ビョンホン
…(「それだけが、僕の世界」、「天命の城」、「エターナル」、「MASTER マスター」、「マグニフィセント・セブン」、「インサイダーズ 内部者たち」、「メモリーズ 追憶の剣」、「ターミネーター/新起動:ジェネシス」、「甘い人生」など)

リュ・スンリョン
…(「ソウル・ステーション パンデミック」(声のみ)、「ポイント・ブランク~標的にされた男~」、「7番房の奇跡」など)

ハン・ヒョジュ
…(「ゴールデンスランバー」、「ビューティー・インサイド」、「愛を歌う花」、「監視者たち」、「ファイアー・ブラスト 恋に落ちた消防士」など)

シム・ウンギョン
…(「操作された都市」、「少女は悪魔を待ちわびて」、「怪しい彼女」、「サニー 永遠の仲間たち」など)

監督

〇チュ・チャンミン

2012年制作 韓国映画

王になった男

あらすじ


1616年、朝鮮第15代王光海君(イ・ビョンホン)は暗殺を恐れる日々だった。

そのため、もしもの時のために光海君と瓜二つの人間を探していた。

そして、探し当てたのは、妓生宿で余興をしている道化のハソン(イ・ビョンホン(二役))だった。

ハソンを見て気に行った光海君は、自分の身に危険が及びそうな時はハソンを代役に立てようと考えていた。

しかし、その直後、光海君は愛人宅で麻薬が混入した飲み物が出され、その中毒症状により意識不明となってしまう。

運よく、王が意識を失ったことを知っている人間は身内だけだったため、側近たちは王の意識が戻るまでハソンを玉座に座らせるのだが…。


王になった男3

感想(ネタバレあり)


道化師ハソンが「王」になったことで、私たちに伝えたかったこと


「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

とは、ドイツの政治家ビスマルクの言葉。

私たちが映画やドラマで時代劇を観るのは、なぜだろうか。

それは、歴史上の人物たちのこれまで知らなかった一面を知ったり、本だけでしか知り得なかった世界を映像化されることの楽しさや、教科書では学べない実話を知ったりすることにある。

時代劇を見た私たちは、過去に起きた出来事を知り、そこから「現代にも通じることや、歴史上の成功や失敗が生み出す教訓」を得るようになる。

という風に、長い間の歴史の中で、世界中の賢者たちが歴史から学んでいたら、世界はもっと平和で素晴らしいものになっていたに違いない。

しかし残念ながら、人間はそんなに簡単に進化しないようだ。

この映画「王になった男」を見ると良くわかる。

主人公は、今からちょうど400年前の1616年、朝鮮王朝 第15代王 光海君である。

彼は、暴君王で国民を恐れさせた人物として知られた王だった。

そんな彼と共に政治を取り仕切る王朝の役人たちの腐り具合は、ニュースで見る朴槿恵政権の腐り具合とよく似ている。

この映画を観ながら、「おぉ、こんなことは今でも起きそうだよな」、「こんな政治家は今でもいそうだよな」と思ったことが何度もあった。

そんな腐り切った役人たちの中に、自分の意思とは全く関係なく放り投げられたのが、政治の素人であり道化(今でいうお笑い芸人のようなもの)の影武者ハソンだった。

そのハソンが『王と瓜二つ』という理由で無理矢理玉座に座らされるが、徐々に王としての自覚が芽生え、彼が腐り切った王宮を変えようとする姿を見ていくうちに、自然と「現代の私たちが政治に必要としているもの」を考えるようになる。

これは、まさに歴史というフィルターを通して、現代の政治について考えさせられる映画だった。

ちなみに、この話、どっかで観たことあるわぁ~と、しばらく考えて、出てきた答えはチャップリンの「独裁者」だった。

あれは、ユダヤ人の目から見たヒトラーを批判した映画で、1940年に制作された作品だから、ヒトラーがまだ生きている時に作られた作品だった。


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王になった男2


道化だからこそ短期間で成し遂げられた「王」の代役


始めはただ、お金が欲しいだけだった。

ある日突然玉座に座らされ、ただ「うなずけば良い」と言われ、側近たちの操り人形に徹した道化師ハソン。

最初の数日間は、言われたままにしていた。

むしろ、言われた通りにしていないと、何を話し、どう行動したら良いのか分からないからだ。

しかし、毎日、同じことを繰り返していく中で、仕事に慣れていくと気持ちに余裕が生まれるようになる。

すると、面白いもので、彼の中では「自分は王である」という自意識が芽生え始める。

道化師である自分の存在を忘れてしまい、もしかしたら、自分は本当に王様なのかもしれないと勘違いし始める。

この映画は、ハソンが「自分は王であると」うっすら自覚し始めたところから急激に面白くなる。

まずは、周りのお付きの者に優しく接するようになる。

食事を運ぶ侍女がまだ若い少女なら、なぜそんな仕事をしているのか心配になるし、美しい王妃に優しくしてあげたいと思うようになる。

さらには、政治を学ぶようになり、役人が推し進めようとしている法律が全く国民のことを考えていないことを知る。

そして、もっと国民の生活に目を向けるようにと役人たちを叱咤するようになる。

その様子を見て、あぁ「役が人を育てる」とは、こういうことなのかと思った。

たとえ才能がなくても、役を与えられれば、人間はその役に合うように自分を変えていくようになる。

政治のことを知らなけば、知っている人から教えてもらうし、会いたい人がいれば、止められても自分から会いに行ってしまう。

特に、ハソンの場合はその場に応じて臨機応変に演じ分ける「道化」という職業だったからこそ、普通の人以上に「王様」という役を演じきってしまった。

王になった男4


国民のためでなく、自分たちのために法を作り、執行する役人たち


ここで役人たちがハソンを驚かせたのは、役人たちが自分たちの私利私欲のために私腹を肥やすことばかり考えていて、全く国民のことを考えていないことだった。

それもそのはず、彼らは国民がどんな生活をしているかなんて知らない。

ただ、自分の税金が増えることなんて耐えられない。

だから、国民の生活を苦しめて、自分たちの税金を減らすような政策を考える。

そのことに腹を立てたハソンは、「ただうなずいていれば良い」と言われたイエスマンを辞めて、自分の意見を言うようになる。

そこから、「王になった男(ハソン)」が始動し始める。

ハソンは、「もっと国民の生活を考えた法律を作るように」と、役人たちを叱咤する。

面白いのは、当時の朝鮮王朝が置かれた状況をよく分かっていない私が見ても、「王になったハソン」が言っていることが至極まっとうであることが分かるということ。

つまり、裏金やら賄賂やらで、私利私欲で私腹を肥やした政治家よりも、

昨日、今日政治を勉強したにわか素人の道化が政治をした方がまだマシだということ。

それでは、そんな素人に負けるような役人たちは、これまで何のために政治を志してきたのか。

ただ、その役職にしがみつくためだけなのか。

それとも、裏金や賄賂で儲かるためだけなのか。

いや、もっと大事なことを彼らは忘れている。

ハソンは国民の生活を知っている。

ハソンは国民が大変な生活を強いられていることを知っているが、役人たちはそれを知ろうとしない。

ただそれだけの違いだけれども、その違いがあまりにも大きすぎたのだ。


王になった男5

400年前と現代。変わらない韓国政治


そして、さらに、この映画が面白いのは、その裏金と賄賂にまみれた役人たちの行動が、現代の韓国の政治を彷彿とさせるということ。

たとえば、現代の韓国でトップにいるのが大統領なので、大統領と王と置き換えた時、朴槿恵大統領政権の青瓦台を巡る献金疑惑を考えるととても分かりやすい。

常に優位に立ちたい人間が青瓦台に大金を持参し、トップにいる役人たちはそのお金によって忖度し、裏から手を回す。

散々、日本のニュースでも解説された彼らの行動は、400年前の王宮にいる人々と何ら変わりがないように思える。

もちろん、これ程酷くないとはいえ、日本だって献金によって政治家たちが忖度する話は、よく聞く話だ。

結局のところ、500年前も現在も、政治家たちは「本当に国民が求めているもの」を知らないまま、政治を行っている。

いや、それ以前に知ろうとしないのではないか。

私は、影武者の道化師ハソンが王宮にもたらした変化を見ながら、そんなことを思った。

もう、いっそのこと、政治家はみんな辞めてもらって、一度全員素人ばかりで政治をした方がもっとマシなんじゃないのか。

そんなことを考えた映画だった。



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