北野武ビートたけし)主演・監督・脚本・編集の映画「アウトレイジ」をWOWOWで観た。

初めは「ちょっとしたいざこざ」で終わるはずだったヤクザの組同士の抗争が、どんどん大きくなってやがて生き残りゲームにまでなっていく様を描く。

満足度 評価】:★★★★☆

日本のヤクザならではの風景(年功序列にトップダウン)を観ているのが楽しかった。

ヤクザたちの本音、建て前、腹のうち。誰もが周りから頭一つ抜ける瞬間を虎視眈々と狙っている。

最後に生き残るのは誰か。濃厚な人間関係の中にある生き残りゲームをじっくりと堪能した。



「アウトレイジ」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者

ビートたけし
…(「アウトレイジ 最終章」、「ゴースト・イン・ザ・シェル」、「女が眠る時」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)

〇椎名桔平

加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「沈黙-サイレンス-」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)

〇小日向文世
…(「アウトレイジ ビヨンド」など)

〇北村総一郎

〇杉本哲太

〇石橋蓮司

國村隼
…(「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」、「泣き虫しょったんの奇跡」、「パンク侍、斬られて候」、「哭声/コクソン」、「アウトレイジ」、「天空の蜂」など)

〇三浦友和
…(「アウトレイジ ビヨンド」など)

監督・脚本・編集

北野武
…(「アウトレイジ 最終章」、「アウトレイジ ビヨンド」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)


2010年製作 日本映画


あらすじ


暴力団山王会の会長である関内(北村総一郎)は、傘下である池元組の組長(國村隼)が村瀬組の組長(石橋蓮司)と兄弟の仁義を交わしていることが気に入らない。

そのことを山王会若頭の加藤(三浦友和)が池元に伝えると、池元は自分の傘下の大友組の組長(ビートたけし)に「村瀬組とちょっとしたいざこざを起こしているように見せて欲しい」と言う。

大友は手下のチンピラを使い村瀬組のチンピラを痛めつけるが、それをきっかけに村瀬組と池元組の抗争が次第に大きくなっていってしまう…。

アウトレイジ

感想(ネタバレあり)


ヤクザも企業も骨組みは似た者同士


この映画「アウトレイジ」で描かれるのは、ヤクザの組同士の抗争。

誰かが痛めつけられると、その報復があり、そのたびに上の人間同士で話をつけようとする。

しかし、話が大きくなってくると、上の人間たちの間での話も変わってきて、下の人間はそれに良いように振り回され、抗争はますますエスカレートしていく。

この人間の動きは、面白いことに大企業の構図と良く似ている。

部長や課長が会議で聞いた話を持ってきて、「緊急でよろしく」とか言われる。

こちらは、抱えている業務を後回しにしてまで片付けると、「あれ、やっぱりなくなったから」とか言われちゃう。

指示された側としては、「えぇぇぇーーあんたが指示出したんだから、最後まで責任持ってよーー」って言いたくなる。

そして、面倒くさくなると、さらに後輩たちにその業務を回してしまう。

なんてことが日常茶飯事で起きている。

それは、ヤクザにしろ、企業にいろ、全てがトップの気分で変わり、下は上の人間の言うことに絶対服従という、全く同じ体質から起きることだ。

アウトレイジ4

ちょとしたいざこざからスタートしたサバイバルゲーム


そして、映画「アウトレイジ」では、この組同士の抗争がだんだんとエスカレートしていく。

途中からは、「最後に誰が生き残るのか」というサバイバルゲームの様相を呈す。

これは面白かったなぁ。

本音と建て前、腹のうちと上っ面。

昔からある兄弟、親子の仁義をクソ真面目に守った人間はバカをみる。

むしろ、周りの動きを眺め、考え、虎視眈々と出世のチャンスを狙った賢い人間がのし上がる。

「今まで世話になった人」に仁義を通す時代は終わり、いち早く自分のポジションを確立した人間が勝ち残る。

ヤクザの世界も古き良き時代は終わり、新しい時代がやってきたようだ。

アウトレイジ5

新時代のヤクザ=バイリンガルの金庫番


その「新時代のヤクザ」を象徴しているのが、加瀬亮演じる石原だ。

私は彼の存在が、この映画「アウトレイジ」の中で一番面白かった。

彼はバイリンガルでネイティブの英語を話すだけでなく、組の金庫番、カジノの仕切り、株の運用までやってしまう。

つまりは、うまいことやれば、組の金を使えてしまう存在だ。

バイリンガル、カジノ、金庫番に株の運用なんて、これまでのヤクザのイメージとは大きく違う姿を見せている。

これこそが、これからのヤクザの姿なのか。

はぁ。なるほどなぁと思った。

今までみたいに腕っぷしが強いだけのバカは、ヤクザの中でも上に上がれないという訳か。

「ゴッドファーザー」でも、ボスに最も信頼された人間は数字に強い人間だったっけ。

そして、石原はその頭の良さを最大限に活用し、多くのステップを飛び越えて山王会のNo.2にまでのし上がる。

石原はヤクザの世界の「新人類」なのだ。


アウトレイジ6

意外なことにとても分かりやすい北野作品


監督・脚本・編集は北野武

この映画で意外だったのは、北野作品の割に登場人物がとても多いこと。

それに、正面からヤクザの世界を描いていることだった。

なんだか、この監督は人と違う視点を持ている人で、斜め上からとか、背後から物事を捉えているイメージだったけど、この映画はド正面から撮っているのが、逆に新鮮で面白かった。

「ほぉ、日本のヤクザって、こういう構造しているんだね」というのが、とても分かりやすく描かれていたのが印象的だった。

北野武の作品が分かりやすいなんて!!意外だけど、なんだかとてもありがたいような気もする(笑)

アウトレイジ2

ヤクザも企業も構造改革の時代がやってきた


これまで、ヤクザにしろ、日本の企業にしろ子会社をたくさん作って手広く自分の島を広げてきた。

子会社たちは本部の言われるままに動き、その上下関係が揺らぐことはなかった。

しかし、そんな時代はもう終わりだ。

この映画「アウトレイジ」のラスト、周りの人間が死んでしまい自分だけが生き残った大友は、命をかけて仲間の敵をうとうとする。

しかし、その大友に向かい、小日向文代演じる丸暴の刑事 片岡は「ヤクザもそんな時代じゃないでしょう」と吐き捨てる。

結局、大友は片岡のお縄になるが、片岡は「ヤクザの大物を逮捕した」ことを手柄にして出世をしたかっただけだった。

それは、片岡のセリフを借りれば「警察もそんな時代じゃないでしょう」

いや、片岡は時代じゃないことを知っているからこそ、さっさと出世して逃げ切るのだ。

袖の下をもらうなんてことが簡単にできなくなる時代がやってきたからだ。

ヤクザも企業も古い時代の構造に終わりを告げようとしている。

これから生き残るのは、時代を読み取る感性と、それを実現するスピードだ。

ぼんやりしていると、いつの間にか、自分のいた場所に違う人が座っている…なんてことが起きるかもしれない。

アウトレイジ3


 ↓ さて、この先の展開はどうなるのか…続編「アウトレイジ ビヨンド」の予告編はこちら




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