北野武 監督「アウトレイジ ビヨンド」をWOWOWで観た。

前作『アウトレイジ』から2年。その後、関東で勢力を拡大させる山王会と、それをけん制する関西の花菱会の抗争を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

人気シリーズ第2弾。

『アウトレイジ 最終章』のために鑑賞。

ここで描かれるのは、ヤクザを突き動かす原動力や、どんなに時代が変わっても守り通さなければならない仁義

そして、旧態依然とした組織を離れ、フリーランスとして生きていく新しいスタイルを見た作品だった。


「アウトレイジ ビヨンド」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者

ビートたけし
…(「アウトレイジ 最終章」、「ゴースト・イン・ザ・シェル」、「女が眠る時」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)

西田敏行
…(「ザ・マジックアワー」など)

〇三浦友和
…(「アウトレイジ」など)

加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「沈黙-サイレンス-」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)

小日向文世
…(「サバイバルファミリー」、「アウトレイジ」、「ザ・マジックアワー」など)

桐谷健太
…(「彼らが本気で編むときは、」、「バクマン。」、「くちびるに歌を」など)

新井浩文
…(「泣き虫しょったんの奇跡」、「バクマン。」など)


監督・脚本・編集

北野武
…(「アウトレイジ 最終章」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)


2012年製作 日本映画



アウトレイジビヨンド



あらすじ


あれから2年。

山王会の会長が殺されてから2年。

当時No.2だった加藤(三浦友和)が会長となり、急激に力をつけた石原(加瀬亮)がNo.2となり、ますます勢力を拡大させていた。

山王会が勢力を拡大させていることに警察は頭を悩ませていたが、マル暴の片岡(小日向文世)は刑務所で死んだと噂されていた元大友組 組長の大友(ビートたけし)を出所させ、2年前のツケを払うように仕向けるが大友は思うように動かない。

そこで、片岡は堅気になってくすぶっていた木村(中野英雄)を大友に引き合わせる…。



アウトレイジビヨンド5



感想(ネタばれあり)


ヤクザの世界も『組織』から『個』へ



前作『アウトレイジ』から2年後の世界。

現在公開中の『アウトレイジ 最終章』の予習のために観た。

誰から見ても、どこから見てもヤクザ映画なんだけど、私としては、彼らの人間模様を中心とした人間ドラマとして観るのが好き。

まるで『ヤクザの世界』をのぞき見している気分になる。



前作の『アウトレイジ』では、「ヤクザの世界も能力主義の時代がやってきた」ことが描かれていた。

参考:「アウトレイジ」古き良き時代のヤクザ終了。能力を持った個人がのし上がる時代が到来。北野武 監督・脚本・編集【感想】

本作は、それから2年後の世界。

ついに、ヤクザの世界もITの時代なんだなと思いながら、この作品を見始めたら、全てがひっくり返されてリセットされてしまった。



「ふざけんな、なにが株だITだ!ヤクザは所詮ヤクザじゃねーか」

っていう監督のぼやきが聞こえてきそうな、ヤクザ:リターンズな作品だった。

ただし、これまで重要だった、組長、若頭、幹部、手下っていう肩書や縦社会は完全に崩壊していく

元大友組 組長の大友は、どこにも所属しないままヤクザの世界を荒らしまわっていく

これらからの時代はヤクザの世界も『組織』ではなく、『個の力』の時代なのである



アウトレイジビヨンド3


2つの巨大な組織をけしかけて、潰し合いを目論む警察



関東で最も大きな組織の山王会では、No.2である石原による指示の元、株やヘッジファンドで金儲けをし、勢力を拡大させていた。

関西No.1の花菱会は、旧態依然のヤクザ組織を維持し、新しいスタイルで勢力を拡大させていく山王会をよく思っていなかった。

さらには、警察も巨大化する山王会に頭を抱えていた。



そんな二つの組織を利用して、うまいこと出世しようと考えたのが小日向文世演じるマル暴の片岡である。

片岡の目的は、「山王会と花菱会の勢力を縮小させること」。

そのためには、山王会と花菱会を互いに戦わせればいいと考え、台風の目になるように、刑務所にいる大友を予定よりも早く出所させる。

そして、片岡の策略どおり、これまで均衡を保ってきた緊張が一気に解かれ、殺し合いが始まっていく…。



どこにでも、余計なことを言う奴がいる

Aさんには、「Bさんがあなたの悪口を言っていたよ」と言い、Bさんには「Aさんがあなたの悪口を言っていたよ」と言う、AさんとBさんがケンカを始めると、けしかけた本人は、「何も知らないよ」って感じの涼しい顔をしている。

この片岡こそ、そんなタイプの人間だった。



大友には「先輩、先輩」と言って慕っているようなフリを見せ、良い後輩ぶって、出所にもお迎えに行ったりして、でも、腹の底では、大友を『山王会を潰す駒』として利用しようとしている

しかし、大友はそんな片岡をなかなか信用しようとしない。



アウトレイジビヨンド2


時代が変わっても守り通すのが「仁義」



どんな人にも、「絶対に越えてはいけない線」っていうのがある。

昔ながらのヤクザである大友にとって、それは「仁義」だった

大友にとって、木村は杯を交わした時に、「仁義を守る仲」になっていて、そうなった以上は、木村に何かあれば大友が復讐するのが当たり前。



そもそも、刑務所から出た大友は、ヤクザに世界に戻るつもりはなく、裏社会を牛耳る韓国人 張の世話になろうと思っていた。

しかし、そんな大友を再びヤクザの世界に連れ戻したのは、その「仁義」だった。

刑務所の中で大友の腹を刺しておきながら、それを謝罪し、杯を交わした木村との間には「仁義」ができた。

だから、その木村との仁義を守るためにも大友は山王会へ復讐に行く。



本当だったら、もう忘れた世界だったのに、「仁義」が彼を呼び起こす

そして、その「仁義」が先代の復讐を遂げさせる



刑事の片岡は、大友がそんな昔かたぎのヤクザだと知っていたから、くすぶっている木村をけしかけ、大友との間に「仁義」を作らせる

そして、その「仁義」を利用して山王会をかき回し、勢力が弱まったところをアピールして出世を目論む

しかし、自分こそが一番賢い人間だと有頂天になっている片岡には、最後に地獄が待っている。



アウトレイジビヨンド4


古い組織を捨て、フリーランスで生きていく時代



前作の『アウトレイジ』がヤクザの世界に実力主義が到来した話だとしたら、今回の『アウトレイジ ビヨンド』では、ヤクザの世界にも組織に属さないフリーランスの時代が到来する。



前作では山王会の傘下だった大友組の組長・大友。

そのNo.2が親分を裏切って山王会にクーデターを起こし、大友は刑務所へ。

大友組は事実上の解散となる。

そして、今回刑務所から出てきた大友は、山王会の世話になることなく、ふらついていた木村と手を組んで暴れまわる。



本来なら、縦社会の厳しい組織であるヤクザの世界で、フリーランスが切り込む余地などないはずなのに、大友は掟破りなどお構いなしに切り込んでいく

それは、ビジネスの世界でも同じで、これからの時代は組織にしがみつくのではなく、組織に属していなくても、腕があれば自分の力で道を切り開けることを示している



これまで目障りだった片岡を生かしておいたのは、利用価値があったからこそ

しかし、これからの時代は国や警察を利用しなくても、自分の力だけで生きていける

むしろ、古臭いしがらみを捨てて、新しい時代を切り開いていく

そう思ったからこそ、片岡と決別したのだと思った。



そして、『アウトレイジ 最終章』は、それから5年後の世界を描く。

どこの組織にも属さず、フリーのヤクザである大友は、次に何をしでかすのか。

とても楽しみである。


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