人気シリーズ第二弾「パディントン2」を映画館で観た。
ロンドンで一番の紳士・クマのパディントンが落ち目の俳優と対決!?
【満足度 評価】:★★★★☆(4.5)
楽しかったなぁ。たくさん笑って、最後には泣かされた。
とても楽しいこの映画の裏には、現代のイギリスへのメッセージが込められていた。
見た目の楽しさだけでなく、奥も深い映画だった。
◆ネット配信で観る:「パディントン2」(字幕版)
◆DVDで観る:「パディントン2」
◆前作の復習に!パディントン【期間限定価格版】DVD
…(「英国総督 最後の家」、「ブレス しあわせの呼吸」、「パディントン」など)
〇サリー・ホーキンス
…(「シェイプ・オブ・ウォーター」、「僕と世界の方程式」、「パディントン」など)
〇ジュリー・ウォルターズ
…(「メリー・ポピンズ リターンズ」、「マンマ・ミーア!ヒア・ウィーゴー」、「ブルックリン」、「パディントン」、「ワンチャンス」、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」など)
〇ジム・ブロードベント
…(「ベロニカとの記憶」、「イーグル・ジャンプ」、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」、「パディントン」、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」、「ウィークエンドはパリで」、「ビッグゲーム」、「ブルックリン」、「ターザン:REBORN」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」など)
〇ヒュー・グラント
…(「マダム・フローレンス!夢見るふたり」、「コードネーム U.N.C.L.E.」、「Re:LIFE リライフ」、「トゥー・ウィークス・ノーティス」、ドラマシリーズ「英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件」など)
〇ブレンダン・グリーソン
…(「ロンドン、人生はじめます」、「ヒトラーへの285枚の葉書」、「夜に生きる」、「アサシン・クリード」、「未来を花束にして」、「ある神父の希望と絶望の7日間」、「白鯨との闘い」、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」など)
〇ベン・ウィショー(声の出演:パディントン)
…(「メリー・ポピンズ リターンズ」、「未来を花束にして」、「リリーのすべて」、「ロブスター」、「白鯨との闘い」、「パディントン」、「007 スカイフォール」、ドラマシリーズ「英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件」など)
…(「パディントン」など)
2017年製作 イギリス・フランス合作映画

ヘンリー(ヒュー・ボネヴィル)とメアリー(サリー・ホーキンス)夫妻のブラウン一家とロンドンで暮らしているパディントン(声:ベン・ウィショー)は、ペルーにいるルーシーおばさんに誕生日プレゼントを送ろうと思っていた。
何がいいかと考えながら、グルーバーさん(ジム・ブロードベント)の骨董屋へ行くと、ロンドンの観光案内が描かれた飛び出す絵本を見つける。
しかし、それは世界に一冊しかない貴重なもので高価なものだった。
ロンドンが大好きで、来たくても来られなかったルーシーおばさんのために、その絵本をプレゼントしようと考えたパディントンは、アルバイトを始める。
ところが、実はその飛び出す絵本は「宝の地図」になっていて、何者かによって盗まれてしまう。
その時、その近くにいたパディントンは犯人を追いかけるが、捕まえることができず、現場には足跡が残されていたことから、パディントンが窃盗犯として逮捕されてしまう…。

パディントンのいいところは、とても礼儀正しくて優しいところ。
人の悪口を言わず、毎朝、ご近所に挨拶をして、誰にでも親切に接する。
彼はペルーからやってきた「難民」だけれども、誰よりもイギリスを愛する紳士である。
パディントンがペルーで叔父さんや叔母さんと暮らしていた頃、彼らの大好きな「イギリス」について教えられ「英国紳士」になるべく教育された。
だから、パディントンはちょっと時代遅れの英国紳士なのだ。
朝食はシリアルではなく、イギリスで最も伝統的で家庭的な手作りのマーマレードを食べ、外出するときはダッフルコートに帽子をかぶり、決して汚い言葉は使わない。
そんなパディントンの「礼儀正しさや親切心」がこの映画の魅力の一つである。
そんな風にパディントンについて考えた時、私が思い出したのは、日本の「寅さん」シリーズだった。
「寅さん」というキャラクターには、経済発展の中で日本人が忘れてしまった「下町人情」が詰め込まれている。
家を出たっきり、いつもフラフラと日本全国を渡り歩いているけれど、必ず帰ってくる「家族」が柴又にいて、困っている人を助け、頼まれごとは断れない。
多くの日本人が、そんな寅さんの人情に「懐かしさ」を感じて、なんだかホッとする。
それは、経済発展後の日本から「下町人情」が失われているからではないだろうか。

パディントンにも、そんな「昔懐かしい英国紳士らしさ」があるように思った。
礼儀正しく親切で、最も庶民的な「手作りマーマレード」が大好き。
同じクマでも、パディントンとは対照的で、最も「今っぽい」のがアメリカのTED(テッド)である。
Fワードを連発するTEDは、礼儀正しさや親切心など忘れてしまった「現代っ子」である。
イギリスだけでなく、日本やアメリカでも「人情」や「礼儀正しさ」が失われつつある時代の流れの中で、心優しく親切な紳士のパディントンを観ていると、それだけで多くの人たちが、なんだか懐かしい家に帰ったような安心感がわいてきてホッとするのではと思う。

この映画では、そんなパディントンから教えられたことがたくさんあった。
・ご近所への挨拶を忘れずに
・目の前にいる人に親切にしなさい
・毎朝、おいしい朝食を食べましょう(手作りマーマレードが最高!)
・人を見た目で判断してはいけない
・身だしなみをきちんとする(ダッフルコートが大好き)
これらのことは、なんだかとても当たり前のようだけど、その全てを必ず実践するのはなかなか難しい。
しかし、パディントンはこの習慣を「刑務所」でも、いつもと同じようにやってのけた。
周りには、しかめっ面をした怖い人たちがたくさんいるのに。
みんながまずい朝食を食べていることを知ると、「マーマレードサンド」を提案したり、受刑者たちに挨拶を欠かさず、怖い人にも他の人たちと同じように話しかける。
それは、もしかしたら「KY」と言われることかもしれない。
そんなことはパディントンには関係ない。
「どんな人も見た目で判断してはいけない」というのが、パディントンの信条だから。
そうしているうちに、刑務所の仲間たちが、いつの間にかみんな友達になり、パディントンの優しさが他の受刑者たちにも伝染する。
パディントンが刑務所に行ったことで、これまでグレーの世界だったのが、いきなり全面ピンク色へと様変わり。
刑務所が心温まる我が家「Prison Sweet Prison」になっちゃった。
これは、刑務所にいるような凶悪犯たちも、毎朝、愛情のこもったおいしいご飯を食べて、挨拶をするようになれば、心優しい人間になるということ。
これは、パディントンからの「犯罪者を減らすための食育」についての提案である。
それらのパディントンが教えてくれたことの中で、最も心に残ったのは「人は見た目では判断してはいけない」ということだった。
パディントンはルーシーおばさんから「世の中には悪い人はいない。どんな人にも必ずどこか良いところがあって、話せばきっと分かり合える」と教えられ、それを刑務所で実践する。
そうすると、とてもガタイが大きくて、こわもてのため、誰も近寄ろうとしなかった朝食当番のナックルズが、実はとても優しい人だということが分かる。
そして、ナックルズとパディントンはとても親しい友達になる。
そんな、ナックルズとは対照的に、俳優 フェニックスは、周りの人たちからとても人気があるけれど、実はお金のためならなんでもするし、人を平気で裏切るような悪い奴である。
その二人を見ていると「人は見た目によらない」ということがよくわかる。
やはり「人は見た目では判断してはいけない」のだ。
それは「移民」で「非白人」であるパディントンからの訴えでもある。
ペルーという遠い国に住んでいる頃から、イギリスで暮らすことを夢見て、貨物船に乗り込んでやってきたパディントン。
人一倍イギリスを愛し、誰よりも紳士的。
しかし、実際には何もしていないのに、事件が起きた時に「現場近くにいた」「現場に指紋があった」という理由だけで逮捕され、刑務所に入れられてしまう。
これは明らかに「移民への差別を感じさせる不当逮捕」である。
それに対し、真犯人のフェニックスについては、誰も疑おうともしない。
これは、「移民」や「非白人」について「見た目で判断しないで欲しい」というパディントンからの呼びかけである。
しかし、逮捕されてしまったからといって、それまでのパディントンの努力は決して無駄にはならない。
パディントンが多くの人にした「親切」がちゃんと返ってくる。
それも、ルーシーおばさんの教えの一つ。
周りの人たちにした親切は、いつか必ず自分の元へと帰ってくる。
だから、いつも周りの人たちに親切にしなさい。
これは、日本の「困った時はお互い様」という教えと同じようなものだろうか。
その教えを守ったパディントンは、周りの人たちが協力して真犯人を探し、飛び出る絵本を取り戻そうとし、最後にはみんなでルーシーおばさんをロンドンに招待する。
私は、このルーシーおばさんのシーンで泣いてしまった。
パディントンという移民を受け入れたブラウン一家はパディントンのおかげでみんながハッピーになり、ご近所さんたちは、パディントンの「あいさつ」のおかげで、毎日、幸せな朝を迎えていた。
ところが、数日パディントンがいなくなっただけで、パディントンのありがたさを感じることになった。
それは、国民の一人一人が周りにいる「非白人」や「移民」たちに親切にすれば、いつかその親切が返ってくる時がくるということ。
「鶴の恩返し」の方が近いかな。
パディントンはクマだけどね。
中には、移民に仕事を奪われたとか、白人こそが高貴な民族だと本気で思っている人がいるけれど、そうではなく、その人たちが働いてたくさんお金を稼げば、さらにみんなが豊かになる。
イギリスを偉大な国として君臨させたいなら、周りの人たちに親切にすることが一番の近道であるということ。
おそらく、イギリスでは、人々から「昔ながらの人情」が失われてしまい、ギスギスとした世の中になり、「移民排斥」の動きが起きている。
そうなると、パディントンも強制的に国に帰されてしまうということ。
「クマだからいい」という特別措置は一切ない。
人種が違っても、見た目が人と違っても、同じ国に生きている者同士、声を掛け合い、支えあって生活すれば、世の中はもっと良くなるというメッセージが、この映画には込められていた。
そうすれば、きっと世界はピンク色になり、誰もが住みたくなる国「Home Sweer Home」になるのだ。
最初から最後まで笑いながら楽しみ、最後の最後で、ほろっと泣かされた。
そして、その裏にはイギリスが抱える問題へのメッセージが隠されていた。
そんなメッセージに気付かなかったとしても、楽しく笑えるエンターテインメント作品に仕上がっているし、生活に疲れてしまったり、辛いことがあった時には、みんなに優しいパディントンに会いたくなる。
そんな素敵な映画だった。
〇「パディントン」絵本の実写版。英語が話せて、オシャレな英国紳士の熊パディントンがロンドンで大暴れ!の裏に近年の移民問題への風刺がたっぷりこもったイギリス映画【感想】
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ロンドンで一番の紳士・クマのパディントンが落ち目の俳優と対決!?
【満足度 評価】:★★★★☆(4.5)
楽しかったなぁ。たくさん笑って、最後には泣かされた。
とても楽しいこの映画の裏には、現代のイギリスへのメッセージが込められていた。
見た目の楽しさだけでなく、奥も深い映画だった。
目次
「パディントン2」予告編 動画
(原題: Paddington 2)更新履歴・公開、販売情報
・2018年2月19日 映画館で観た感想を掲載。
・2019年1月12日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
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◆前作の復習に!パディントン【期間限定価格版】DVD
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キャスト&スタッフ
出演者
〇ヒュー・ボネヴィル…(「英国総督 最後の家」、「ブレス しあわせの呼吸」、「パディントン」など)
〇サリー・ホーキンス
…(「シェイプ・オブ・ウォーター」、「僕と世界の方程式」、「パディントン」など)
〇ジュリー・ウォルターズ
…(「メリー・ポピンズ リターンズ」、「マンマ・ミーア!ヒア・ウィーゴー」、「ブルックリン」、「パディントン」、「ワンチャンス」、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」など)
〇ジム・ブロードベント
…(「ベロニカとの記憶」、「イーグル・ジャンプ」、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」、「パディントン」、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」、「ウィークエンドはパリで」、「ビッグゲーム」、「ブルックリン」、「ターザン:REBORN」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」など)
〇ヒュー・グラント
…(「マダム・フローレンス!夢見るふたり」、「コードネーム U.N.C.L.E.」、「Re:LIFE リライフ」、「トゥー・ウィークス・ノーティス」、ドラマシリーズ「英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件」など)
〇ブレンダン・グリーソン
…(「ロンドン、人生はじめます」、「ヒトラーへの285枚の葉書」、「夜に生きる」、「アサシン・クリード」、「未来を花束にして」、「ある神父の希望と絶望の7日間」、「白鯨との闘い」、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」など)
〇ベン・ウィショー(声の出演:パディントン)
…(「メリー・ポピンズ リターンズ」、「未来を花束にして」、「リリーのすべて」、「ロブスター」、「白鯨との闘い」、「パディントン」、「007 スカイフォール」、ドラマシリーズ「英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件」など)
監督
〇ポール・キング…(「パディントン」など)
2017年製作 イギリス・フランス合作映画

あらすじ
ヘンリー(ヒュー・ボネヴィル)とメアリー(サリー・ホーキンス)夫妻のブラウン一家とロンドンで暮らしているパディントン(声:ベン・ウィショー)は、ペルーにいるルーシーおばさんに誕生日プレゼントを送ろうと思っていた。
何がいいかと考えながら、グルーバーさん(ジム・ブロードベント)の骨董屋へ行くと、ロンドンの観光案内が描かれた飛び出す絵本を見つける。
しかし、それは世界に一冊しかない貴重なもので高価なものだった。
ロンドンが大好きで、来たくても来られなかったルーシーおばさんのために、その絵本をプレゼントしようと考えたパディントンは、アルバイトを始める。
ところが、実はその飛び出す絵本は「宝の地図」になっていて、何者かによって盗まれてしまう。
その時、その近くにいたパディントンは犯人を追いかけるが、捕まえることができず、現場には足跡が残されていたことから、パディントンが窃盗犯として逮捕されてしまう…。

感想(ネタバレあり)
アメリカのTED(テッド)と対極にいるパディントンはイギリスの寅さん!?
パディントンのいいところは、とても礼儀正しくて優しいところ。
人の悪口を言わず、毎朝、ご近所に挨拶をして、誰にでも親切に接する。
彼はペルーからやってきた「難民」だけれども、誰よりもイギリスを愛する紳士である。
パディントンがペルーで叔父さんや叔母さんと暮らしていた頃、彼らの大好きな「イギリス」について教えられ「英国紳士」になるべく教育された。
だから、パディントンはちょっと時代遅れの英国紳士なのだ。
朝食はシリアルではなく、イギリスで最も伝統的で家庭的な手作りのマーマレードを食べ、外出するときはダッフルコートに帽子をかぶり、決して汚い言葉は使わない。
そんなパディントンの「礼儀正しさや親切心」がこの映画の魅力の一つである。
そんな風にパディントンについて考えた時、私が思い出したのは、日本の「寅さん」シリーズだった。
「寅さん」というキャラクターには、経済発展の中で日本人が忘れてしまった「下町人情」が詰め込まれている。
家を出たっきり、いつもフラフラと日本全国を渡り歩いているけれど、必ず帰ってくる「家族」が柴又にいて、困っている人を助け、頼まれごとは断れない。
多くの日本人が、そんな寅さんの人情に「懐かしさ」を感じて、なんだかホッとする。
それは、経済発展後の日本から「下町人情」が失われているからではないだろうか。
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パディントンにも、そんな「昔懐かしい英国紳士らしさ」があるように思った。
礼儀正しく親切で、最も庶民的な「手作りマーマレード」が大好き。
同じクマでも、パディントンとは対照的で、最も「今っぽい」のがアメリカのTED(テッド)である。
Fワードを連発するTEDは、礼儀正しさや親切心など忘れてしまった「現代っ子」である。
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イギリスだけでなく、日本やアメリカでも「人情」や「礼儀正しさ」が失われつつある時代の流れの中で、心優しく親切な紳士のパディントンを観ていると、それだけで多くの人たちが、なんだか懐かしい家に帰ったような安心感がわいてきてホッとするのではと思う。

パディントンから「犯罪者を減らすための食育」の提案
この映画では、そんなパディントンから教えられたことがたくさんあった。
・ご近所への挨拶を忘れずに
・目の前にいる人に親切にしなさい
・毎朝、おいしい朝食を食べましょう(手作りマーマレードが最高!)
・人を見た目で判断してはいけない
・身だしなみをきちんとする(ダッフルコートが大好き)
これらのことは、なんだかとても当たり前のようだけど、その全てを必ず実践するのはなかなか難しい。
しかし、パディントンはこの習慣を「刑務所」でも、いつもと同じようにやってのけた。
周りには、しかめっ面をした怖い人たちがたくさんいるのに。
みんながまずい朝食を食べていることを知ると、「マーマレードサンド」を提案したり、受刑者たちに挨拶を欠かさず、怖い人にも他の人たちと同じように話しかける。
それは、もしかしたら「KY」と言われることかもしれない。
そんなことはパディントンには関係ない。
「どんな人も見た目で判断してはいけない」というのが、パディントンの信条だから。
そうしているうちに、刑務所の仲間たちが、いつの間にかみんな友達になり、パディントンの優しさが他の受刑者たちにも伝染する。
パディントンが刑務所に行ったことで、これまでグレーの世界だったのが、いきなり全面ピンク色へと様変わり。
刑務所が心温まる我が家「Prison Sweet Prison」になっちゃった。
これは、刑務所にいるような凶悪犯たちも、毎朝、愛情のこもったおいしいご飯を食べて、挨拶をするようになれば、心優しい人間になるということ。
これは、パディントンからの「犯罪者を減らすための食育」についての提案である。

誰よりもイギリスを愛し紳士的なパディントンは「移民」の「非白人」
それらのパディントンが教えてくれたことの中で、最も心に残ったのは「人は見た目では判断してはいけない」ということだった。
パディントンはルーシーおばさんから「世の中には悪い人はいない。どんな人にも必ずどこか良いところがあって、話せばきっと分かり合える」と教えられ、それを刑務所で実践する。
そうすると、とてもガタイが大きくて、こわもてのため、誰も近寄ろうとしなかった朝食当番のナックルズが、実はとても優しい人だということが分かる。
そして、ナックルズとパディントンはとても親しい友達になる。
そんな、ナックルズとは対照的に、俳優 フェニックスは、周りの人たちからとても人気があるけれど、実はお金のためならなんでもするし、人を平気で裏切るような悪い奴である。
その二人を見ていると「人は見た目によらない」ということがよくわかる。
やはり「人は見た目では判断してはいけない」のだ。
それは「移民」で「非白人」であるパディントンからの訴えでもある。
ペルーという遠い国に住んでいる頃から、イギリスで暮らすことを夢見て、貨物船に乗り込んでやってきたパディントン。
人一倍イギリスを愛し、誰よりも紳士的。
しかし、実際には何もしていないのに、事件が起きた時に「現場近くにいた」「現場に指紋があった」という理由だけで逮捕され、刑務所に入れられてしまう。
これは明らかに「移民への差別を感じさせる不当逮捕」である。
それに対し、真犯人のフェニックスについては、誰も疑おうともしない。
これは、「移民」や「非白人」について「見た目で判断しないで欲しい」というパディントンからの呼びかけである。

みんながハッピーな毎日を送るために心にとめておくべきは「鶴の恩返し」
しかし、逮捕されてしまったからといって、それまでのパディントンの努力は決して無駄にはならない。
パディントンが多くの人にした「親切」がちゃんと返ってくる。
それも、ルーシーおばさんの教えの一つ。
周りの人たちにした親切は、いつか必ず自分の元へと帰ってくる。
だから、いつも周りの人たちに親切にしなさい。
これは、日本の「困った時はお互い様」という教えと同じようなものだろうか。
その教えを守ったパディントンは、周りの人たちが協力して真犯人を探し、飛び出る絵本を取り戻そうとし、最後にはみんなでルーシーおばさんをロンドンに招待する。
私は、このルーシーおばさんのシーンで泣いてしまった。
パディントンという移民を受け入れたブラウン一家はパディントンのおかげでみんながハッピーになり、ご近所さんたちは、パディントンの「あいさつ」のおかげで、毎日、幸せな朝を迎えていた。
ところが、数日パディントンがいなくなっただけで、パディントンのありがたさを感じることになった。
それは、国民の一人一人が周りにいる「非白人」や「移民」たちに親切にすれば、いつかその親切が返ってくる時がくるということ。
「鶴の恩返し」の方が近いかな。
パディントンはクマだけどね。
中には、移民に仕事を奪われたとか、白人こそが高貴な民族だと本気で思っている人がいるけれど、そうではなく、その人たちが働いてたくさんお金を稼げば、さらにみんなが豊かになる。
イギリスを偉大な国として君臨させたいなら、周りの人たちに親切にすることが一番の近道であるということ。
おそらく、イギリスでは、人々から「昔ながらの人情」が失われてしまい、ギスギスとした世の中になり、「移民排斥」の動きが起きている。
そうなると、パディントンも強制的に国に帰されてしまうということ。
「クマだからいい」という特別措置は一切ない。
人種が違っても、見た目が人と違っても、同じ国に生きている者同士、声を掛け合い、支えあって生活すれば、世の中はもっと良くなるというメッセージが、この映画には込められていた。
そうすれば、きっと世界はピンク色になり、誰もが住みたくなる国「Home Sweer Home」になるのだ。
最初から最後まで笑いながら楽しみ、最後の最後で、ほろっと泣かされた。
そして、その裏にはイギリスが抱える問題へのメッセージが隠されていた。
そんなメッセージに気付かなかったとしても、楽しく笑えるエンターテインメント作品に仕上がっているし、生活に疲れてしまったり、辛いことがあった時には、みんなに優しいパディントンに会いたくなる。
そんな素敵な映画だった。
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「パディントン2」観てきたー
2018/02/10 21:44:15
叶えたい夢があるなら
人を見た目で判断しないこと
周りの人に親切にすること
美味しい朝ごはんを食べること
親切は巡り巡って返ってくる
それはロンドン イチ親切な紳士パディントンが教えてくれたこと… https://t.co/9MZOBjsXhs
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