2006年制作の映画「パンズ・ラビリンス」をWOWOWで観た。

1944年フランコ独裁政権が続くスペインで自由を求めるレジスタンスによる内戦を背景に、1人の少女が地底の国を目指す冒険を描くダークファンタジー。


満足度 評価】:★★★★★

これは稀にみる素晴らしい映画だった。

戦争とおとぎ話という、全く相反するものを同時進行で描くことで、戦争が人々の心に及ぼす悪影響やその悲惨さを浮き彫りにさせる映画だった。

悲惨で厳しい現実を忘れさせ、人々を夢と幻想の世界にいざなうのがファンタジーなんだとしたら、まさにこれこそがファンタジーだと思った。


「パンズ・ラビリンス」予告編 動画

(原題:EL LABERINTO DEL FAUNO /英題:PAN'S LABYRINTH)




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キャスト&スタッフ


出演者

〇イバナ・バケロ

セルジ・ロペス
…(「タンゴ・リブレ 君を想う」など)

〇マリベル・べルドゥ

監督・脚本

ギレルモ・デル・トロ
…(<製作総指揮のみ>:「MAMA」、「永遠のこどもたち」)

2006年制作 メキシコ、スペイン、アメリカ合作映画

第79回アカデミー賞(2006年)撮影賞 美術賞 メイクアップ賞 受賞作品

パンズ・ラビリンス


あらすじ


1944年のスペイン。

フランコ独裁政権とそれに対抗するレジスタンスによる内戦が激化している中、少女オフェリア(イバナ・バケロ)は母がスペイン軍のビダル大尉と再婚し、母と大尉の間に子供が生まれるため、大尉が駐在している山奥の別荘へ。

そこは、対レジスタンスとの戦いの最前線であった。

大尉は政府軍の指揮をとっているのだが、「反乱分子は全て殺す」という彼の非道なやり方は村人たちを恐怖に陥れていた。

そんな日々に怯えていたオフェリアだったが、その村で暮らすようになって出会った妖精に案内された森の中で、奇妙な姿をした妖精のパンと出会う。

パンはオフェリアに「あなたこそが、地底王国の女王様だ」と言い、

「満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、あなたに地底王国への扉がひらきます」と言う。

オフェリアはパンの言うまま、3つの試練に立ち向かうのだが…。

パンズ・ラビリンス3


感想(ネタバレあり)


少女が幻想を見た理由


舞台は1944年のスペイン。

人々は貧しさの中、独裁政権に怯えていた時代。

主人公の少女オフェリアが暮らす山奥の村では、アンダーグラウンドに潜伏するレジスタンスと政府軍の間で内戦が激化していた。

オフェリアの母の再婚相手であるヴィダル大尉は明らかに「独裁者」であり、彼の言うことを聞かないレジスタンスたちを次々と殺していた。

村の人々はそんな「独裁者」と政府軍を恐れ、不安な日々を過ごしていた。

オフェリアもまた、常に恐怖に怯え、幼いながらも世の中に不安を感じていた…。

そんなオフェリアをいつも助けてくれたのは、おとぎ話の世界だった。

毎日、本を読んではおとぎの国に心をときめかせ、森の中を飛ぶ昆虫たちを本気で妖精だと信じていた。

オフェリアが出会った森の中のおとぎの国は、悲しいできごとや辛いことを忘れさせてくれる癒しの場所だった。


パンズ・ラビリンス2

戦争への恐怖と不安が生み出す奇妙な世界


私たちが精神的に不安な時はよく悪夢を見る。

それはたいていダークで怖くて恐ろしく、まるでホラー映画でも観ているかのような時もある。

精神的に不安定な時に見た夢や幻想は、私たちの精神状態を如実に反映したものとなる。

ヴィダル大尉の独裁が続く日々に不安を感じながら過ごしていたオフェリア。

彼女がそこで観た幻想「地底王国」と案内人のパン、そして彼女に与えられた試練の奇妙さと不気味さは、彼女の精神的な不安定さを反映したものである。

オフェリアが森で一番最初に出会ったカマキリのような昆虫の形をした妖精。

そして、彼女が受ける試練の中で出会う目玉のくりぬかれた怪物や、巨大なカエル。

それらの全てがどこか薄気味悪い。

それは、オフェリアの精神状態が常に不安定で、恐怖を感じて生きているからだ。

そんな精神状態の時に、総天然色のディズニーワールドのような世界は登場しない。

目の前に美味しそうな食べ物があっったとしても、それを一口でも食べようものなら殺される。

そんな恐ろしい日々を暮らしているオフェリアだからこそ見た幻想だった。


パンズ・ラビリンス5

地上よりも希望と夢に溢れた「アンダーグラウンド」


この当時のスペインでは、自由を求める市民たちは「アンダーグラウンド」にこそ希望を求めていた。

ビダル大尉の下女として働くメルセデスたちが行っていた「地下活動」のレジスタンス。

そして、その世事を敏感に感じ取ったかのように、オフェリアは「地底王国」に夢と希望を探す。

共に地上の生活から身を潜めていた人々。

その時には絶望しか感じられない日々でも、地下には夢と希望が眠っている。

人々はそう信じていたに違いない。

そして、メルセデスもオフェリアも様々な試練を乗り越え、自由がある夢の国を手に入れようとしていた。

戦争とおとぎ話とは、一見相反するものに感じられるが、現実世界で起きていることを感じ取ったオフェリアの頭の中で生み出されたのが「地底王国」だった。

オフェリアの母が出産で苦しむ姿を恐れ登場した巨大カエル。

義父の恐ろしさに怯える心が生み出した、目のくりぬかれた地底の番人。

生まれたばかりの弟を守るという愛を試された最後の試練。

その全てが、「戦争の恐ろしさ」に怯えていたオフェリアが見た奇妙で薄気味悪い幻想だった。

そこには、戦争や家庭内のDVが幼い心に与える悪影響を見ることができる。



パンズ・ラビリンス4


少女が夢見るファンタジーが浮き彫りにする「戦争への恐怖」


この映画はそうやって、戦争とファンタジーという全く相反する2つのものを並行して描くことで、戦争の悲惨さをより際立たせた作品だった。

そして、彼女が最後の試練を乗り越えて得た結末…。

「オフェリアは殺されてこそ、幸せだった」

オフェリアは死んだからこそ、夢の国への扉をひらくことができた

彼女はそのまま義父の恐ろしさに怯えながら生きていても幸せにはなれない。

むしろ、彼女の幸せは夢の中にある…という、あまりにも悲しすぎる結末…。

しかし、それが悲しくならずに、むしろ幸せな感じすらするのは、本当にオフェリアはそのまま地底の国で幸せに暮らすんだなと感じられるから。

もしも、現実の悲しく辛い出来事を忘れさせ、夢と幻想の国に旅立たせてくれるのがファンタジーだとするなら、これこそが本当にファンタジーだなと思った。

内戦という悲惨な状況の中で、なんの罪もない子供たちが殺されてしまうのはとても理不尽で許せないことだけれども、どうせ亡くなるのなら、こうして幸せな気持ちで死ねたらいいのに…。

そして、そんな世の中で生きているよりも、死んだ方が幸せだと思われてしまう悲しい世界。

戦争はそうやって子供たちの心に闇を落とし、悪影響を及ぼす。

真っ直ぐで純真な子供たちは、それを正面から受け止め、そこから逃げ出そうともがき、幸せに暮らせる夢の国を作り出す。

死んだ方が幸せだなんていう世界はあってはならない。

常に子供たちの頭の中に総天然色のディズニーワールドが広がっていることが、本当に平和なことなんだとしみじみ感じた作品だった。



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