ビリー・クラダップ主演、ウィリアム・H・メイシー監督の映画「君が生きた証」をWOWOWで観た。

大学で起きた銃乱射事件で息子を亡くした父親が、息子が遺した音楽を通して再生していく物語。


満足度 評価】:★★★★☆

主人公の気持ち分かるわぁとか、彼に同情するとか、そんなありふれたことを軽々しく言えない映画だった。

しかし、人はどんなに失意のどん底にいて生きていくのが辛くても、周りの人たちと衝突しながらも生きていけることができるんだなと思える映画だった。

「君が生きた証」予告編 動画

(原題:RUDDERLESS)





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キャスト&スタッフ


出演者

ビリー・クラダップ
…(「20センチュリー・ウーマン」、「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」、「エイリアン:コヴェナント」、「スポットライト 世紀のスクープ」など)

アントン・イェルチン

〇フェリシティ・ハフマン

セレーナ・ゴメス
…(<出演作>「ゲッタウェイ スーパースネーク」<製作総指揮>ドラマシリーズ「13の理由」)

ローレンス・フィッシュバーン

監督

ウィリアム・H・メイシー
…(「ルーム」、「シー・ビスケット」、「エアフォース・ワン」、「ボビー・フィッシャーを探して」など)


2014年製作 アメリカ映画





あらすじ


エリート会社員のサム(ビリー・クラダップ)は、大学で起きた銃乱射事件で息子ジョシュを失ってしまう。


事件から2年。

サムは失意の中、酒に溺れ、建築現場のアルバイトをしながら、湖に停泊しているヨットで寝泊まりして生活している。

そんなサムの元へ、離婚した妻エミリー(フェリシティ・ハフマン)がジョシュの遺品を持ってきた。

彼女は再婚し、子供が生まれたことで、新しい生活を始めるためだった。

サムは、ヨットに入れるには多すぎる遺品を全て捨てようとしたところ、その中に、彼が遺した音源とギターを見つける。

元々、音楽好きだったサムはジョシュの遺した曲をギターで弾き始める…。


映画「君が生きた証」


感想(ネタバレあり)


最愛の子供を失った人は、みんな平等に悲しい


※この感想には、ネタバレを含みます。この映画は予備知識なしで観ていただくことをおススメ致します。


はじまりのうた」に引き続き、音楽が人を再生させる話。

この映画「君が生きた証」で、音楽によって人生を救われるのは、ある中年男性のサム。

彼は、大学生の息子ジョシュを銃乱射事件で失い、失意の中、自暴自棄の生活をしている。

物語の途中まで、彼が事件の被害者だと思い込んでいた。

しかし、話が進むにつれ、実は彼が加害者であり、6人もの学生を殺した殺人犯だったことが分かる。

そこで思う。

なぜ、この物語は、途中まで観客に彼が加害者であることを知らせなかったのか。

もちろん、最初から「殺人犯の親の苦悩」として物語を進めることもできたはず。

しかし、あえれそれを語らなかったことで、「加害者であれ、被害者であれ、息子を失った親の気持ちは一緒だ」ということに気付く。

もちろん、被害者側の親からしたら、「ふざけんな」と思うだろう。

しかし、ここであえて、加害者の父親に焦点をあてて描いたのは、モンスターと言われる犯罪者の親も普通の親であり、他の人たちと同じように生きる権利があると伝えたかったように思う。

映画「君が生きた証」ビリー・クラダップ、アントン・イェルチン


悲しみから立ち直る時の男女差が印象的


この映画の中で、最も印象的だったのは、ジョシュの誕生日にサムが彼の墓を訪ねるシーン。

この時、墓石に「人殺し!!」という落書きがたくさんされているのを観て、私たち観客は、ジョシュが殺人犯だったのかということを初めて知る。

サムはその墓石を観て、酒を飲んで酔いつぶれることしかできない。

そこへ、あらゆる種類の洗剤をバケツにいっぱい入れた元妻のエミリーが登場する。

そして彼女は、それがまるで毎日の出来事のように、慣れた手つきで墓石の掃除を始める。

さらには、エミリーが被害者の家を周り、ジョシュのことを許してもらえるまで遺族たちに頭を下げていることを知らされる。

エミリーは、息子を失っても、前を向き、現実を見て、実際に行動をしていた。

日々、酔いつぶれているサムとは大違いだ。

この、事件に対する男女差の描き方が、すごく興味深かった

常に現実的な女性と、現実から目をそらしてうやむやに済まそうとする男性との違い。

悪いけど、男の人っておおむねそうだよね!!ってうなずきながら観てしまった。

これは、男性の監督の作品だから、これはかなりリアルなんだなぁ。

映画「君が生きた証」ビリー・クラダップ、アントン・イェルチン


息子のように思っていた青年から救われる父


しかし、結局、サムの目を覚ましたのは、その出来事よりも、バンド「RUDDERLESS」の仲間たちだった。

緊張して人前で演奏することもできず、気になっている女の子に声をかけることもできない、まだまだ子供っぽいクエンティンに、サムはジョシュを重ね合わせて観ていたに違いない。

そのクエンティンに見放されてしまったサムは、初めてそこで目が覚める。

バンド名の「RUDDERLESS」は「舵がない」という意味。

行先も決めず、ただ波と風に任せて漂っているだけの船を表している。

そのバンド名は、この映画のタイトルにもなっているが、何も決断できないサムの状態を表している。

クエンティンを息子のように思っていたサムだったが、実際は、彼と、彼の音楽に救われていたのはサムだった

人は、何も決断しないまま生きていくことはできない。

いつかは他人と向き合い、決断をし、行動を起こすべき時がやってくる。

サムはクエンティンと出会い、彼に救われ、人生の方向を決めるべき時がやってきたようだ。

 
 ↓ ジョシュの恋人を演じているのはセレーナ・ゴメス
映画「君が生きた証」セレーナ・ゴメス


出演者は、ビリー・クラダップ、アントン・イェルチン、監督はウィリアム・H・メイシー


主人公のサムを演じるのは、ビリー・クラダップ

「あの時ペニーレインと」で、すでにギターの腕前は披露済みだけど、今回も一切スタント無しで、歌と演奏を披露している。

いや~、このビリー・クラダップはとても良かった。

イケイケのビジネスマンが、一転、息子が事件を起こしたことがきっかけにどん底へ、そこで、息子のような青年と音楽に出会うことで、救われる。

そのサムを演じる彼の演技と歌から目が離せなかった。



映画「君が生きた証」アントン・イェルチン、ビリー・クラダップ


そして、サムを救うことになったクエンティンを演じたのはアントン・イェルチン

どうやら、彼は自前でバンドを持っているらしく。

ビリー・クラダップと同じく、今回はスタント無しで歌とギターを披露している。

先日観た「スター・トレック」でも、かなり良い味を出していたので気になっていたら、すぐのタイミングだったので、なんだか、個人的に運命を感じてる(笑)

まだまだ、これから伸び盛りの年頃なので、思い切り演技して欲しい。

【追記】:アントン・イェルチンは2016年6月19日に事故で亡くなりました。


映画「君が生きた証」アントン・イェルチン


監督は、俳優のウィリアム・H・メイシー

この映画の中では、ライブハウスのオーナー役で登場している。

恐らく、映画や海外ドラマが好きな人なら、ウィリアム・H・メイシーを観たことない人はいないんじゃないかなっていうぐらい、いろんな映画に出演している、名バイプレイヤー。

ちなみに、サムの元妻エミリーを演じているフェリシティ・ハフマンは、彼の実の奥さん。

この映画は、初監督作となった。


映画「君が生きた証」ウィリアム・H・メイシー

ホントにちょっとした人生の行き違いが不幸を生んでしまう


最後に、サムがギター一本で歌うシーンはとても印象的。

その中で、ジョシュがクエンティンと出会っているサムの妄想シーンがある。

確かに、もしも、クエンティンのようにジョシュの音楽の素晴らしさを理解している子がいたら、ジョシュの人生も変わっていたかもしれないと思うと、すごく切ないラストシーンだった。

なぜ、ジョシュはあんな事件を起こしてしまったのかについては、一切描かれない。

ただ、たまたま彼の音源に残っていた「こんなところから出なきゃダメだ」

という一言は、彼の心の状態を理解するヒントになるかもしれない。

嫌なら逃げ出せば良いのに、ダメなら立ち止まればいいのに。

それができずに、嫌いな世界を破壊することを考える彼らの思いが切ない映画だった。




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