ベニチオ・デル・トロ主演の映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」を映画館で観た。

アメリカ、メキシコ国境での麻薬戦争を描く「ボーダーライン」続編。

国境に高い壁ができて何が起きているのかを描く。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

これは衝撃的に面白かった!

アメリカとメキシコの国境に壁ができたことで何が起きているのか。

予想外の展開で始まり、先の展開が読めず、呆気にとられたまま終了した。

アメリカ映画の強さを感じる傑作!

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』予告編 動画

(原題:Sicario: Day of the Soldado)

 

更新履歴・公開、販売情報

・2018年11月20日 映画館にて鑑賞。

・2018年12月10日 感想を掲載。

・2019年10月20日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

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キャスト&スタッフ


出演者

ベニチオ・デル・トロ
…(「ロープ 戦場の生命線」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「ボーダーライン」「ガーディアンス・オブ・ギャラクシー」など)

ジョシュ・ブローリン

〇イザベラ・モナー


キャサリン・キーナー


〇イライジャ・ロドリゲス

〇マヌエル・ガルシア・ルルフォ

…(ドラマシリーズ「アンブレラ・アカデミー」など)

監督

〇ステファーノ・ソッリマ


2018年製作 アメリカ映画





あらすじ

メキシコ国境でテロによる死者が出た事件が勃発。

政府が捜査した結果、それがメキシコ国境付近の麻薬カルテルが不法入国させたテロリストの仕業だと判明する。

CIA捜査官のマット(ジョシュ・ブローリン)は政府から依頼を受け、以前も手を組んだアレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)と共に、国境付近のカルテル同志を争わせるため、カルテルの娘・イザベル(イライジャ・ロドリゲス)を誘拐する。

しかし、思わぬ方向に事態は発展してしまい…。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」




感想(ネタばれあり)


トランプ政権が立てた「壁」が国境にもたらした変化とは


前作の「ボーダーライン」では、メキシコからアメリカの国境を通じて運ばれるドラッグの現状を描いていた。

メキシコのドラッグカルテルは、アメリカとメキシコの国境(ボーダーライン)に巨大なトンネルを掘り、そこを通じてアメリカへドラッグを運び入れていたという衝撃的な現実が描かれていた。



それから3年。

アメリカではトランプ大統領が誕生し、アメリカとメキシコの国境は景色が一変

そこに巨大が壁が立ちはだかることとなった。



私はその景色を観て、その後、「どうやってドラッグは壁を越えているのか」が描かれているのかと思った。



しかし、そうではなかった。

それまでドラッグを密輸していたドラッグカルテルは、壁ができたことで、もっと金になるブツがあることに気付いたのだ。



それは「人」だった。



それまでフェンスを乗り越え密入国していた人々は、壁の出現により入国できなくなってしまった。

そこで、カルテルはドラッグよりも人間を運ぶようになった。

そのブツ(人間)は、植物を栽培したり、工場で加工する余計な手間がいらないうえ、ドラッグよりもずっと高値で売買されるのだ。



それに、入国させる前にお金をもらっておけば、たとえ途中で国境を渡ることができず死亡してしまったとしても、収入が減るわけでもない。

当然、ブツを運ぶ彼らが命の保証をするはずもなく、亡くなってしまった人の代わり(アメリカへの入国を希望する人たち)はいくらでもいるのだ。

こんなにいい「ブツ」はないと考えて当然ではないのか。



そうして、麻薬カルテルは積極的に人をアメリカに密入国させる人身売買を開始するのだ。

この、国境ができたことによるドラッグから人身売買へのシフトチェンジという事態は、とても衝撃的で驚いてしまった。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」



他国をかき回し、平気でポイ捨てしてしまうアメリカの姿


その事態を受けたアメリカは、密入国者を減らすために、再びカルテルを一掃する作戦に出る。

国境付近で対立している二つのカルテルを対立させて戦争を起こさせ、二つのカルテルが争い合っているところを一気に潰そうと考えたのだ。



しかし、事態は思うように進まず、協力するはずのメキシコ警察がアメリカ側に攻撃を開始し、死者まで出てしまう。

その予想外の展開に、政府は作戦中止を命令。

対立をあおるために誘拐したカルテルの娘と、協力を要請した傭兵のアレハンドロは証拠隠滅のために消せという命令がくだされてしまう。



それは、アメリカが、こういう作戦の時には他国の人々(女子供も問わず)を利用し、作戦が終わると簡単にポイ捨てする様子を表しているのだ。



ジョシュ・ブローリン演じるCIA捜査官マットが、前作では、ベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロを、最も信頼できる仲間として共に戦っていたのに、国から「殺せ」と命令されると、簡単に見捨ててしまう姿は、とても衝撃的だった。



しかし、カルテルの娘・イザベルの命を救った(その後、アメリカに保護されるのかメキシコに帰されるのかは不明)のは、マットの中に残されたアレハンドロへの懺悔の気持ちではないかと思った。

アレハンドロはイザベルを殺すことに反対していたからだ。



その一方で、自国に死者・負傷者が出ると、即刻作戦を中止して引き上げ、他国の人間は、どんなに貢献しようともポイ捨てしてしまうところが、現在のアメリカのリアルな姿なんだろうと思った。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」



ポイ捨てされた者たちの憎しみが向かうところ


では、そうして作戦終了後に、捨てられて生き延びた傭兵たちは、その後どうなるのか。



そこからがまた、この映画の衝撃的なところだった。

誰もが、頭に穴が開き、もう死んだと思ったアレハンドロが生き返ったからだ。



彼は、ポイ捨てしたアメリカを憎み、テロリストへと生まれ変わるのだ。



かつて中東では、石油の利権のために戦争を起こしていたアメリカが、現地のゲリラに武器を与え、戦える兵士に育て、作戦が終了するとポイ捨てした結果、捨てられたゲリラたちが生活していけなくなりアメリカを憎むようになった。

そして、テロリストになった彼らは、2001年9月11日 同時多発テロ事件を起こすのだ。

その時と同じ状況がここでは描かれている。



この映画では、そこまで描かれていないが、傷が治り、アメリカへ戻ったアレハンドロはメキシコで出会った少年に声をかけるところで、映画は終了している。

その姿を観ただけで、その後、テロリストになるんだろうなぁと十分想像できる。



映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」



「壁」を作ったことは正解だったのか


そもそも、トランプ政権はその壁について「不法入国者による犯罪を減らす」ことが、その理由になっていた。

しかし、この映画を観る限り、「壁」ができた結果、国境付近でテロが頻発し、むしろ、国境付近の国民の命が脅かされる危機が生れることとなった。



この映画は、そうして「壁」を作ることが本当に正しい政策なのかと国民に問いかけているのだ。



むしろ、人身売買が横行し、反感を買い、テロリストを増やすだけだとしたら…。

壁を作るのは敵を増やすだけでしかない。



そもそもドラッグを密輸していたカルテルの話が、壁ができたことで、こうなるのかぁ…と、後半はあっけにとられて観ていた。



それは、明らかに現トランプ政権の政策を批判する作品であり、そういう作品がメジャースタジオで製作あれるのがすごいと思った。

そこにアメリカの強さがあり、なんだかんだ言って、アメリカはまだ健全な国だと思った。



前作もかなり衝撃的な内容だったけれど、本作も負けていない傑作だった。

ぜひ、多くの人に観て欲しい作品。


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