アンドリュー・ガーフィールド主演の映画「沈黙 -サイレンス-」を映画館で観た。
遠藤周作原作の小説「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化。
キリスト教が弾圧されていた日本へ、行方不明になった神父を探しに来た若きポルトガル人神父たちの苦悩を描く。
【満足度 評価】:★★★★★
160分という上映時間に最初はビビっていたけれど、観始めたら映像から溢れ出る思いの強さに圧倒され、一切、長さを感じさせない作品だった。
かつての日本でキリシタンを弾圧していた時代があっても、現在は、思想や信仰が自由な世の中であることにただただ感謝する映画だった。
◆ネット配信で観る:「沈黙 -サイレンス-」(字幕版)
◆DVDで観る:「沈黙-サイレンス」 プレミアム・エディションDVD【Amazon.co.jp限定】
◆原作本「沈黙」
…(「アンダー・ザ・シルバーレイク」、「ブレス しあわせの呼吸」、「ハクソー・リッジ」、「ドリームホーム 99%を操る男たち」、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ、「ソーシャル・ネットワーク」、「大いなる陰謀」など)
〇アダム・ドライヴァー
…(「ブラック・クランズマン」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「ローガン・ラッキー」、「パターソン」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「あなたを見送る7日間」など)
〇浅野忠信
…(「累-かさね-」、「パンク侍、斬られて候」、「幼な子われらに生まれ」、「父と暮らせば」、「座頭市」、「私の男」など)
〇塚本晋也
…(「斬、」、「シン・ゴジラ」など)
〇窪塚洋介
〇小松菜奈
…(「来る」、「バクマン。」など)
〇加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)
〇リーアム・ニーソン
…(「トレイン・ミッション」、「オペレーション・クロマイト」、「フライト・ゲーム」、「ラン・オールナイト」、「誘拐の掟」、「96時間」、「96時間 リベンジ」、「96時間/レクイエム」、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」など)
…(「ディパーテッド」、「グッド・フェローズ」、<製作総指揮>「ビニー/信じる男」など)
2016年製作 アメリカ、イタリア、メキシコ合作映画

17世紀初期の江戸時代。
ポルトガル教会が布教のために日本に派遣したフェレイラ神父(リーアム・ニーソン)が行方不明になってしまう。
既に日本で棄教したという噂を聞きつけたフェレイラ神父の弟子、ロドリゴ神父(アンドリュー・ガーフィールド)とガルぺ神父(アダム・ドライヴァー)は、フェレイラ神父を救うために日本へと向かう。
しかし、日本ではキリスト教が禁止されている上に、信者たちを弾圧し、多くの信徒たちが幕府によって殺されていた。
日本に到着し、その現実を目の当たりにしたロドリゴとガルぺは、隠れキリシタンの日本人たちにかくまわれながらも、目の前で信徒たちが殺されていくことに心を痛めていた…。

正直なことを言うと、スコセッシ監督が遠藤周作の「沈黙」を映画化していると聞いた時、「げーーっ。うぇーーーっ。」と思った。
「沈黙」は読んだような気もするし、途中で挫折したような気もしていて、内容は覚えてなく、私の中では難しい小説の筆頭だった。
それを、外国人のスコセッシが監督するとなると、余計に難しくなるんじゃないかと思ったからだ。
さらに、出来上がった映画の上映時間を見たら160分だと言う。
「これは、私は最後まで寝ないでいられるのかな」と心配だった。
ところが、「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもの。
そんな心配は無用だった。
スコセッシが遠藤周作の「沈黙」を初めて読んだ時から28年かけて映画化したという念願のこの映画「沈黙-サイレンス-」は、彼が情熱を傾けて脚本にしただけあって、その熱い思いが心を強く打つ作品だった。
自身の生涯をかけて神父になったはずの若者たちが、「信仰とは一体何なのか」という思いに心を乱され揺れ動く。
彼らのその思いに時折涙を流しながら、ガッツリと見入ってしまったあっという間の160分だった。

私は、特にこれといって信仰している宗教はない。
そんな私にとって、「信仰」とは、「正しく生きるためのガイドブック」のようなものだと思っている。
道をハズレそうになったり、失敗したり、間違えを起こしたりした時に、心を落ち着かせるためにあるのが宗教なんだろうと思っている。
だから、「信仰心を持たない日本人は信用できない」と言う人が時々いるが、そういう人たちからしたら、「正しく生きるための指針」がない人は信じられないようだ。
はぁ。なるほどね。そういう考え方もあるんだねと思う。
この映画の主人公、若き2人の神父ロドリゴとガルぺにとって、「信仰」とは「迷える子羊を救うもの」だった。
どんなに苦境に立たされても、どんなに貧しい生活をしていても、信仰心さえあれば、その人は救われるという考え方。
だから、キリスト教にとって異教である仏教に弾圧されてしまい、苦境に立たされたフェレイラ神父こそ、彼らにとっては「救わなければならない」人だった。
その熱い使命感を持って、彼らは日本へと旅立ったのだ。

しかし、ポルトガルから遠く離れた極東の地、日本にたどり着き、現実を目にする。
すると、彼らの信じる「信仰」が揺らいでいってしまう。
彼らの目の前で、キリスト教の信徒たちが殺されているのだ。
それも、かなり残虐な方法で。
「信じる者は救われる」はずなのに。
神に救いを求めても、そこにあるのは「沈黙」のみ。
私は、彼らの痛ましい姿を見て何度も涙が溢れた。
その中で、最も印象に残っているのは、窪塚洋介演じるキチジローだった。
彼はキリシタンだ。
しかし、命が惜しくて家族を裏切る。
そして、告解をして、再びキリシタンになる。
すると今度は村人を裏切る。
そして、告解をする。
その繰り返しだった。
私は、そんな彼の人間らしさにとても惹かれてしまった。
人間は、清く正しく生きようとしても、そう簡単には生きられない。
失敗もすれば、間違えも侵す。
時にはキチジローのように、他人を裏切ることだってあるかもしれない。
たとえ、キリストに救いを求める信仰心があってもだ。
神父といえど、そんな彼の生き様を変えることも、彼を救うこともできない。
それは、彼自身の問題だからだ。
どんなに腹が立っていても、キチジローを許すことが、彼を救う唯一の道だった。

表面的にはどんなに繕って、偽っていても神は全てをお見通しである。
ロドリゴがたどり着いたのは、そんな境地だったのではと思った。
たとえ踏み絵をしても、口で「キリスト教を捨てた」と言っても、心に秘めた信仰心があれば神は許してくれる。
キリストのために命を捨てることよりも、嘘をついてでも生き抜くことの方がキリストは喜んでくれるとロドリゴは悟ったのではないかと思った。
それは、フェレイラにとっても同じく。
しかし、彼らが夢に見ていた「迷える子羊を救う」という神父としての布教の思いは、完全に挫折することとなった。
大きな力の前では、どんなに必死になって神の助けを説いても、目の前にいる人すら助けることができない。
そのロドリゴの無念に心を痛める作品だった。
信仰とは命をかけて守るものではなく、生きていてこそ、人の心に寄り添うものなんだと感じた作品だった。
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◆原作本「沈黙」
遠藤周作原作の小説「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化。
キリスト教が弾圧されていた日本へ、行方不明になった神父を探しに来た若きポルトガル人神父たちの苦悩を描く。
【満足度 評価】:★★★★★
160分という上映時間に最初はビビっていたけれど、観始めたら映像から溢れ出る思いの強さに圧倒され、一切、長さを感じさせない作品だった。
かつての日本でキリシタンを弾圧していた時代があっても、現在は、思想や信仰が自由な世の中であることにただただ感謝する映画だった。
「沈黙 -サイレンス-」予告編 動画
(原題:SILENCE)◆ネット配信で観る:「沈黙 -サイレンス-」(字幕版)
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キャスト&スタッフ
出演者
〇アンドリュー・ガーフィールド…(「アンダー・ザ・シルバーレイク」、「ブレス しあわせの呼吸」、「ハクソー・リッジ」、「ドリームホーム 99%を操る男たち」、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ、「ソーシャル・ネットワーク」、「大いなる陰謀」など)
〇アダム・ドライヴァー
…(「ブラック・クランズマン」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「ローガン・ラッキー」、「パターソン」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「あなたを見送る7日間」など)
〇浅野忠信
…(「累-かさね-」、「パンク侍、斬られて候」、「幼な子われらに生まれ」、「父と暮らせば」、「座頭市」、「私の男」など)
…(「泣き虫しょったんの奇跡」など)
〇塚本晋也
…(「斬、」、「シン・ゴジラ」など)
〇窪塚洋介
〇小松菜奈
…(「来る」、「バクマン。」など)
〇加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)
〇リーアム・ニーソン
…(「トレイン・ミッション」、「オペレーション・クロマイト」、「フライト・ゲーム」、「ラン・オールナイト」、「誘拐の掟」、「96時間」、「96時間 リベンジ」、「96時間/レクイエム」、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」など)
監督・脚本
〇マーティン・スコセッシ…(「ディパーテッド」、「グッド・フェローズ」、<製作総指揮>「ビニー/信じる男」など)
2016年製作 アメリカ、イタリア、メキシコ合作映画

あらすじ
17世紀初期の江戸時代。
ポルトガル教会が布教のために日本に派遣したフェレイラ神父(リーアム・ニーソン)が行方不明になってしまう。
既に日本で棄教したという噂を聞きつけたフェレイラ神父の弟子、ロドリゴ神父(アンドリュー・ガーフィールド)とガルぺ神父(アダム・ドライヴァー)は、フェレイラ神父を救うために日本へと向かう。
しかし、日本ではキリスト教が禁止されている上に、信者たちを弾圧し、多くの信徒たちが幕府によって殺されていた。
日本に到着し、その現実を目の当たりにしたロドリゴとガルぺは、隠れキリシタンの日本人たちにかくまわれながらも、目の前で信徒たちが殺されていくことに心を痛めていた…。

感想(ネタバレあり)
えぇーーーあの「沈黙」を映画化するのぉ…
正直なことを言うと、スコセッシ監督が遠藤周作の「沈黙」を映画化していると聞いた時、「げーーっ。うぇーーーっ。」と思った。
「沈黙」は読んだような気もするし、途中で挫折したような気もしていて、内容は覚えてなく、私の中では難しい小説の筆頭だった。
それを、外国人のスコセッシが監督するとなると、余計に難しくなるんじゃないかと思ったからだ。
さらに、出来上がった映画の上映時間を見たら160分だと言う。
「これは、私は最後まで寝ないでいられるのかな」と心配だった。
ところが、「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもの。
そんな心配は無用だった。
スコセッシが遠藤周作の「沈黙」を初めて読んだ時から28年かけて映画化したという念願のこの映画「沈黙-サイレンス-」は、彼が情熱を傾けて脚本にしただけあって、その熱い思いが心を強く打つ作品だった。
自身の生涯をかけて神父になったはずの若者たちが、「信仰とは一体何なのか」という思いに心を乱され揺れ動く。
彼らのその思いに時折涙を流しながら、ガッツリと見入ってしまったあっという間の160分だった。

熱い使命感を持って日本へと向かった若き宣教師たち
私は、特にこれといって信仰している宗教はない。
そんな私にとって、「信仰」とは、「正しく生きるためのガイドブック」のようなものだと思っている。
道をハズレそうになったり、失敗したり、間違えを起こしたりした時に、心を落ち着かせるためにあるのが宗教なんだろうと思っている。
だから、「信仰心を持たない日本人は信用できない」と言う人が時々いるが、そういう人たちからしたら、「正しく生きるための指針」がない人は信じられないようだ。
はぁ。なるほどね。そういう考え方もあるんだねと思う。
この映画の主人公、若き2人の神父ロドリゴとガルぺにとって、「信仰」とは「迷える子羊を救うもの」だった。
どんなに苦境に立たされても、どんなに貧しい生活をしていても、信仰心さえあれば、その人は救われるという考え方。
だから、キリスト教にとって異教である仏教に弾圧されてしまい、苦境に立たされたフェレイラ神父こそ、彼らにとっては「救わなければならない」人だった。
その熱い使命感を持って、彼らは日本へと旅立ったのだ。

誰も救うことができず、神の声も聞こえない現実
しかし、ポルトガルから遠く離れた極東の地、日本にたどり着き、現実を目にする。
すると、彼らの信じる「信仰」が揺らいでいってしまう。
彼らの目の前で、キリスト教の信徒たちが殺されているのだ。
それも、かなり残虐な方法で。
「信じる者は救われる」はずなのに。
神に救いを求めても、そこにあるのは「沈黙」のみ。
私は、彼らの痛ましい姿を見て何度も涙が溢れた。
その中で、最も印象に残っているのは、窪塚洋介演じるキチジローだった。
彼はキリシタンだ。
しかし、命が惜しくて家族を裏切る。
そして、告解をして、再びキリシタンになる。
すると今度は村人を裏切る。
そして、告解をする。
その繰り返しだった。
私は、そんな彼の人間らしさにとても惹かれてしまった。
人間は、清く正しく生きようとしても、そう簡単には生きられない。
失敗もすれば、間違えも侵す。
時にはキチジローのように、他人を裏切ることだってあるかもしれない。
たとえ、キリストに救いを求める信仰心があってもだ。
神父といえど、そんな彼の生き様を変えることも、彼を救うこともできない。
それは、彼自身の問題だからだ。
どんなに腹が立っていても、キチジローを許すことが、彼を救う唯一の道だった。

信仰とは命をかけて守るものではなく、生きてこそ寄り添うもの
表面的にはどんなに繕って、偽っていても神は全てをお見通しである。
ロドリゴがたどり着いたのは、そんな境地だったのではと思った。
たとえ踏み絵をしても、口で「キリスト教を捨てた」と言っても、心に秘めた信仰心があれば神は許してくれる。
キリストのために命を捨てることよりも、嘘をついてでも生き抜くことの方がキリストは喜んでくれるとロドリゴは悟ったのではないかと思った。
それは、フェレイラにとっても同じく。
しかし、彼らが夢に見ていた「迷える子羊を救う」という神父としての布教の思いは、完全に挫折することとなった。
大きな力の前では、どんなに必死になって神の助けを説いても、目の前にいる人すら助けることができない。
そのロドリゴの無念に心を痛める作品だった。
信仰とは命をかけて守るものではなく、生きていてこそ、人の心に寄り添うものなんだと感じた作品だった。
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