ジュリエット・ビノシュ主演の映画「アクトレス~女たちの舞台~」をWOWOWで観た。

フランスを代表する大女優のマリアが出演する舞台の役柄に、実生活が近づいて混同していく様を描く。

満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

面白かったなぁ~。これ。

大女優のマリア、舞台上の役柄ヘレナ、そして、それを演じるビノシュが交錯して混乱していくところが非常に面白かった。

そのマリアを脅かす存在として登場するのが、クリステン・スチュワートクロエ・グレース・モレッツというキャスティングもすごく良かった。

「アクトレス ~女たちの舞台~」予告編 動画

(原題:SILS MARIA /英題:CLOUDS OF SILS MARIA)




「アクトレス ~女たちの舞台~」 DVD

アクトレス ~女たちの舞台~ [DVD]

新品価格
¥3,175から
(2016/12/6 23:41時点)



キャスト&スタッフ


出演者

ジュリエット・ビノシュ
…(「おやすみなさいを言いたくて」、「トスカーナの贋作」、「ショコラ」、「イングリッシュ・ペイシェント」、「ポンヌフの恋人」など)

クリステン・スチュワート
…(「カフェ・ソサエティ」、「レディ・ソルジャー」、「エージェント・ウルトラ」、「トワイライト」シリーズ、「パニック・ルーム」など)

クロエ・グレース・モレッツ
…(「サスペリア」、「クリミナル・タウン」、「彼女が目覚めるその日まで」、「ダーク・プレイス」、「イコライザー」、「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」、「(500)日のサマー」、「キック・アス」)

監督

〇オリヴィエ・アサイヤス

2014年製作 フランス、ドイツ、スイス合作映画

アクトレス女たちの舞台


あらすじ


大女優のマリア(ジュリエット・ビノシュ)は、20年前、まだ若手女優だった頃に主演した舞台「マローナのヘビ」の再演が決まる。

その当時は、20歳離れた女性上司ヘレナの存在を脅かす秘書シグリットを演じたが、今回はその上司役ヘレナとして舞台に立つことになった。

そして、対するシグリット役はヒーロー映画に主演して大人気の若手女優ジョアン(クロエ・グレース・モレッツ)が共演することが決定する。

その舞台に向けて、若いマネージャーのヴァル(クリステン・スチュワート)と本読みを進めていくマリアだったが、いつしか、マリアとヴァルの関係が、ヘレナとシグリットと混同していしまい…。

アクトレス女たちの舞台2


感想(ネタバレあり)


周りが判断する「女の賞味期限」に本人は気付かないもの


20代の頃の自分と、20年経った時の自分。

見た目は歳をとっても、中身は大して変わっていないから、あの時の自分のままだとつい思ってしまう。

だから、演出家からリメイクの話をもらっても、20年前と同じ役を演じることができると勘違いしてしまう。

しかし、私たちは20年という間にしっかりと歳を取り、周りの人たちも決してあの頃と同じようには見てはくれないし、扱ってもくれない。

そして、少しずつ忘れられる存在になっていく…

という、「女の賞味期限とは」という問題をズドーンと突き付けてくるなかなか恐ろしい映画だった。

話の主軸は、大女優のマリアと若い秘書のヴァル。

ヴァルは常にマリアのワガママを聞き、スケジュールを管理し、本読みにも付き合う。

ところが、「若手秘書シグリットに自分の立場を追われていく女性上司ヘレナ」という舞台「マローナのヘビ」の本読みを2人で続けていくうちに、お互いの関係に少しずつ変化が起き始める。

2人で脚本の意図を解釈していくうちに生まれていく溝は、やがて2人の心の距離となり、互いに少しずつ離れていく。

いつまでも従順にマリアのワガママを聞いていると思っていたヴァルだったが、実は腹の中ではうんざりし、そして、いつしかブチ切れてしまう。


アクトレス女たちの舞台3

いつまでも側にいると思ったら大間違い


マリアはいつまでもヴァルが側にいてくれると信じ切っていた。

しかし、ヴァルは常にマリアをなだめながらもうんざりし、今よりも条件の良い職場を探し続けていた。

そして、ある時ブチ切れて姿を消してしまう。

このヴァルの気持ち分かるなぁと思った。

一方的に気持ちを押し付け、信頼してくれていると信じ込み、部下に対して言いたい放題のバカ上司。

コモ湖に彼氏がいるからと言って、ヴァルが出かけて行ったのも、少しでもマリアから離れたいゆえの嘘なのでは。

そこには、「大女優」と言われ、ちやほやされてきたマリアの慢心がなかったか。

最後にマリアから「道を間違えたんじゃないの!?」と責められブチ切れてしまった時のヴァルの表情が忘れられない。

どんなに天使のような人間でも、我慢の限界がある。

いつまでも、わがままを聞いてくれる人などいない。


アクトレス女たちの舞台5

そしていつの間にか消えていく存在に…


それでは、マリアのことをウザいと思っていたのは、ヴァルだけだったのだろうか。

いや、そうではない。

彼女に対し追い打ちをかけたのは、若手女優のジョアンだった。

ヒーロー映画に出演し、若者に人気の女優ジョアンは軽はずみな言動がパパラッチをにぎわせる存在だった。

しかし、嗅覚に優れ、野心があり、自分のキャリアを積むことに貪欲な彼女にとって、マリアは「子供の頃に映画で観た」という「過去の人」だった。

これからは自分の時代だと確信し、世間がマリアの存在を忘れつつあることを知っている。

私にとって、最も印象的だったのは、ジョアンがマリアに対し言い放った最後の一言。

「ヘレナの時代は終わったのよ。観客は誰もヘレナのことなんか気にしていないわよ」

これは、ヘレナに対するジョアンの解釈だった。

かつてシグリットを演じた頃のまま変わっていないと思っていたマリア。

しかし、この時のジョアンの一言で、自分はいつの間にか歳を取り、周りからヘレナと同じく「やっかいなお局女」として見られていたことに気付かされる。

若干、薄笑いを浮かべながら言ったジョアンの一言が、マリアにとどめを刺す会心の一撃となってしまった。


アクトレス女たちの舞台4

大物女優に対抗する若手女優2人のキャスティング


そして、それぞれの役を演じた女優たちを思う。

このマリアを演じたジュリエット・ビノシュもまた、自分の存在感に対し危機感を感じているのではないか。

日々、新しいスターが生まれていく中で、いつか自分も忘れられた存在になっていくと感じているのではないかと。

周りの人たちが離れていき、いつの間にかひとりぼっちになり、そして自ら命を絶っていく…。

そんなマリアとヘレナの気持ちにリンクする部分があるからこそ、この映画に出演したんだろうと感じた。

そして、また、若いマネージャー、ヴァルを演じるのは、若い世代向けの吸血鬼映画「トワイライト」で人気者になったクリステン・スチュワート

そして、ジョアンを演じるのは、ジョアンと同じくヒーロー映画「キック・アス」で一躍スターになったクロエ・グレース・モレッツ

この3人の関係こそが、この映画の中のキャスティングとドンドンダブってきて、面白かった。

大女優の存在を脅かす若手人気女優2人。

現場での、この3人の関係はどんなものだったんだろうか…

「マローナのヘビ」とは、ヨーロッパのアルプス地方のシルス・マリアに浮かぶ雲のこと。

それは山脈を縫うように現れるヘビの形をしており、特別な気象条件の時にだけ見ることができる絶景である。

しかし、その絶景の命も、ホンのわずかの間だけ。

まさに、女優もその通りで、トップスターになれるものホンの一握りながら、その賞味期限もわずかな間のみ…。

いつの間にか消え失せ、そのうち人々から忘れ去られてしまうもの…。なんだろうか…。

それならば、私たちが息長く生きていくためにはどうすればいいのだろうか…。



↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





「アクトレス ~女たちの舞台~」 DVD

アクトレス ~女たちの舞台~ [DVD]

新品価格
¥3,175から
(2016/12/6 23:41時点)