ユ・ジテ主演の韓国映画「パーフェクト・ボウル 運命を賭けたピン」をWOWOWで観た。

かつて人気のスタープロボウラーだったチョルジョンが、自閉症でありながらボウリングの天才ヨンフンと出会うことで、ボウリングへの情熱と自分自身を取り戻していく。

劇場未公開の作品をどこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の一本。



満足度 評価

心がほのぼのする作品だった。

過去に過ちを犯した主人公のチョルジョンと、自閉症でありながらボウリングの天才というヨンフンの二人の関係がとてもいい。

二人のホンワカした関係を見ながら、「人は、どうしたら酷い悲しみから立ち直ることができるのか」と考える。


この感想にはネタバレが含まれます。映画をご覧になってからお読みください。

「パーフェクト・ボウル 運命を賭けたピン」予告編 動画

(原題:스플릿 (SPLIT))




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キャスト&スタッフ


出演者

…(スウィンダラーズ」など

〇イ・ダウィット

〇イ・ジョンヒョン

〇チョン・ソンファ

〇クォン・ヘヨ

監督・脚本

〇チェ・グッキ


2016年製作 韓国映画



パーフェクト・ボウル運命を賭けたピン



あらすじ


チョルジョン(ユ・ジテ)は、20年前にはテレビで人気のプロボウラーだった。

しかし、交通事故で足をケガして以来、テレビから姿を消し、現在は賭けボウリングをしながら細々と暮らしていた。

ところが、相棒が「ここ一番」の勝負に弱いため、新しい相棒を探していたところ、ちょっとフォームがおかしいけれど、ストライクを連発しているヨンフン(イ・ダウィット)を見つける。

そのフォームのおかしなヨンフンに興味を持ったチョルジョンは、彼に話しかけるが、ヨンフンは叫び出してしまう。

ヨンフンは自閉症であり、名前を呼ばれると発狂してしまう習性があった…。



パーフェクト・ボウル運命を賭けたピン2




感想(ネタバレあり)


人との出会いが悲しみのどん底から復活させる



人は取り返しのつかないような失敗をして世界のどん底にいるとき、どうしたら再び前を向いて歩きだせるだろうか

私は、そんな時こそ、外に出て人と接することが大切だと思う。

それは、昨年公開された傑作映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でも描かれていたけれど、人と接し、その人を守ったり助けたりすることで、自分が救われることもあるからだ。



この映画でも、主人公のチョルジョンが自閉症の青年ヨンフンと出会うことで、過去の失敗と向き合い、再び前を向いて歩き始める姿が描かれていた

20年前、プロボウラーだった彼は交通事故を起こし、当時妊娠中だった妻を亡くしてしまい、チョルジョン自身も片足をケガをして、不自由な体になってしまった。

それ以来、ボウリングの表舞台から姿を消していたのだが、ボウリングが大好きな自閉症の青年「ヨンフン」と出会い、「純粋にボウリングを愛する気持ち」を思い出す。



自閉症のため周りの人たちと距離を取りたがるヨンフンなのだが、ボウリングの天才であり、ストライクを連発する。

自閉症の人たちが何かに特化した才能を発揮する(たとえば絵を描くのが上手だったり、ジグソーパズルが特異だったり)のは、これまでも映画の中で描かれてきた。

ベン・アフレック主演の「ザ・コンサルタント」では、ベン・アフレックが自閉症の会計士であり天才スナイパーである主人公を演じていた。

ヨンフンの場合は、それが「ボウリング」だったのだ。



そんな彼に興味を持ったチョルジョンは、ヨンフンと組んで「賭けボウリング」を始める

すると「無敵な二人」は向かうところ敵なしで連勝を続ける

そうすると、そんな二人をよく思わない人たちも接してくるし、逆に金儲けに利用しようとする人も現れる。

その中で、チョルジョンは自然とヨンフンを守りたいと思うようになり、そこからチョルジョン自身も自分と向き合い成長していく。



パーフェクト・ボウル運命を賭けたピン4


一緒に戦えば無敵!ちょっと離れた距離がちょうどいい「スプリット」な2人



この映画の原題は「스플릿 (SPLIT)」である。

それは、ボウリングで、レーンの端と端にピンを1本ずつ残した状態のことであり、それはスペアを取るのがとても難しい位置である。



そのスプリットとというのは、チョルジョンとヨンフンの「ちょうどいい距離」を表していると思った。

自閉症のため、人を寄せ付けたがらないヨンフンには「スプリットの距離」が必要であり、他の人たちが彼らを倒そうと思ったら、とても難しい技術が必要になるということでもある。

「スプリット」というタイトルは、程よい距離を保った二人が手を組んだら、彼らを同時に倒すのは難しいという「無敵な二人」を表している



それでは、なぜ、チョルジョンはヨンフンがペアでプレイすることが難しいにも関わらず、彼にこだわり続けたのか。

もちろん、ヨンフンの腕がいいのもあるが、もっといいプレイヤーも探せたはず。

それなのにヨンフンにこだわったのは、彼には「ボウリング以外何もない」からだった。



ヨンフンにボウリングを教えたおばあちゃんは亡くなってしまい、両親には捨てられる。

純粋にボウリングだけを愛し、ひたすらボウリングを続けるヨンフンを見て、かつて純粋にボウリングを愛していた頃の自分を思い出したのではと思った。



それに、ヨンフンは事故当時にチョルジョンの妻のお腹の中にいた子供とあまり年が変わらない。

なのでチョルジョンからしたら、自分の子供と重ね合わせていた部分もあったに違いない



だからこそ、ヨンフンが義父に虐待されている様子に胸を痛め、おばあちゃんを恋しがる姿を見て、「ヨンフンを引き取りたい、一緒に暮らしたい」と思ったのだろう



パーフェクト・ボウル運命を賭けたピン5


過去の悲しみから立ち直るには、同じ過ちを繰り返さないこと



そうして「純粋に」ボウリングばかりをしているヨンフンを見たチョルジョンは、かつてボウリングを愛し、プロボウラーとしてお金を稼いで幸せな家庭を築こうと思っていた自分と重ね合わせる

そうして、ヨンフンから刺激を受けて再びプロボウラーとして前を向き始めたチョルジョンは、20年経ってようやく「過去の傷」と向き合うようになる。



長い間チョルジョンを苦しめていたのは「八百長」だった

一度は引き受けた八百長を無視して勝ってしまったチョルジョンは、暴力団から逃げている最中に事故に遭ってしまった。



そして、20年後に再び「八百長」を持ち掛けられる

しかし、常に真剣にボウリングと向き合っているヨンフンを見て、チョルジョンは八百長ができなくなってしまう。

常に全力で戦っているヨンフンに悲しい思いをさせたくないからだ。

そうなると当然、「報復」があるわけで。



20年前に、妻とお腹の中の子供を失ってしまったことと同じ過ちを繰り返すわけにいかないチョルジョンは、ヨンフンを守るために身体を張る。

その結果、チョルジョンは、足の感覚を失ってしまうけど、ヨンフンを守り抜いたことで、ようやく「過去の過ち」という呪縛から抜け出すことができた

マンチェスター・バイ・ザ・シー」でもそうだったけれど、人は「誰かを守りたい」と思った時に強くなり、前を向くことができるのだ。



実は、20年前、まだ幼かったヨンフンはチョルジョンが出ていたボウリング番組を見ていたのだ。

彼のパーフェクトボウリングを見て、「いつか自分もパーフェクトボウリングがしたい」という夢を見続けてきたのだ。



チョルジョンはヨンフンと出会って過去の悲しみから立ち直り、ヨンフンはチョルジョンと出会ったことで子供の時からの夢をかなえた

チョルジョンとヨンフンは偶然出会ったのではなく、出会うべくして出会った運命の2人だったのだ。



パーフェクト・ボウル運命を賭けたピン3


2人がお互いにちょっとずつ欠けているからちょうどいい



自閉症を患っていると言われると、なんだか「はれ物に触る」ような扱いをしてしまいがちだ

絵がうまければ天才だと言って神童のような扱いをするような。

そうではなく、それ以前に自閉症の人も他の人と変わらない人間であるはずだ。



この映画は、そんな自閉症のヨンフンの描き方が良かった。

ボウリングをさせたら天才だけど、ジャージャー麺はキュウリがのっていないと食べないし、名前を呼ばれると発狂する。

そんなヨンフンのちょっと面倒くさい一面も描きつつ、彼のような人たちが家族から虐待を受けたり、周りの「金儲け好きの人たち」が、「彼を見世物にして金儲けしよう」とするところまで描いていたところにとても好感が持てた。

ヨンフンが、そんな境遇で生活しているからこそ、チョルジョンはヨンフンを受け入れようと思ったのだ。



全てを失い、足を引きずって歩くチョルジョンだからこそ、同じく不完全なヨンフンがピッタリと合ったのだ。



そして、そこから彼らの関係は「疑似親子」のような関係になる

スプリットのように二人の間には距離があるけれど、その距離こそがちょうどいい。



人は誰しも失敗をしてしまうことがある

その中には、いつまでも心の片隅に居座って、なかなか立ち直れないという失敗もある



しかし、夜明けの来ない朝はない

どんな失敗をして、もう立ち直れないような後悔をしたとしても、再び前を向ける機会は必ずやってくる



ほのぼのとした軽めのコメディタッチで描かれていて、心がほっこりする作品だった

これは、スプリットな間柄の「無敵な二人」を主人公にしたバディムービーである



ほんわかするコメディ作品が好きな人は、きっと気に入るはず。

劇場未公開作品なのが、とても残念。






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