マット・デイモン主演の映画「サバービコン」を試写会で観た。

1950年代後半、新興住宅地 サバービコンで起きた人種差別暴動と、その裏で暮らす白人一家に起きた事件を並行して描くことで、エスカレートする人間の暴力について描く。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

思った以上に社会派作品だった。

「そこで何が起こっているのか」をじっくり考えさせられる作品。

この中で起きる事件に共通するのは「人と融和できない者は排除」という身勝手なエゴ。

そんな他人に不寛容な時代に眉をしかめつつ、そこから進歩していない現代を思う。


「サバービコン 仮面を被った街」予告編 動画

(原題:Suburbicon)





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キャスト&スタッフ


出演

マット・デイモン
…(「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(製作のみ)、「ジェイソン・ボーン」、「オデッセイ」、「インターステラー」、「ミケランジェロ・プロジェクト」、「プロミスト・ランド」、「コンテイジョン」、「アジャストメント」、「トゥルー・グリット」、「インビクタス/負けざる者たち」、「世界で一番パパが好き!」など)

ジュリアン・ムーア
…(「キングスマン:ゴールデンサークル」、「マギーズ・プランー幸せのあとしまつー」、「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」、「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」、「トゥモロー・ワールド」、「メイジーの瞳」、「フライト・ゲーム」、「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」など)

オスカー・アイザック
…(「The Promise/君への誓い」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「X-MEN:アポカリプス」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「ドライヴ」、「インサイド・ルーウィン・デイビス 名もなき男の歌」、「ワールド・オブ・ライズ」、「アレクサンドリア」、「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」、「極悪の流儀」など)


監督

ジョージ・クルーニー
…(「マネーモンスター」、「ミケランジェロ・プロジェクト」(監督・主演)、「フィクサー」、「素晴らしき日」など)


2017年製作 アメリカ映画



サバービコン仮面を被った街



あらすじ


1950年代後半、新興住宅地にあるサバービコン。

そこは「人々が仲良く平和に暮らす理想の街」であることをウリにしていた。

しかし、そこへ黒人一家が引っ越してくると、人々はその黒人一家に対して「出ていけ!」と暴動を始める。

そして、その黒人一家の裏で暮らすガードナー(マット・デイモン)家に強盗が入り、足が不自由なローズ(ジュリアン・ムーア)が亡くなってしまう…。



サバービコン仮面を被った街3



感想(ネタバレあり)


50年代、アメリカ政府が融和政策を打ち出し始めた裏で起きていたこと



1950年代のアメリカは、黒人への差別を撤回する公民権運動が最も盛んに行われていた時代だった。

平等を訴えるキング牧師の演説は人々の心を打ち、「バス内での人種分離(白人優先席)は違憲」とされたのは1956年のことだった。



この映画の舞台は、1959年の新興住宅地「サバービコン」である。

「みんなが仲良く平和に暮らす理想の街」というキャッチコピーの元、売り出された住宅地に、黒人一家がやってくる。

テレビでは「白人も黒人も仲良くすることが理想」という「融和政策」が大々的に宣伝される中、理想の街サバービコンでは、引っ越してきた黒人一家に対して「出ていけ!」と声高に叫び、それは次第に暴動へと発展していく。



これは、当時のアメリカで実際に起きた人種差別暴動を元に描かれている



また、その同時期に、その黒人一家の裏で暮らすガードナー一家の家には、強盗が侵入する。

そして、ガードナーの足が不自由な妻・ローズはその時亡くなってしまい、小さな息子ニッキーが残される。

そこで、ガードナーは妻の双子の姉・マーガレットはニッキーの母親代わりにと、ガードナーの妻になる。



しかし、それはガードナーとマーガレットが、邪魔になったローズを消すために事故に見せかけて仕組んだ殺人だった…。



この映画では、その黒人差別暴動とガードナー一家で起きている事件を並列して描き、黒人差別暴動を身近なことに置き換えて考えさせる作品になっている



サバービコン仮面を被った街4


「邪魔者は消してしまえ」という思いが不幸を招く



「黒人差別暴動」と「ガードナー一家の事件」は全く関係のないように思える二つのできごとの間には、共通していることがある。

それは「邪魔者は消せ」という人間の勝手なエゴである。



テレビでは「白人と黒人が融和することが理想」だと言われながら、「白人だけが暮らす理想の街」に黒人一家が引っ越してくると「出ていけ!」と言って暴動を始める。

ガードナー一家では、ことあるごとにガートナーと意見が対立するローズを疎ましく思い、殺してしまう。

人間は「肌の色」や「意見」が違う人に対して、「邪魔者」だと感じ、排斥しようとする

そもそも、はじめから「異なる者」に対して人は寛容になれないことを、この映画は示しているのだ。



そして、もしも本当にその「邪魔者」を排斥してしまった場合、「彼らはどんな運命をたどるのか」をガードナー一家は示している

ガードナーとしては完ぺきに隠ぺいしたつもりが、保険会社の調査員クーパー(オスカー・アイザック)に怪しまれ、次はクーパーを消さざるを得なくなる。

すると、他にその件を知っている人々を消さざるを得なくなり…と、どんどん暴力がエスカレートしていく…



「邪魔者を消せば幸せになれる」と思っていた彼らだったが、結局のところ、誰も幸せになれないのだ。



黒人差別暴動をしていた人たちの中でも、暴力がエスカレートして亡くなった人が出たし、ガードナー一家も、何の欲もない少年だけが助かる。

「邪魔者は排斥しろ」といって過激な行動に出た結果、因果応報によって命を落とすことになるのだ。

ガードナー家で一人残された少年も、その後、一人で生きていかなければならない。

「黒人差別主義者」が理想に掲げる世界では、結局殺し合いになり、誰も幸せになれないのだ。



サバービコン仮面を被った街2


「弱者」は文句も言わずにひたすら耐えることしかできない



サバービコンの中で、一番の弱者は黒人一家である。

ガードナー一家で、一番の弱者は息子のニッキーである。

彼ら弱者に共通しているのは「無口」なことである



周りで暴動が起きたり、人が殺されているにも関わらず、彼らは何も言わずじっとこらえている。

そうして、嵐が過ぎ去るのをひたすら待ち続けているのだ。



その一方で、加害者側は暴言を吐き、暴力をふるい、挙句の果てに亡くなっていく



えてして、こうした事態になると、弱者は何も悪いことをしていないのに、自分たちの権利を主張することもできず、暴力を訴えることもできないのだ。

それは、少年が恐怖に怯え続けているのと一緒である。

周りで起きていることの恐ろしさに表に出ることもできず、ただ、嵐が過ぎ去るのを待つのみなのである。



そこに、エスカレートしていく暴力の恐ろしさが現れている。

次第に、相手が人間であることも忘れているかのように、物を投げ、火をつける。

それに対し、弱者はひたすら耐え忍ぶしかないのだ。



サバービコン仮面を被った街5


少年たちが見せた希望はどこへ…



そうして暴力がエスカレートし、何人か死者が出たところで、嵐はひと段落して去っていき、サバービコンの街に静寂が訪れる。

そして、最後にこの町の希望が描かれる

黒人一家の少年と、ガードナー家のニッキーが互いの家の間にある垣根を隔ててキャッチボールをするのである。



その2人の姿には、何の差別も偏見もなく、きっと彼らが大人になった頃には、差別のない社会になっているだろう…という希望を持たせて物語は幕を閉じる



しかし、その時、私は考えてしまった。

この当時少年だった彼らは、現在60代後半か70代前半ぐらいにはなっている。

果たして、彼らが大人になった頃、差別のない社会になったかといったら、そうではないのが現実なのだ。

差別はいまだに続き、それどころか、アメリカはメキシコとの国境に壁を建てようとしている。



彼らは未来に向けてボールを投げるが、未来はそれをキャッチできる状態になっていない

それどころが、いまだに融和できないものを排斥しようとしているのだ。

そんなことをしても、誰も幸せにはなれないのに



黒人の少年と、白人の少年がキャッチボールをする姿は、とても希望を感じさせるし、それがこの映画の救いであるけれど、その後、その希望は実を結んだのか…と考えると、そうではないことにため息をついてしまう映画だった



サバービコン仮面を被った街6



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