トム・ハンクス主演、クリント・イーストウッド監督の映画「ハドソン川の奇跡」を映画館で観た。

2009年1月15日。USエアウェイズの旅客機がNYのハドソン川に不時着。英雄と言われた機長のサリーが、一転、事故調査委員会にから危険を助長した容疑をかけられてしまう姿を描く。


満足度 評価】:★★★★★

何より、違和感が強く残る映画だった。

マスコミには「英雄」として祀り上げられているにも関わらず、事故調査委員会へ行けばまるで犯人扱い。

なぜ、事故調査委員会はそれほどまでに神経質にサリーを追い詰め、飛行機事故に対して敏感になっているのか…。

そこから見えてきたのは、NYが未だに抱える「911の呪縛」だった。


「ハドソン川の奇跡」予告編 動画

(原題:Sully)




DVDで観る:「ハドソン川の奇跡」ブルーレイ&DVDセット

ハドソン川の奇跡 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]

新品価格
¥1,580から
(2017/7/5 23:33時点)



ネット配信で観る:Amazonプライム「ハドソン川の奇跡」(字幕版)

ハドソン川の奇跡(字幕版)

新品価格
¥2,000から
(2017/7/5 23:34時点)



【映画パンフレット】ハドソン川の奇跡 Sully

【映画パンフレット】  ハドソン川の奇跡 Sully

新品価格
¥2,100から
(2017/7/5 23:37時点)



原作本「機長、究極の決断」

機長、究極の決断 (静山社文庫)

新品価格
¥905から
(2016/9/30 23:42時点)



キャスト&スタッフ


出演者

トム・ハンクス
…(「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」、「インフェルノ」、「ブリッジ・オブ・スパイ」、「ウォルト・ディズニーの約束」、「キャプテン・フィリップス」、「幸せの教室」、「天使と悪魔」、「ダ・ヴィンチ・コード」、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」など)

アーロン・エッカート
…(「ビニー/信じる男」、「エンド・オブ・キングダム」、「アイ・フランケンシュタイン」、「ペイチェック 消された記憶」、「エンド・オブ・ホワイトハウス」、「エリン・ブロコビッチ」など)

ローラ・リニー
…(「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」、「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>」、「エミリー・ローズ」、「ボビー・フィッシャーを探して」、ドラマシリーズ「オザークへようこそ」など)


監督・製作

クリント・イーストウッド
…(「運び屋」、「ハドソン川の奇跡」、「アメリカン・スナイパー」、「ジャージーボーイズ」、「インビクタス/負けざる者たち」、「グラン・トリノ」、「硫黄島からの手紙」、「父親たちの星条旗」、「ブラッド・ワーク」など)


2016年製作 アメリカ映画


あらすじ


2009年1月15日。

乗客155名を乗せたUSエアウェイズの旅客機がラガーディア空港から飛び立った直後、鳥の群れによるバードストライクに遭ってしまう。

左右に1つずつあったエンジンが停止。

機長のサリー(トム・ハンクス)と副機長のジェフ(アーロン・エッカート)は緊急着陸するために飛行場へ戻ろうと管制塔に連絡をする。

しかし、飛行機の高度が上がらず、飛行場までもちそうにないと判断し、ハドソン川に着水させるという苦渋の選択をする。

そして着水が成功し、乗客全員が助かるという奇跡が起きる。

ニュースや町の人々は彼を英雄と讃えるが、事故調査委員会はそう捉えていなかった…。

ハドソン川の奇跡

感想(ネタバレあり)


英雄から容疑者への転落


「ハドソン川の奇跡」のことは、私もぼんやりと覚えている。

特に、川に旅客機が浮かんでいるという映像は、すごく特異な感じがしたので、強く印象に残っている。

それに、NYで飛行機事故というと、911のことがあったので、「あぁ今回はテロじゃなかったんだね」と思ったことを覚えている。

あれから6年。

クリント・イーストウッドは、この映画「ハドソン川の奇跡」で機長のサリーにスポットライトを当てて作品を作り上げた。

サリーは川に旅客機を着水させるというウルトラQのプレーをし、英雄ともてはやされていたにも関わらず、事故調査委員会によって、「乗客の危険を助長した」という疑いをかけられてしまう。

彼らは、「旅客機」はラガーディア空港に戻れる余裕が十分あったのに、ハドソン川に着水という最も危険な道を選択したと考えたようだった。

しかも、本当は停止したエンジンは右だけだったのに、サリーとジェフが両方停止したという虚偽の報告をしたと言い出していた。


ハドソン川の奇跡2

当事者の声を聴く前に答えが出ている公聴会


そして、事故調査委員会による公聴会が開かれる。

これを観ていると良く分かるのが、事故調査委員会では、「事故に遭ったら、どんな理由があろうとも空港に戻るべき」という揺るぎない前提がある。

それ以外の選択は、どんな場合も認められない。

そのための公聴会だった。

だから、サリーがなんと抗弁しようとも、彼の有罪は決定しており、恐らく処分も決定していたと思われる。

これが何とも不可思議だった。

なぜ、ゴールが決まっているのに、わざわざ大勢人を集めて公聴会なんて開いたのか。

そんな腹が立ってもおかしくない状況で、サリーは自分の判断が間違っていないことを冷静に訴える。

これが良かった。

そこでサリーが訴えたのは、「人間の迷う時間」だった。

NYの上空で左右のエンジンが両方停止し、高度を上げようとしても上がらない。

そんな前例のない状態で、どうすべきなのか、コンピューターでははじきだせない「迷いと判断の時間を入れてくれ」と訴える。

人間はAIではない。危機的な状況にある時に、人間はマニュアル通り、杓子定規には動けない。

サリーはベストな方法は何かを考え、副機長のジェフはマニュアルを開いていた。

確かに、私たちだって、日頃、仕事中に突発的な事故が起きればマニュアルを開くなり、ググるなり、専門家に相談を仰ぐなりして、検討する時間があるじゃないか。

その「人間の迷う時間」を考慮した結果、飛行機会社のシミュレーションではラガーディア空港には戻れず、途中で墜落してしまっていた。

ハドソン川の奇跡4

NYで飛行機事故が起きれば、「まさか!また!」と思ってしまう状況


本来であれば、サリーは「偉業を成し遂げ、称えられるべき人」だった。

なぜ、事故調査委員会はサリーに対して疑いの目を向けるようになったのか。

重箱の隅をつつき、どこかに上げ足がないか探っているその姿は、必要以上に敏感で、神経質になっているように見えた。

そこから見えてきたのは「911の呪縛」だった。

この事故が起きたのは、「911」が起きてからわずか8年後。

NYで飛行機事故が起きたと第一報を聞けば、世界中の誰もが「まさか、また落ちたのか」と思う時期だ。

いや、きっと今起きても、そう思うに違いない。

そんな状態の時に、NYのど真ん中を流れるハドソン川に旅客機を不時着させるなんてことは、あってはならないことだった。

だからこそ、事故調査委員会はサリーの行った判断を「やってはいけない事例」として処分したかったのだと思った。

NYだけでなく、アメリカ中の人たちが、あの「911」の忌まわしい呪縛から解けていないとクリント・イーストウッドは考えたんだと思う。

ハドソン川の奇跡3

トム・ハンクスを使いたかったクリント・イーストウッド


機長のサリーを演じたのはトム・ハンクス

この映画「ハドソン川の奇跡」を監督したのは、クリント・イーストウッド

ちょっと意外だけど、この2人が一緒に仕事をするのは初めて。

以前、何かのインタビューで読んだ時、クリント・イーストウッドトム・ハンクスを選んだのは、「普通の人を使いたかったから」だと言っていた。

それには、納得だった。

ヒーローらしい人がヒーローになるのではなく、普通の人が奇跡を起こす姿を描きたかったんだろうなと思ったからだ。

それに、トム・ハンクスは普通の人になれそうだし。

常に、「強い男」「強いアメリカ」を意識して映画を制作してきたクリント・イーストウッド

今回は、アメリカとNYに未だにはびこる「911の呪縛」を説いて、「素晴らしい奇跡」で記憶の上書きをしたかったのだろうと思った。

現在、86歳のクリント・イーストウッドだが、常に「強くて元気なアメリカ」を追い求める姿に老いは感じさせない。

ハドソン川の奇跡5

アメリカが求める「本当の心の平和」


結局、調査委員会での容疑は晴れ、サリーの判断が奇跡を導いたことを彼らも認めた。

そして、最後のエンドロールに実際に事故に遭われた人たちと、実物のサリーが登場する映像が流れる。

彼らが今でも生きていることを喜び感謝する姿は、とても感動的だった。

そうなんだよね。

本当に生きていて良かった。

たとえ、多少の判断ミスがあったとしても、乗客155人全員が助かったことが何よりも素晴らしいことじゃないか。
(今回の事故で判断ミスはなかったけど)

そう思うと、また泣けてくる。

事故調査委員会がサリーに対して言うべき言葉は、「155人もの乗客の命を助けてくれてありがとう」だったのに。

アメリカとNYが本当に「911の呪縛」から解ける時はいつなのか…。

その歩みはまだまだ遠いように思えてしまう…。



↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





DVDで観る:「ハドソン川の奇跡」ブルーレイ&DVDセット

ハドソン川の奇跡 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]

新品価格
¥1,580から
(2017/7/5 23:33時点)



ネット配信で観る:Amazonプライム「ハドソン川の奇跡」(字幕版)

ハドソン川の奇跡(字幕版)

新品価格
¥2,000から
(2017/7/5 23:34時点)



【映画パンフレット】ハドソン川の奇跡 Sully

【映画パンフレット】  ハドソン川の奇跡 Sully

新品価格
¥2,100から
(2017/7/5 23:37時点)



原作本「機長、究極の決断」

機長、究極の決断 (静山社文庫)

新品価格
¥905から
(2016/9/30 23:42時点)