韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」を試写会で観た。

1980年に韓国で起きた光州事件を取材し、真相を世界に広めたドイツ人ジャーナリスト ピーターと彼の運転手をしたタクシー運転手 マンソプの2日間を実話を元に描く。


満足度 評価】:★★★★★

前半はほのぼの、後半は号泣。

現実社会における真のヒーローとは、武器も持たず、特殊な能力を持たず、真実と正義のために命をかけられる人のことを言うのだと思い知らされた映画だった。

また、主人公のマンソプが最後の最後まで「ただのタクシー運転手」を貫き通したのも良かった。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「タクシー運転手 約束は海を越えて」予告編 動画

(原題:택시 운전사/英題:A Taxi Driver)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年4月8日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年6月2日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


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キャスト&スタッフ


出演者

ソン・ガンホ
…(「密偵」、「王の運命(さだめ)歴史を変えた八日間」、「観相師-かんそうし-」など)

トーマス・クレッチマン
…(「ヒトラー~最後の12日間~」、「ワルキューレ」など)

ユ・ヘジン
…(「1987、ある闘いの真実」、「コンフィデンシャル/共助」、「LUCK-KEY/ラッキー」、「国選弁護人 ユン・ジンウォン」、「あいつだ」、「極秘捜査」など)

リュ・ジュンヨル
…(「沈黙、愛」、「ザ・キング」、「奴隷の島、消えた人々」など)


監督

〇チャン・フン


2017年製作 韓国映画



映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」




あらすじ


1980年5月、韓国では独裁政権が続き、戒厳令が行使されていた。

そのため、自由化を求めるデモが各地で起き、光州では軍部による制圧で無実の市民が殺されるという事態が発生していた。

その話を東京で聞いたドイツ人ジャーナリストのピーター(トーマス・クレッチマン)は、取材のためにソウルから光州までタクシーで向かおうとしていた。

運転手のマンソプはお金のためにピーターの運転手を買って出て、「外出禁止時間までに帰ってくる」という約束で、往復10万ウォンで請け負う。

それは、マンソプにとって「楽勝の仕事」のはずだった…。



映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」ソン・ガンホ



感想(ネタバレあり)


ドイツ人ジャーナリスト ピーターとお金が欲しいタクシー運転手 マンソプ


前半はほのぼのした雰囲気で、相変わらずすっとぼけたソン・ガンホ 演じるマンソプを笑いながら観ていた。

ところが、中盤にピーターを乗せたタクシーが光州に差し掛かると、一気に空気が緊迫し、後半に光州の中心地へ入ると、恐怖と感動の両方で号泣し、涙が止まらない作品だった



この映画がすごいなと思うのは、実話を元にして描かれているということ。

もちろん、多少の脚色はあるだろうが、それでも、この時、これほど勇気を持って正義のために戦っていた人たちがいたのかという事実に胸が熱くなる作品である。



1980年 5月、韓国では独裁政権による戒厳令が行使されていた。

韓国各地で自由を求める市民たちによるデモが行われ、軍が制圧に向かうが、光州では軍と市民の衝突で無実の市民が多数殺されていた。



ドイツ人ジャーナリストのピーターはその話を東京でジャーナリスト仲間から聞かされ、取材のために現地へ向かう。

そこで、運転手を買って出たのがマンソプだった。

その時、マンソプは光州でそんなことが起きていることなど知らず、生活が大変で、それが「楽にお金を稼げる仕事」だと思い、手を挙げたのだ。



それまでマンソプは「デモ行進など暇な学生がするもの」ぐらいにしか思っておらず、ソウルでは光州で起きていることなど、一切報道されていなかったのだ。

だから、彼は10万ウォンでソウルと光州を往復する仕事を「楽勝な仕事」だと思っていた。



映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」リュ・ジュンヨル、トーマス・クレッチマン



「暴徒化した市民」の心温まる歓迎


マンソプとピーターがその現実を知ったのは、通行止めを避けるために裏道を通り、山道を抜け、軍に遭遇すれば「外人のお客さんが光州に重要な書類を忘れちゃって」と適当な嘘をついて通行止めをすり抜け、ようやく光州の中心地に着いてからだった。



マンソプとピーターが光州に着いたとき、その様子は明らかにおかしかった

町には頭から血を流している人たちがいて、病院はけが人であふれ、軍人が市民をこん棒で殴っている姿を目撃する。



それを観たピーターはカメラを回し、マンソプはようやく状況を理解する。



その時、新聞やテレビでは「光州では市民が暴徒化し、軍人が殺される事件が発生」と報道されていた。

しかし、彼らが出会った光州の市民たちは、マンソプの車が壊れれば、自分たちのタクシーの部品を差し出し、ガソリンスタンドに行けば、買った分以上にサービスしてくれ、デモの取材に行けばおにぎりを分けてくれ、生活が貧しいにも関わらず、泊まっていきなさいといって、料理をごちそうしてくれる。

それは、日本の田舎町でも見られるような、都会から来た人たちにとても優しくて温かい歓迎をする市民の姿だった。



一体、どこに国が報道する「暴徒化した市民」がいるのか

とても心優しい彼らは、自分たちの自由を求めるために、デモ行進を行っていただけなのだ。



しかし、この映画は、「光州事件」について詳しく描かれているわけではなく、「その裏で起きていた真相」が描かれている作品である。

だから、もしも光州事件について知識がなければ、イ・ジュンギ主演の映画「光州 5・18」で予習しておくことをお勧めする。

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映画「光州5・18」は、デモに参加した青年たちの運命を正面から描いたものであり、この映画「タクシー運転手」は、その裏で青年たちを必死になって助けようとした人たちと、それを命がけで報道した人たちの物語である。

韓国の人たちにとって、『光州事件』とはどんな事件だったか誰もが知っている話なので、その表側の事実をこの映画ではあまり詳しく描かない。

しかし、日本人の中には知らない人もいると思うので、ある程度の知識は持っておいた方が、よりこの映画を理解できると思う。



映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」リュ・ジュンヨル、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン、ソン・ガンホ



ソウルから来たよそ者が市民とふれあい正義に目覚めていく


私が、この映画の中で最も感動し、号泣し、心に残ったのはユ・ヘジン演じる光州のタクシー運転手 テスルたちが、「軍に撃たれている市民たちを助けよう!」と言って、タクシーで向かっていった場面だった。



それまでマンソプは「ソウルから来たよそ者」だった。

離れた場所から軍人が市民を痛めつけている場面を眺め、「娘のために早く帰りたい。早くお金が欲しい」と思っていた。



しかし、ピーターと共に近くで凄惨な現場を目にし、光州の人たちから優しくされていくうちに、正義に目覚めていく

だから、その時マンソプはテスルの呼びかけに「俺も行く!」と言い出すのだ。



韓国軍が、無実の市民に銃口を向け一斉に銃撃しているところへ、彼らは「助けに行く」と言っているのだ。

この場面は思い出すだけで涙が出てくる。



そうして、彼らはその場にタクシーを乗り付け、タクシーを銃撃から市民を守る盾にして、まだ息のある市民を助けたのだ。

こういう出来事が本当にあったのかどうかはわからないけれど、この場面が示しているのは、光州の市民がそれぐらい命をかけて、撃たれている人たちを助けようとしていたということであり、その思いを凝縮して、あのタクシー運転手たちに投影させている



デモに参加した学生だけでなく、周りにいた光州の市民たちも政府軍から命がけで人を助けようと思い、なんとかピーターを空港に送り届けたいと思っていた

その思いが、テスルというキャラクターに凝縮されていたのだと思った。



映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」ユ・ヘジン、ソン・ガンホ



丸腰の心優しきヒーローたち


そんな光州の市民たちと、それを命がけで報道しようとしたピーターと、彼の運転手であるマンソプは市民を守ったヒーローだった。

彼らを見ていると、現実社会におけるヒーローとは、武器も持たず、特殊な能力も持たず、正義と真実のために命をかけることができる人のことを言うのだと思った。



そして、彼らは命がけで人々を助けながら、それが立派なことをしているという自覚はなく、当たり前のことをしたと思っている

そこがまた感動的だった。



マンソプもまた、最初から最後まで「ただのタクシー運転手」であることを貫き、ピーターは彼にとって「大事なお客様」であり、最後まで送り届けることだけを考えていた。

一度はピーターを置いて待っている娘のために帰ろうとしたけれど、それを思いとどまったのは、「タクシー運転手」としての任務を全うしようと思ったからだ。

もしもあの時、マンソプがそのまま光州に戻らなかったら、ピーターの動画は日の目を見ることはなかったかもしれない。



マンソプもまた、光州の市民を救ったヒーローのうちの一人である。



マンソプは、はじめは「金のために」引き受けた仕事だったにも関わらず、次第に正義に目覚めていく。

そのキャラクターはソン・ガンホが最も得意とする役どころであり、あまりにも自然に小市民っぷりを演じているものだから、その頼りなさに観ている側が手に汗握る作品になっている

やはり、彼は現在、韓国で最高の俳優だった。



つくづく、最近の韓国映画のクオリティは高いなと思いながら観た作品だった。



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