江口洋介主演の映画「天空の蜂」をWOWOWで観た。

1995年。最新の原子力発電所を狙ったテロが勃発。技術者たちが一丸となってテロを阻止しようとするが…。

満足度 評価】:★★★☆☆

全体的に曖昧な雰囲気で、結局何を伝えたいのかが分からないまま終了し、不完全燃焼な印象。

どっちつかずで、スッキリしない感じがなんとも残念だった。


出演:江口洋介、本木雅弘、綾野剛、仲間由紀恵、柄本明、國村隼

監督:堤幸彦 2015年製作 日本映画


「天空の蜂」予告編 動画





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あらすじ


1995年夏、自動操縦が可能な新型ヘリコプターを設計した技術者の湯原(江口洋介)は、そのお披露目会に妻と息子の高彦を連れて出社していた。

お披露目会の開始まで、あともう少し…という時、湯原はヘリの格納庫の様子がおかしいことに気付く。

何物かが遠隔操作でヘリを動かし始めていた。

そして、そのヘリには高彦が乗り込んでいて、彼を助けることができないまま、ヘリは飛行を開始してしまう。

向かったのは原子力発電所の上空。

しばらくすると、「天空の蜂」というテロリストから犯行声明が発表され…。

天空の蜂


感想(ネタバレあり) 原発の上空でヘリがホバリング


原子力発電所の上空で最新型ヘリコプターがホバリングしている。

ヘリには爆弾を積んでいて、燃料切れになる8時間後には墜落する。

テロリストの意図は?そして、国はそれを阻止することができるのか…。

というサスペンス映画。

正直言って、これだったら、先日観た「シン・ゴジラ」の方がよっぽど面白かった。

ゴジラが東京に上陸した時の政府の対応についてのシミュレーションが真に迫っていた。

ところが、この映画は「反原発」を掲げるテロリストを描いるものの、日本が人々の想像以上に原発に頼っている状況を描かず、単に「原発」は「悪」という前提で描いているとしか思えない作品だった。

もっと、日本の状況を赤裸々に暴露した作品でないと、心に響いてこない。

自動操縦のヘリが原発上空でホバリングっていう設定は面白いなぁと思って観ていただけに残念だった。

天空の蜂2

「原発」の建設が市民に与えた悪影響がテロを生む


「反原発」を掲げるテロリストは、それぞれが原発建設の際に国に恨みを持った人間で構成されている。

綾野剛演じる建設作業員だった雑賀は、作業現場で知り合った友人を白血病で亡くす。

雑賀自身も体調を崩し、原発に恨みを持つようになった。

雑賀に原発の情報を提供していた三島(本木雅弘)は、自身が原発の技術者だという理由で小学生の息子がいじめに遭い、その後、息子は自殺してしまう。

かわいがっていた息子だけに、それ以来、技術者でありながら、原発に恨みを持つようになる。

そんな2人が手を組んで起こしたテロだった。

しかし、どうにもこの2人に「原発を爆破してしまえ」というほどの気迫を感じない。

どう考えても、その心の奥底に「無駄に人を殺してはいけない」という優しさが見える。

そんな人が、本気で原発を爆破しようと考えるだろうか…。

とくに三島はもっと狂った雰囲気があっても良かったように思う。

天空の蜂3

日本全国の原発を止めた場合の経済損失は…??


では、もしも、テロリスト「天空の蜂」の要求通り、日本全国の原発を止めたらどうなるのか。

どれだけの電力が不足し、私たちの日常生活にどれだけ支障をきたすのか。

また、そのことでどれだけの失業者が町にあふれ、失業率はどれだけ上がるのか。

そして、それらの影響による経済損失はどのぐらいになるのか…。

ここでは、そのリスクが一切語られない。

前述の「シン・ゴジラ」では、時々刻々と増えていく「経済損失」がキッチリと描かれていたことで、「おぉ、この先の日本はどうなってしまうんだろう…」という恐ろしさを感じることができた。

しかし、「天空の蜂」では、「建築作業員が白血病で亡くなった」、「技術者の家族がいじめで自殺した」という情報だけが与えられ、原発を止めることによるリスクを描かないとなると、観客たちは、なんとなく「やっぱり原発は怖いね」という印象を抱き、反原発へと誘導されていく。

そして、「節電ぐらいで済むなら、原発を全部止めても良いんじゃない?」と思ってしまう。

しかし、「反原発」を訴え、その思想を貫き通す程の力強さは感じない。

その曖昧さが、この映画の残念なところだった。

天空の蜂4


なんとなく曖昧で説得力がないのは、なぜか


結局、映画全体から受ける印象として、「原発の恐ろしさ」を訴えるには、イマイチ訴求力が足りなかった。

原発を止めると、これだけの経済損失があるけど、稼働したら、これだけの健康被害が出るんだ。

という数字でも出してくれないと、なんとも説得力が無い。

この映画のラストにそのどっちつかずの印象をそのまま表現したセリフがある。

主人公の湯原は最後に、成人して自衛隊員になった彼の息子に対し「この国には命をかける価値があるのか??」と問いかける。

それは、息子に問いかけているようで、自身に対する問いかけでもあった。

彼は技術者として一生を終えるが、年老いてから、それで良かったのかという迷いを感じるようになったのか。

その迷いは、この映画が「原発をハッキリとダメと言えないけど、でもなんとなく悪」と中途半端に言っている状態に似ている。

「この国に命をかけたら、いつかは原発で死ぬかもしれないよ…」なんだか、そんな風に聞こえるのは気のせいだろうか…。

もしもダメだと言いたいなら、原発を全て止めた場合のリスクを描いたうえで、それを上回るような理由を言えば良い。

それができないなら、「なんとなく」観客を「反原発」に誘導するような作品を作るのは、ちょっと卑怯な気がする。



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