ソン・ガンホ主演、キム・ジウン監督の韓国映画「密偵」を映画館で観た。

1920年代、日本の統治下にあった朝鮮半島で独立のために戦った義烈団と、それを防ごうとする親日派の警察との対立を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

最初から最後までハラハラドキドキして緊張感がとけない面白い映画だった。

ソン・ガンホコン・ユイ・ビョンホンという大スターたちの共演も楽しみながら、常に分断され続ける朝鮮半島の悲しい運命を感じさせる作品だった。


「密偵」予告編 動画

(原題:밀정(密偵)/ 英題:The Age of Shadows




更新履歴・販売情報

・2017年11月27日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年7月26日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正

現在、DVD・ネット配信、共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

ソン・ガンホ
…(「タクシー運転手 約束は海を越えて」、「王の運命(さだめ)歴史を変えた八日間」、「観相師-かんそうし-」、「シュリ」、「殺人の追憶」、「スノーピアサー」など)

コン・ユ
…(「新感染 ファイナル・エクスプレス」、「男と女」、「サスペクト 哀しき容疑者」、「トガニ 幼き瞳の告発」など)

ハン・ジミン
…(「それだけが、僕の世界」、「朝鮮名探偵 トリカブトの秘密」、「王の涙 イ・サンの決断」など)

イ・ビョンホン
…(「それだけが、僕の世界」、「天命の城」、「エターナル」、「MASTER マスター」、「王になった男」、「マグニフィセント・セブン」、「インサイダーズ 内部者たち」、「メモリーズ 追憶の剣」、「ターミネーター/新起動:ジェネシス」、「王になった男」、「甘い人生」など)

…(「日日是好日」など)

オム・テグ
…(「コインロッカーの女」など)

監督

〇キム・ジウン


2016年製作 韓国映画



密偵



あらすじ


1920年代、日本統治下の朝鮮半島。

日本の警察に勤務するイ・ジョンチュル(ソン・ガンホ)は、東部長(鶴見辰吾)から「義烈団を逮捕せよ」との特命を受け、パートナーとして、ハシモト(オム・テグ)と手を組むように命令される。

そこで、ジョンチュルは骨董品屋を経営する義烈団 隊長のキム・ウジン(コン・ユ)のところへニセモノの壺を持って訪ねウジンに探りを入れる。

その様子を知った義烈団・団長チョン・チェサン(イ・ビョンホン)は、同じ朝鮮同胞としてジョンチュルを抱き込み、義烈団のスパイにしようとウジンに提案する…。



密偵4



感想(ネタバレあり)


朝鮮半島の独立を目指す義烈団と、それを阻止したい警察の対立



舞台は1920年代、日本の統治下にあった朝鮮半島

第一次世界大戦の直後で大正時代の頃。



その当時の朝鮮民族の人たちは、親日派と反日派に分かれていた。

日々を生活をしていくために、日本と仲良くしていた方が儲かったり、仕事に就けたりする人たちは自然と親日派になる。

しかし、日本と仲良くすることで特に恩恵を受けないような一般の人たちは、当然のように朝鮮半島の独立を願うようになる。

そこから独立運動を起こす人たちが結束し、中でも、義烈団は日本から『武装テロ組織』として目を付けられる人々だった。



鶴見辰吾演じる東部長は、朝鮮半島の警察隊を指揮しているが、彼の目標は『義烈団の壊滅』だった。

そこで、彼は朝鮮の内情に詳しい人間2人を義烈団の捜査に当たらせる。

1人は、主人公のソン・ガンホ演じるイ・ジョンチュルであり、もう1人は、オム・テグ演じるハシモトである。



ハシモトは、東部長の忠実な部下であり、朝鮮語も日本語も話すことができる。

しかし、イ・ジョンチュルは朝鮮人であるが、『朝鮮半島の独立など夢物語だ』と思っていて、『生きていくために』親日派の警察官として勤務しているような人物である。

親日派であるべき警察の中でも、それぞれの思いに温度差があるところから、この物語はスタートする。



密偵2



親日派だからと責めない団長の大らかさが、緊迫した心を解きほぐす



「朝鮮半島が独立できるなんて、本気で思っているのか」と吐き捨てるように言っていたイ・ジョンチュルだったが、義烈団のメンバーと接触していく中で、その思いに変化が生じてくる。

始めに接触した相手は、コン・ユ演じる古物商のキム・ウジンだった。



キム・ウジンは義烈団の中で実行部隊を率いる隊長であり、彼らの活動を探るためにジョンチュルはウジンに近づいていく。

いわば、ジョンチュルは警察が義烈団に送りこんだスパイである。

ウジンはウジンで、ジョンチュルの身の上を知った上で警戒心を持って接していた。



その2人をつないだのが、イ・ビョンホン演じる義烈団 団長のチョン・チェサンだった。

ジョンチュルも同じ朝鮮人なら、同胞として感じ合えることがあるはず

と確信し、ジョンチュルを仲間に引き込むことを決め、上海でジョンチュル、ウジン、チョン・チェサン団長の3人が対面する場をセッティングする。



このセッティングは、あまりにも大胆でちょっとビックリした。

もしかしたら、その場でジョンチュルが拳銃を抜いて二人を撃ったら、義烈団は2人の重要人物を失うことになってしまう。



しかし、この場面こそが、この映画の演出の肝の1つであり、この時、チョン・チェサン団長は

「義烈団は、たとえあなたが親日派であろうと広い心で迎え入れます」

というセリフが出てきそうな大らかな態度でジョンチュルを迎え入れる



ジョンチュルとしては、ウジンと仲良くなり始めた頃で、こんなに早く団長に会えると思っていなかった。

その上、歓待されたら、日本の警察の下で働いている自分を責めるよりもむしろ、歓迎してくれている

と感じたはずだ。



その引き合わせた時の団長の笑顔が、ジョンチュルの心を解きほぐしたのだと思った。

イ・ビョンホンは出番が少ないながら、この時、とても強烈な印象を残すが、それはキム・ジウン監督の演出の上手さが光っていたからこそだと思った。

突然、団長と面会することになった警察官が、緊迫した面持ちで挑むと、その団長は予想外に満面の笑みで登場し、酒を出され歓待されたら、誰だって心を許してしまうだろう。



そこから、ジョンチュルは警察が義烈団に送り込んだスパイでありながら、義烈団が警察に送りこんだ二重スパイへと変貌していく



密偵5



朝鮮人同士のつながりや絆の大切さが、ジョンチュルの心を目覚めさせる



初めは「本気で独立できると思ってるのか」と言い、「そんなの夢物語だ」と思い、のらりくらりと生きていたジョンチュル。

その彼が、義烈団と出会い、ジウンと会っているうちに、警察であることよりも義烈団へ心が動いていく。

この映画は、親日派だったジョンチュルが、朝鮮人としての誇りに目覚めていくまでを描いた物語でもある。



ジョンチュルが目覚めたきっかけは、義烈団メンバーへの仲間意識だった。

警察の中では、東部長やハシモトとうまくコミュニケーションがとれないが、義烈団のウジンはジョンチュルのことを「ヒョン」と言って慕ってくれる。

明らかに義烈団の方が居心地が良かった

その居心地の良さこそが、ジョンチュルの心を動かしたものだと思った。



もしも、ハシモトがジョンチュルのことを「ヒョン」と呼んで、もっと敬意を表していたら、警察への忠誠心が解けなかったかもしれない。

団長のチョン・チェサンは、その「朝鮮人同士のつながり」こそがジョンチュルの狙いどころだと思い、笑顔で歓待して「朝鮮人の同胞」であることをウリにしたんだろう思う。



義烈団は「反日的な言動」を連発し、「日本憎し」で行動してるわけではない。
(もちろん、そういう部分もあっただろうけど、ここではあえて描いていない)

それよりも、朝鮮人同士のつながりや絆の大切さを描いた作品である。

彼らの「仲間を助けたい・守りたい」という気持ちが貫かれている作品だった。

だから、日本人の私から観ても、彼らの「仲間を思う気持ち」に共感しつつ、最初から最後までハラハラドキドキしながら観ることができるのだ



ジョンチュルは、最初はのらりくらりと『生きるために』適当に生きていて、次第に朝鮮人としての自覚を持ち、仲間を思う気持ちに目覚めていくという役であり、

それは、これまでソン・ガンホが演じてきたキャラクーたちと共通するものを感じ、とてもソン・ガンホらしい役だと思った。

むしろ、ソン・ガンホ以外には、考えられないキャラクターだった。

そして、最後には「やっぱり韓国俳優No.1のソン・ガンホ」と思える場面で終わっている。



密偵3



同じ民族が真っ二つに分かれて争い合う…現在の朝鮮半島に通じる思い


ジョンチュルは、朝鮮人が親日派と反日派に分かれて争い合っている姿に愕然とする。

義烈団の中に裏切り者がいて、その結果、彼らに危機が訪れる。

それは、同じ民族なのに、なぜ、ここまでして殺し合う…と思わせ、「戦争は同じ民族さえも引き裂くことになる」という思いが伝わってくる。



しかし、その同じ民族が2つに別れて対立しあう姿は、今の朝鮮半島でも起きている

北と南に別れていながら、「朝鮮半島の統一は夢物語」と思う人もいれば、「絶対統一」を掲げる人たちもいる。

その姿は、この映画で描かれている1920年代の状況と通じるものがある。



義烈団の願いは、その後も叶わず、朝鮮半島の独立はちょっと先の未来の話になってしまうが、結局、その直後に朝鮮戦争が起きて、朝鮮人は再び分断されてしまう。



その先の未来に起きることを考えながらこの映画を観ていると、結局、戦争によって引き裂かれてしまう朝鮮半島の悲しい運命を感じた

同じ民族でありながら争い合うという、現状の悲しさを痛切に感じた作品だった。





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