スティーブ・カレル主演の映画「マネー・ショート」を劇場で観た。
2007年にアメリカで起きたリーマンショックの裏で、世紀の空売りをして大儲けをした男たちについての物語。
*** 受賞歴 ***
〇 第88回アカデミー賞(2016年) 脚色賞 受賞
〇 2016年 全米プロデューサー組合賞 最優秀作品賞 受賞
***********
【満足度 評価】:★★★★☆
すごく面白くて、前のめりになって観た映画だった。
成功するためには、数字を読む力というより、数字の意味を知る力と忍耐力が必要だとしみじみ思った。
◆ネット配信で観る:「マネー・ショート華麗なる大逆転」(字幕版)
◆DVDで観る:「マネー・ショート 華麗なる大逆転」
◆原作本「世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち」
2005年ウォール街。
トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は、いつものように数字をチェックしている時に、住宅ローン債権が将来破綻することに気付く。
そして、その住宅ローン債権を売っている銀行から13億ドルで買う。
その時の出来事は、「おかしなトレーダーに住宅債権を売ってボロ儲けした」という銀行家の自慢話となり、その話を銀行家のベネット(ライアン・ゴズリング)が聞きつける。
しかし、その話でマイケルの買いが正しいと判断したベネットは、トレーダーのマーク(スティーブ・カレル)に空売りの話を持ち掛ける。
ベネットの話をイマイチ信用できなかったマークは、住宅ローンの現状について調査を始めるのだが…。

例えば、私たちがマンションを買ったり、家を買ったりする時は、もちろん現金で買えれば良いけど(笑)、そういうワケにもいかないから、銀行にお金を貸してくださいって相談するでしょ。
相談に来られた銀行は、その人の仕事やボーナスを含めた年収を調べて、普通に仕事をしていればキチンと返せるようにローンを組むでしょ。
そこまでは、誰にでも起き得る話だから分かりやすいと思うけど、この映画に関わってくるのはここから。
アメリカの銀行は(日本に住宅ローン債権があるかどうか知らないので)、この何人分かの住宅ローン(サブプライムローン)を集めて債権にして、トレーダーのような投資家に売るわけ。
すると、この債権を買った投資家の人たちには、月々の返済額の中から利息分が利益になる。
もちろん、一般人が組んでるローンだから、利益と言ってもそんなに良い儲けが出るわけではないけど、「着実に利益がでる優良な債権です」っていうのが、銀行のウリだった。
そりゃ、そうだよね。着実に返せるように組んでいるローンだから、安定しているはず。
しかし、この映画のクリスチャン・ベール演じるトレーダーは、それを当たり前と思わずに、数字をチェックしたら、その債権が安定してないことに気付いた。
まず、銀行のサブプライムローンの中には、アメリカの金融緩和政策の影響で、安定的にお金を返せる人(ランクAAA)から 将来お金を安定して返せない恐れがある危険な人(ランクB)まで、様々な人がいて、銀行がパックにして売っている債権の中には、そのランクAAAから、ランクBまで様々な人がいたの。
(映画の中では、それをライアン・ゴズリングがジェンガを使って、分かりやすく説明している)
それで、クリスチャン・ベールは、ランクBの人たちがお金を返せなくなって住宅ローン債権は絶対に破綻すると読むわけ。

私たちにとって、リーマンショック(金融危機)は過去の出来事なので、クリスチャン・ベールの選択が正しいと分かっているけど、当時は誰も住宅ローン債権の安定性を疑っていなかった。
そこで、スティーブ・カレル演じるトレーダーが、そのクリスチャン・ベールの言う破綻が本当なのかどうかを確認するために、新興住宅地へ出向くシーンがある。
このシーンがまた衝撃的。
低所得の人たちに、サブプライムローンを組ませて、家を買わせているいる金融マンたちが、本当に日本の闇金みたい。
かなり悪質な詐欺師。
年収の欄が白紙でも、どんな職業でも、お金を借りることができるようなシステムになっている。
つまり、日本で言えば審査なしでローンを組めるということ。
最初はうまいこと言って、お金を借りさせて、あとでドンドン支払いが増えていって、払えなくなっちゃうシステム。
そんな金融マンたちがストリッパーに多額のローンを組ませた話を自慢げにしているのを観たスティーブ・カレルの一言。
「なんで彼らは、罪の告白をしているんだ」
それに対し、彼の部下たちが「違います。あれは自慢話です」とのやり取りに思わず笑ってしまった。
「罪の告白」って、そんなバカな。そんなことを思うような奴だったら、そんな仕事をしてないわ(笑)
その窮状を観たスティーブ・カレルは、「住宅ローン債権はバブルだ」と、宣言して空売りの決意をする。
このシーンは、「あぁ、こんなことやったら、破綻するよなぁ」って誰が見たって思う。
ストリッパーのお姉ちゃんが、将来、いくら返せるか知らずに家を5件と、コンドミニアムを1件買ってるんだよ。
国全体が、貧しくて知識の無い国民に夢を見させて、あとで締め上げる詐欺師になってしまったって感じだった。

他にも、この映画の中には、トレイダーが何人か出てくるんだけど、一番すごいのは、最初に気付いたクリスチャン・ベールなんだな。
私は、彼の行動から日々の生活のプラスになることがあるんじゃないかと思った。
トレーダーに限らず、仕事をしている人だったら、毎日、成果としての数字を観ることが多いでしょう。
それが売上げだったり、点数だったり、進捗度だったり、数字にもいろいろあるよね。
私だったら、このブログを運営しているので、PV数を毎日チェックしている。
このクリスチャン・ベールが、他の人と違うのは、その数字の変化を毎日の当たり前の変化と思わず、「なぜ変化したのか」という理由を突き詰めたところだったと思う。
何気ない変化にも、必ず理由があって、その理由に基づいて上下してるんだよね。
理由が分かったら、何をすべきか考えて、即行動する。
スピードも大事。
その後は、ひたすら忍耐して結果が出るのを待つのみ。
私もね、PV数が上下するのを観て、「あぁ、今日も下がっちゃったなぁ」とか、「あら、今日は上がったなぁ。ラッキー」とか言って済ませていたけど、「その上下の理由を知る。分析する」ことが必要なんだなって、自分に言い聞かせた。
毎日続けていたら、自然とPV数が上がっていくのを当たり前と思わないことが大切なんじゃないかと思って。

主演のトレーダーを演じているのは、スティーブ・カレル。
まぁ、このトレーダーが吠える吠える。
どこに言っても吠えてる。
こちらとしては、その吠えっぷりが観ていておかしかったけどね。
他の出演作には、「ビューティフル・ボーイ」、「30年後の同窓会」、「カフェ・ソサエティ」、「フォックスキャッチャー」、「プールサイド・デイズ」、「エンド・オブ・ザ・ワールド」など
しかし、そのトレーダーを超える印象を残すのが、クリスチャン・ベール。
ウォール街のオフィスで、半そで短パン。
オフィスは、ハードロックをかけっぱなしで、趣味はドラム。
とにかく、つかみどころがないんだ。この人(笑)
クリスチャン・ベールは、この演技でアカデミー賞 助演男優賞のノミネートされるけど、それも納得。
最も印象に残る演技だった。
他の出演作には、「The Promise/君への誓い」、「ファーナス/訣別の朝」、「ザ・ファイター」など
スティーブ・カレルに空売りをすすめる銀行家には、ライアン・ゴズリング(「ブレードランナー 2049」、「ドライヴ」)や、偶然、その空売りの事実を知ってしまった若手企業家を助ける、元大物トレーダーとしてブラッド・ピット(「フューリー」、「マリアンヌ」など)も出演している。

映画の冒頭に、
「知らないということは罪ではない。
最も罪なのは、知らないのに、知ったつもりで行動することだ。」
マーク・トウェイン
って感じ(私の記憶から書いたので、完全に一致していないと思う)の言葉が出てくる。
全国民が「これは大丈夫」だと、知りもしないで行動したことが招いた悲劇が、リーマンショックだった。
「日本は、経済が安定している」と思うのも、これは、知りもしないで頭の中に描く妄想なのかもしれない。
大切なのは、自分自身と、その周りで起きることを全て把握することだ。
遠くに描かれた絵ばかりを観ていると、いつの間にか足元をすくわれてしまうから…。
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◆原作本「世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち」
2007年にアメリカで起きたリーマンショックの裏で、世紀の空売りをして大儲けをした男たちについての物語。
*** 受賞歴 ***
〇 第88回アカデミー賞(2016年) 脚色賞 受賞
〇 2016年 全米プロデューサー組合賞 最優秀作品賞 受賞
***********
【満足度 評価】:★★★★☆
すごく面白くて、前のめりになって観た映画だった。
成功するためには、数字を読む力というより、数字の意味を知る力と忍耐力が必要だとしみじみ思った。
「マネー・ショート」予告編 動画
(原題:The Big Short(世紀の空売り))◆ネット配信で観る:「マネー・ショート華麗なる大逆転」(字幕版)
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◆原作本「世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち」
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あらすじ
2005年ウォール街。
トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は、いつものように数字をチェックしている時に、住宅ローン債権が将来破綻することに気付く。
そして、その住宅ローン債権を売っている銀行から13億ドルで買う。
その時の出来事は、「おかしなトレーダーに住宅債権を売ってボロ儲けした」という銀行家の自慢話となり、その話を銀行家のベネット(ライアン・ゴズリング)が聞きつける。
しかし、その話でマイケルの買いが正しいと判断したベネットは、トレーダーのマーク(スティーブ・カレル)に空売りの話を持ち掛ける。
ベネットの話をイマイチ信用できなかったマークは、住宅ローンの現状について調査を始めるのだが…。

感想(ネタバレあり)
国民が安定していると信じていた債権が危険なものだと予測した男がいた
例えば、私たちがマンションを買ったり、家を買ったりする時は、もちろん現金で買えれば良いけど(笑)、そういうワケにもいかないから、銀行にお金を貸してくださいって相談するでしょ。
相談に来られた銀行は、その人の仕事やボーナスを含めた年収を調べて、普通に仕事をしていればキチンと返せるようにローンを組むでしょ。
そこまでは、誰にでも起き得る話だから分かりやすいと思うけど、この映画に関わってくるのはここから。
アメリカの銀行は(日本に住宅ローン債権があるかどうか知らないので)、この何人分かの住宅ローン(サブプライムローン)を集めて債権にして、トレーダーのような投資家に売るわけ。
すると、この債権を買った投資家の人たちには、月々の返済額の中から利息分が利益になる。
もちろん、一般人が組んでるローンだから、利益と言ってもそんなに良い儲けが出るわけではないけど、「着実に利益がでる優良な債権です」っていうのが、銀行のウリだった。
そりゃ、そうだよね。着実に返せるように組んでいるローンだから、安定しているはず。
しかし、この映画のクリスチャン・ベール演じるトレーダーは、それを当たり前と思わずに、数字をチェックしたら、その債権が安定してないことに気付いた。
まず、銀行のサブプライムローンの中には、アメリカの金融緩和政策の影響で、安定的にお金を返せる人(ランクAAA)から 将来お金を安定して返せない恐れがある危険な人(ランクB)まで、様々な人がいて、銀行がパックにして売っている債権の中には、そのランクAAAから、ランクBまで様々な人がいたの。
(映画の中では、それをライアン・ゴズリングがジェンガを使って、分かりやすく説明している)
それで、クリスチャン・ベールは、ランクBの人たちがお金を返せなくなって住宅ローン債権は絶対に破綻すると読むわけ。

大きな夢を見させて、後で締め上げる詐欺師となった金融マン
私たちにとって、リーマンショック(金融危機)は過去の出来事なので、クリスチャン・ベールの選択が正しいと分かっているけど、当時は誰も住宅ローン債権の安定性を疑っていなかった。
そこで、スティーブ・カレル演じるトレーダーが、そのクリスチャン・ベールの言う破綻が本当なのかどうかを確認するために、新興住宅地へ出向くシーンがある。
このシーンがまた衝撃的。
低所得の人たちに、サブプライムローンを組ませて、家を買わせているいる金融マンたちが、本当に日本の闇金みたい。
かなり悪質な詐欺師。
年収の欄が白紙でも、どんな職業でも、お金を借りることができるようなシステムになっている。
つまり、日本で言えば審査なしでローンを組めるということ。
最初はうまいこと言って、お金を借りさせて、あとでドンドン支払いが増えていって、払えなくなっちゃうシステム。
そんな金融マンたちがストリッパーに多額のローンを組ませた話を自慢げにしているのを観たスティーブ・カレルの一言。
「なんで彼らは、罪の告白をしているんだ」
それに対し、彼の部下たちが「違います。あれは自慢話です」とのやり取りに思わず笑ってしまった。
「罪の告白」って、そんなバカな。そんなことを思うような奴だったら、そんな仕事をしてないわ(笑)
その窮状を観たスティーブ・カレルは、「住宅ローン債権はバブルだ」と、宣言して空売りの決意をする。
このシーンは、「あぁ、こんなことやったら、破綻するよなぁ」って誰が見たって思う。
ストリッパーのお姉ちゃんが、将来、いくら返せるか知らずに家を5件と、コンドミニアムを1件買ってるんだよ。
国全体が、貧しくて知識の無い国民に夢を見させて、あとで締め上げる詐欺師になってしまったって感じだった。

大切なのは、数字の意味を知ること。即行動すること
他にも、この映画の中には、トレイダーが何人か出てくるんだけど、一番すごいのは、最初に気付いたクリスチャン・ベールなんだな。
私は、彼の行動から日々の生活のプラスになることがあるんじゃないかと思った。
トレーダーに限らず、仕事をしている人だったら、毎日、成果としての数字を観ることが多いでしょう。
それが売上げだったり、点数だったり、進捗度だったり、数字にもいろいろあるよね。
私だったら、このブログを運営しているので、PV数を毎日チェックしている。
このクリスチャン・ベールが、他の人と違うのは、その数字の変化を毎日の当たり前の変化と思わず、「なぜ変化したのか」という理由を突き詰めたところだったと思う。
何気ない変化にも、必ず理由があって、その理由に基づいて上下してるんだよね。
理由が分かったら、何をすべきか考えて、即行動する。
スピードも大事。
その後は、ひたすら忍耐して結果が出るのを待つのみ。
私もね、PV数が上下するのを観て、「あぁ、今日も下がっちゃったなぁ」とか、「あら、今日は上がったなぁ。ラッキー」とか言って済ませていたけど、「その上下の理由を知る。分析する」ことが必要なんだなって、自分に言い聞かせた。
毎日続けていたら、自然とPV数が上がっていくのを当たり前と思わないことが大切なんじゃないかと思って。

アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたクリスチャン・ベールなど充実した俳優陣
主演のトレーダーを演じているのは、スティーブ・カレル。
まぁ、このトレーダーが吠える吠える。
どこに言っても吠えてる。
こちらとしては、その吠えっぷりが観ていておかしかったけどね。
他の出演作には、「ビューティフル・ボーイ」、「30年後の同窓会」、「カフェ・ソサエティ」、「フォックスキャッチャー」、「プールサイド・デイズ」、「エンド・オブ・ザ・ワールド」など
しかし、そのトレーダーを超える印象を残すのが、クリスチャン・ベール。
ウォール街のオフィスで、半そで短パン。
オフィスは、ハードロックをかけっぱなしで、趣味はドラム。
とにかく、つかみどころがないんだ。この人(笑)
クリスチャン・ベールは、この演技でアカデミー賞 助演男優賞のノミネートされるけど、それも納得。
最も印象に残る演技だった。
他の出演作には、「The Promise/君への誓い」、「ファーナス/訣別の朝」、「ザ・ファイター」など
スティーブ・カレルに空売りをすすめる銀行家には、ライアン・ゴズリング(「ブレードランナー 2049」、「ドライヴ」)や、偶然、その空売りの事実を知ってしまった若手企業家を助ける、元大物トレーダーとしてブラッド・ピット(「フューリー」、「マリアンヌ」など)も出演している。

一番危険なのは、思い込みで動くこと
映画の冒頭に、
「知らないということは罪ではない。
最も罪なのは、知らないのに、知ったつもりで行動することだ。」
マーク・トウェイン
って感じ(私の記憶から書いたので、完全に一致していないと思う)の言葉が出てくる。
全国民が「これは大丈夫」だと、知りもしないで行動したことが招いた悲劇が、リーマンショックだった。
「日本は、経済が安定している」と思うのも、これは、知りもしないで頭の中に描く妄想なのかもしれない。
大切なのは、自分自身と、その周りで起きることを全て把握することだ。
遠くに描かれた絵ばかりを観ていると、いつの間にか足元をすくわれてしまうから…。
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