ヘイリー・スタインフェルド主演の映画「スウィート17モンスター」を映画館で見た。
「キラキラ女子」になれない「こじらせ女子」ネイディーンが、高校に馴染めない日々を通して成長していく物語。
【満足度 評価】:★★★★☆(4.5)
見始めた瞬間に、気持ちが高校時代に引き戻され、素直になれず、屈折していた高校時代を思い出した。
思春期から大人へと成長していく微妙な心の変化をとても丁寧に描いた作品。
きっと誰もが「私にもそんな頃あったなぁ」と、自分と重ね合わせてしまう部分があるはず。
17歳をとっくに通り過ぎてしまった大人たちにこそ観て欲しい作品。
◆ネット配信で観る:「スウィート17モンスター」
◆DVDで観る:「スウィート17モンスター」 DVD
◆オリジナルサウンドトラック「the Edge of Seventeen」
…(「バンブルビー」、「スパイダーマン:スパイダーバース」(声の出演)、「トゥルー・グリット」、「二重逃亡」、「エンダーのゲーム」など)
〇ウディ・ハレルソン
…(「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」、「LBJ ケネディの意志を継いだ男」、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」、「スリー・ビルボード」、「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」、「ファーナス 訣別の朝」など)
〇キーラ・セジウィック
…(「崖っぷちの男」など)
〇ブレイク・ジェナー
…(「エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に」など)
〇ヘイリー・ルー・リチャードソン
…(「スプリット」など)
〇メレディス・モンロー
2016年制作 アメリカ映画

17歳の女子高生ネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は、人気者の兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)と仲が悪く、学校にも馴染めない。
そんな中、クリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)だけは、ネイディーンにとって幼い頃からの親友だった。
しかし、ある時、ダリアンとクリスタがダリアンの部屋で寝ているところを見てしまい、その時からクリスタとの友達関係も崩壊してしまう。
さらにクリスタはダリアンと付き合うようになってから、彼女たちが軽蔑していたようなキラキラ女子と仲良くするようになり、ネイディーンは一人ぼっちになってしまう。
唯一、ネイディーンの話を聞いてくれるのは、高校の歴史の教師ブルーナー先生(ウディ・ハレルソン)だけになってしまい…。

親友に彼氏ができてしまうと、これまで感じたことのなかった心の距離ができて寂しくなってしまう。
親に「あれをやれ、これをやれ」と言われると、逆にやりたくなくなる。
自分と違って社交的な兄が羨ましくて、嫌いになってしまう。
女の子たちとつるむのがめんどくさくて、つい、一人ぼっちになってしまう。
自分が高校生だった頃、そんな経験はないだろうか。
この映画には、そんな「女子高生あるある」がいっぱい詰まっていて、1つ1つ心の引き出しを開けてはその頃の思い出を確かめるようなそんな映画だった。
主人公のネイディーンは17歳の高校生。
素直に笑うことができず、オシャレでかわいい「キラキラ女子」にもなれず、ハリネズミのように常に針を尖らせては周りと距離を置き、言ってはいけないことを言っては人間関係をこじらせてしまう。
そんな「こじらせ女子」だ。
彼女の言動を観ていると、こちらも高校時代に引き戻されてしまう。
そんな映画だった。

今思えば、女子高生は「普通に笑っているだけで可愛いという特権」を持っている時代だ。
ファーストフード店で働く女子高生なんて、普通に注文を受けてレジ打ちしているだけで可愛い子たちがいっぱいいる。
しかし、女子高生たちの内心は思春期を迎え、「素直に笑うことができない」という複雑な精神状態にいる。
だから残念なことに「ただ笑っていればかわいい」という特権に気付かず、「自分は他の子たちに比べたら可愛くない」、「周りの人たちは私のことを嫌っている」という謎のネガティブワールドに入り込む。
それが、女子高生たちの思春期の姿なのだ。
ネイディーンがそのネガティブワールドに入り込んだのには、彼女なりの理由がある。
小学生の頃、同級生の女子たちに服装がダサいと言われ、パーマをかければ失敗し、顔にニキビができてしまう。
そんなことを気にせず付き合ってくれるのは親友のクリスタだけだったのに、クリスタとは兄とのことで仲違いしてしまっている。
もうそれだけで、「学校に行きたくない理由」になる。
そんなネイディーンに追い打ちをかけるように、片思いのニックにエロメッセージを誤送信して勘違いされるという最悪のミスをしてしまう。
これは100%「家に帰りたくない」理由になる。
つまり、身体は大人でも心は大人になりきれない彼女たちは、自分を中心にして世界が回っている。
だから、ちょっとしたことで(例えば顔にニキビができた時)、世界の全てが崩壊してしまうのだ。
大人はそれを「そんなことで」と笑うが、世界崩壊の危機を迎えた彼女たちにとっては「そんなこと」では済まされない一大事なのである。

そんな彼女たちにも「大人」へと成長していく時が来る。
それは、世界の中心にいるのが自分ではないと気付いた時である。
ネイディーンにとって気付きの瞬間とは、家に帰ることができず、ブルーナー先生の家に行った際、兄のダリアンが迎えに来た時である。
この時ネイディーンは、ダリアンがネイディーンとクリスタの関係を引き裂いてしまい、どうやったら二人の関係を元に戻すことができるかと頭を悩ませていたことを知る。
だからこそ、何も言わずに家を飛び出したネイディーンに対し責任を感じ、クリスタと共に思い当たるところを探し回っていたのだ。
その時、ネイディーンはダリアンにはダリアンの世界があることを知る。
そして、ネイディーンはそれまで自分のことしか考えていなかったことを恥じるようになる。
この時のネイディーンの心の変化は、なんともこそばゆいというか、見ていて気恥ずかしいものがある。
みんなそうやって、大人への階段を少しずつ上ってきたからだ。

本当は、ネイディーンの周りは敵ばかりではなく、味方ばかりなのだ。
社交的で要領が良いダリアンも、親友のクリスタも、歴史のクラスでいっしょのアーウィンも、歴史の先生のブルーナーも、みんなネイディーンのことを心配している。
ネイディーンが思春期ゆえに、その気持ちを素直に受け取ることができず、変化球で返していたからこじらせていただけなのだ。
周りの人たちにも、それぞれの世界があって、人は互いを思い合って生活していることに気付いたネイディーンが向かった先はアーウィンのいるところだった。
ネイディーンは、自分にとってアーウィンが一番の理解者だということに気付いたのだ。
そして、アーウィンにおめでとうの一言を言った時、ネイディーンには新しい世界への扉が開く。
それが、彼女が大人になった瞬間だった。
この映画は、ただ思春期の女子高生を面白おかしく描くのではなく、成長していくところまで見守っているのが良いなと思った。
また、彼女たちの微妙な心の変化をとても丁寧に描いているのは、脚本、監督共に女性のケリー・フレモン・クレイグが手掛けているからだろう。
「バージン・スーサイド」以来、久々にリアルで生き生きとした女子高生を見た作品だった。

ちょっとネタバレになってしまうけど、ブルーナー先生の自宅へ行った時、かつてTVドラマ「ドーソンズ・クリーク」でこじらせ女子大生を演じていたメレディス・モンローが出てきた時は、「えぇぇぇぇぇぇーーーっ」と思った(笑)
さらに、その時の彼女が
「私も若い頃はいろいろ大変だったけど、今はとても幸せよ」
っていう気の利いたセリフを言った時には大きくのけ反り、きっと、ケリー・フレモン・クレイグ監督も「ドーソンズ・クリーク」ファンだったに違いないと確信した(笑)
これは私たち世代に対する、ささやかで楽しいプレゼントだった。
↓ 「ドーソンズ・クリーク」時代のメレディス・モンロー
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「キラキラ女子」になれない「こじらせ女子」ネイディーンが、高校に馴染めない日々を通して成長していく物語。
【満足度 評価】:★★★★☆(4.5)
見始めた瞬間に、気持ちが高校時代に引き戻され、素直になれず、屈折していた高校時代を思い出した。
思春期から大人へと成長していく微妙な心の変化をとても丁寧に描いた作品。
きっと誰もが「私にもそんな頃あったなぁ」と、自分と重ね合わせてしまう部分があるはず。
17歳をとっくに通り過ぎてしまった大人たちにこそ観て欲しい作品。
「スウィート17モンスター」予告編 動画
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キャスト&スタッフ
出演者
〇ヘイリー・スタインフェルド…(「バンブルビー」、「スパイダーマン:スパイダーバース」(声の出演)、「トゥルー・グリット」、「二重逃亡」、「エンダーのゲーム」など)
〇ウディ・ハレルソン
…(「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」、「LBJ ケネディの意志を継いだ男」、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」、「スリー・ビルボード」、「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」、「ファーナス 訣別の朝」など)
〇キーラ・セジウィック
…(「崖っぷちの男」など)
〇ブレイク・ジェナー
…(「エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に」など)
〇ヘイリー・ルー・リチャードソン
…(「スプリット」など)
〇メレディス・モンロー
監督・脚本
〇ケリー・フレモン・クレイグ2016年制作 アメリカ映画

あらすじ
17歳の女子高生ネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は、人気者の兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)と仲が悪く、学校にも馴染めない。
そんな中、クリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)だけは、ネイディーンにとって幼い頃からの親友だった。
しかし、ある時、ダリアンとクリスタがダリアンの部屋で寝ているところを見てしまい、その時からクリスタとの友達関係も崩壊してしまう。
さらにクリスタはダリアンと付き合うようになってから、彼女たちが軽蔑していたようなキラキラ女子と仲良くするようになり、ネイディーンは一人ぼっちになってしまう。
唯一、ネイディーンの話を聞いてくれるのは、高校の歴史の教師ブルーナー先生(ウディ・ハレルソン)だけになってしまい…。

感想(ネタバレあり)
「こじらせ女子」に高校時代の苦い思い出へと引きずり込まれる
親友に彼氏ができてしまうと、これまで感じたことのなかった心の距離ができて寂しくなってしまう。
親に「あれをやれ、これをやれ」と言われると、逆にやりたくなくなる。
自分と違って社交的な兄が羨ましくて、嫌いになってしまう。
女の子たちとつるむのがめんどくさくて、つい、一人ぼっちになってしまう。
自分が高校生だった頃、そんな経験はないだろうか。
この映画には、そんな「女子高生あるある」がいっぱい詰まっていて、1つ1つ心の引き出しを開けてはその頃の思い出を確かめるようなそんな映画だった。
主人公のネイディーンは17歳の高校生。
素直に笑うことができず、オシャレでかわいい「キラキラ女子」にもなれず、ハリネズミのように常に針を尖らせては周りと距離を置き、言ってはいけないことを言っては人間関係をこじらせてしまう。
そんな「こじらせ女子」だ。
彼女の言動を観ていると、こちらも高校時代に引き戻されてしまう。
そんな映画だった。

世界は自分を中心に回っている思春期時代
今思えば、女子高生は「普通に笑っているだけで可愛いという特権」を持っている時代だ。
ファーストフード店で働く女子高生なんて、普通に注文を受けてレジ打ちしているだけで可愛い子たちがいっぱいいる。
しかし、女子高生たちの内心は思春期を迎え、「素直に笑うことができない」という複雑な精神状態にいる。
だから残念なことに「ただ笑っていればかわいい」という特権に気付かず、「自分は他の子たちに比べたら可愛くない」、「周りの人たちは私のことを嫌っている」という謎のネガティブワールドに入り込む。
それが、女子高生たちの思春期の姿なのだ。
ネイディーンがそのネガティブワールドに入り込んだのには、彼女なりの理由がある。
小学生の頃、同級生の女子たちに服装がダサいと言われ、パーマをかければ失敗し、顔にニキビができてしまう。
そんなことを気にせず付き合ってくれるのは親友のクリスタだけだったのに、クリスタとは兄とのことで仲違いしてしまっている。
もうそれだけで、「学校に行きたくない理由」になる。
そんなネイディーンに追い打ちをかけるように、片思いのニックにエロメッセージを誤送信して勘違いされるという最悪のミスをしてしまう。
これは100%「家に帰りたくない」理由になる。
つまり、身体は大人でも心は大人になりきれない彼女たちは、自分を中心にして世界が回っている。
だから、ちょっとしたことで(例えば顔にニキビができた時)、世界の全てが崩壊してしまうのだ。
大人はそれを「そんなことで」と笑うが、世界崩壊の危機を迎えた彼女たちにとっては「そんなこと」では済まされない一大事なのである。

人は周りの人にもそれぞれの世界をあることを知って大人になる
そんな彼女たちにも「大人」へと成長していく時が来る。
それは、世界の中心にいるのが自分ではないと気付いた時である。
ネイディーンにとって気付きの瞬間とは、家に帰ることができず、ブルーナー先生の家に行った際、兄のダリアンが迎えに来た時である。
この時ネイディーンは、ダリアンがネイディーンとクリスタの関係を引き裂いてしまい、どうやったら二人の関係を元に戻すことができるかと頭を悩ませていたことを知る。
だからこそ、何も言わずに家を飛び出したネイディーンに対し責任を感じ、クリスタと共に思い当たるところを探し回っていたのだ。
その時、ネイディーンはダリアンにはダリアンの世界があることを知る。
そして、ネイディーンはそれまで自分のことしか考えていなかったことを恥じるようになる。
この時のネイディーンの心の変化は、なんともこそばゆいというか、見ていて気恥ずかしいものがある。
みんなそうやって、大人への階段を少しずつ上ってきたからだ。

人に思いやりの言葉をかけた時、新しい世界の扉が開く
本当は、ネイディーンの周りは敵ばかりではなく、味方ばかりなのだ。
社交的で要領が良いダリアンも、親友のクリスタも、歴史のクラスでいっしょのアーウィンも、歴史の先生のブルーナーも、みんなネイディーンのことを心配している。
ネイディーンが思春期ゆえに、その気持ちを素直に受け取ることができず、変化球で返していたからこじらせていただけなのだ。
周りの人たちにも、それぞれの世界があって、人は互いを思い合って生活していることに気付いたネイディーンが向かった先はアーウィンのいるところだった。
ネイディーンは、自分にとってアーウィンが一番の理解者だということに気付いたのだ。
そして、アーウィンにおめでとうの一言を言った時、ネイディーンには新しい世界への扉が開く。
それが、彼女が大人になった瞬間だった。
この映画は、ただ思春期の女子高生を面白おかしく描くのではなく、成長していくところまで見守っているのが良いなと思った。
また、彼女たちの微妙な心の変化をとても丁寧に描いているのは、脚本、監督共に女性のケリー・フレモン・クレイグが手掛けているからだろう。
「バージン・スーサイド」以来、久々にリアルで生き生きとした女子高生を見た作品だった。

(おまけ)元こじらせ女子登場
ちょっとネタバレになってしまうけど、ブルーナー先生の自宅へ行った時、かつてTVドラマ「ドーソンズ・クリーク」でこじらせ女子大生を演じていたメレディス・モンローが出てきた時は、「えぇぇぇぇぇぇーーーっ」と思った(笑)
さらに、その時の彼女が
「私も若い頃はいろいろ大変だったけど、今はとても幸せよ」
っていう気の利いたセリフを言った時には大きくのけ反り、きっと、ケリー・フレモン・クレイグ監督も「ドーソンズ・クリーク」ファンだったに違いないと確信した(笑)
これは私たち世代に対する、ささやかで楽しいプレゼントだった。
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