サマンサ・モートン主演の映画「マッド・マザー 生贄の少年」をWOWOWで観た。
病弱で寝たきりの少年と彼を狂気で支配する母親、彼らの近所に引っ越してきた少女が見た恐怖の実態を描くサスペンス映画。
劇場未公開の作品をどこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の一本。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
最近流行りの毒親ものかと思いきや、後半になって予想していなかった展開になるサスペンス。
母親の勝手なエゴが子供たちを不幸にする。
この感想にはネタバレが含まれています。映画を観てから感想をお読みください。
…(「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、「マイノリティ・リポート」など)
〇マイケル・シャノン
…(「ホース・ソルジャー」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ノクターナル・アニマルズ」、「ラビング 愛という名前のふたり」、「ドリームホーム 99%を操る男たち」、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、「マン・オブ・スティール」など)
〇ピーター・フォンダ
…(「あしたの家族のつくり方」など)
〇ナターシャ・カリス
〇チャーリー・ターハン
2013年製作 アメリカ映画

両親を亡くし、祖父母と暮らすために引っ越してきたマリアン(ナターシャ・カリス)。
転校してきたばかりの彼女には遊びに行く友達もいなかったが、近所の家で寝たきりの生活をしているアンディ(チャーリー・ターハン)を見つけ、彼の部屋でテレビゲームをしたりして遊ぶようになる。
病弱のアンディは病気になりやすいため、アンディの母で医師のキャサリン(サマンサ・モートン)はマリアンがアンディの部屋に出入りすることを嫌がり「もう来ないで欲しい」とマリアンに告げるが、それでもマリアンはアンディの部屋に通い続ける。
キャサリンとは対照的に、アンディの父・リチャード(マイケル・シャノン)はマリアンに好意的なのだが、キャサリンは怒りを爆発させ…。

友達のいないアンディとマリアンが、お互いの寂しさから生まれる引力で引き寄せあうように出会う。
アンディは幼い頃から病弱であり、寝たきりで過ごしていた。
いつも部屋で一人でテレビゲームをするか、窓から眺められるトウモロコシの成長を見守るか。
それが毎日の日課。
足を動かすことができず、家の中は車いすで移動し、もしも、外に出ようとすればママに酷く怒られてしまう。
マリアンは両親を亡くし、祖父母と暮らすことになるが、その結果、仲良かった友達とは離ればなれになって、新しい学校になじめない。
引っ越してきたばかりのマリアンが近所を探検するように歩いていていた時に、林の中にある一軒家を見つける。
そして、その家の一階の部屋のベットで寝ているアンディを見つける。
はじめは驚いたマリアンも、アンディが同世代だったことから、外から窓を叩いて話しかけ、そこから二人は友達になる。
お互い寂しい者同士、すぐに親しくなっていく。
しかし、二人が仲良くなることをアンディのママで医者のキャサリンはよく思っていなかった。
アンディがマリアンと一緒にいるところがキャサリンに見つかれば、すぐ帰されてしまうようになる。

アンディとマリアンが出会ったころから、母キャサリンの狂気が際立っていく。
これまでアンディには友達ができず、マリアンという友達が初めてできたのに、それを拒絶する。
外に行きたいという願いも叶えられず、当然、アンディの野球をしたいという願いも拒否。
それはすべて、「外に出たら病気になるから」という理由によるもの。
前半のキャサリンのそんな様子を見いていて、「これは最近の映画界で流行りの『毒親』を描く映画なんだな」と思った。
後から考えれば、それは短絡的な考え方だったかもしれないけど、「病弱な子供のことを思って、あれこれ支配したがる毒親」は確実にいる。
アンディ本人が望んでいる友達まで排除してしまうのは、やり過ぎだろうと思ったけど、それは母親と息子の間にありがちな『嫉妬』なんだろうと思った。
やはり、息子にとってNo.1の女性は、母親であって欲しい。
だから、息子に近づく虫はできる限り遠ざける。
そんな反応だったのだろうと思った。
アンディに対して過干渉であり、なんでもかんでも支配したがり、女友達に嫉妬を感じて排除する。
もう、これは毒親以外のなにものでもない。

しかし、「知りたがり」のマリアンが地下室に『もう一人の寝たきりの少年』を見つけたことで、事態は急展開する。
一体、あの少年は誰なのか。
そこから、物語の中心は「毒親の狂気」から「『本当の息子はどっち?』という謎解き」へとシフトしていく。
その時、マリアンは一枚のレントゲン写真を見つける。
家に帰って、写真に書かれていた名前を検索したら、それが行方不明の少年の名前と一致してしまう。
ということは、地下で機械につながれて寝ている少年は「誘拐された子供」なのか…?
しかし、そこで疑問がわいてくる。
彼らが「寝たきりの少年をわざわざ誘拐する理由は何か」と。
そうではないのだ。
アンディと言われていた少年こそが、誘拐された少年で、地下で眠っている少年が本当の息子だった。
彼らの息子は、生まれた時から心臓が弱かった。
しかし、幼過ぎて病弱なうえ、移植をする体力もない。
それならば、もう一人同じ年頃の少年を誘拐し、息子の栄養素として育てることを考える。
共に育てて、大きくなるに従って、少しずつ血液や、息子の弱った臓器を移植し、最終的には心臓をもらって偽アンディの役割は終了する。
そのまま移植手術が成功したら、しれっとアンディとすり替えて息子として生きていく予定だったのだろう。
だからこそ、アンディは外に出て人目に触れてはいけないし、友達などいていはいけないのだ。
やがてくるはずの未来予想図を思い、キャサリンはマリアンに激怒したのだ。
この映画の原題は「Harvest(収穫)」であるが、それは移植のための「機が熟した」ことを意味している。
ようやくアンディの臓器を移植する時がやってきた。
そういう意味だった。
しかし、キャサリンの想定外にマリアンというアンディの味方が現れ、未来予想図が少しずつ崩れていってしまう。

キャサリンは医者であることよりも『母親としてのエゴ』が勝ってしまい、息子の臓器を育てるために子供を誘拐・監禁してしまう。
しかし、中にはキャサリンの気持ちが分かる人もいるのではと思う。
生れてきた子供が不治の病で、名医でも治療することができないなら、どんなこともでしてあげたいと思ってしまう母心。
キャサリンは、日々、多くの子供たちの命を助けながらも、よりによって自分の息子は救えないという境遇にいた。
健康な臓器を持つ少年を誘拐した時には、自分の息子以外のことが見えていなかったのだろう。
しかしそうなると、疑問に思うのは「キャサリンがアンディに対して何の愛情も持たなかったのか」ということ。
一時魔が差して、自分の息子のために、健康な子供を誘拐したとしても、その後、何年間も毎日「ママ」と言われながら生活をしていて、本当に1㎜も情がわかなかったのだろうか。
彼女とは対照的に、夫のリチャードはアンディに情が移ってしまい、自由にしてあげようと思っていたのに、母性本能を持っている母親のキャサリンがアンディに何の愛情も持たなかったのは、ちょっと疑問だった。
手術をしようとして、アンディと過ごした日々のことを思い出し、思いとどまるっていう流れだったら、もっと納得がいったかもしれない。
最後が、ホラーっぽくなってしまったので、ちょっともったいない気がした。
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病弱で寝たきりの少年と彼を狂気で支配する母親、彼らの近所に引っ越してきた少女が見た恐怖の実態を描くサスペンス映画。
劇場未公開の作品をどこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の一本。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
最近流行りの毒親ものかと思いきや、後半になって予想していなかった展開になるサスペンス。
母親の勝手なエゴが子供たちを不幸にする。
この感想にはネタバレが含まれています。映画を観てから感想をお読みください。
「マッド・マザー 生贄の少年」予告編 動画
(原題:The Harvest)
キャスト&スタッフ
出演者
〇サマンサ・モートン…(「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、「マイノリティ・リポート」など)
〇マイケル・シャノン
…(「ホース・ソルジャー」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ノクターナル・アニマルズ」、「ラビング 愛という名前のふたり」、「ドリームホーム 99%を操る男たち」、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、「マン・オブ・スティール」など)
〇ピーター・フォンダ
…(「あしたの家族のつくり方」など)
〇ナターシャ・カリス
〇チャーリー・ターハン
監督
〇ジョン・マクノートン2013年製作 アメリカ映画

あらすじ
両親を亡くし、祖父母と暮らすために引っ越してきたマリアン(ナターシャ・カリス)。
転校してきたばかりの彼女には遊びに行く友達もいなかったが、近所の家で寝たきりの生活をしているアンディ(チャーリー・ターハン)を見つけ、彼の部屋でテレビゲームをしたりして遊ぶようになる。
病弱のアンディは病気になりやすいため、アンディの母で医師のキャサリン(サマンサ・モートン)はマリアンがアンディの部屋に出入りすることを嫌がり「もう来ないで欲しい」とマリアンに告げるが、それでもマリアンはアンディの部屋に通い続ける。
キャサリンとは対照的に、アンディの父・リチャード(マイケル・シャノン)はマリアンに好意的なのだが、キャサリンは怒りを爆発させ…。

感想(ネタバレあり)
病弱で寝たきりのアンディと、両親を亡くしたばかりのマリアンの出会い
友達のいないアンディとマリアンが、お互いの寂しさから生まれる引力で引き寄せあうように出会う。
アンディは幼い頃から病弱であり、寝たきりで過ごしていた。
いつも部屋で一人でテレビゲームをするか、窓から眺められるトウモロコシの成長を見守るか。
それが毎日の日課。
足を動かすことができず、家の中は車いすで移動し、もしも、外に出ようとすればママに酷く怒られてしまう。
マリアンは両親を亡くし、祖父母と暮らすことになるが、その結果、仲良かった友達とは離ればなれになって、新しい学校になじめない。
引っ越してきたばかりのマリアンが近所を探検するように歩いていていた時に、林の中にある一軒家を見つける。
そして、その家の一階の部屋のベットで寝ているアンディを見つける。
はじめは驚いたマリアンも、アンディが同世代だったことから、外から窓を叩いて話しかけ、そこから二人は友達になる。
お互い寂しい者同士、すぐに親しくなっていく。
しかし、二人が仲良くなることをアンディのママで医者のキャサリンはよく思っていなかった。
アンディがマリアンと一緒にいるところがキャサリンに見つかれば、すぐ帰されてしまうようになる。

キャサリンは典型的な毒親だと思った前半部分
アンディとマリアンが出会ったころから、母キャサリンの狂気が際立っていく。
これまでアンディには友達ができず、マリアンという友達が初めてできたのに、それを拒絶する。
外に行きたいという願いも叶えられず、当然、アンディの野球をしたいという願いも拒否。
それはすべて、「外に出たら病気になるから」という理由によるもの。
前半のキャサリンのそんな様子を見いていて、「これは最近の映画界で流行りの『毒親』を描く映画なんだな」と思った。
後から考えれば、それは短絡的な考え方だったかもしれないけど、「病弱な子供のことを思って、あれこれ支配したがる毒親」は確実にいる。
アンディ本人が望んでいる友達まで排除してしまうのは、やり過ぎだろうと思ったけど、それは母親と息子の間にありがちな『嫉妬』なんだろうと思った。
やはり、息子にとってNo.1の女性は、母親であって欲しい。
だから、息子に近づく虫はできる限り遠ざける。
そんな反応だったのだろうと思った。
アンディに対して過干渉であり、なんでもかんでも支配したがり、女友達に嫉妬を感じて排除する。
もう、これは毒親以外のなにものでもない。

アンディが外に出られない驚愕の理由
しかし、「知りたがり」のマリアンが地下室に『もう一人の寝たきりの少年』を見つけたことで、事態は急展開する。
一体、あの少年は誰なのか。
そこから、物語の中心は「毒親の狂気」から「『本当の息子はどっち?』という謎解き」へとシフトしていく。
その時、マリアンは一枚のレントゲン写真を見つける。
家に帰って、写真に書かれていた名前を検索したら、それが行方不明の少年の名前と一致してしまう。
ということは、地下で機械につながれて寝ている少年は「誘拐された子供」なのか…?
しかし、そこで疑問がわいてくる。
彼らが「寝たきりの少年をわざわざ誘拐する理由は何か」と。
そうではないのだ。
アンディと言われていた少年こそが、誘拐された少年で、地下で眠っている少年が本当の息子だった。
彼らの息子は、生まれた時から心臓が弱かった。
しかし、幼過ぎて病弱なうえ、移植をする体力もない。
それならば、もう一人同じ年頃の少年を誘拐し、息子の栄養素として育てることを考える。
共に育てて、大きくなるに従って、少しずつ血液や、息子の弱った臓器を移植し、最終的には心臓をもらって偽アンディの役割は終了する。
そのまま移植手術が成功したら、しれっとアンディとすり替えて息子として生きていく予定だったのだろう。
だからこそ、アンディは外に出て人目に触れてはいけないし、友達などいていはいけないのだ。
やがてくるはずの未来予想図を思い、キャサリンはマリアンに激怒したのだ。
この映画の原題は「Harvest(収穫)」であるが、それは移植のための「機が熟した」ことを意味している。
ようやくアンディの臓器を移植する時がやってきた。
そういう意味だった。
しかし、キャサリンの想定外にマリアンというアンディの味方が現れ、未来予想図が少しずつ崩れていってしまう。

見ず知らずの子でも、毎日暮らしていたら情がわくのでは…?
キャサリンは医者であることよりも『母親としてのエゴ』が勝ってしまい、息子の臓器を育てるために子供を誘拐・監禁してしまう。
しかし、中にはキャサリンの気持ちが分かる人もいるのではと思う。
生れてきた子供が不治の病で、名医でも治療することができないなら、どんなこともでしてあげたいと思ってしまう母心。
キャサリンは、日々、多くの子供たちの命を助けながらも、よりによって自分の息子は救えないという境遇にいた。
健康な臓器を持つ少年を誘拐した時には、自分の息子以外のことが見えていなかったのだろう。
しかしそうなると、疑問に思うのは「キャサリンがアンディに対して何の愛情も持たなかったのか」ということ。
一時魔が差して、自分の息子のために、健康な子供を誘拐したとしても、その後、何年間も毎日「ママ」と言われながら生活をしていて、本当に1㎜も情がわかなかったのだろうか。
彼女とは対照的に、夫のリチャードはアンディに情が移ってしまい、自由にしてあげようと思っていたのに、母性本能を持っている母親のキャサリンがアンディに何の愛情も持たなかったのは、ちょっと疑問だった。
手術をしようとして、アンディと過ごした日々のことを思い出し、思いとどまるっていう流れだったら、もっと納得がいったかもしれない。
最後が、ホラーっぽくなってしまったので、ちょっともったいない気がした。
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