コリン・ファレル主演の映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」を試写会で観た。

心臓外科医のスティーブンは、ある日突然、息子・ボブの両足が動かなくなってしまう。

なぜ、ボブの足は動かなくなってしまったのか。その謎を描くサスペンス映画。


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

この映画を観て思い浮かんだ言葉は「目には目を」だった。

何かを奪われたら、対価としてそれ相応の物を差し出せという言葉だけれど、果たして、それで物事は解決するのかと言えば、あまりにも失われるものが多すぎる気がした。



この感想には「ネタバレ」が含まれます。映画をご覧になってからお読みください。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」予告編 動画

(原題:The Killing of a Sacred Deer)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年3月1日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年5月22日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


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キャスト&スタッフ


出演者

コリン・ファレル
…(「ダンボ」、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、「マイノリティ・リポート」、「ウォルト・ディズニーの約束」、「クレイジー・ハート」、「ロブスター」、「ヴェロニカ・ゲリン」、「ジャスティス」、「ニューヨーク 冬物語」など)

ニコール・キッドマン
…(「ある少年の告白」、「アクアマン」、「パーティで女の子に話しかけるには」、「LION/ライオン~25年目のただいま~」、「パディントン」、「シークレット・アイズ」、「パディントン」、「リピーテッド」、「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」、「バースデイ・ガール」、「レイルウェイ 運命の旅路」、「ザ・インタープリター」、「ファング一家の奇想天外な秘密」など)

〇バリー・コーガン
…(「ダンケルク」など)

〇ラフィー・キャシディ

〇サニー・スリッチ

〇アリシア・シルヴァーストーン


監督

ヨルゴス・ランティモス
…(「ロブスター」など)


2017年 イギリス・アイルランド合作映画



映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」



あらすじ


郊外の高級住宅地で暮らす心臓外科医のスティーブン(コリン・ファレル)は、アナ(ニコール・キッドマン)と、娘のキム(ラフィー・キャシディ)、息子のボブ(サニー・スリッチ)の4人家族。

何不自由なく、平和な日々を送る彼らだったが、ある日突然、息子のボブの足が動かなくなってしまう。

実はそれは、スティーブンと交流のある少年マーティン(バリー・コーガン)が予言したことだった…。

そのマーティンの予言によれば、やがてボブは目から血を流し、死んでしまうという。

そして、その数日後、キムも足が動かなくなってしまい…。



映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」コリン・ファレル



感想(ネタバレあり)


「人の命」と「高級腕時計」


もしも、医療ミスで家族を失われたらどう思うだろうか。

その医療ミスが飲酒によるものだったら?

そして、ミスをした医師がそのことを「とても軽く思っている」と感じたら?

その医師に「同じ苦しみを味わって欲しい」と願うのは、遺族として当然だと思う。



私はこの映画を観て、人の命を預かるはずの医師が「命を軽く思っていること」への罪を感じた。

だからといって、その医師の家族の命を奪うことで「命を重さを知らしめる」ことができるのか。

「目には目を」という報復行動が本当に有効なのかと考えさせられる作品だった。



高校生の少年マーティンは、父親を心臓手術で亡くしてしまう

その時の執刀医が主人公のスティーブンだった。



その時、スティーブンは飲酒していたと、担当の麻酔医が証言している。



スティーブンはマーティンの父の死について「間違いはなかった」と認識しているが、飲酒していたことが負い目になる。

麻酔医には口封じをし、事実は隠された。

しかし、マーティンには「高級腕時計」をプレゼントしたことで、負い目を感じていたことは明らかだった



その「父の死」を「高級腕時計」で埋め合わせしたところに、スティーブンの命に対する考えが表れている

彼は医者なのにも関わらず、人の命を金で買えるとでも思っているのではないか。

いや、むしろ医者だから人の命も「高級腕時計程度」の重さしかないのか



当然、マーティンはそのスティーブンの行動に納得がいかず、スティーブン一家への復讐を考える



映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」コリン・ファレル、バリー・コーガン


マーティンがスティーブン一家に課した4つの呪い


マーティンがスティーブン一家に対して考えた「復讐」とは、「マーティンと同じ痛み」を味あわせることだった。

それは「父を返す」もしくは「家族の命を一つ奪って欲しい」という祈りだった。



そこでマーティンは、スティーブンを家に招き、母とマーティンと三人で食事をする。

しかし、その目的は「楽しい食事会」ではない

食事会の後、母はスティーブンを誘惑する。

マーティンが初めに望んだのは、スティーブンが「亡くなった父の代わりに父になる」ことだった。



ところが、そのマーティンの願いはスティーブンによって拒絶されてしまったため、プランBへと移行する

それは「家族から命を一つ奪うこと」だ。

そうして、マーティンはスティーブン一家に呪いをかける



1.足が動かなくなる

2.食事を食べられなくなる

3.目から血が流れる

4.死

それは、息子のボブ、娘のキム、妻のアナのうちの誰かが、この順番で亡くなっていくという「呪い」だった。



そしてそのマーティンの「呪い」どおり、ボブの足が動かなくなり、やがてキムも立ち上がれなくなり、やがてマーティンはスティーブン一家にとって「命を司る神」のように君臨するようになる。



それは、心臓病の家族を抱えた人にとっては「心臓外科医が神」となるように



映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」


迫られるスティーブンの『生贄』選別の決断


私がこの映画で最も恐ろしいと思ったのは、スティーブン一家のマーティンの「呪い」への反応だった。



はじめはスティーブンも医師だけに「科学的に解明できる」と思っていた

あらゆる検査をボブとキムに受けさせ、なんとか立たせようとする。



世の中には「科学では解明できないこと」があり、ボブとキムの足が動かなくなったことこそ「科学では解明できないこと」なのだ。

医師であるスティーブンにとって、それまで「医学が全て」だったが、「呪い」によりスティーブンの世界が崩壊し、「科学では解明できないことがある」ことを知る



そこからわかるのは、これまでスティーブンは「医学」に頼り過ぎていたということ。

一人一人の患者たちに家族がいて、それぞれが家族を失うことで「医学では解明できない苦しみ」を抱えることになるのだ。



スティーブンは医学に頼り過ぎたあまり、家族・遺族の苦しみを理解していなかったように思う。

だからこそ、「高級腕時計」で埋め合わせしようとしたのだ。

しかし、まだ高校生だった遺族のマーティンと関わったことで、その「科学では解明できない苦しみ」を味あわされることになる。



あらゆる検査をしてどうにもならないことが分かったスティーブンはボブにするか、キムにするかの「命の選別」を始める

それは、スティーブンにとって「マーティンに捧げる『生贄』探し」だったのだ。



学校へ行き、子供たちの成績を比べ「成績が優秀なのはどちらか」を選別。

妻のアンも自分が「『生贄』の対象」であることから「殺すならボブ」と言い切り、「まだ子供を埋める」と言いながらスティーブンが最も好きなスタイルで身体を差し出す。

そうして、彼らは静かに「誰を生贄として捧げるか」の選別をする



そんな彼らを見て、女性たちのたくましさを感じた。

高校生のキムは「神」であるマーティンに身体を差し出し(しかし、マーティンは、それをやんわり拒否という屈辱を味あわせる)、アナは「神」の足にキスをする

彼女たちはどんなことがあっても、「神」に仕える人間であることを示す一方で、キムは「殺すなら私を殺して」と家族思いの姿をアピールし、その裏にあるしたたかさを感じさせる。



その一方で男性たちはオロオロと日々を過ごす。

ボブはただひたすらその状況を受け入れ、されるがままに横たわり、スティーブンはスティーブンで強い決断をすることができない。



最後に行われたのは、全員で目隠しをし「ロシアンルーレット」方式に目隠しされたスティーブンが猟銃で誰かを殺すというものだったが、それは、スティーブンの中で「誰にするか決められた『生贄殺し』」だったのだ。



映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」


「命を奪われたら、別の命で埋め合わせ」が引き起こす「憎しみ」


スティーブンの決断を観た後、「もしも、これが自分の身に起きたらどうするか」と考える

家族に医師はいなくても、誰かが飲酒運転で死亡事故を起こしてしまったら、相手の家族にどうお詫びをするべきだろうか。



その相手にに呪いをかけられ、「家族の誰かを生贄に捧げて欲しいい」と言われたら、どうするだろうか。

そもそも「生贄」を自分たちで選ぶのか。

それともなすがままにしてしまうのか。



その時から「家族は生き抜く上での『ライバル』」になるのだ。

それはなんともゾッとする話だと思った。



スティーブンからしたら、酒を飲んでオペをするなんて、ちょっとした「気のゆるみ」なのかもしれない。

他の仕事だったら、「ちょっとしたミス」で済むかもしれないが、医師に「ちょっとしたミス」は許されない。

しかし、毎日、毎日、同じようなオペをしているうちに、手術がルーティワーク化し、次第に「命の重さ」も軽くなっていったのだろうか。



そんな命の重さを軽く考えているスティーブンだからこそ、「生贄を捧げること」になってしまったのだ



しかし、「生贄」を捧げたことでスティーブン一家とマーティンの関係は対等に戻ったけれど、両家の間には「憎しみ」というしこりが残ってしまった

マーティンを恋するまなざしで見つめていたキムも、儀式の後はにらみつける視線に代わってしまった。



マーティンからすれば、失われた命の対価としてスティーブン一家も同じ苦しみを味わって満足かもしれないが、彼らの間の「友好的な関係」は一切失われてしまう

それは、マーティンが本当に望んでいたものだったのだろうか

命に代わるものなどどこにもなく、報復から平和は生まれないのである



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